これから起業される方は法人の電話契約に悩んでいるのではないでしょうか。
そのため、今回は『起業・会社設立時の法人の電話契約はどうすれば良いの?起業時の法人電話手続きマニュアル』という記事のタイトルで起業時の法人電話手続などを紹介します。
起業時に法人電話(固定電話)が必要な理由
携帯電話を持つことが一般的になった現在では、会社の登記も携帯電話の登録で問題ありません。
実際に固定電話を設置したとしても、起業当初は電話がかかってくる機会も少ないかもしれません。
そのため、携帯電話だけあればいいのではと思われがちですが、携帯電話が一般的になった今でも、固定電話の信頼度は高いのが現状です。
例えば、あなたが初めて会った人の名刺をもらった時にどこを見ますか?おそらく、会社の住所と電話番号を見るのではないでしょうか。
携帯電話だけの記載では、納期や支払いなどの発生時に音信不通になるというリスクも考えられます。
そのため、携帯電話しか載せていない名刺だと、受け取った相手は不安に感じることも多く、信頼度が低くなってしまうでしょう。
仕事の取引において、相手に求める基準に「信頼できる会社かどうか」という点があります。
その1つの判断材料が固定電話の設置と言っても過言ではないでしょう。
そのため、起業・会社設立時には法人電話(固定電話)を必ず、開設すべきでしょう。
企業が固定電話番号を必要とするケース
先ほどは、起業時に法人電話(固定電話)が必要な理由を解説しました。
次に、企業が固定電話番号を必要とするケースを解説します。
企業が固定電話番号を必要とするケースは大きく分けて以下の2点です。
- 法人登記するとき
- 代表番号を公開するとき
①法人登記するとき
オフィスや事務所の登記時には、電話番号の登録が必要になります。
この際に、ほとんどの企業が固定電話番号で登録しておきたいという事実があるでしょう。
携帯電話番号で登録した場合、携帯をなくす、番号を変更するなどの際に、再度登録し直さなければならないからです。
そのため、法人登記するときは、電話番号の登録をしておいた方がよいでしょう。
②代表番号を公開するとき
たとえば、コールセンターやサポートデスクなどは050のIP電話番号でかまわなくとも、法人を代表する番号は、固定電話番号にしたいというニーズが大きいといえます。
これは営業スタッフの名刺やWebサイトの電話番号など、一般に公開する際に、社会的な信頼感を得ることが重視されるからであり、ユーザーが安心できるよにする狙いもあるでしょう。
そのため、代表番号を公開するタイミングで、電話番号の登録をしておいた方がよいでしょう。
固定電話番号の取得方法
上記にて、起業時に法人電話(固定電話)が必要な理由、企業が固定電話番号を必要とするケースが理解いただけたでしょうか。
では、固定電話番号にはどのような回線があり、番号取得にどのような手続きを行えばいいのかについて解説します。
今回は電話サービスの代表格である以下の4つのサービスの電話番号の取得方法について解説します。
- NTT加入電話
- 光IP電話
- IP電話
- 050IP電話アプリ
①NTT加入電話
従来からあるオーソドックスな方法が、NTT加入電話での電話番号取得です。
現時点ではアナログの電話回線を利用する加入電話、メタル回線を利用するINSネット64があり、施設設置負担金が約3万6,000円および基本料金が必要になります。
これらの加入電話には、施設設置負担金が必要ないライトプランも存在しますが、基本料金は通常よりも若干高額になり、電話番号の休止などもできません。
②光IP電話
フレッツ光などの光ブロードバンド回線を利用した、光IP電話サービスで電話番号を取得する方法です。
NTTの場合、インターネット契約のオプションとして利用できます。
現在では、NTTが光回線の卸売をはじめたため、多くの企業がブロードバンド/光IP電話事業に乗り出しています。
IPネットワークを利用するため通話料金が安く、音声品質が高い、従来使っていた電話番号や電話機が引き継げるなどのメリットがあります。
③IP電話
ADSLブロードバンド回線などを使い、インターネットとVoIP技術を利用した電話サービスを提供する、IP電話事業者から電話番号を取得する方法です。広い意味では、光IP電話もIP電話といわれます。
しかし、回線速度によって音声品質がクラス分けされており、明確に区別される場合も多いようです。
特に、卸売によって光回線を利用する事業者ではNTT同様の回線品質を誇るため、従来の市外局番からの電話番号を引き継ぐのも可能です。
これに対し、回線品質が低いクラスのものでは、050番号が割り当てられることになります。
④050IP電話アプリ
スマートフォンなどにIP電話アプリをインストールし、IPネットワークを活用した、050ではじまるIP電話番号を取得できます。
余談ではありますが、キャリア間の通話料が無料になる、携帯電話に追加の電話番号を割り当てできるなどのメリットがあります。
電話番号を取得した後に直面する課題
