M&Aとは?どこよりもわかりやすM&Aの意味・メリットデメリット・手法・手順を解説します。

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多くの経営者はM&Aとは、どんなものなのかやメリット・デメリット、そして、その手法や手順について詳しく知らないのではないでしょうか。

そのため、今回は『M&Aとは?どこよりもわかりやすM&Aの意味・メリットデメリット・手法・手順を解説します。』という記事のタイトルで

  • M&Aの意味
  • M&Aのメリット
  • M&Aのデメリット
  • M&Aの手法
  • M&Aの手順

などについて解説します。

M&Aとは?M&Aの意味をわかりやすく解説!

M&Aとは?

まずは、M&Aについて解説します。

M&A(エムアンドエー)とはMergers(合併)and Acquisitions(買収)の略です。

M&Aの意味は、企業の合併買収のことで、2つ以上の会社が一つになったり(合併)、ある会社が他の会社を買ったりすること(買収)を指します。

合併と買収についてそれぞれ解説します。

M&Aの合併(Mergers)とは2つの企業が一つの企業に統合される法的な契約手続きで、この合併で複数の企業が一社に合体した場合、その一社を残して他の会社は消滅します。

この合併によるM&Aの手法は2種類ありM&Aで合併し買われる会社は名前も全て消滅する形になります。

一方、買収(Acquisitions)とは、一つの株式会社の経営権を買い取ったり、株式会社の一部の事業を買い取ることを買収(Acquisitions)と言います。

M&Aによる買収は買い手となる会社が対象会社の株式の過半数を買い取ることでその会社そのものの経営権を取得できます。

余談になりますが、M&Aという言葉が定着し始めたのは2000年代以降です。

実際、2000年以降敵対的買収が頻繁に行われるようになり、2007年の会社法改正により三角合併が解禁され、外国企業による日本の企業の買収が容易になり、多くの上場企業において敵対的買収に対する防衛策が導入されるということもありました。

例えば、M&Aという言葉を聞くと、ライブドアによるニッポン放送株、楽天によるTBS株、村上ファンドによる阪神電気鉄道株の大量買付け等を思い出す方が多いと思います。

M&Aは一方的に会社を乗っ取るものである、あるいは一部の者のマネーゲームであると誤解されている方も多いのではないでしょうか。

しかし、日本で行われているM&Aの7割は、中小企業同士のM&Aであると言われています。

また、中小企業同士のM&Aでは、そのほぼ全てが、両当事者の合意によって行わる友好的M&Aと言われています。

あまり知られてはいませんが、米国では、他人に譲渡する価値のある事業を育て上げ、これを譲渡することができるというのは賞賛に値することであると考えられているため、M&A後には両社に褒め言葉が送られることが日常茶飯事だそうです。

M&Aとアライアンスの違い

次に、M&Aとアライアンスの違いついて解説します。

アライアンスは大きく分けると、事業提携と資本提携に分かれます。

これらは、M&Aには含まれないため、注意が必要です。

以下が、事業提携と資本提携の定義になります。

  • 事業提携:一般的に事業提携というと、「資本関係」まで踏み込まない提携関係を指すことが多いです。
  • 資本提携:事業面での協力関係だけでなく、お互い出資関係にあるものは「資本提携」と呼ばれます。資本提携は、出資関係があることから、単純な業務提携よりも「強い協力関係」を作ることが可能です。

以下が、アライアンスとM&Aのメリット、デメリットの比較になります。

アライアンス M&A
メリット
  • 各社の独立性を保ちながら協力できる(解消も容易)
  • 開発・販売リスクが分散できる。
  • 利益はまるまる自社が独占
  • 解消は容易ではないため、技術やノウハウが流するする恐れは少ない。
デメリット
  • 提携解消時には、技術やノウハウが流出するおそれ
  • 利益は1社独占ではなく、シェアされる。
  • 文化の摩擦が起きる可能性
  • 合併後の開発・販売リスクは分散されない

M&Aは合併(Mergers)と買収(Acquisitions)の略で、2つ以上の会社が一つになったり(合併)、ある会社が他の会社を買ったりすること(買収)を指します。

また、多くの人が勘違いをしていますが、M&Aとアライアンスは全く違うものなので、注意が必要です。

M&Aの5つのメリット

次に、M&Aの5つのメリットについて解説します。

①M&Aによって、有形、無形の資産を獲得できる

M&Aによって、、ブランド、顧客、商圏、価値ある不動産・動産、人材等の獲得ができる場合があります。

会社経営では、新規顧客の獲得や、商圏の拡大、製品のブランド化を実現するのは容易なことではありません。

また、人材の育成やスキルアップにも時間と労力がかかるのが事実です。

この点、M&Aによって、被買収企業の有形固定資産・無形固定資産を獲得でき、短期間かつスムーズな企業成長を実現できる点は魅力的と言えるでしょう。

②会社の廃業に関するコストがかからない

当たり前ですが、会社を廃業するには、思った以上にコストがかかります。

例えば、設備や在庫の処分費、店舗物件の原状回復費などだ。また、廃業に関する手続きや税務の専門家への報酬、従業員の解雇に伴う補償に加えて、経営者自身の生活も考えなくてはなりません。

