法人ETCカードを個人利用してしまった場合の対処法

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「法人ETCカードを個人利用(私的利用)しても平気なの?」

「法人ETCカードを個人利用してしまったときにはどのように対処したら良いの?」

「(社員に)法人ETCカードを個人利用させないためにはどうしたら良いの?」

法人カードを利用している個人事業主であるとか法人に関しては、追加カードである法人ETCカードを取得しているケースが多いと思います。法人ETCカードがあることで、ETCの利用料金についても経費処理が簡単できるようになります。

しかし誤って個人カードのETCカードではなく、法人カードのETCカードを利用してしまう、というケースも多く報告されているのです。そもそも社用車を個人利用することもあるわけです。

社用車を個人利用した時に有料道路を通過した時ですが、わざわざETCカードを差し替える、といったことをしない方も少なくありません。よって法人ETCカードを実際に私的利用しているケースは珍くはないわけです

こちらでは法人ETCカードを個人利用してしまうこと自体に問題はないのか?

個人利用してしまった時に何かしらの対処をしなければならないのか?

以上をテーマを中心にお伝えします。

法人ETCカードを個人利用してしまった経験がある方、これから法人ETCカードを導入しようと思っている方は必見です。

法人ETCカードの個人利用には違法性なし!その理由とは?

カードの利用はあくまで個人事業主や経営者の判断に委ねられるもの

以下の場合は税法上の本題が発生します。

「法人ETCカードを個人利用したのに経費として処理してしまう」

しかし「あくまで個人利用だけ」ということであれば特に違法性はありません。個人利用分を経費に計上しなければよいのです。

そもそも法人カードの利用については個人事業主本人や会社の経営者本人の判断に委ねられるわけです。個人事業主や経営者がOKといえば、個人利用をしても問題はありません。

たとえば個人事業主本人であれば、法人カードを個人利用しようがビジネス目的で利用しようが注意する人はいません。本人が判断することなのです。

会社経営者であったとしても同じことです。経理の社員には嫌な顔をされることになるかもしれませんが、法人カードを作った本人でもあるわけです。しかも会社のトップでもあるので、会社のお金を使い込んだ、いわゆる「横領」といったことも指摘されにくい状況でもあります。

クレジットカード会社や高速道路会社から個人利用を注意されないのか?

仮に法人ETCカードを個人利用したとしても、発行会社であるクレジットカード会社や高速道路会社から注意されることはありません。

そもそもクレジットカード会社や高速道路会社は、一つ一つのETC利用についてビジネス目的の利用であるか私的利用であるかは判断できません。私的利用ばかりしていたとしても、強制退会処分を受ける、といったことはないわけです。

ETCカードには様々な規約もありますが、個人利用について規制するようなことはありません。クレジットカード会社や高速道路会社は税務署ではありません。

確かに法人カードの利用については、基本的に経費で引き落とせるものが対象となっています。しかし経費で引き落とせないものが利用されたとしてもカード会社としては特に問題が発生することはありません。

税金については、個人事業主や法人と税務署が関係することなのです。間(あいだ)にカード会社が入って何かしらの手続きをすることもありません。だからこそ個人利用をしたとしても、クレジットカード会社や高速道路会社から注意を受けることはないのです。

道路管理会社もビジネス利用か個人利用かは判断できない

道路管理会社も「法人ETCカードの利用はビジネス目的に限る」と決まりを定めているわけではありません。

仮にそのようなルールを定めていたとしても、道路管理会社側は「ビジネス目的の利用なのか?」それとも「個人利用なのか?」といった部分の判断はできません。

ETCレーンはノンストップで通過できるものであり、係員が確かめることもできないわけです。

道路管理会社としても、法人目的の利用であろうと個人目的の利用であろうと関係はありません。税務署と関わりがあるわけでもないので、個人目的の利用やビジネス目的の利用について道路管理会社として調べることもないのです。

法人ETCカードを個人利用した時の適切な対処法とは?

上司または経理に報告をすること

法人カードですが、基本的に個人利用してはいけないもの、とされています。法人カードはビジネス目的のために作られたものであり、個人利用されてしまうと大きな問題が発生してしまうのです。

そもそも法人カードの支払いは会社が行うものです。仮に法人ETCカードを個人利用したのに会社が支払う、といったことになればおかしなことになってしまいます。

中には意識的に個人利用したのに会社に黙っている方も居ますが、発覚する可能性が高いので絶対にやめてください。正直に会社に個人利用してしまった旨を報告するのです。

個人利用してしまったと告げる相手ですが、直属の上司であるか経理に伝えてください。

会社に報告するときには、どれだけの額を個人利用したのかを明らかにしなければなりません。ただし一般のショッピングとは異なり、ETCレーンの利用だと領収書などを受け取らないケースが多いわけです。