上記では、固定電話番号の取得方法を解説しました。
次に、それぞれの方法で取得した電話番号を、効率的に運用した後の課題について解説します。
今回は
- 固定電話
- 050IP電話アプリ
を取得した後に直面する課題を解説します。
①固定電話
取得した電話番号を、オフィスに設置された固定電話機で運用する場合、設置された場所以外での外線着信や代表番号での発信はできません。
外線着信を携帯電話へ転送するサービスも利用できるものの、これは有料サービスであり、オフィスを留守にしがちな企業では、その金額は無視できないともいえるでしょう。
また、外回り営業スタッフが多い企業では、法人携帯を持たせて連絡を取れるようにするかもしれません。
しかし、この場合も代表番号と法人携帯は別の電話番号となり、コスト的にも運用的にも効率的とはいえないでしょう。
運用に課題を抱える050IP電話アプリ
一方、小規模企業などが050IP電話アプリをインストールし、運用していくにも課題があります。
この場合の電話番号は、アプリがインストールされた固有のスマートフォンなどに紐づいた番号となるため、ビジネスフォンとして機能させるのが困難である、プライベートとの切り分けが難しい、情報漏えいのリスクが排除できないなどの課題が発生します。
法人用に専用デバイスを用意しても、紛失などによるセキュリティリスクは常につきまとうといわざるを得ません。
電話番号を取得できるその他3つの選択枝
電話会社から電話番号取得する以外に、電話番号を取得できる選択枝は大きく分けて3つあります。
今回は
- スマホの050などのIP電話アプリ
- 03転送電話サービス
- 電話代行サービス
を紹介します。
①スマホの050などのIP電話アプリ
050などのIP電話は携帯電話と同じように普及してきたものであり、ネット回線を利用した電話として主に個人の家庭や、個人の携帯電話で使用されています。
その特徴としてはなんといっても料金が安いということです。
初期費用も数千円、もしくは初期費用が必要ない場合もあります。
月額費用も300円前後のこともあり、費用を出来るだけ抑えたい場合はIP電話はおすすめであるといえます。
また、通話料金に関しても非常に安く通常の固定電話と変わらないぐらいの電話料金、場合によってはそれ以下、IP電話同士ですと通話料無料などの場合もあります。
携帯電話にアプリをインストールするだけで使える手軽さや、初期費用やランニングコストも少ないIP電話は料金的に見るとメリットは大きいといえます。
そして、IP電話は電話としては通話料も安いだけでなく、月額費用も安く導入時も気軽にでき、2つ目の番号としては有効であるといえます。
電話を頻繁にかける場合は電話代も高くなりがちですし、固定電話をひいて転送サービスを使っていると相手からかかってきたとしても電話代がかかってしまいます。
そのため、まずは市外局番から始まる番号を使用して、通話料が気になる場合はIP電話を使うなどの使い分けがおすすめの方法であるといえます。
一方で、価格が安くすぐに導入できる気軽さから、IP電話は人気が高いと思いがちですが、起業をして会社を運営していく信頼度としては低いのがデメリットです。
IP電話は主に個人が使う電話として人気は高いですが、会社が使う電話としてはあまり普及していないのが現状ですので注意しておきましょう。
その理由としてはIP電話は電話番号の始まりが050~になってしまうからです。
時々050の電話番号は見かけますが、会社の主な番号が050のところはあまり見かけません。知っている人は知っているのがIP電話番号であり、一般的にはまだまだ普及、信頼度は少ないといえます。
急に050から電話があっても何の電話か分からずに取らない人もいますし、企業間の取引に関しては携帯電話の番号としては適していないといえます。
②03転送電話サービス
03電話転送サービスとは03などの市外固定電話番号を借りることが出来るサービスです。
主に起業する方が多く利用しているサービスです。
なんといっても、市外局番の固定電話番号を使用することが出来ますので、会社としては信頼感があり、企業間の取引や顧客とのやりとりなどで怪しまれることはありません。
携帯電話番号やIP電話番号と比べると非常に信頼度が高いのが03転送電話サービスであるといえます。名刺などに03~始まる番号を記載することが出来て、バーチャルオフィスなども東京の住所から始まっていれば、東京にある会社=信頼できる会社と判断されることが多いといえます。
03電話転送サービスの大きなメリットしては信頼度が高いということがありますが、初期費用、運用コストを抑えることが出来るのがメリットでもあります。
ある有名な03電話転送サービスを行っている会社では初期費用は1000円、月額費用は1080円、通話料は固定電話の場合3分8円と非常に低額です。
また、固定電話機を持つ必要がありません。携帯電話に直接転送をしてくれますので、携帯電話さえあれば機器購入代も必要ないのがメリットとして大きいといえます。
