一言にオフィス移転といっても、会社によって様々な目的や理由があります。
ただ綺麗なビルに移転すればいいわけではありません。
移転する際、どのような賃貸オフィスを選べばいいのか。
どれくらいの相場になるのかを考えて、賃貸オフィスの物件の選び、且つ決めていかなければなりません。
そのため、今回は多くの経営者が悩むフィス賃貸の賃料相場と正しいオフィスの選び方を解説します。
メリットとデメリットを知ったうえでのオフィス選びをしよう
まず、賃貸オフィスを正しく選ぶには何より、賃貸オフィスのメリットやデメリットを知らなければいけません。
業種やオフィスをどのように利用するか、スタッフの人数や資金計画と照らし合わせた 無理のない賃貸料などから、 自分がどういったオフィスを望んでいるのが見極めるようにしましょう。
後悔のない賃貸オフィスをするためにまずは賃貸オフィスのメリットとデメリットを知りましょう。
メリットとしては主に以下の3点があげれられます。
賃貸オフィスのメリット
- 初期投資費用が抑えられる
- オフィスの移転がし易い
- 事務処理がない
一方、デメリットとしては以下の3点が挙げられます。
賃貸オフィスのデメリット
- 長期で考えると自社ビルよりトータルの支出は多くなる
- 建物所有者との契約による使用上の制約がある
- 入居後に賃料の値上げ交渉の可能性がある
賃貸オフィスを選ぶ際の5つの注意点
賃貸オフィスを選ぶ際は以下の5つの点に注意しましょう。
①スケジュールに注意しよう
物件を借りるまでの流れと目安のかかる日数は以下のようになります。
- 物件探し&問い合わせ 0日
- 内見 7日後
- 申し込み 7日後
- 審査 14日後
- 入金 20日後
- 契約 30日後
- 契約開始日以降入居 40日後
ということで、物件探しを始めてから入居までは、目安で1ヶ月と10日後くらいになります。
また、敷金・保証金等のお金の支払いは契約の前日までの支払いになるので、それまでに支払ができるように体制を整えておきましょう。
②オフィスビルのテナント構成を事前に確認しよう
既存の賃貸オフィスを契約する際には、入居企業のチェックをする事が可能ですが、新築の場合にはどの様な会社が入居されるのか、事前に確認しましょう。
特に1階に店舗が入る場合は、インターネットに掲載する場合も、来客時にご説明する場合も、案内の目印になりますので、チェックしておきましょう。
また、競合企業の入居可能性等についても、貸主によって見解が異なりますので、確認しておいた方が良いと思います。
③共益費と保証金・敷金の有無、返還時期を確認しよう
共益費(管理費)に含まれる項目は、管理に関する費用の他に、冷暖房などの空調費、共用部分の光熱費などが含まれているかもチェックしましょう。
また、清掃費など共益費以外の費用負担の有無を確認しましょう。
そして、保証金(敷金)は、解約明け渡しの後、いつ返還されるのか、また、償却(敷引)がある場合、何%かなどを確認しましょう。
④電気容量と電話回線が足りているかを確認しよう
パソコンやプリンター等のOA機器や電話を多く使用する場合は、電気容量や電話回線数が足りているかを確認しましょう。
まず、最初に電気回路のチェックをしましょう。
というのは、コンセント容量は、許容範囲ぎりぎりという事が多く、容量の増設をする際、多額の費用を要求されたり、最悪の場合は全く増設不可能というケースもあります。
また、パソコンやプリンター、電話は、比較的に負荷が小さいですが、特にコピー機は負荷が大きいため1回路に1台と考えましょう。
電話回線に関しては、事前にNTTなどに相談すべきです。
また、光ケーブルや特別な専用回線等を使用する場合も同様に確認しましょう。ビルによっては導入できない場合があるそうなので、注意が必要です。
⑤空調・照明システムの冷房負荷を確認しよう
移転予定のオフィスビルが、どのくらいの冷房負荷を見込んで設計してあるかです。
通常オフィスの全冷房負荷は100~150kcal/h㎡です。どのくらいの内部発熱が生じるのかをしっかり把握し、移転予定のオフィスビルの空調能力で足りるかどうか確認しましょう。内部発熱把握の決め手は、「どのくらいのOA機器を使用するのか」の確認です。
そして、空調・照明などの追加や移設がある場合は、必ずまずはビルのオーナーに事前に相談しましょう。
賃貸オフィスを選ぶ前にしなければいけない3つのこと
独立や起業などで賃貸オフィスや事務所を選ぶ際、どう探せばよいのか迷う人が多いのが現状です。
そのため、賃貸オフィスを選ぶ前にしなければいけない3つのことを解説します。
①優先順位を付けよう
賃貸オフィスを選ぶ際、希望する全ての条件に当てはまる賃貸オフィスがあればよいですが、現実的になかなか全ての条件を満たした物件に出会うのは難しいです。。
そのため、最初は全条件に当てはまる物件を探し、見つからなければ優先順位が高い条件に当てはまる物件の中から選ぶのが賢明でしょう。
