オフィスを賃貸をする契約する際に、保証会社の利用を求められるケースがあります。
保証会社は連帯保証人とどう違うのか、またどんなサービスなのか、どういったときに求められるのか、相場はどれくらいのなのかという点を今回の記事で説明します。
日本独自の制度、連帯保証人制度とは?
賃貸物件における連帯保証人制度とは
日本の場合、部屋を賃貸で借りる時に、必要となる場合があるのが、連帯保証人です。連帯保証人制度は日本特有ともいわれています。
また、一般的で言う「保証人」と、賃貸借契約をする際の「連帯保証人」は全く異なります。
まずは、「連帯保証人」について詳しく説明します。
連帯保証人とは、借主が家賃を支払わなかったときや設備を壊してしまい弁償できないなど、何らかの問題を起こした場合に本人に代わって支払いをする人のことを指します。
連帯保証人は借主と同じ責任を負うことになるため、非常に重い責任だと言えます。
また、連帯保証人制度は、単なる慣習ではなく民法で定められているため、もちろん法的な効力があります。
実際に賃貸のオフィスを借りるケースの場合、賃貸契約書の中で連帯保証人について記されていることがほとんどです。
一般的に「連帯保証人は借主が貸主に対して負う債務について連帯で保証する」と定められていることがほとんどです。
連帯保証人制度の必要性
貸す立場(オーナー側)からすると、もし、家賃を滞納されたり、部屋を乱暴に使用されたり、設備を壊された場合、実際の賃貸経営に影響が出てしまいます。
また、家賃収入や修理など費用が発生するため、金銭的に大きな損害を被ります。
このように、連帯保証人という制度があれば、確実に家賃や弁償費用を回収することができるため、オーナー側の資金回収の権利を守るための制度として、連帯保証人という制度があります。
賃貸物件における連帯保証人の条件
連帯保証人は借主に代わって支払いをすることが求められるため、相応の支払い能力が必要になります。
現役で働いている両親であれば、安定した収入があるため、一番認めてもらいやすい存在と言えます。
また、友達に連帯保証人をお願いすること自体は可能です。
安定した収入のあるのであれば、認められるケースが多いです。
また、賃貸の連帯保証人になるためには、支払い能力があるかが重要な条件ですが、単に収入があればよいというわけではありません。
当然ではありますが、連帯保証人になるためには支払い能力を証明する書類も提出しなければいけません。
もし、誰かに連帯保証人担ってもらいたい場合、ま賃貸契約書の連帯保証人の欄や、承諾書に署名・捺印をしてもらう必要があります。
不動産会社によって違いはありますが、連帯保証人の本籍地、勤務先、収入などの支払い能力についても審査されるため、連帯保証人の収入証明、住民票、印鑑証明の提出が必要があります。
まとめると、連帯保証人制度は、責任が重いだけに、連帯保証人になるにはさまざまな条件があります。
その条件、必要なものをまとめたものが以下になります。
連帯保証人なるために必要な条件・必要なもの
<必要な条件>
- 継続的収入がある、もしくはそれに準ずる不動産を所有している
- 反社会的団体にかかわる人物でない など
<必要なもの>
- 実印
- 印鑑証明
- 収入証明
- 住民票など
保証会社とは?