本来であれば「カード利用控え」であるとか「領収書」を会社に提出して金額を明らかにするわけですが、それもできません。そこでメモなどでも良いので、いつにどこからどこまでの区間を個人利用したのかを記録しておいてください。

メモを提出しておくことで経理がどの請求金額が個人利用に該当するのかを確かめてくれます。

以下にオリコカードの利用明細書を掲載します。

例えば「7月18日の玉川・港北の区間を個人利用した」ということであれば、カード利用明細で200円であることがわかります。経理が経費から200円を差し引けば手続きはOKとなるわけです。

ETCの領収書、利用証明書を発行してもらう方法

有料道路利用中に法人ETCカードの個人利用に気づいた場合には、ETCの領収書や利用証明書を発行してもらうことも可能です。領収書や利用証明書があれば、個人利用額を明確化できるので経費の手続きも楽になります。

ETCの領収書や利用証明書を発行してもらいたいときには、有料道路から出る時にETCレーンではなく一般の料金所を利用してください。

有人の料金所を通りETCカードを渡して精算するのです。精算を行うとその場で領収書を発行してもらえます。

ただしあくまで有人の料金所があることが条件となっています。有料道路の出口については、スマートインターチェンジ(ETC専用の無人インターチェンジ)となっているケースも多くなっています。

無人のインターチェンジでは領収書や利用証明書は発行してもらえないので、どのような料金所でも対応してくれるわけではありません。

もう一つの方法があり、そちらについては家に帰ってからでも対処可能です。ETC利用照会サービスというものがあり、領収書や利用証明書を発行してもらえるのです。

ただしETC利用照会サービスを利用するためにはID登録が必須となっているのです。ETCカード番号などを登録してIDを設定することになります。

ETC利用照会サービスについては、過去15ヶ月分もの走行分の証明書の発行が可能です。逆に個人ETCカードを法人利用してしまった時にも利用できるサービスなので、覚えておいて損はありません。

※車載プリンターというものを利用するとETC利用後すぐに車内で利用証明書が発行できるようになります。ただし車載プリンターの導入はタクシーなどに限定されているのが現状です。

会社に対して個人利用額を支払う

個人利用したままにしてしまえば「業務上横領」になってしまいます。個人利用した金額については、会社に損害を与えてしまわないように支払いを行ってください。

金額を明らかにして会社側に確認してもらった上で支払いを行えば、経理上の問題は発生しません。悪質な個人利用というわけではないので、何かしらの大きな処分を会社側から受けることもないはずです。

注意してほしいのは、正確な金額を支払う、というものです。1円でもずれがあれば、会社として何度も確認しなければなりません。経理業務に大きな負担が発生してしまうのです。

個人利用分を経費から差し引く処理を行う

個人利用額が支払われたら、あとは会社側が適切に処理するだけです。社員や経営者から支払われた個人利用分の金額を経費から削除します。

例えば法人カードの月の利用額が15万円であった場合に5,000円分の個人利用が含まれていたのであれば、経費として計上するのは14万5,000円となります。

すでに計上していた場合には、経費から5,000円を削る処理をするわけです。

以上で法人ETCカードを個人利用した時の処理は終了します。

法人ETCカードを個人利用した時の適切な対処法まとめ

  • 上司または経理に対し個人利用した旨を告げる
  • 個人利用した金額を明らかにする(ETC利用の領収書や利用証明書を提出する)
  • 個人利用分を会社に対して支払う
  • 会社が個人利用分を経費から差し引く
  • 手続完了

法人ETCカードは個人利用するな!その理由とは?

「業務上横領」の罪を犯す事になってしまうかも!?

法人ETCかードを個人利用したからといってすぐに業務上横領になるわけではありません。そもそも業務上横領は「会社の金品を自分のものしてしまい、会社に損害を与える」ことを指しているのです。

個人利用したとしても会社に対してその旨を報告して支払いを行えば、業務上横領になることはありません。

問題は黙って繰り返し個人利用をし続けてしまうことです。悪質と判断されれば、当然業務上横領となってしまいます。

では仮に業務上横領と言われるような状況になってしまった場合の「量刑」はどうなっているのでしょうか?