特に、中小企業の場合、廃業後も引き続き、経営者が債務の返済に追われることもあります。

そのため、廃業にかかる費用と、事業譲渡によって得られる代金からM&Aの仲介手数料を差し引いた金額を比べて、M&Aの方が手元に残るものが多いのであれば、M&Aという選択肢を選ぶべきと言えます。

③会社の従業員の雇用を守ることができる

経営者が病気になったり、資金繰りが難しかったり、人材不足で事業にコストや労力がかかってしまったりして、会社を解散する以外、どうにもできない状況に陥ってしまうケースもあります。

しかし、会社を解散してしまうと、従業員は仕事を失ってしまいます。

実際、M&Aを実施すれば、大手企業や優良な企業に経営を任せられるため、雇用の維持が可能になります。

経営者の従業員の雇用を確保するという使命を果たすために、M&Aを実施する企業は増えています。

④借入金の個人保証から逃れることができ、且つ創業者利益を得られる場合がある

まず、中小企業が廃業する際に大きな問題となるのが借入金の個人保証です。

中小企業の多くは、増資や出資ではなく金融機関からの融資に頼っています。

こうした場合、経営者が個人保証していることが多く、廃業しても借入金の返済に追われるため、経営者自身の生活のみならず、後継者にも多大な負担をかける可能性があるのです。

その点、会社売却によって債務も含めて譲渡をすれば、こうした問題から解放されます。

また、会社を売却して現金化することで、創業者は利益を得られることができます。

⑤会社を今まで以上に成長させられる可能性がある

M&Aで会社を買収したいという買い手企業の多くは、事業拡大意欲があり、財務的な基盤も強い企業です。

上記でも述べたように、廃業するよりも従業員の雇用を守ることができ、取引先との関係も維持できます。

自社にはない技術力や資本を持つ企業からの支援を得ることで、会社の新たな未来が描けるかもしれません。

また、会社売却ではなく、一部の事業だけを売却する「事業売却」を選択し、不採算事業や非コア部門を売却することで、事業の選択と集中を進めるという選択肢も考えられます。

M&Aのメリットは複数挙げられますが、まとめると以下の5つに集約されると考えて良いでしょう。

  • M&Aによって、有形、無形の資産を獲得できる
  • 会社の廃業に関するコストがかからない
  • 会社の従業員の雇用を守ることができる
  • 入金の個人保証から逃れることができ、且つ創業者利益を得られる場合がある
  • 会社を今まで以上に成長させられる可能性がある

M&Aの2つのデメリット

以下が、M&Aの代表的なデメリットになります。

①想定していた価格で売れない場合がある

M&Aでは"将来的に価値が見込める企業かどうか"が重視されます。

そのため、現在は業績好調な優良企業であっても、将来の頭打ちが予想できる場合は、思うような価格で売れないこともあり得ます。

加えて、M&Aは売り手・買い手ともにタイミングが重要なので、売り時を逃してしまうと売却できない、思った価格で売れないということになりかねません。

②契約の打ち切りや取引先から反発に合う可能性がある

意外と知られていませんが、企業統合や事業売却によって契約条件が変更されたり、担当者が変わったりした場合、長年築き上げてきた取引先の反発を招くことがあります。

そのため、契約を打ち切られたり、関係が悪化したりすることがないよう、M&Aが決まったら経営者がきちんと取引先に対し、引継ぎに関する説明などを行う必要があります。

上記でも述べたように、

  • 想定していた価格で売れない場合がある
  • 契約の打ち切りや取引先から反発に合う可能性がある

といったデメリットがM&Aにはあります。

また、それら以外にも挙げると

  • 簿外債務を事前に除去する方法が確立されていない。
  • 買収企業と被買収企業の風土を融合するのに時間がかかる。
  • 短時間でM&Aが行われた場合には、労務関係のすりあわせが充分でないケースも生じてしまう。
  • 被買収会社の従業員にとっては、突然、他社の人が社長に就任することになるので、ストレスフルな環境になる恐れがある。
  • 買収会社の労働条件に合わせることになるケースが多くある。

という形になります。

M&Aで使用される代表的な3つの手法

M&Aで使用されるのは以下の代表的な3つの手法になります。

  • 株式譲渡
  • TOB:テイク・オーバー・ビット
  • MBO:マネジメント・バイアウト

それぞれについて解説します。

①株式譲渡

まずは、株式譲渡について解説します。

中小企業のM&Aで利用されるのは、ほとんどの場合が株式譲渡か事業譲渡ですが、中でも最も簡易的なのが株式譲渡です。

株式譲渡では、個人や法人が保有する株式を売買して、株主を変更します。株主が法人となった場合、売り渡された会社は子会社化され、事業をそのまま継続することが可能です。

