法人カードの名義は、個人名義?法人名義?サインはどちらでするの?法人カードを社員が持つ場合は?

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法人カードを取得する上で知っておかなければならないことの一つに「名義」があります。

例えば、法人系クレジットカードは、法人や個人事業主に発行されるわけです。個人事業主であれば、名義は「個人」であることは間違いありません。

しかし法人である場合には、

Man
「名義が法人になるのでしょうか?それとも個人(法人代表者)になるのでしょうか?どちらが正解であるか分からない。」

という方も多いでしょう。

法人カードですが、事業者向けのクレジットカードということになります。要は、事業者でなければ取得はできません。

だからこそ「名義は法人なのでは?」と思いがちですが、カード決済をする時にサインを求められることもあるでしょう。その時は基本的に個人名を書きます。よって名義に関は「個人なのではないか?」といったことも頭によぎるわけです。

こちらでは、法人カードの名義について徹底解説します。

Man
「個人名義が正解なのでしょうか?それとも法人名義が正解なのでしょうか?」
「決済時のサインは個人名なのでしょうか?それとも法人名なのでしょうか?」

さらに名義変更の方法から、社員が子カードを利用するときの名義に関してもお伝えします。法人カードの利用を考えている方は必見です。

そもそもクレジットカードの名義とは何だ?

クレジットカードの所有者のことを指している

クレジットカードは、様々ところで利用できる極めて便利なものです。しかしそのカードは、誰でも利用できるわけではありません。カード会社として、一つのカードを複数の人に利用されては困るのです。

よって、クレジットカードの所有者を表しているのが「名義」となります。どこの誰が利用しているのかを明らかにするものであり、名義人以外がクレジットカードを利用することは禁止されています。

仮に名義人以外がクレジットカードを利用してしまうと、「規約違反」というものになります。そして非常に重い処分を受けることになるのです。

名義人以外が利用してしまうと、カード会社としては審査を通していない人に利用されたことになります。カード会社としては非常にリスクが高いことであり、貸倒れによる損失を被ってしまう可能性が高まってしまうわけです。

名義人以外がカードを利用すると、そのカード自体が失効してしまいます。そして、そのカードの所有者である名義人が強制退会処分を受けることになるのです。強制退会になってしまうと、一括返済をしなければなりません。

仮にカードを使い込んでいる状態であれば、窮地に立たされてしまうのです。

家族であっても名義人以外が利用しては駄目なのか?

家族であったとしても、名義人以外がカードを利用することは禁じられています。

Woman
「子供がネットショッピングをしたいといっているので、カードを貸してしまった。」

といった経験がある方もいるかも知れません。「子供が海外旅行に行くので、自分のクレジットカードを渡した」ということもあるでしょう。

それらの行為もクレジットカードの規約違反となってしまいます。もしも違反が発覚すれば、処分を受けることになってしまうわけです。

たとえ妻であろうと夫であろうと、親であろうと子供であろうと名義人以外がクレジットカードを利用してはいけないのです。

例えば、三井住友VISAカードの会員規約には以下のような文言が記されています。

「理由の如何を問わず、カードおよびカード情報を他人に使用させまたはカード使用のために占有を移転させてはなりません」

出典:三井住友VISAカード「会員規約(PDFファイル」

要は、どんな理由があったとしても、カードを他人に使わせてはならないということが規約として決められているのです。「名義人以外がカードを利用するのは絶対に駄目」と言っているわけです。

なぜ上記のようなことが記載されているのかというと、実際に他者にカードを貸すような行為がおこなわれているからです。犯罪組織などが裏にいるケースも有り、カード会社としてはカード利用に常に目を光らせています。

ちなみにカードの利用で怪しい部分があった場合には、カード会社者側からカードの利用を一時停止にされることもあります。不正利用の恐れがある場合なども、カードの機能が一時停止されることがあります。

法人カードの名義は法人?それとも個人?