もちろん工事費なども必要がなく、最短で即日番号を発行してもらえますので時間もかからないのがメリットであるといえます。
③電話代行サービス
電話代行サービスとその名の通り電話のやりとり(受ける側のみ)を代行してくれるサービスです。
また、電話番号も貸し出してくれます。
例えば、一人で起業をしたとしましょう。
一人の会社は社会的にはあまり認められておらず、信頼度の低い個人事業主として見られるでしょう。特に企業間取引が多い業種の場合は、そういった会社はあまり相手にされない可能性がありますので注意が必要となります。
そんな時に電話代行サービスを使用すると非常にメリットが多いのです。
会社に電話をしてくれていつも同じ人が出る、いつも会社の代表者が出るという場合は小さい会社と判断されがちです。
しかし、電話代行サービスを使用すると、女性が出る場合が多いですので社員が数名いるという印象を相手に付けることが出来、信頼度がアップします。
特に外出が主な方の場合は商談中に電話をすることは難しいでしょうし、代わりに電話を受けてくれる方がいると本業にも力が入るでしょう。
やはり、一人で起業をするのには、様々な部分で不利になります。社会的な信頼を勝ち取るためにも電話代行サービスは非常におすすめであるといえます。
多少お金はかかるかもしれませんが起業したてもころこそ電話代行サービスをおすすめします。
もし副業で起業などでネットショップをするのであれば電話代行サービスを利用することは、サービスの売りの一つになるでしょう。
その理由としては買い手側から考えると電話を出来るという安心感があるということです。
最近ではネットショップで買い物をする際問い合わせ番号がないと購入を渋る方もいますし、何よりも顔が見えない相手だからこそ安心感は購買欲に繋がります。
お金を節約したい人向け!スマホで使える格安サービス3選
コストをとにかく安く抑えたいのであれば、スマートフォンにダウンロードして使うアプリタイプのサービスがおすすめです。
設備導入も必要なく初期費用もかからないサービスもありますし、別途従業員に携帯電話を貸与する必要ありません。
ただしメンテナンスなどでサービスが停止する可能性もゼロではないので、その点は注意が必要です。
またできれば、スタートアップなど小さな企業でも、03など市外局番からはじまる固定番号を使えるものがよいでしょう。
最近では050からはじまる番号を使っている大企業も増えてきましたが、信頼度を考えるとまだまだ03番号の方が圧倒的にメリットが大きいです。
さらに050からはじまる番号は110や119など各緊急機関への連絡ができないので、もしものときに備えるという面でも安心でしょう。
以下がお金を節約したい人向けのスマホで使える格安サービス3選になります。
①050 plus for Biz
50 plus for Bizは特に海外への発着信が安く抑えられるIP電話アプリです。
提供事業者がNTTと大手なところも安心材料の一つでしょう。
市外局番からはじまる固定番号にこだわりがなければ、非常におすすめのサービスです。
初期費用 | 月額基本使用料 | 固定電話の通話料 | 携帯電話への通話料 | 050IP電話への通話料 | 国際電話(アメリカ)の通話料 |
1,080円 | 540円 | 8.64円/3m | 16円/1m | 0円 | 9円/1m |
②SMARTalk
SMARTalkは初期費用や基本使用料が0円という点と、国内の固定電話との通話料が安いという点が魅力的なIP電話アプリです。
こちらも市外局番からはじまる固定番号にこだわりがないのであれば、検討してみる価値があるでしょう。
初期費用 | 月額基本使用料 | 固定電話の通話料 | 携帯電話への通話料 | 050IP電話への通話料 | 国際電話(アメリカ)の通話料 |
0円 | 0円 | 8.64円/3s | 8.64円/3s | 0円/8.64円/3s | 16円/1m |
③Shamo!
Shamo!は03などからはじまる市外局番が使え、スマートフォンにアプリを入れて使うタイプなので初期費用も安く抑えられます。また内線や社内のチャット機能もついています。
また、Shamo!はデスクに据え置き型の電話機にこだわりがなく、5人以下の小規模事業者におすすめです。
初期費用 | 月額基本使用料 | 固定電話の通話料 | 携帯電話への通話料 | 050IP電話への通話料 | 国際電話(アメリカ)の通話料 |
0円 | 900円 | 20円/30m | – | – | – |
まとめ
いかがだったでしょうか
今回は『起業・会社設立時の法人の電話契約はどうすれば良いの?起業時の法人電話手続きマニュアル』というテーマで
- 固定電話番号の取得方法
- 電話番号を取得できるその他3つの選択枝
- お金を節約したい人向け!スマホで使える格安サービス3選
などについて解説しました。
上記でも述べたように、法人の電話契約には様々なサービスがあり、それぞれ、特徴や取得方法が異なります。
そのため、様々なサービスを考慮に入れ、比較して法人の電話契約を行いましょう。