経営者の皆さん、インターネットFAXをご存知でしょうか。
インターネットFAXは従来のような電話回線ではなく、インターネット回線を利用してFAXの送受信を可能にするサービスです。
最近では利用者も確実に増えてきているものの、はじめて聞いたという方もいらっしゃるかもしれません。
インターネットFAXの仕組みは非常にシンプルで、どなたにも使いやすいものですが、実際のところ「よくわからない」といった声が聞かれるのも事実です。
「電話回線の代わりにインターネット回線を使うの?」
「メールでファックスを送受信するってどういうこと?」
「自分だけのFAX番号を取得することができるの?」
「銀行振り込み/口座振替はできるの?」
といったような疑問がよく聞かれます。
そのため、インターネットFAXの基本的な仕組みや通常のFAXとの違いの解説から、メリットやデメリット、様々な疑問への回答などを徹底的に解説します。
インターネットFAXとは?インターネットFAXの仕組みも合わせて解説!
インターネットFAXとは
インターネットFAXとは、従来のFAXのように送受信に電話回線を使うではなく、インターネット回線を通して送受信(メールでファックスするイメージ)を行うサービスです。
050のIP電話と同じようにネット回線を利用した通信を行うため、通信コストは各段に安くなります。
これは固定電話に比べ、IP電話が安く利用できるのと同じ原理と言えるでしょう。
送られてきたFAXはPDFなどのデジタルデータに変換されるので、パソコンやスマートフォンなどでメールとして受信し内容を閲覧することができます。
また、送信する際も、パソコンやスマートフォンからデータを送り、相手方のFAX機に出力することができるので、非常の便利です。
これまでのようにFAXの送信は相手のFAXへのみ、メールの送信は相手のメールへのみというメールとFAXの間にあった垣根がインターネットFAXにはありません。
そのため、インターネットFAXは相手が従来のFAX機しか持っていない場合でも手軽で迅速にメール感覚でFAXの送受信ができるのです。
インターネットFAXはオフィスだけでなく外出先からも送受信ができ、更に通信費用まで安くなる、メリットが非常に多いサービスと言えるでしょう。
サービス面に関してですが、インターネットFAXでは、サービスにより「送受信ができるサービス」「受信のみのサービス」「送信だけのサービス」など利用できる機能が異なります。
またインターネットFAXの料金には、毎月の月額料金の中に送受信の料金を一部含むサービス、基本料金は0円だけど送った分だけ従量課金されるサービスなどがあります。
インターネットFAXの導入を考えている方は単純な初期費用と月額料金の安さだけでなく、利用に応じたシミュレーションと比較をし最適なサービスを探すとよいでしょう。
インターネットFAXと従来のFAX・複合機の4つの違い
実際にインターネットFAXと従来のFAXってどんな違いがあるの?
インターネットFAXと従来のFAX・複合機ではどのように違うのかよく分かりづらい部分があります。
そのため、今回は
- Fax導入時
- 送信の場面
- 受信の場面
- ランニングコスト
でどのような違いがあるのかを比較します。
①FAX導入時での比較
まずは、従来のFAX・複合機とインターネットFAXでどのような違いがあるのかを比較してみましょう。
従来のFAX・複合機
従来のFAX・複合機の場合、まずは機械そのものの購入が必要になります。
同時にFAX機用に専用の回線の契約と、回線を引くための工事も必要になります。
そのため、工事費等の初期費用も事前に見積もっておきましょう。当然紙やインクもある程度買い揃えておき、定期的に追加購入が必要と心得ておきましょう。
しかし、従来のFAX・複合機のメリットとしてオフィスにいればいつでもファックスが印刷されてくるので手間いらずという点が挙げられます。
全ての機材と回線の準備が整えば、いつでもファックスの送受信ができます。
従来のFAX・複合機の場合、インターネットの知識は不要ですが、初期設定や故障した際の対処方法など、ある程度自力で機械操作が必要になります。
特に、故障した際の対処方法は簡単に済むことではないので、その点は注意が必要です。
インターネットFAX
インターネットFAXはPCやスマホなどのデバイスでファックスを送受信するので、PCやスマホと通信環境は必須となります。
通常、起業時はPC、会社用の携帯電話、インターネット回線を導入するのが普通なので、インターネットFAX用に機材や回線を追加する必要はありません。
今ではスマートフォンを使っている方が多いので、そのままインターネットFAX用に使うこともできます。
これ以外に必ず必要になるのが、インターネットFAX業者との契約です。
面倒なように見えますが、ネットから簡単に申し込めて、FAX番号もすぐに発行されますので驚くほど簡単に完了してしまいます。
