「マーケティング」はビジネス存続の基本です
売上アップのための力を備えていることを誰もが認識しているはずなのに、いざとなると優先順位が最低ランクに扱われるのが「マーケティング」であったりします。
ビジネスが存続していくためのあらゆる要素を内包するマーケティングは、会社繁栄のためには必須のものであり、ビジネスの基本となります。
優秀なマーケターなくして成功はありえず、したがってどんな会社でもこれをおろそかにすることはできません。
ただ残念なことに、優秀なマーケターはどこにでも転がっているわけではなく、マーケティングを実践しているなかにも残念なマーケターの方々は数多くいるのが現実です。しかし、だからといって悲観することはありません。どんなことでもそうですが、生まれついての才能を持つ人よりも、育成により優秀な力を発揮する人の方が世の中には多くいるのです。
マーケターも然り。
ここではいかにしてマーケティングの才を育てていくか、そのために踏むステップをご紹介して、「マーケティング」で成果をあげるための方法論を示していきたいと思います。
マーケティングを成功させる「9つのステップ」とは?
消費者や企業が抱えるあらゆる問題や懸念、考えつかなかったことに対処・解決出来る能力があることを示したり、他社には思いつかないような方法で、懸案の目的を達成したり機会を得るようにすること、といった一連の行動が「マーケティング」といえます。
それを行うことで、見込み客を特定し、初回購入者に格上げ、さらにはリピーター化、様々な関係強化を通じて双方の利益拡大を図ることを目的とします。
正しく行えば、不動産や株などに投機するよりも大きな見返りを得ることが出来るものですが、そのためには踏むべきステップがあります。
自分が「何を達成したいのか(目標)」「なぜそれを達成したいのか」を掲げ、そのためにはどのように効果が高く確かな方法をとっていくか、を見つける、そしてその方法に基づき行動していく。
これらを総じて「戦略的マーケティング」と呼びますが、これらを成功させるために行う、「9つのステップ」があります。
ステップ1:市場の信頼を勝ち取る
商品やサービスはコモディティー化し、広告も似たような内容の陳腐なものばかりという状況下、まず行うべきことは、そんななかで市場の信頼を勝ち取る行動をとることに尽きます。
見込み客に対して、抱えている問題解決をしニーズを満足させることができるということを示せれば、そこから大きな信頼につなげることができます。定量分析などの市場調査テクニックを駆使して、「今お客様は何に対して困っているか」「どんなものを欲しているか」について、常に「関心」という名のレーダーを張り巡らしてキャッチします。
常に関心をもって問題解決しニーズを満たして差し上げますよ、というある種のメッセージに対して、「この人(会社)なら判ってもらえる」「どうにかしてくれる」という「共感」がうまれて、より高次元の関係をお客様と築くことが出来るようになります。
ステップ2:キャラをつくる
市場で信頼を勝ち取っている経営者の多くは、その「キャラクター」においても認知度を得ています。
多くの見込み客や顧客が経営者の「キャラクター」から親近感、人物像への共感などを感じ、そこから事業やサービスに対する興味につながっています。それはすなわち、会社を知らしめ、勝ち取った市場の信頼をより強固にするための補完財としての役割も果たしているわけです。
しかしながら、世の会社の多くはこの行動に出ていない場合が多く、事業やサービス、どのような会社でどんな信条をもって事業を行っているか、その事業がどのような価値があるのか、などを周知する機会をみすみす逃しているといわざるを得ません。
これは何も「善人」だったり「徳の高い人物である」といった「偽りの人物像」をわざわざ用意するというのではなく、たとえ欠点があっても、見込み客や顧客が関心をもってくれるようなありのままの姿をうまく表現していくということです。
海外においても、ヴァージングループ総帥のリチャード・ブランソン氏のような変人扱いされるほどの「個性の強い」人物や、アップルコンピュータ創業者の故スティーブ・ショブス氏のように社会不適合を押されたような人物まで、様々な経営者が自らのキャラを前面に押し立ててきた事例があります。
ステップ3:ビジョンを示す
「30分以内に届かない場合は値引きいたします」(ドミノピザ)
「音楽を気軽に街中で楽しむことを提案し、ポータブルオーディオプレイヤーの黎明を築く」(ソニー・ウォークマン)
これらは、各社がその市場に対して自社のビジョン(信条)を打ち立て、明らかにしてきた例です。どれも当時としては画期的な商品・サービスであり、その後の市場において一定以上の影響力を保持し続けます。
