法人カードと個人カードは、別個のものです。
個人カードは個人的な利用をするものですが、法人カードは会社であったり個人事業であったりなどの事業系の支払いに対して、利用するものとなっているわけです。
法人カードは、基本的には個人的なものに利用するものではありません。
意識していなかったとしても、
ということもあるでしょう。
そこで考えなければならいのが、法人カードを個人利用・私的利用をしてしまったときの対処法です。
個人利用・私的利用してしまったときの処理方法などにも注目します。
正しい法人カードの利用方法を知りたい方、さらには誤って個人利用・私的利用をしてしまった経験がある方は必見です。
法人カードの個人利用・私的利用は可能!
個人利用・私的利用もできる法人カード
法人カードに関しては、もちろん事業向きの利用を目的として作られたカードです。しかし決済機能に関しては、個人向けの利用であったとしても対応してもらえます。
そもそも法人カードであっても、個人カードと同様にVISAやMastercard®、そしてJCBといった国際ブランドがついているわけです。
例えばコンビニで、法人カードを個人的な利用に利用することも可能となっています。スーパーで食料品を購入するのにも、国際ブランドの加盟店であれば問題ありません。
決済処理に関しては、法人カードであるからといって制限されることは一切ないのです。
法人カードの利用規約で個人利用は制限されていないの?
制限されていません。
確かに法人カード会社としても、法人の事業に関する支払いのために発行しています。
しかし利用規約によって、利用方法を厳しく設定しているわけではありません。そもそもカード会社としても、決済一つ一つを個人利用であるか事業関連の利用であるかは判断できません。
たとえば100円ショップでボールペンを法人カードで購入したとします。そのボールペンが個人向けの購入であるのか、それとも事業向けの利用であるのかは判断できません。
よって法人カード側としても個人利用を指摘して、「カードの利用停止処分を下す」といったことは現実的にはできないのです。
法人カードの個人利用・私的利用には税務上の問題あり、対処方法にも注目
前述したように法人カードを、個人利用・私的利用すること自体には問題はありません。個人カードと同様に決済に利用できるわけです、
しかし法人カードにて私的な利用をした場合には、税務上の問題が出てきてしまいます。
こちらでは、法人カードを個人利用・私的利用したときの対処法をお伝えします。
会社側に必ず報告すること
従業員として法人カードの子カードを利用している時に、個人利用・私的利用してしまったケースで、何も会社側に伝えていないと、すべて経費処理をされてしまう可能性があります。
会社として経費を誇大報告することになってしまうのです。
会社に対して個人利用・私的利用を報告すると、その利用額分を請求されることになります。個人利用なので経費で対処されるのではなく、自身が支払うことになるのです。
会社側の法人カードの利用ルールを確認しておこう
法人カードの子カードが、社員に発行される会社に努めている場合には、法人カードの利用に関するルールが設けられているはずです。
利用を開始する前に、必ずそのルールを確認してください。
中には、一切の個人利用・私的利用を認めていないケースもあるのです。認めていない場合に、私的利用で法人カードを利用してしまうと、処分の対象となってしまうかもしれません。
もちろんきちんと報告すれば、処分対象とはならない可能性も出てきます。しかしルールを逸脱した行為をしてしまうと、会社側からの印象が悪くなって、立場が悪くなってしまうかもしれないのです。
法人カードの利用に関しては、お金が関わってくるわけです。会社側としても、当然神経質なります。
仮に私的利用をした上に、会社に黙っていたとしましょう。この場合は「横領罪」になってしまうかもしれません。
私的な利用分を、会社に支払わせるということになるわけです。
法人カードはなるべく個人利用・私的利用しないこと
個人事業主である場合には、自身で個人利用・私的利用額については、把握できるので問題はないかもしれません。
しかし法人ともなると、経理の処理も煩雑になります。一つ一つのお金の出入りを、再確認するのも手間がかかるわけです。
仮に法人カードを私的に利用してしまえば、その分経理の仕事を増やすことになってしまいます。会社として負担になってしまうのです。法人カードでの個人利用・私的利用は避けるべきです。
法人カードの個人利用や私的利用を避けるべき理由として「決済口座」があります。
私的利用をすると、精算時に仕分け作業が必要になってしまいます。
私的利用した社員から現金を徴収し、再び法人の口座に入金をするなどの処理をしなければなりません。私的利用の額が大きければ大きいほど、処理が負担になります。
法人カードの私的利用はしないに限ります。
私的利用と法人利用の判別方法とは?