  • 被害額が100万円以下のケース・・・執行猶予
  • 被害額が500万円程度のケース・・・2年の実刑
  • 被害額が1,000万円程度のケース・・・2年6カ月の実刑
  • 被害額は3,000万円程度のケース・・・3年の実刑

あくまで過去の判例なので、必ずしも上記のとおりになるわけではありません。しかし実刑になる可能性もある罪なので、軽い気持ちで個人利用をし続けるのは極めて危険なのです。

もちろん業務上横領と判断される場合は会社から「解雇」されてしまいます。罪になるだけではなくその他の問題も発生するので、個人利用したのであれば正直に会社に伝えましょう。

経理の処理が煩雑化してしまう

法人ETCカードを個人利用してしまえば、その金額を経費から差し引く処理が必須となります。本来であれば、法人カード利用分については一括して経費処理すべきものです。一括処理できなくなってしまうので、経理の処理がより複雑化してしまいます。

経営上、経理の仕事を増やすようなことは避けるべきです。

そもそも法人カードに法人利用と個人利用がごっちゃになっているような状況になってしまうと、現時点でどれだけの経費が発生しているのかも把握できなくなります。経営判断に問題が発生する可能性さえあるわけです。

融資が受けにくくなる可能性がある

個人利用は銀行などの金融機関から低評価を受ける原因になってしまいます。

経営者が法人ETCカードを個人利用したケースですが、すぐに会社に対し入金していれば問題ありません。しかし手持ちの資金がなく、会社から経営者がお金を借りているような状況になることも考えられるのです。

経営者が会社からお金を借りる場合ですが「役員貸付金」といった勘定科目で処理されます。金融機関が役員貸付金の勘定項科目を発見すると、「お金にだらしない経営者」と評価をされてしまうのです。

お金にだらしがない経営者の会社に対してお金を貸したいと思うでしょうか?そんなリスクのあることを銀行が行うわけがありません。

企業としての資金調達に大きなリスクを背負うことにもなるので、個人利用は控えるべきです。

税務署から目をつけられてしまう

経費の額があまりに大きすぎると税務署から調査が入ることになります。

税務署が「本来は経費に入れるべきものではないものが含まれているのではないか?」といった疑いの目で見てくるわけです。

それぞれの経費の裏付けを求められることになるわけですが、領収書などの書類を提出しなければなりません。提出できなければ経費として認められないような状況も考えられるわけです。

修正申告が遅れてしまえばその分大きな税金を支払わなければならないこともあり、税務署から疑われるような経費の計上は会社として控えるべきなのです。

ただし法人カードのETCカードを利用しているということもあり、基本的には仮に個人利用であったとしても経費として認められるはずです。税務にかかわるリスクはそれほど高いわけではありません。

税務上の問題というよりは、会社のお金の使い込み、といったリスクのほうが高いわけです。社員のひとりひとりの行動に気を配るようにして、法人ETCカードを不正利用されないように気をつけてください。

法人ETCカードの個人利用をやめさせる方法とは?

利用区間を決めてしまう

どの区間からどの区間までの利用以外で法人ETCカードは利用しないこと、と決めてしまうのです。前もって決めておけば、その区間以外の利用は「個人利用」という事になり社員の不正利用を防ぐことになります。

法人ETCカードは会社で管理する

社用車のETC車載器に法人ETCカードを入れっぱなしにしないでください。カードは会社で管理して、利用するときだけ社員に渡すようにするのです。

申告制となれば、不正な個人利用を防ぐことにも繋がります。

法人ETCカードの発行枚数を制限する

法人ETCカードに関しては無制限に発行できるものもあります。社員分発行してしまう会社もあるのですが、社員の全てに法人ETCカードを提供する必要はありません。

たとえば営業などで社用車を使う機会が多い社員にだけ発行するわけです。法人ETCカードを使う人数を減らせば、それだけリスクも下がることになります。

まとめ

法人ETCカードを個人利用してしまった時の対処方法についてお伝えしました。

最初にしなければならないのが、会社に対して個人利用した旨を伝えることです。黙っていては会社としても個人利用を把握できません。会社が代わりに支払ってしまうような状況になってしまうのです。

個人利用をした金額についても明らかにして、その上で会社に対して利用分の金額を支払いましょう。あとは会社として経費から個人利用分を差し引く処理をしてくれるはずです。

ちなみに法人ETCカードの個人利用については違法性はありません。「適切に対処すれば」といった条件はついてきますが個人利用しただけでは、何らかの処分を受けることもありません。カード会社の規約に触れることもないのです。

適切な処理をしなければ「業務上横領」の罪に問われる可能性もあります。会社に損害を与えたと判断されてしまい、解雇されるだけではなく何らかの処罰を受ける可能性も少なからずあるわけです。

会社としては社員に個人利用をさせないための対策も必要になってきます。

  • 利用区間をあらかじめ設定しておく
  • カードは基本的に会社で管理(保管)する(社員にずっと携帯させない)
  • カードの発行枚数を制限する

すべての対策をしたからといって、不正な個人利用を完全に防げるわけではありません。しかし会社としてリスクを少しでも引き下げることが大切なのです。

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