個人事業主のケース

個人事業主のケースであれば、悩む必要はないでしょう。法人化されていないので、「個人」の一択となります。

個人事業主に関しては、法人カードの利用はできます。そもそも法人カードに関しては、事業者向けの利用ができるというものなのです。

個人事業主としても、事業を行っているわけです。様々な経費が発生するので、その決済に法人カードを利用できます。

一方で法人カードの中には、「コーポレートカード」と呼ばれているものもあります。コーポレートカードに関しては、比較的大きな会社を対象としているものであり、小規模の事業を行っていることが多い個人事業主は対象としていません

個人事業主の方はコーポレートカードではなく、一般的な法人カードを選択することになるのです。

法人のケース

「個人」が名義人となります。

法人であったとしても、法人カードの名義人は「個人」となるのです。要はクレジットカードの所有者は法人ではなく個人である、ということです。

そもそも名義とはクレジットカードの所有者のことを指しており、「クレジットカードを利用する人」を指しています。

確かに法人向けのカードではありますが、利用するのは「人」です。よって法人系クレジットカードの名義人は、個人事業主であろうと法人であろうと「個人」となるわけです。

では実際に、法人カードの券面をチェックしてみましょう。以下に掲載しているのがは「三井住友ビジネスカード for Owners」の券面です。

出典:三井住友ビジネスカード for Owners

一応は「SEKAIICHI SHOUJI」と会社名も記載されています。しかしその下に、「TARO KOKUSAI」と個人名が記されているのです。その「TARO KOKUSAI」さんが名義人となるわけです。

Expert
券面に記載されている人が、そのカードの利用できる人となります。そこに記されている名前の人以外が、カードを利用してしまうようなことがあれば、規約違反となってしまうのです。

なぜ引き落とし口座は法人口座なのに名義人は個人なのか?

カードの規約は、個人が守らなければならないものだからです。

カードの使用者は、会員規約及び個人情報の規約を守る責任があります。法人として守るのではありません。責任は、個人になるとしているのです。

仮に、法人として守らなければならないということになってしまうと、責任の所在があやふやになってしまいます。

カードを使っているのは個人なのに、責任は会社にあるということでは、規約違反があった場合の対応も難しくなります。責任を明らかにするためにも、名義人は個人となるのです。

確かに引き落とし口座については、法人の場合は法人口座となります。個人事業主の引き落とし口座は、個人口座です。

それは法人カードは、法人としての事業のために利用されるからです。しかし法人カードを利用するのは個人であり、その個人が責任を持ってカードを利用しなければなりません。だからこそ、引き落とし口座と名義は別の話となるわけです。

カード決済利用時のサインは法人名ですべき?個人名ですべき?

実店舗で法人カードを利用するケース

個人名でサインします。法人カードの券面に記載されている名義人名でサインを行うのです。

ただし前述した「三井住友ビジネスカード for Owners」でもわかるように、名義人と一緒に法人名も記載されていることがあるわけです。

Man
「その場合は、「法人名+個人名」でサインするべきなのでしょうか?」

実は「個人名義のみ」のサインで構いません。法人カードを利用するのは、個人であり会社名は名義人ではないのでわざわざサインする必要もないのです。

前述した「三井住友ビジネスカード for Owners」のケースであれば、「TARO KOKUSAI」と記せばよいわけです。

インターネットショッピングで法人カードを利用するケース

個人名でサインします。

最近では、インターネットショッピングをするケースも多いでしょう。会社の備品を、ネットで注文するということも多くなっているのです。

製造業であれば、原材料をネット注文するということも、あるのではありませんか?

もちろん法人カードであれば、個人向けクレジットカードと同様にネットショッピングが可能です。法人カードの国際ブランドに対応しているショップであれば、決済に活用できるわけです。

ネットショッピングに関しても、名義人の入力を求められることになります。ただし入力の求められ方については、ショップによって若干異なっているので注意してください。
  • ひらがなによる入力
  • カタカナによる入力
  • ローマ字による入力

基本的には、上記の3つの入力方法の中から一つ選択されることになります。選択されているものに従って名義人名を入力してください。

子カードを役員や従業員に発行した場合の名義人はどうなるのか?

法人カードには、本会員カードと子カードがあります。本会員カードが基本となり、従業員などが利用できる追加カードとして子カードが発行できる仕組みとなっているのです。

子カードの発行枚数に関しては、法人カードによって大きな違いがあります。数枚しか発行できないカードもあれば、100枚以上の子カードを発行できるものもあるのです。

多くの子カードを発行できる法人カード例

カード名 追加カードの発行枚数
三井住友ビジネスカードfor owners 無制限
JCB法人カード 無制限
UC法人カード(一般カード) 無制限
ライフカードゴールドビジネス 無制限
ダイナースクラブビジネスカード 無制限
ビジネクスト法人クレジットカード 最大で50枚まで

このように、大量の子カードを発行できる法人カードも存在しているわけです。規模の大きい会社でも、大量の追加カードが発行できる法人カードであれば、従業員の全員に法人カードを持たせることも可能です。

Man
「では子カードを従業員や役員に発行したときの名義人は、どうなるのでしょうか?」

従業員に子カードを発行したケースの名義とは?

