【節税】全額損金算入できる法人保険の選び方。全額損金法人保険のメリットデメリット・注意点を徹底解説

これまで、ほとんどの企業では、全額損金算入できる法人保険についてあまり認知度が高くありませんでした。

しかし、近年では、少しづつ、全額損金算入できる法人保険を購入する企業が増えています。

また、企業ではありませんが、財団法人などの非営利団体でも全額損金算入できる法人保険を採用する事例が増えてきています。

このように、多くの企業、非営利団体では、組織の危機管理の一環として全額損金算入できる法人保険に加入する動きが広がっています。

しかし、多くの事業者、企業にとって全額損金算入できる法人保険は理解できない、知らない部分があると思います。

実際、全額損金算入できる法人保険には、メリットやデメリット、注意点が存在します。

そのため、今回は『【節税】全額損金算入できる法人保険の選び方。全額損金法人保険のメリットデメリット・注意点を徹底解説』と言う記事のタイトルで

  • 全額損金法人保険の選び方
  • 全額損金法人保険のメリット
  • 全額損金法人保険のデメリット
  • 全額損金法人保険の注意点

などについて徹底的に解説します。

全額損金保険とは?「損金」扱いできる仕組みも解説!

全額損金保険とは、支払った保険料を全て損金として扱える法人保険のことを指します。

全額損金タイプの法人保険の中で人気が高いのが、全額損金定期保険で、『全額損金保険』はほとんどの場合、全額損金定期保険のことを指します。

全額損金定期保険は、生命保険に該当する保険で、期間限定の掛け捨て保険になります。

また、損金算入可能な保険でも、「全額損金算入可能な商品(全額損金保険)」と、「1/2が損金算入可能な商品(1/2損金保険」があります。

全額損金算入可能な保険商品と半分損金算入が可能な商品は、それぞれメリット、デメリットがありますが、最近のトレンドは全額損金算入可能な保険商品の方が非常に多く販売されているのが、現状です。

※ただ、保険会社によっては損金保険の中には以下の4種類があるので、注意が必要です。

  • 全額損金保険(支払った保険料が全額経費で認められるもの)
  • 1/2損金保険(支払った保険料の半分が経費で認められるもの)
  • 1/3損金保険(支払った保険料の1/3が経費で認められるもの)
  • 1/4損金保険(支払った保険料の1/4が経費で認められるもの)

また、全額損金保険と1/2損金保険では以下のように異なります。

保険タイプ保険種類損金算入
全額損金逓増定期保険
(全額損金)
全額損金定期保険
全額
1/2損金長期変準備定期保険
養老保険(福利厚生プラン)
1/2

全額損金保険が「損金」扱いできる仕組み

次に、全額損金保険が「損金」扱いできる仕組みについて解説します。

「損金」とは、そもそも税制上かかる税金を減らす効果がある費用のことを指します。

では、なぜ損金が税金を減らすのか、法人税の仕組みを説明していきます。

まず、法人税は、一般的に下記のように計算されます。

法人税 = 法人の所得 × 法人税率

つまり、

法人の所得 = 益金 – 損金

といった形で表されます。

法人税の計算は、所得に法人税率をかけた額となります。

このように、所得は、法人の益金から損金を引いた金額となるので、損金が多くなればなるほど所得が減り、法人税をおさえることに繋がるのです。

ところで、損金と聞くと、費用と同じようなものというイメージが強いかもしれませんが、確かに損金と費用はほぼ同じようなものですが、実際は、会計上と税法上で損金の認識が変わります。