市場にではなく自分の企業に関するビジョンを打ち立てる会社が多い中、顧客に対していかにベネフィット、利点や相互に利益を得られるという信条を示すことができるか、経営者の力がそこで試されているわけです。
ステップ4:「自分の物語」をつくる
その市場に今いる意味、自分がどのような夢や期待をもちこれからどうしていきたいか、これまでどのような失敗をして、どのように対処してきたか。これまでどのようなことをなし得てきたのか、これからやることにどれだけ努力しているのか。
事業を興してこれまで、どのような経営者であってもこのような「物語」が存在しています。これらを正直に示すことができれば、ステップ2のキャラクターとつながりますが、興味や関心を呼び、市場内での「差別化」につながっていきます。
前述のスティーブ・ショブス氏のアップルコンピュータの創業物語や、日本でも経営の神様と呼ばれた松下幸之助氏について、万人に知られているような数多くの物語が存在しています。
これを示すことなく、コモディティー化に陥っている企業がどれだけ多いことか。
ステップ5:断固たる見解をもつ
多くの成功した経営者は「断固たる見解」を持っていて、市場内にはびこっている低水準・粗悪なサービスや商品、消費者に誤解を与えるような低レベルな広告、企業倫理などに対して批判し、自らが「改革者」としてこれを打破することを主張しています。
現状の悪い点はどこか、どこを改善すればよくなるのか、顧客は興味をもって「改革者」の言動に注目し、場合によっては賛同と賞賛を与えます。
戦闘的態度を必ずしもとる必要はありませんが、顧客の利益を保護するという観点からも主張するときは主張すべきです。
ステップ6:「独自用語」をつくる
1965年にカルフォルニア大学・ザデー教授が生み出した「ファジィ理論」を応用して、「あいまいな」ものをプログラミングして家電に挿入。洗濯機、冷蔵庫など以後家電で「ファジィ」とついた製品が市場に溢れるようになりました。
その第一号となったのが松下電器で、1990年2月に洗濯機に導入したものでした。汚れの程度や質により投入する洗剤量を変更したり、洗濯時間を変更する機能をコンピュータとセンサー、ファジィ理論を応用したプログラムにより実現しました。
この製品の発売後、「ファジィ」という用語が一般化してあらゆる機器に導入されていきます。
このように、消費者(顧客)がその機能について理解しやすくしたり、使いやすくするように「独自用語」を導入することは重要です。前述の「ウォークマン」も一時はポータブルオーディオの代名詞として市場に広く知れ渡ったように、先行者としての地位を市場に築くことに貢献します。
ステップ7:独自の「繋がり(ネットワーク)」をもつ
商品やサービスの売買を通してのコミュニケーション以外にも、イベントやソーシャルメディアを使って、市場や顧客との繋がりをもつのも重要です。
現在多くの企業がFacebookやTwitterを利用しています。自社のお得な情報をいち早く発信したり、また貴重な意見を収集したりとあらゆる用途で使っています。定期的なイベントで自社製品を広くアピールすることも有用でしょう。
このようなものを通して独自の繋がり(ネットワーク)を築くことは、市場で地位を築くうえでも非常に重要といえるでしょう。
ステップ8:顧客に最高の待遇を
飲食店などで特に顕著ですが、顧客は「常連扱い」されることに喜びを感じるものです。いわゆる「人に認められたい」という人間の根本的な欲求に基づくものですが、これはビジネスにも当然応用できるものです。
「自分のために」特別な待遇を行ってもらって嫌な気分になる人はいません。そこで、「あなただけに」といった意味でのサービスや商品を提供することにより、より顧客の関心を引くことが出来ます。
これを行うことで、顧客は自分の欲求を満たすとともに、その経験を「口コミ」などにより人に広めてくれる効果ももたらします。これこそ、効果的な「広告」の展開であり、二重の意味で効果的といえるものでしょう。
ステップ9:メンターの力を借りる
ここまで実際にステップを踏んできた経営者は数多く存在しています。そこで、既に成功している企業や個人に「メンター」「アドバイザー」として協力を仰いでみるのも、手早く効果的です。
単独でステップを踏んでいくよりも早く、確実に、しかも(仕事としてではありますが)楽しく遂行していくことができるでしょう。
前述のリチャード・ブランソン氏をはじめ、特に海外の成功者には多くの「メンター」が付き添っていました。方向性を誤り自滅に突入しないためにも、この方法はかなり合理的ともいえます。
これまで紹介した9つのステップは、着実に踏んでいくことで市場における「差別化」、安定の地位を築くことができるようになります。最後に示した「メンター」の協力を仰ぎつつ、顧客と自らの利益を求めていきましょう。