社員個人となります。社員に小カードを発行した場合ですが、会社代表者の名義となるわけではありません。

そもそも小カードといっても、利用するのは発行された個人となるわけです。よって従業員が名義人となるのです。

従業員に子カードを発行した場合ですが、社内で使い回すようなこともあるでしょう。

しかしクレジットカードは、名義人以外が利用することを禁じています。よって社内の子カードの使い回しに関しても、規約違反となってしまうので注意してください。

役員に子カードを発行したケースの名義とは?

役員個人となります。役員に対して法人カードの子カードを発行した場合も、発行された人が名義人となるわけです。会社の代表者が、名義人になるわけではありません。

役員に関しても、会社として法人カードを持たせるということは、珍しいわけではありません。役員も従業員と同様に会社の事業に大きく関わっているわけです。法人カードを利用するような場面も十分に考えられるのです。

役員とはいえ、会社に属していることになります。だからこそ役員に対して子カードを発行してもOKなのです。

Expert
もちろん役員同士で子カードを使い回すのは厳禁です。発行された本人だけがカードを使ってよいのです。

子カードはなるべく発行しよう

ここまで述べたように、法人カードは名義人しか利用できません。本会員カードを一枚発行したとしても、そのカードを従業員に渡して利用させられないのです。

会社の事業に関わる支払いなどをスムーズに行うためにも、社員一人ひとりに子カードを発行するのがおすすめです。

ちなみに子カード利用分に関しても、ポイント対象になります。子カードを多く発行し、より多くのカード利用を行うことでポイント的な見返りも得られるようになります。

ポイントが溜まりやすくなり、結果としてそのポイントを福利厚生として社員に還元することも可能なのです。

子カードの支払いは子カードの名義人が行わなければならないのか?

子カードの利用分も本会員カードの支払口座から引き落としされることになります。よって、子カードの名義人の口座から引き落としが実行されるわけではありません。

そもそも子カードに関しては、本会員の信用によって発行されるものになっています。子カードの名義人が審査を受けたわけではありません。本会員が法人カードを取得したことによって、子カードが発行できるようになるのです。

本会員カードも子カードも引き落とし口座は一緒です。本会員カードの引き落とし口座から、小カード利用分も引き落としされることになります。

そもそも子カードの利用に関しても、事業向けとなるわけです。会社のためのカード利用となるので、子カードの名義人にとして仮に自分の口座から引き落としされるのは納得できないでしょう。法人であれば、一括で法人口座から引き落としがされることになります。

子カードの名義変更の手続方法について

経営者本人が変わるということは、10年に1回であるとか20年に1回ということもあるでしょう。それほど頻繁に行われることではありません。

一方で注目しなければならないのが、従業員です。数年でやめてしまう方もいれば、数ヶ月でやめてしまう方もいます。

そこで考えていかなければならないのが、従業員が辞めて新しい社員が入ってきた時です。

中にはやめた社員が使っていた子カードを、そのまま新しい社員に渡して使わせようと思っている方もいるかも知れません。しかし絶対にそのようなことは行わないでください。

こちらでは子カードの名義変更について徹底解説します。

子カードの破棄について

まずは従業員が辞めてしまった場合には、子カードを破棄することになります。

要は、子カードの契約を解除することになるのです。そのカードを利用していた従業員が退職したのであれば、持っていても意味がありません。

そもそも子カードとはいえども、カードの名義人以外は利用してはならないのです。そのままカードを会社として保持していても何の役にも立ちません。よって、対象の子カードの契約を破棄する必要があるわけです。

すでに新しい社員が入ってきていたとしても、元いた従業員のカードは利用できません。新しい社員が入ってきており、その社員にも子カードを利用してもらいたいのであれば、また新たに申し込みを行ってください。

ちなみに子カードの破棄については、電話やインターネットからの簡単な手続きで行うことが可能です。

一方で新たな子カードの加入に関しては、いくつかの書類を提出しなければならないので、郵送対応になることが多くなっています。取得までには多少の時間がかかるので、早めに申し込みを行ってください。

子カードの破棄の手続が終了したら、カードは捨てて構いません。ハサミを入れたほうが良いと思う方もいるかも知れませんが、破棄が完了したら、そのカードは使えなくなります。ハサミは入れても入れなくても構いません。

名義変更について

従業員が結婚をするなどして、名字が変わることもあります。名字が変わってしまうと、名義人としてクレジットカードに記載されている名前と異なってしまうわけです。

名義人の名前が変わって時には、名義変更の手続を実施しなければなりません。クレジットカード会社に対して早急に連絡してください。

基本的には、手続き対応の部門があるので、そちらに連絡をすると対応してもらえるはずです。

Expert
手続きに関しては郵送で実施されるケースと、インターネット上で行えるケースがあります。法人カードによっても名義変更の手続方法は異なっているので、事前に確かめておきましょう。