連帯保証人と保証人の違い
そもそも保証人には3つの権利がそれぞれ民法で認められています。
⑴催告の抗弁権
保証人が債権者(不動産会社など)から返済を求められたとき、支払いを拒否できる権利の事を指します。
保証人は「まず賃貸借契約を結んだ本人に請求をお願いします」と主張することができます。
⑵検索の抗弁権
保証人が債権者から返済を求められたとき、賃貸借契約を結んだ本人に「土地などの取り立て可能な財産があるのなら、まずはそちらの回収をお願いします」と主張できる権利を指します。
⑶分別の利益
分別の利益とは、保証人が何人かいる場合、借金の額をその人数で割った額についてのみ支払いの義務が発生するということです
これらの催告の抗弁権、検索抗弁権、分別の利益がそれぞれ民法452条、453条、456条で認められています。
賃貸借契約を結んだ本人に支払いの余力があるならば、保証人はこの3つの権利を行使して自分を守ることができます。
逆に言うと、これらの権利がない連帯保証人は借り主と同等扱いということになります。
もし、借り主がお金があるにもかかわらず、賃料を払わないといったことがあれば、貸し主は賃料を連帯保証人に請求でき、連帯保証人はそれを拒否できません。
保証会社とは
上記で説明した「連帯保証人」を依頼できる人がいない場合は、保証会社を利用することで、オフィス賃貸を借りられることが多いです。
保証会社とは、借主から保証料(手数料と呼ばれる場合もあります)を得ることによって、その保証会社が家賃の連帯保証をするサービスを提供している会社を指します。
しかし、保証会社は誰でも無条件で利用できるわけではなく、賃貸契約時と同様に審査が行われます。保証会社によって利用に必要な保証料は異なります(家賃相場の詳細は後述します。)。
保証会社を利用する場合、借主の口座から自動引き落としで保証会社に家賃が支払われ、保証会社が家賃を賃貸管理会社、あるいは、貸主に振り込む流れとしているケースが多いです。
借主の口座から家賃の引き落としができなかった場合には、保証会社が立て替えをしますが、借主は保証会社への返済が必要です。
また、オフィス賃貸の運営者と訴訟になった場合でも、その訴訟費用は保証会社が負担してくれます。その他にも残置物の撤去費用や原状回復費用なども保証されます。
保証会社が保証するのは、家賃や管理費、更新料、設備などを壊したときの弁償費用といった金銭的な債務が一般的です。
必ず保証会社を利用しなければいけないケースも
以前は連帯保証人を依頼する人がいない場合に、保証会社が利用されていました。
しかし、昨今では貸主や賃貸管理会社によっては、連帯保証人を立てたうえで、保証会社を利用することを必須としているケースがあります。
また、保証会社を利用する場合は、賃貸管理会社が指定する会社に限られることがほとんどで、借り手が選べないことが多いです。
連帯保証人を立てたうえで、保証会社も利用する場合、家賃の滞納は保証会社が対応してくれます。
しかし、借主の騒音によるクレームに対して、注意しても改善がみられない場合、連帯保証人に改善を求めるといった役割分担になるのが、多いそうです(しかし、保証会社の契約種類によって異なります)。
どんな時に保証会社を求められることが多いのか
上記のように保証会社を利用すると費用がかかってしまいます。できれば、オフィスの保証会社を使いたくないと考えている人もいるのではないでしょうか。
しかし、実際はオフィスの運営会社側から保証会社への加入を求められることが多いのが現状です。
では、どんな時に保証会社への加入を求められるのかを説明します。
一般的に、以下のようなケースに複数以上当てはまる場合、保証会社を付けて欲しい、または、保証会社を求められることが多いです。
⑴会社の社員数が10人未満の場合
法人の人員規模が小さいとオフィスの貸主は不安に思うでしょう。
会社の社員数が10人未満の場合だと保証会社の利用を求められる可能性が格段に上がります。
実際、倒産する多くの企業は社員数が10人以下であることがほとんどです。そのため、回収不可能にならないためにも、会社の社員数が10人未満の場合だと保証会社の利用を求められることが多いです。
⑵決算書の財務内容が悪い場合
最近では、オフィスや事務所を借りるときには、決算書を提出してもらうことが多くなってきています。
もし、提出した決算書の財務内容が悪い場合(債務超過である、毎年売上、利益が下がっている場合、来期の売上予想が立っていない場合)には、保証会社の利用を求められるケースが増えています。
⑶法人の設立年数が5年未満の場合
会社を作ってからの年数が短いと、貸主は不安になります。
実際、法人の設立年数が短いと倒産するリスクが高いため、オフィスの貸主は費用を保証してくれる第三者を求めることが一般的です。ただ、10年以上会社を継続している場合、オフィスの貸主は安心してくれるでしょう。
⑷連帯保証人を用意できない場合
先ほども述べましたが、連帯保証人を用意できない場合は、保証会社を使うようにオフィスの貸主から求められることが多いです。
というのは、中小企業、零細企業、ベンチャー企業の経営者は、法人の経営がうまくいかなくなれば、収入がなくなります。そうなると、オフィスの貸主は大変、不安を感じるため、連帯保証人の用意を事前に求めてくるのが一般的です。
⑸外資系企業で代表者、または連帯保証人が外国籍の場合
