企業が誹謗中傷から身を守るためのWebマーケティング

Webサイトを運営する上でSEOは必須です。企業によっては、コンテンツそのもの以上にSEO対策にリソースを割いているケースもあるでしょう。それだけGoogleの検索結果には影響力があるということです。
ただし、SEOというのは、必ずしも「検索結果を上位にすること」だけを指すわけではありません。「自社にとって不都合な検索結果を出させない」という意識も、常に頭の片隅においておくようにしましょう。
正当な批判はともかく、風評被害や誹謗中傷から身を守ることは、れっきとしたブランディングの一種です。特にWebは拡散が早くいつまでも残ってしまうメディアですので、不当な悪評には毅然とした対策をとることが求められます。

情報削除のハードルは高い

雑誌や書籍に書かれた誹謗中傷であれば、名誉毀損で法廷闘争に持ち込むというわかりやすい対策がありますし、勝訴すれば謝罪を掲載させることもできます。損害賠償をもらえることだってあるでしょう。
ところがWeb上の誹謗中傷の場合はそう簡単にはいきません。匿名掲示板に書き込まれた悪評は無責任に拡散されていきます。SNSを通じて尾ひれがつくと、もはや収拾は不可能です。
匿名掲示板に対して削除依頼を出すことはできますが、実際に削除が認められるケースはごく一部です。また、削除依頼を出した場合にはその依頼内容まで公表されてしまうため、かえって被害が拡大してしまうというリスクもあります。
こんなときは、まず自社サイトやSNSで速やかに「事実ではない」旨のコメントを出し、その上で対策をとるようにしましょう。

Googleに検索結果の削除をリクエストする方法

最も手軽にできる対策が、検索結果の削除をGoogleに求めることです。
かつてGoogleは、検索結果の削除を頑なに拒否していましたが、2014年5月、EU司法裁判所は「忘れられる権利」を認める判決を出しました。これによって、個人情報の保護等正当な理由がある場合は削除しなければならなくなったのです。
方法はいたって簡単です。「法的な削除リクエスト」(https://support.google.com/legal/answer/3110420?rd=1)のページにアクセスして、指示どおりに手続きを踏むだけです。
リクエストが100%認められるわけではありませんが、コストも手間もかからない方法ですから、まず試してみる価値はあるでしょう。

逆SEO対策で不都合な情報を隠す

検索結果の削除が拒否されてしまった場合には、逆SEO対策をするという手段が残っています。消すことができないならば、せめて隠せばよいのです。
「逆SEO」と聞くと悪いイメージをもっている人もいるかもしれませんが、逆SEOにも2種類あります。
1つは、競合他社を蹴落とすためのネガティブキャンペーン的なもの。ライバルの悪評を拡散することで自社のイメージを相対的に良くしようという手法です。イメージが悪いのは、こちらの印象が強いためでしょう。
そしてもう1つが、風評被害や誹謗中傷から身を守るためのもの。不都合な情報が検索上位に表示されないようにします。こちらの逆SEOであれば、必要なときにはどんどん実施していくべきです。
Web上の悪評は、それが真実であれ嘘であれ、一度広まってしまうと収拾がつかなくなるものです。そして悪い印象がついてしまうと、それを払拭することも容易ではありません。テレビ視聴時間よりもインターネット利用時間の方が長くなった今の時代だからこそ、無視するのではなくきっちりと対応すべきなのです。

逆SEOの今後

ただし、逆SEOが今後いつまで有効性を持つのかは微妙なところです。Googleはたびたび検索アルゴリズムを変更していますが、その基本理念は「コンテンツ・イズ・キング」です。コンテンツの質が悪ければ、どれだけ被リンクが多くても加点はされない方向に動いています。今後ますますこの傾向は顕著になるでしょう。
ポジティブに考えれば、風評被害や誹謗中傷が上位に表示されにくくなるとも言えますが、ネガティブに考えると、一度上位に表示されてしまうとその順位を下げることが難しくなるということでもあります。
いずれにせよ、Googleの対応を見逃さないようにしておく必要があるでしょう。

まとめ

スマートフォンが普及しSNSも隆盛を極めている今の時代、インターネットと無縁のまま暮らしている人はかなり少なくなっています。「セールスポイントをしっかりと発信していけば誹謗中傷は無視しても大丈夫だ」という牧歌的な考え方はもう通用しないということです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です