株式の譲渡は会社組織そのものが改変されるわけではないため、法務局への登記変更や役所への手続きは必要ありません。

株式譲渡のメリットは、従業員や取引先に関しても、大きな影響を与えず現状を引き継げる点です。

一方のデメリットとしては、簿外債務も取得することになるため、リスクを引き受けないためには事前に十分な調査を実施しなければなりません。

②TOB(テイク・オーバー・ビット)

次に、TOB(テイク・オーバー・ビット)について解説します。

TOB(テイク・オーバー・ビット)とは、株式公開買付と呼ばれます。

世界中で用いられている手法で、M&Aの対象となる企業の株式の取得について、広く不特定多数の株主に公告します。

金融商品取引所を通さずに取引されるため、市場価格に上乗せされた株価で買い付けられます。

日本のTOBは、一般的なTOBと異なる側面があります。

通常のTOBは、敵対的M&Aや敵対的買収と呼ばれます。その理由は、買収の対象とされる企業の経営陣の承諾を得ずに実施されるためです。

対象企業の資産を獲得後に企業価値を高め、売却して利益を得るのを目的としています。

これに対し日本国内のTOBの多くは友好的M&Aと呼ばれるタイプで、買収の対象となる企業の経営陣との話し合いにより、双方が納得した上で実施されます。

③MBO(マネジメント・バイアウト)

最後にMBO(マネジメント・バイアウト)について解説します。

MBO(マネジメント・バイアウト)は経営陣やオーナー、または従業員が自社の株式を買い取り、オーナー経営者として独立する手法です。

そのメリットは、株主や投資家の意向に左右されない、自由で柔軟性のある経営ができるほか、意思決定のスピード化が図れるようになる点です。

MBOは主に経営体制、企業運営の見直しの対応策として実施されます。また、株式を公開しているメリットが低下したことにより、MBOに踏み切って株式を非上場にする企業も見られます。

M&Aで使用される手法は多く存在しますが、代表的な手法は以下の3つの手法になります。

  • 株式譲渡
  • TOB(テイク・オーバー・ビット)
  • MBO(マネジメント・バイアウト)

これらは多くの人はなかなか理解しているとは言い難いので、この機会に確実に覚えておくことをおすすめします。

M&Aにおける全手順

最後に、M&Aにおける全手順について解説します。

M&Aは手順は産業や各会社ごとに異なりますが、より細かく分けると、以下の13のステップに分かれます。

※もちろん、各ステップを踏まないM&Aのケースもあります

<M&Aにおける13のステップ>

  1. 売り手側企業と買い手側企業によるトップの個別相談、情報交換
  2. M&AアドバイザーやM&Aに関する財務系事務所などとの顧問契約(売り手側企業)
  3. M&Aに関する提案資料の作成、送付
  4. ネームクリアに関する確認の実行(ネームクリアとは、ノンネームで打診した譲渡対象となる企業名を買い手候補企業に開示することを指します)
  5. M&AアドバイザーやM&Aに関する財務系事務所などとの顧問契約(買い手側企業)
  6. ノンネームシートでの提案の実行
  7. 買い手側企業による検討の実行
  8. 売り手側企業と買い手側企業によるトップ面談の実施(買収金額など詳細情報の提示)
  9. 意向表明書の提示(意向表明書とは、企業売買において、買い手候補が売り手の経営陣や株主に対して出す書面のことを指します。)
  10. 基本合意契約書の締結(基本合意契約書とはM&A契約に先だって結ぶ合意書で、秘密保持義務や独占的交渉権、交渉により達成された部分的な合意内容など、契約交渉に関するものが盛り込まれている書類のことを指します。)
  11. デューデリジェンスの実施(デューデリジェンスはM&Aを行うにあたって、投資対象となる企業や投資先の価値やリスクなどを調査することを指し、デューデリジェンスの内容は組織や財務活動の調査、財務内容などからリスクを把握する調査、定款や登記事項などの法的なものをチェックする調査が含まれます。)
  12. 最終譲渡契約書の締結( 最終契約書とは、M&Aの最終的な契約書のことであり、最終的に、当事者が合意した条件を盛り込む契約書のことを指します。)
  13. M&A契約の締結
上記でも述べたように、これらのステップを踏まない契約もありますし、場合によっては書類の提出を義務付けられない契約もあるため、注意が必要です。

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は『M&Aとは?どこよりもわかりやすM&Aの意味・メリットデメリット・手法・手順を解説します。』というテーマで、

  • M&Aの意味
  • M&Aのメリット
  • M&Aのデメリット
  • M&Aの手法
  • M&Aの手順

などについて解説しました。

上記でも述べたように、M&Aの必要性は会社それぞれで検討しなければならないですし、M&A前後には、非常に労力をかけて準備しなければいけません。

そのため、M&Aを実行する際は、

  • M&Aの意味
  • M&Aのメリット
  • M&Aのデメリット
  • M&Aの手法
  • M&Aの手順

などを再度、検討しながらM&Aを実行することをおすすめします。

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