外資系企業の場合、代表者、または連帯保証人が外国籍の場合貸主はかなり不安になるそうです。
というのは、日本の不動産の風習や習慣が理解していないとみなされてしまうためです。代表者、または連帯保証人が外国籍の場合、強く保証会社の利用を求められる可能性が高いです。
⑹募集を行っている不動産会社が大手の場合
大手不動産会社が募集を行っている場合、保証会社の利用を必須にしてしまっているところもあります。特に住宅の募集を行っている大手不動産会社で、保証会社を必須にしてしまっているところが多いです。
保証会社が必須となのかを事前に確認しよう
現在、保証会社の役割は、保証人を立てられない人のサービスという位置づけから変わってきています。貸主側にとっては、保証会社を利用すると、連帯保証人を立てるより家賃を回収できないリスクが抑えられることがメリットとしてあるのは事実です。
また、オフィス賃貸の管理会社は保証会社からのキックバックがあるケースが多いこともあり、保証会社の利用を必須とする物件が増えています。
しかし、借主側からみると、連帯保証人を立てられる人にとっては、保証会社の利用は実質的な家賃の上昇になります。
そのため、オフィス賃貸を探すときは、保証会社の利用が義務付けられているかを事前に必ず確認し、利用が必須の場合は保証料を踏まえたうえで検討しましょう。
まとめると、保証会社は、連帯保証人に代わるサービスを提供してくれます。
そして、連帯保証人を立てた上で、保証会社の利用を必須とするケースもあり、現在はそのケースが増えているため注意が必要です。
保証会社の費用相場
まず、結論から言うと、保証会社の費用相場は保証会社の商品によって金額は異なります。
ただ、一般的には、月額賃料総額の20%~100%という設定が一般的な設定額です。
ただ、オフィス(事務所)の保証会社加入料の場合、賃料の50%、75%、80%、100%が多いです。
では、初回保証料が100%の場合を考えてみましょう。
初回保証料が100%で、家賃が100,000円の場合、
100,000円 × 100% = 100,000円という計算になり、初回保証料は100,000円になります。
この保証料というのは敷金のような預り金ではないので、戻ってこないお金になります。
また、保証会社を利用する場合、オフィスの大家(オフィス運営会社)へ支払う更新料の他に、保証会社への更新料も必要があります。
この金額も、保証会社の商品によって異なります。
1年毎や2年毎にといった場合や
更新の時に家賃総額の〇〇%、または、初回保証料と同じ金額など、様々なケースがあります。
この更新料についても基本的に戻ってこないお金となります。
無駄な出費を抑えたい人は、物件選びの段階で保証会社の費用を確認しておくとよいでしょう。
信頼できるオフィス保証会社7選
以下で示すのはオフィスの保証会社として、大手で非常に信頼があり、顧客満足度が高いと言われているオフィス賃貸の保証会社です。
フォーシーズ
フォーシーズ自体が無借金経営を続けており、その堅実さが物件オーナーや不動産会社にとっても大きな安心材料となっています。
フォーシーズは20年近い歴史と実績があり、入居者審査の承認率は98%以上という高水準です。また、残置物撤去にかかる全責任を負うこともしてくれるため、安心感の高い保証会社です。
ニッポンインシュア
ニッポンインシュアは不動産コンサルティングや物件の売買・管理など不動産ビジネスを幅広く手掛ける企業です。
物件オーナーに対して家賃保証や各種提案を行なっており、物件オーナーからは非常に人気があり、実際、顧客満足度が非常に高い保証会社です。
ジェイリース
ジェイリースは2016年に東証マザーズ上場をするなど成長性が高く、コンプライアンスも重視する企業です。
現在は東京に本社があり、当然、全国に展開している会社です。入居者審査では自社と全国賃貸保証業協会両方のデータベースを活用しており、審査の正当性で定評のある会社です。
Casa
滞納報告不要の集金代行付き保証サービス
Casaは家賃保証のバリエーションとして集金代行付き保証サービスを提供しているのが大きな特徴です。
貸主は滞納報告をしなくても、毎月月末には家賃が入金されるので非常に人気の高いサービスです。また、Casaは条残置物撤去にかかる費用の一部負担を保証するケースもあり、非常に安心できる保証会社です。
オーロラ
オーロラは家賃保証サービスだけでなく、一括借り上げ方式のサブユースや、一棟まるごと家賃保証など多様な形式のプランを用意している会社です。
また、オーロラは収納代行や24時間365日対応のかけつけサポートなど幅広いサービスで顧客から支持を得ています。
ただし、オーロラは退去明渡し日から60日以内に代位弁済請求書などの提出が必要です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回の記事で保証会社利用料の仕組みや、そもそもなぜ保証会社に入らなければいけないのかを理解いただけたでしょうか。
先ほども述べたように、保証会社をする利用場合は、初期費用などの費用負担が増えてしまいます。
支払い能力が十分にある方にとって、保証会社加入料は若干、迷惑なサービスかもしれませんが、現在のオフィス賃貸側の実情を考えると、仕方のないサービスであるのも事実です。
オフィス賃貸の物件を契約する際、保証会社を利用しなくてはいけない物件の場合、今回の記事が少しでも役立てて頂ければと思います。