②周辺エリアにおける企業の業種を確認しよう
賃貸オフィスの場合、周辺環境のチェックも必要ですが、ビル周辺にどのような業種の事務所が多く入っているかという確認も必要です。
というのは、自社と関わりの深い業種が多く集まっているエリアだと、エリア内でネットワークが生まれる可能性があるためです。
また、新規顧客の開拓などがしやすくなるため、周辺エリアの業種の確認をして事前に行うことをおすすめします。
③事前に不動産会社を比べよう
あまり知られていませんが、小規模オフィスに関しては、大手よりも地元密着の不動産会社のほうが情報量が多いことも珍しくないです。
そのため、オフィスを選ぶ際は情報量を重視して不動産会社を選んだほうが賢明です。
そして、さらに重要な点として不動産会社は1社ではなく、必ず複数回ることが挙げられます。
理由として、家賃相場だけでなく、地域の特性などについて詳しくなることができ、今後の営業に活きるためです。
小規模オフィスの場合、仲介業者を通さずにオフィスのオーナーから直接、物件の貸借や管理の依頼を受けている物件であれば、業務委託手数料や管理費をオーナーから貰っていることが多いです。
そのため、仲介手数料を無料にすることが稀にできます。
賃貸オフィスを選ぶ際は、必ず、情報量を重視して不動産会社を選び、そして複数の不動産会社を回りましょう。
そうすることで、理想の物件に会える確率が高まると思います。
従業員規模、業種別!賃貸オフィスの選び方
従業員規模!売上高に対する地代家賃割合と賃貸オフィスの選び方
(出典:産業別・従業者規模別の売上高に対する地代家賃の比率)
まず、上記の資料は
全体として、売上高に対する地代家賃割合は全体平均で1.3%だそうです。
また、従業員規模別でみると、
- 5人以下で2.2%
- 6~20人で1.3%
- 21~50人で1.1%
- 51人以上で1.1%
となっています。
つまり規模が小さいほど、売上高に対する地代家賃の割合が高くなっているという統計データが出ています。
というのは、従業員規模が小さいほど、1人のデスク以外で利用する部分、つまりトイレや応接室・会議室などのスペースに係る割合が高くなるためだと考えられます。
創業間もない時であれば、売上高に対する地代家賃の割合が高くなりすぎないように注意しましょう。
基本的に、売上高に対する地代家賃割合は最大でも3%に収めるべきでしょう。
次に従業員当たりの坪数に関してです。
営業系の会社、技術系の会社、来客が多い会社など業種業態によっても若干異なりますが、おおよそ共有スペースも含めて、増員後に1人2坪前後あれば良いでしょう。
例えば、現在10名の従業員を2年後に20名にする計画であれば40坪程度がよいと思われます。
また、3年後20名であれば35坪~40坪。2年後20名~25名であれば、50坪位あっても良いかもしれません。
50名~60名を見越せるタイミングで100坪程度のオフィスに移転をしようとする経営者は実際に多いそうです。
業種によっても適正賃料は変わる!
また、業種およびビルの規模についてはタイプごとにあきらかな傾向はみられなかった。
先ほどの表を見ればわかるように企業の地代家賃にかける割合は業種によっても変わってきます。
例えば、飲食店舗や宿泊業は、人通りが多い駅前一等地の方が、お客様が来るはずです。
そのため、必然的に売上に対する地代家賃の割合が高くなります。逆に製造業の工場などは賃料がわざわざ高い場所に設ける必要がないため地代家賃の割合は低くなります。
そこで今度は政府が出している中小企業実態調査を、産業別(業種別)に見てみましょう。
これによると、売上高に対する地代家賃の割合は、
- 建設業で0.7%
- 製造業で0.6%
- 情報通信業で1.8%
- 運輸業・郵便業で1.0%、
- 卸売業で0.6%、
- 不動産業・物品賃貸業で3.8%
- 学術研究、専門・技術サービス業で2.3%
- 生活関連サービス業・娯楽業で2.7%
- サービス業で1.6%
となります。
さらに従業員規模別でも見ることができるので、実際に御社の売上高に対する地代家賃の割合と照らし合わせて賃料が売上に対して適正な割合か否かを判断する一つの目安としてみてください。
ここで具体的な例を二つ挙げて考えてみましょう。
<不動産業の場合>
例えば、現在不動産業を営んでいて5人の従業員を増員して10名にしたいと考えているとします。
10名にした場合、現在のオフィスでは手狭なため広いところに拡張移転する必要があります。
その場合、家賃にどれぐらいの金額を掛けることができるでしょうか?
表2で見ると不動産業の10名の地代家賃の割合は3.4%となります。
10名体制で年商1.5億円を見込んだ場合、年間510万円、月々の家賃に直すと63万円程度まで設定できると考えられます。
<情報通信業の場合>
次に情報通信業の会社を例にします。従業員20名、年商3億円、家賃は年間1,200万円支払っているとしましょう。
この場合の賃料は適正でしょうか?