起業前から事前にFAX番号を取得することも出来るので、創業前に名刺にFAX番号を印刷しておくこともできます。
そして、FAX機導入時のように電話会社の回線は必要ありません。
また、インターネットFAXはいつでもどこでも利用できるのがメリットなので、オフィス開設前の準備段階でも自宅や外出先など、どこでもFAXを送受信できます。
またインターネットFAXは紙やインク代、電気代なども含めたランニングコストも必要ありません。
②送信の場面での比較
送信の際、FAX機・複合機とインターネットFAXでは使い勝手にどのような違いがあるのでしょうか。
従来のFAX機・複合機
送りたい相手のFAX番号を入力し、送信する内容が印刷された紙をFAX機の送信トレイに設置して読み込めば簡単に送信ができます。
複数の相手に送るときは同じことを繰り返すか、同時に送信先を複数指定します。
一度に何件の宛先に送信可能かどうかは機種によって変わるので、購入またはリースの際確認が必要です。
機種によっては手間がかかることを頭にいれておきましょう。
インターネットFAX
基本の送信方法はメールと同じです。
相手のファックス番号をメールの宛先に入力して、送信したい内容をメールに添付して送付するだけです。
インターネットFAXの場合、FAXする内容を印刷する必要がありませんので、紙やインクの無駄が無くせます。
一方で、印刷された紙の資料を送付する際は、スキャナーでデータに変換する必要があります。
しかし、最近ではスマホのカメラで簡単に高精細なスキャンもできますので、あまり手間はかからないかもしれません。
③受信の場面での比較
受信の際でもFAX機・複合機とインターネットFAXでは使い勝手に違いがあるのでしょうか。
従来のFAX機・複合機
従来のFAX機・複合機の場合、受信のたびに自動的にファックス内容が印刷されて出てくるので、オフィスにいれば何の手間もかからずに受信が完了します。
ただし、従来のFAX機・複合機の場合、毎回紙とインクを使用するため、受信が多ければ多いほど消耗品の消費が激しくなります。
業務と関係のない、迷惑FAXもすべて印刷されて出てくるのもデメリットの一つでしょう。
またオフィスが休みの日や外出中などにFAXを直に確認することができないので、FAXを受け取るためだけに出勤したり会社に急いで戻ったりしなければいけない可能性もあり、この点での不便さは否めません。
インターネットFAX
インターネットFAXは送信の場合と同じく、基本の使い方ではメールで簡単に受信が可能です。
FAX内容は受信したメールに添付されてくるので、添付ファイルをクリック(またはタップ)して内容を見ます。
FAX機で印刷されたものと違って、画面だと慣れない場合見づらいかもしれません。
印刷したい場合は都度プリンターでプリントアウトといった作業が発生するので、しばしばファックス内容を印刷して取っておきたい場合は若干、手間かもしれません。
迷惑FAXは受信してもデジタルデータなので、印刷で紙やインクを無駄にすることもありません。
ランニングコストでの比較
継続して使用してくると、ランニングコストの面が気になってくるものですよね。
各サービスでどのような差が出てくるか確認してみましょう。
従来のFAX機・複合機
長期で使用していると、やはり月々の料金が他の方法より高くつくことが気になります。
さらに、年数が経過すると故障も多くなり、買い替えの必要も出てきます。
長年の受信データも溜まってくるので、紙データのファイリングと保管に場所も必要となってくるでしょう。過去のデータを探すのも手作業なので、人手と時間が必要になります。
インターネットFAX
インターネットFAXは長期で使用しても、FAX機と違いメンテナンス料金が格段に安く済みます。
FAX機本体と消耗品が必要ないことと、電話会社に支払う回線使用量も必要としないためです。
送信枚数が極端に少ない場合はコンビニファックスの方がお得になりますが、毎月一定の使用がある場合は、インターネットFAXが最もリーズナブルな方法となります。
FAXデータも全てデジタルデータとして残せるので、溜まったデータの中から必要な物を探すのも非常に簡単です。
インターネットFAXのメリットとデメリット
インターネットFAXにはメリットもありますが、デメリットもあるのは事実です。
今回はインターネットFAXのメリットとデメリットをそれぞれ検証します。
インターネットFAXの7つのメリット
以下がインターネットFAXの7つのメリットです。
①FAXの送受信の管理がしやすい
従来のFAXは、送信も受信も紙で行うので、何を送受信したのかというのは、紙での管理が必要でした。
インターネットFAXでは送受信ともにデータで行いますので、紙での管理が不要です。
②プリントアウトせずにそのまま送信できる
