ＲＴＬＳと位置情報

セミナー概要

　ＲＴＬＳは、電波や超音波などにより、室内における人やモノの位置を測る技術である。従来のＩＣタグでは、数センチから数メートルの通信範囲内にタグがあるか否かしかわからなかったのに対して、ＲＴＬＳを利用することにより、タグの位置が数センチから数メートルの精度でリアルタイムにわかるようになる。　この結果、例えばＩＣタグによる在庫管理では、倉庫内に物品があるか否かを判別することが目的になっていたが、ＲＴＬＳを用いることで、倉庫内のどこに物品があるかもわかることになる。特にＲＴＬＳと既存バーコードとを組み合わせることで、ＩＣタグと比較して高度な在庫管理システムが低コストで実現できることから、大手スーパーを中心に実験・導入が始まっており、物流・在庫管理に従事する者にとってＲＴＬＳは必須の知識となっている。　また、携帯電話による緊急通信（Ｅ９１１）の位置特定が緊急の課題になっているが、ＧＰＳが主に野外を対象にしているのに対して、ＲＴＬＳは室内における位置特定手法として有望視されている。この他、児童見守りシステムなどの名称で、学校内などにおける児童の位置特定の実現技術として運用が始まっており、安全かつ安心な社会を実現する上でＲＴＬＳは必要不可欠となる。　本講演では、ＲＴＬＳ技術を利用する立場からＲＴＬＳの基本原理を平易に解説する。ＲＴＬＳの実現方法は多数あるが、ここ１、２年は無線ＬＡＮによる高精度かつ低価格ＲＴＬＳが急速に発展し、ＲＴＬＳの主要実現技術として有望視されていることから、無線ＬＡＮによる測位手法については動作原理だけでなく、運用ノウハウについても説明する。また、ＲＴＬＳを利用するために情報システムが必要となるが、ＲＴＬＳを想定した基盤・アプリケーションソフトウェアについても概説する。　次にＲＴＬＳの応用事例を多数紹介していく。そして、ＲＦＩＤ及びＲＴＬＳのＩＳＯ規格委員という立場から、ＲＴＬＳの標準化動向と将来の技術動向を紹介していく。なお、ＲＴＬＳに特化した講演は、国内では初めてとなる。

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