この情報通信業の会社の場合、地代家賃の割合は全体の4%になります。
上記の表において、情報通信業の20名以下の割合は2.7%になるので、他社と比較して売上に対する家賃の割合が高すぎるかもしれません。
そのため、家賃をもっと抑えるためにオフィスを移転した方がよいかもしれません。
東京23区の賃貸オフィスの家賃相場
東京都内には、実にたくさんの企業がオフィスを構えています。
特に賃貸事務所を本社として利用している企業は年々多くなっています。
東京の賃貸事務所の中でも、特に千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区は、物件の種類も豊富で、さまざまな企業の要望に応じることが可能です。
実際、交通アクセスの良さや周辺環境の良さ、またその土地ならではのブランド力なども賃貸オフィスを探す上での一つの判断基準となります。
また、一時期再開発ラッシュによって急激にオフィスビルが建ったエリアも多く、今後さらなる再開発が進められていくエリアも少なくありません。
そのため、今後2020年に行われる東京オリンピックの影響によって、東京の各エリアの賃貸事務所状況や、賃料相場などはさまざまに変化していく可能性があります。
以下は東京23区のうちの人いわゆる超人気エリアの相場を示した表になります。実際、相場は各不動産会社で異なる数値になることはあります。
そのため、今回は大手不動産会社2社が出す相場の数値を平均化したものです。
実際、自分が構えようとしているエリアの相場がどの程度なのかを正確に把握しましょう。
千代田区の平均家賃相場
まず、最初に千代田区の7エリアの平均家賃相場についてです。
秋葉原・神田 |
27,900円/坪 |
神保町・小川町・竹橋 |
30,700円/坪 |
飯田橋・九段 |
26,000円/坪 |
御茶ノ水・水道橋 |
26,000円/坪 |
番町・麹町・永田町 |
28,000円/坪 |
有楽町・霞が関 |
33,900円/坪 |
大手町・丸の内 |
48,500円/坪 |
中央区の平均家賃相場
次に中央区の7エリアの平均家賃相場についてです。
三越前 |
21,300円/坪 |
日本橋・京橋・八重洲 |
38,800円/坪 |
銀座 |
26,000円/坪 |
築地 |
27,200円/坪 |
八丁堀・茅場町 |
22,400円/坪 |
東日本橋・浜町 |
6,500円/坪 |
勝どき・晴海・月島 |
19,500円/坪 |
渋谷区の平均家賃相場
3つ目は渋谷区の4エリアに関しての平均家賃相場です。
道玄坂・南平台・神南 |
38,000円/坪 |
宮益坂・神宮前 |
30,000円/坪 |
恵比寿・代官山 |
26,000円/坪 |
原宿・千駄ヶ谷・北参道 |
43,000円/坪 |
港区の平均家賃相場
そして、港区の超人気8エリアに関しての平均家賃相場になります。
新橋・汐留 |
36,100円/坪 |
虎ノ門・愛宕 |
29,400円/坪 |
浜松町・芝公園 |
30,000円/坪 |
田町・三田 |
19,900円/坪 |
青山・表参道・外苑前 |
31,500円/坪 |
赤坂・溜池山王 |
30,300円/坪 |
六本木・広尾・麻布十番 |
26,600円/坪 |
高輪・白金 |
25,000円/坪 |
品川・お台場 |
28,500円/坪 |
新宿区の平均家賃相場
5つ目に新宿区5エリアの平均家賃相場になります。
西新宿 |
31,700円/坪 |
新宿・御苑 |
30,000円/坪 |
大久保・歌舞伎町・東新宿 |
17,800円/坪 |
四谷・曙橋・信濃町 |
35,000円/坪 |
市ヶ谷・飯田橋・神楽坂 |
24,800円/坪 |
品川区の平均家賃相場
6つ目に品川区の平均家賃相場になります。
五反田・大崎・目黒 |
18,300円/坪 |
シーサイド・天王洲 |
18,000円/坪 |
豊島区の平均家賃相場
最後に豊島区の3エリアの平均家賃相場になります。
池袋 |
25,600円/坪 |
巣鴨・大塚・駒込 |
22,600円/坪 |
目白・雑司ヶ谷 |
16,000円/坪 |
特に千代田区、中央区、渋谷区、港区、新宿区、品川区、豊島区といったエリアは、賃貸オフィス物件の数も多く、利用する企業も多いエリアです。
そのため、賃貸相場を基準に希望の賃貸オフィスを探す際は、各エリアの相場感を事前にチェックしましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
オフィス環境は、仕事の質を大きく左右します。
また、快適なオフィス環境を選定することは
- 来客者に対する企業イメージのアップ
- 社員のモチベーションアップ
- 社員の仕事効率アップ
等に確実につながります。
場合によっては社員の「健康面」にまで影響を及ぼします。
そのため、オフィス選びはしっかりと考えて行うべきです。
それぞれに見合ったオフィスビルを選び、満足度の高いオフィス移転を実現しましょう。