手続が終了すると、名義人の名前が変更されたカードが郵送されてきます。

ちなみに名義の変更中の時期についても、基本的にはカード利用は可能です。

公共料金の引き落としにカードを利用していることもあるでしょう。変更手続き中に引き落としができないとなると、滞納したことになってしまうのです。

しかし手続中に関しては、カードで引き落としに関しては影響を受けません。よって公共料金の支払いにも対応してもらえるわけです。

JCBのカードであれば、会員専用のWEBサービスである「MyJCB(マイジェーシービー)」で名義の変更が可能です。ただし個人カードの話であり、法人カードの場合は法人デスクへの連絡が必要になります。

名義変更に関しても、個人カードと法人カードでは違いがあるので注意しましょう。

要注意!名義人以外のサインをしたらどうなる?

決済ができない

名義人以外は、クレジットカードを利用できません。よって名義人以外のサインをしてしまうと決済ができなくなってしまうのです。

「上司に買い物を頼まれる」といういこともあるでしょう。その時に上司の法人カードを渡されるかもしれません。仮に渡されたとして買い物をしたとします。その時に部下の個人名をサインしてしまうと決済ができないのです。

クレジットカードは、保有者本人しか利用できません。よって違う名前をサインしてしまえば、当然カードで買い物はできないのです。

そこで「上司の名前を記せば良い」といった考え方が出てきてしまうかもしれません。その考え方も誤りです。

もしもカード会社にそのようなことが発覚してしまえば、不正利用に該当するかもしれません。大事になりかねないのです。

上司に買い物を頼まれた場合には、自分の子カードを利用してください。子カードの引き落としに関しては法人口座から引き落としになるわけです。自身の懐が痛くなることはないので、子カードを利用しても問題はないわけです。

サインレスの店舗も増えている

実は最近ではカード決済時にサインではなく、「暗証番号」の入力を求めてくるケースが増えてきているのです。

要は、暗証番号を知らなければ買い物ができないというような、状況になりつつあるわけです。

もちろん前もって暗証番号を教えてもらえれば、カード利用はできるかもしれません。しかし暗証番号というものに関しては、同じ会社の従業員であったとしても、教え合うのには大きな問題があるわけです。

やはり、従業員一人ひとりに子カードを持たせたほうが安全です。

まとめ

法人カードの名義は極めて重要です。名義人でなければクレジットカード決済は利用できません。

規約で決まっており、名義人以外が利用したことが発覚してしまえば、きつい処分(強制退会&一括返済など)を受けることになるのです。

法人カードの名義について、いくつか解説しました。

  • 法人カードの名義は個人である
  • 個人事業主でも法人でも法人カードの名義は個人である
  • 実店舗利用時のサインもインターネットショッピング利用時のサインも個人である
  • 子カードの名義も個人である
  • 子カードの破棄も名義変更も手続きをしなければならない
  • 名義人以外のサインをするとカード決済ができない

まずは法人カードの名義は、法人ではなく個人であるという部分に注目です。

名義はカードの所有者を指しているのです。カードの所有者は、会社ではなく個人です。よって個人名が記されることになります。

名義に関しては個人事業主も法人も関係ありません。個人となるので、法人名が名義として記されることはありません。

カードを実店舗で利用したときも、インターネットショッピングで利用したときも、サインは個人となります。名義人の名前をサインすることでカードが利用できるようになるのです。

法人であれば、従業員にも法人カードをもたせたほうが効率的です。そこで子カードを発行するのですが、その名義人も従業員本人となります。法人が名義人になるわけではありません。

子カードを利用しなくなった場合には、カードの破棄が必要になります。カードの破棄をする前に必ずカード会社に連絡を入れてください。

名前が結婚などで変更された場合には、名義変更の手続が必須となります。手続きに関してはそれほど難しいものではありません。

法人カードを決済しようとする時に、名義人以外のサインをしたらどうなるかも述べました 。名義人以外の名前を記してしまうと、カード決済はできません。カードの所有者本人である確認が取れないからです。

様々な法人カードと名義の関わり合いを述べてきました。覚えておいてほしいのは、法人カードの名義は、「個人である」という部分です。法人自体が、名義人になることはありません。

クレジットカードは、個人の利用向けに作られたものであり、個人を対象に発行されたものだからです。

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