損金の認識は法律の区分により異なるので、ややこしいと思われている方もいらっしゃるかもしれません。

これは会計上か税法上かによって下記のように計算されます。

  • 会計上: 利益 = 収益 – 費用
  • 税法上: 所得 = 益金 – 損金

会社経理(会計上)の中で費用としたもの全てが、税務上の損金と認められるわけではありません。

同様に、会社の会計上では収益とされていないものが、税務上では益金とみなされることもあるのです。

法人保険に契約するときに、保険会社から受けとる設計書に経理処理についての説明が記載されていますし、保険外交官からも全額損金であるとの説明があると思います。

しかし、一番重要なことは、税理士や税務署で否認される事なく、費用として損金算入できるかどうかになります

そこは必ず、確認すべきでしょう。

損金算入可能な保険でも、「全額損金算入可能な商品(全額損金保険)」と、「1/2が損金算入可能な商品(1/2損金保険」があるため、注意が必要です。

また、会社経理(会計上)の中で費用としたもの全てが、税務上の損金と認められるわけではないため、その点は心得ていた方が良いでしょう。

全額損金保険のシュミレーション

次に、全額損金保険のシュミレーションについて解説します。

<保険料を支払ったとき>

保険料を毎年200万円払うと、法人の場合、税金が約30%かかるので、だいたい60万円減ることが想定されます。

実質負担額は200万円-60万円=140万円になります。

これを10年間続けると、次のようになります。

計算式金額
保険料総額:200万円×10年=2,000万円
節税額合計:60万円×10年=600万円
実質負担額合計:140万円×10年=1,400万円

<保険金の解約したときの保険料総額>

上記の例で保険を解約する場合、保険料総額と同じ2,000万円が返ってくることになります。

<退職金の支払い>

退職金として2,000万円払うケースを想定しましょう。

返戻金2,000万円-退職金2,000万円で差引利益は0円なので、結果的に税金はかからないことになります。

このようなケースだと、1400万円の自己負担で2,000万円のリターンが得られ、返戻率約140%になります。

自己負担で2000万円のリターンが得る計算のことを「実質返戻率」と言います。

また、単純に保険料総額と返戻金の比率を計算したものを「単純返戻率」と言います。

今回の場合だと、2,000万円÷2,000万円=100%が単純返戻率になります。

同じ返戻率という単語でも、どちらの返戻率かで意味が大きく変わるので、注意が必要です。

全額損金保険のシュミレーションは

  • 保険料総額
  • 節税額合計
  • 実質負担額合計
  • 返戻率

に注意してシュミレーションを行いましょう。

全額損金保険の4つのメリット

全額損金保険の4つのメリットについて解説します。

①保障内容が手厚いため、もしもの場合に役に立つ可能性が高い

1つ目は保障内容が手厚いため、もしもの場合に役に立つ可能性が高い点が挙げられます。

全額損金定期保険はほとんどの保険に手厚い保障が付くので、節税対策としてだけでなく「事業保険」としても非常におすすめです。

通常の生命保険は死亡もしくは高度障害状態になった場合のみ、保険金を受け取ることが可能ですが、全額損金の場合はその一段階前の状態も保障の範囲内です。

日常生活に介助が必要な「生活障害状態」や、「三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)」に代表される重病を患い生活に弊害が生じている場合など、生活または心身に異常をきたしている状態が該当します。

ただし、保障の有効範囲は保険によって異なるので、必ず上記の状態で受け取れるとは限りられないため、注意が必要です。

②保険料を全額損金に計上されるため、法人税の課税額を削減できる

2つ目は、保険料を全額損金に計上されるため、法人税の課税額を削減できる点が挙げられます。

損金は、先ほど述べたように、法人税を計算する際に、所得から差し引く費用の事を指します。

法人税は所得に課税される税金なので、損金が高いほど所得が減り、課税額が少なくなります。

つまり、損金は「法人税を削減できる費用」であり、この金額が大きいほど課税される法人税も少なくなり、節税対策に繋がります。

法人で加入した全額損金定期保険は、支払った保険料全額が損金として計上されるので、法人税の課税額を大幅に削減できるというメリットが発生します。

③解約返戻金を担保代わりにして、借り入れることが出来る

解約返戻金の制度が設けられている保険は、解約返戻金の一部を借り入れできる「契約者貸付制度」の利用が可能です。

それまでに積み立てた解約返戻金は被保険者の費用ですが、満期保険金として支払われない限りは保険会社の所有となっているので、「借入」という形で受け取ることになります。

保険を解約する必要がないので、保障を受けながらまとまった資金を手元に置くことが可能です。

また、借入時に複雑な審査や手続きもなく、1週間程度で借り入れることが出来ます。

さらに、返済日が定められている一般ローンとは異なり、返済方法は任意なので自由に返済計画を立てられるメリットもあります。

しかし、あくまでも被保険者を保障するための制度なので、借入金額は解約返戻金の範囲内に留まり、この範囲を超過してしまうと保険が失効になってしまうため、注意が必要です。

④解約返戻金の返戻率のピークが長いので、調整が可能になる

4つ目は、解約返戻金の返戻率のピークが長いので、調整が可能になる点が挙げられます。

保険を解約すると、今まで支払ってきた保険料が「解約返戻金」として被保険者へ払い戻されます。

この払い戻された金額が、今まで支払った保険料の何%かを示す数値が「返戻率」です。

まとまった解約返戻金が欲しい場合、返戻率がピークの段階で解約されることが多いですが、受け取った返戻金は益金計上となり課税の対象とされてしまいます。

そのため、節税するにあたって益金を相殺するための赤字となる行事が必要です。

例えば、「退職金支払い」などが赤字計上に該当しますが、これは退職時期が延長してしまうとピークが過ぎてしまう恐れがあるため、注意が必要です。

全額損金保険の4つのメリットとして、

  1. 保障内容が手厚いため、もしもの場合に役に立つ可能性が高い
  2. 保険料を全額損金に計上されるため、法人税の課税額を削減できる
  3. 解約返戻金を担保代わりにして、借り入れることが出来る
  4. 解約返戻金の返戻率のピークが長いので、調整が可能になる