従来のFAXで面倒くさいのが、送信するPDFやWord、Excel、Power Pointなどのデータをプリントアウトしてから送信することではないでしょうか。
インターネットFAXであれば、プリントアウトをする必要はありません。
送信したいデータを選択して、送信ボタンをクリックするだけです。
③FAX本体やインクが不要
インターネットFAXではFAXの本体が不要ですから、場所をとることはありません。
また、データで受信しますので、従来型のFAXで面倒だったインクの交換という作業も必要ありません。
④スマホでFAX送受信ができる
インターネットFAXのサービスであるeFaxではスマホアプリも用意されており、スマホからもアプリを利用してFAXの送受信が可能です。
⑤送信ミスのリスクが低い
インターネット上のFAXですから、送り先のFAX番号をコピー&ペーストをすることで、誤送信のリスクを下げることができます。
「-」の削除が必要だったりするので、リスクゼロとは言えませんが、少なくとも電話機や複合機のFAXよりかは確実にリスクは低くなります。
⑥FAXの送受信をメールで知らせてくれる
従来のFAXだと、知らない間にFAXを受信していて気付くのが遅れがちですが、インターネットFAXでは受信直後にメールが届き、すぐに受信を知らせてくれます。
⑦市外局番が使える
インターネットFAXでは「03」、「06」などの市外局番を使用することが可能です。
IP電話のように「050」となるよりも、信頼性が高まるとのことです。
個人的には、「03」だから信頼性が高くて「050」は信頼性が低いとは思っていませんが、他の方からはどう思われるかわからないので、「03」が使えるインターネットFAXは非常に信頼できると言えるでしょう。
インターネットFAXの4つのデメリット
以下がインターネットFAXの4つのデメリットになります。
①FAXをほとんど使わない人にとってはちょっと高い
FAXを年に数回、または月に数回しか使わない人にとっては、月額利用料金がかかる分だけインターネットFAXの料金が高いと感じるでしょう。
利用頻度が月に1回使うかどうかという状況の場合であれば、インターネットFAXの契約をするよりも、自宅のFAXを使用し続けるほうが割安といえるでしょう。
②紙でもらったFAX送信用紙をFAXするにはスキャンしてPDFにする必要がある
紙でもらったFAX送信用紙は、電話機についているFAXや複合機のFAX機能の方がそのまま送信できるので楽です。
インターネットFAXで送るためには、一度スキャンしなければいけないので、一手間掛かってしまうのは事実です。
③FAX送信に時間がかかる
インターネットFAXの場合、FAXを送信してから、その送信を知らせるメールを受信するまで、結構、時間がかかってしまいます。
送ったデータの容量や通信環境にもよるとは思いますが、送信に10分以上かかったる場合もあります。
そして、このかかった時間が利用料金にも関係してきます。
④1ページが料金計算上の1ページにならない場合がある
インターネットFAXの場合、気を付けなければならないのは、その料金体系です。
インターネットFAXのおおまかな料金相場は月額で約1,650円(税込)前後です。
そして、一番間違えやすいのが以下の点になります。
受信と送信の料金は、ともに150ページまでは追加料金なしですが、151ページ目以降は、1ページ10円になります。
ここで気を付けないといけないのが、送信の料金が「1ページ」=「料金計算上の1ページ」ではないことです。
送信の1ページのカウントの仕方について、インターネットFAXのサービスを提供する会社のホームページには下記の脚注が付されています。
※ページ枚数は通信にかかる時間によって異なります。60秒ごとに1ページと計算されます。
このように、1ページが料金計算上の1ページにならない場合があるので、注意が必要です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
上記でも述べたように、インターネットFAXには従来のFAX機・複合機にはない特徴があります。
そして、メリットとして以下の7つの点もあります。
- FAXの送受信の管理がしやすい
- プリントアウトせずにそのまま送信できる
- FAX本体やインクが不要
- スマホでFAX送受信ができる
- 送信ミスのリスクが低い
- FAXの送受信をメールで知らせてくれる
- 市外局番が使える
しかし、このようなメリットがある一方で、
- FAXをほとんど使わない人にとってはちょっと高い
- 紙でもらったFAX送信用紙をFAXするにはスキャンしてPDFにする必要がある
- FAX送信に時間がかかる
- 1ページが料金計算上の1ページにならない場合がある
といったデメリットあるのも事実です。
そのため、自社にあったFAXは従来のFAX機・複合機なのか、それともインターネットFAXなのかを検証し、最良の選択をしましょう。