人には何事も向き不向きがあるものですが、仕事は必ずしも自分で選べるわけではありません。企業で働いていれば、向いていない部署に配属されることも珍しくないでしょう。
とりわけ多い悩みは、「営業向きではないのに営業職に就いてしまった」というケースです。営業マンは自分自身の言葉が最大の武器ですから、口下手な人や人見知りしやすい人にとっては地獄のような環境に思えることもあるかもしれません。
そこで今回は、口下手・説明下手の人が営業マンとして活躍するための心得やコツを4つご紹介します。
1.話し上手な人の真似をしようとしない
口下手な営業マンは、ついつい社交性が高く優秀な営業マンの真似をしてしまいがちです。しかし、これが良い結果に結びつくことはあまりありません。
営業トークは一種のパフォーマンスです。最も重要な部分はたしかに言葉ですが、相手は言葉だけを受け取っているわけではないのです。その言葉を発しているときの表情であったり、身振りであったり、さらには人柄といった部分までもが同時に伝わります。
ですから、まったく違う人格であるにもかかわらず表面だけを真似しても、かえって嘘くさく見えてしまって信頼を得ることができないのです。
口下手には口下手なりの営業があります。あなたが本当に参考にすべきなのは、むしろ口下手な先輩営業マンです。
2.ゴールを意識して話をする
自分のことを「口下手だ」と考えている人は、どうしてそう思うようになったのでしょうか? おそらく、「同僚と一緒にいても雑談が続かない」とか「異性と話していても間がもたない」とか、そういった理由を挙げる人が多いのではないかと思います。
しかし実はそれらは、営業マンとしてのスキルとはまったく無関係です。なぜなら、日常会話と営業トークはまったく意味の異なる行為だからです。日常会話はあくまでも会話そのものを楽しむ行為であり、明確なゴールがあるわけではありません。
一方、営業トークには「契約」や「購入」という明確なゴールが設定されています。ゴールに向かおうという意識を常に持っていれば、たとえ途中で会話が途切れてしまったとしても困ることはありません。ゴールまでの道筋を描きながら、伝えなければいけないことを段階的にしっかりと伝えていけば、説明不足になることもないでしょう。
事実、有能な営業マンであるにもかかわらず日常生活では口下手だという人は少なくありません。
3.話せないなら聞き上手になる
営業トークというと、どうしても立て板に水のごとく雄弁に語るようなイメージを抱きがちです。しかし営業はあくまでも相手があってのこと。こちらの主張をやみくもに伝えるだけでは成果は上がりません。
営業の原則は、先方の疑問点やニーズをしっかりと汲み取った上で提案をすることです。話し上手な人も、ただ話をしているわけではなく、雑談をまじえて信頼関係を築いた上で商品やサービスのアピールをしているのです。だから相手も受け入れてくれるわけです。
ですから、口下手な人は聞き上手になりましょう。人は誰しも、自分の話に真摯に耳を傾けてくれる相手に好感を抱くものです。逆に、適当に相槌を打っているだけの相手には不信感が芽生えます。不器用なりに一生懸命話を聞いていれば、その誠意は必ず伝わります。
信頼感を得るということは、相手を味方にしてしまうということ。口下手な人が営業を有利に進めるためには、味方を増やすことが大切です。
4.口下手のままでもいいという考え方
そもそも、口下手な人は本当に営業マンに向いていないのでしょうか? 営業成績を上げるためには、まずその思い込みを捨てましょう。
口が達者な営業マンよりも口下手な営業マンの方が歓迎される場面が、実は世の中にはあります。たとえば、精密機械や医療機器のような信頼性が重視される商品を売り込む場合です。こうした商品は口が上手すぎると軽薄な印象になりやすく、口下手であるにもかかわらず一生懸命に伝えようという姿勢がかえって相手に好感を与えるそうです。
ですから、口下手なことは必ずしも問題ではありません。オドオドしていたり不安そうにしていたりさえしなければ、口下手でも説明下手でも営業マンとして活躍することは充分に可能です。
まとめ
話し上手な人の方が営業マンに向いているのは事実ですが、だからといって口下手が向いていないということではありません。ここまで見てきたように、口下手な人でもそれを逆に武器に変えることが可能です。
口下手な営業マンは、小手先の技術に頼るのではなく、できることから少しずつ着実にやっていくことが大事です。
- 話し上手な人の真似をしない
- ゴールを意識しながら話をする
- 聞き上手になる
- 口下手であることを活かす(ただしオドオドはしない)
この4点を心がけていれば、必ずや光は見えてくることでしょう。そうして成功体験を重ねていけば、それがさらなる自信になるはずです。まずは「口下手だから駄目なのだ」という言い訳を捨てましょう。
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