が挙げられます。

しかし、各々注意点があるため、その点は心得ておきましょう。

全額損金保険の3つのデメリット

 全額損金保険の3つのデメリットについて解説します。

①解約返戻率が他の種類の法人保険と比較して低い傾向がある

1点目に、解約返戻率が他の種類の法人保険と比較して低い傾向があるが挙げられます。

全額損金保険のように、保障が手厚いタイプや掛け捨て型の定期保険は、基本的に貯蓄性が低い傾向にあります。

ピーク期間の返戻率は性別や年齢に影響され、ある程度の年齢を重ねた段階で加入すると、最大返戻率でも50%程度と少なくなってしまいます。

さらに、返戻金ピークが長いということは、それだけ解約返戻金が高くなるまで時間がかかります。

契約した保険会社にもよりますが、返戻率がピークの時期になるまで15年ほどの長期間を要するケースもあります。

タイミングを見計らって解約すれば元は取れますが、事情があってすぐに解約してしまった場合などは、殆ど戻ってこないと考えておくことが賢明と言えます。

②保険料が他の種類の法人保険と比較して高い傾向になる

2点目に保険料が他の種類の法人保険と比較して高い傾向になるが挙げられます。

先述べたように、全額損金保険は通常の生命保険より保障が手厚いため、支払う保険料が比較的高い傾向があります。

課税を削減するため加入したにも関わらず、保険料が高いために支払えなくなった、というケースも少なくなりません。

しかし、保険料が高額ということはその分だけ損金に計上されるので、確かに節税効果の期待はできます。

元本割れなどのリスクを防ぐためにも、ご自身の会社の資金力に見合っている保険商品を選択しましょう。

ただ、保険会社にもよりますが、著しく保険料が高額な全額損金保険もあるため、その点は注意が必要です。

③構造上、資産の計上をすることができない

全額損金保険の保険料は、当然ですが資産計上することができません。

この事によるデメリットは受け取った保険金や解約金は受け取った金額から資産計上分を差し引いた残りが雑収入「益金」となり法人の利益となって課税対象となります。

そのために保険によって上がる利益を退職金などの損金を使って消さないと保険加入によるメリットがなくなってしまいます。

結論から言うと、 全額損金保険には、以下の2つのデメリット

  • 解約返戻率が他の種類の法人保険と比較して低い傾向がある
  • 保険料が他の種類の法人保険と比較して高い傾向になる
  • 構造上、資産の計上をすることができない

があります。

これらの点は保険会社によっても異なるので、注意が必要です。

全額損金法人保険の2つの注意点

最後に、全額損金法人保険の2つの注意点について解説します。

①全損だけが損金法人保険ではない

損金法人保険は先ほども述べたように、全額損金になるものから、全く損金にならないものまであります。

全額損金のものが最も節税に貢献しますが、だからといって、全額損金の保険が一番良いわけではありません。

節税だけを目的として損金法人保険を契約するなら、全額損金の保険は良いと思います。

しかし、全額損金の保険を解約すると解約返戻金が100%雑収入という益金になりますので、1/2損金の場合よりも多額の雑収入が発生することになります。

このように、状況に応じて、全額損金法人保険か1/2損金法人保険かを選ぶ必要があると言えます。

②常に出口戦略を考えておかなければいけない

損金法人保険はたしかに節税効果の高さから人気のある法人保険ですが、「解約返戻金をどのように使うのか?」という点を考えておかないと、単なる税金の繰り延べになってしまいます。

保険料を支払っているタイミングでは「損金」として算入することができますが、解約返戻金は受け取った瞬間から「益金」として算入されます。

そのため、解約返戻金を受け取るタイミングでその資金をどのように扱うかを考えておくことが、高い節税効果を得るためには重要です。

損金法人保険は常に出口戦略を考えておかなければいけない点には注意が必要です。

全額損金の法人保険は以下の2つの点に関してはあまり知られていません。そのため、注意が必要です。

  • 全損だけが損金法人保険ではない
  • 常に出口戦略を考えておかなければいけない

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回は、『【節税】全額損金算入できる法人保険の選び方。全額損金法人保険のメリットデメリット・注意点を徹底解説』という記事のタイトルで、主に、

  • 全額損金法人保険のメリット
  • 全額損金法人保険のデメリット
  • 全額損金法人保険の注意点

について解説しました。

しかし、上記でも述べたように、全額損金法人保険の保険料は保険会社によって異なります。

また、上記でも述べたように、全額損金法人保険にはメリットやデメリット、注意点が存在します。

そのため、全額損金法人保険に加入する際は、全額損金法人保険の保険会社を比較し、自社に合うかを検討してから加入することをおすすめします。

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