法人カードの私的利用と、法人として利用をしっかりと区別できるようにしておかなければなりません。私的利用と法人としての利用に関して、明確に判断できる方は実際に多いわけではありません。
こちらでは、私的利用と法人としての利用の判別方法をお伝えします。
会社の経費になるものはすべて法人としての利用である
簡単な判断方法が、会社の経費として算入できるかできないか、というものです。
例えば、オフィスで利用する机や椅子などを、法人カードにて購入する場合も法人としての利用となるわけです。
業務で利用するパソコンをカードで購入する場合もしかりです。もちろん営業用の自動車を購入する場合に、カード決済したケースでも、法人の利用として認められています。
要は事業向けの利用ではないものです。たとえば事業とは全く関係ない漫画の購入に関しては、事業向けの利用ではありません。
当然経費ではないので、法人カードの私的利用と判断されてしまいます。
一人で食事をしたときにかかった費用に関しても、経費とはなりません。事業に関係がない、と判断されてしまうからです。
ただし食事については、判断が難しいケースも珍しいわけではありません。もう少し詳しく解説する必要があります。
食事における個人利用と法人利用の判別方法
会社の業務と関連する人と食事をする場合には、経費として算入できます。カード決済をした場合にも、法人利用となるわけです。
いわゆる接待というものが、会社にはあるわけです。
接待に関しては、高級料亭であるとか高級レストラン、さらにはキャバクラやクラブで行われることもあります。
と思っている方もいるのではありませんか?
実は取引先などの業務に関係する相手と一緒に、キャバクラやクラブに行ったとしても、経費として処理してもOKなのです。
取引先からの印象を良くするための飲食代ということになるので、事業のための支出と判断されるからです。
実際には個人的な飲食代にも法人カードを利用しているケースが多い
法人カード利用の実態についても、知っておかなければなりません。
従業員が、個人的な食事などに法人カードを使うのは避けるべきです。しかし会社経営者であるとか、個人事業主に関しては、個人的な飲食代に法人カードを使って経費としているケースが珍しくありません。
会社から咎(とが)められることもありません。よって自身の家族や友人などとの食事代金の支払いに、カードを利用しているケースも多くなっているわけです。その上、経費処理しています。
本来であれば問題のある行為ですが、そもそも税務署として本当にビジネス相手と食事をしているのか、それとも全く関係ない相手と食事しているのかは確認できません。
また会社経営者や個人事業主に関しては、会社のお金を自由に利用できる立場にあります。会社に迷惑をかける事にもならないので、従業員とは法人カードとの付き合い方が大きく異なってくるわけです。
ただし会社の経営者であろうと個人事業主であろうと、飲食による経費の引き落としに関しては、領収書やレシートが必須です。利用したことを証明できる書類がなければならないわけです。
出張にかかる決済も法人としての利用になる!
- 出張時の移動費
- 出張時の宿泊費
- 出張時の取引先との会食代金
上記したものは、出張時に経費として法人カードで決済できる一例です。
移動費については、例えば新幹線代金や航空チケット代金、さらにはレンタカーやタクシー費用などが入ってくるわけです。
また自社の営業車で移動している場合には、ガソリン代金やETC費用も経費に算入できるので、法人カード決済が可能となります。
出張時の宿泊費用に関しても、ビジネスとしてかかってくる経費になります。
出張時には、ビジネスホテルなどに宿泊するケースも多いでしょう。ビジネスホテル利用でも、1泊あたり数千円がかかってしまうわけです。
その費用の支払いについても、法人カードにて支払いができるわけです。
一方で判断が分かれてくいるのが「3.出張時の取引先との会食代金」です。
もちろん取引先と会食したのであれば、経費として計上できます。法人カードでの支払いができるわけです。問題は出張時に一人で食事をしたケースです。
そもそも食事にかかる費用は、出張しようが出張でなかろうがかかってきます。よって出張先で一人で食事をした場合には、経費として算入できないとされています。
一方で取引先と会食をした場合には「接待交際費」に分類されます。前述した取引先と一緒に、キャバクラにいった時に法人カードを使えるのと同じような状況になるわけです。
私的利用と法人利用の判別方法のまとめ
- ビジネス目的の利用である:法人利用
- ビジネス目的ではない:私的利用
では「ディズニーランド」に行ったとしましょう。基本的には私的利用なので、法人カードで決済してはならない、と思っている方が多いと思います。
しかし業種によっては、ディズニーランドにかかる費用も経費として処理できる可能性があるのです。
たとえば出版社に所属するライターがいるとします。そのライターは会社からディズニーランドに関する記事を依頼された場合には、ディズニーランドにてかかったコストは取材費として経費処理ができることになります(チケット代金だけではなく移動費も経費対象です)。
ビジネス目的に利用したコストとして、認定されることになります。
説明できればOKとなるので、たとえば法人代表者が家族と食事にいった多くの場合は経費処理しています。
複数で行っているので、取引先との会食だと説明しようと思えば出来るのです。
嘘ではありますが、税務署としても法人カード会社としても「取引先と食事に行ったのか」それとも「家族と私的に行ったのか」はわかりません。
よって複数で食事にいった場合には、取引先と一緒に行ったことにして法人カード決済し、経費として処理しているケースが珍しくはないわけです。
裏技!福利厚生費として法人利用としてしまうことも可能
- プロ野球の観戦費用
- Jリーグの観戦費用
- アーティストのライブのチケット代金
- テーマパークのチケット代金
上記のようなものは、基本的には個人利用・私的利用とされてしまうものです。
よって法人カードで購入することは、避けるべきと考えられています。しかし福利厚生費として、法人としての利用にしてしまうことも可能です。
スポーツの観戦チケットであるとか、コンサートのチケットに関しては、社員の福利厚生として会社として購入することはよく行われています。
との経験をしたことがある方も、多いのではありませんか?
といった経験がある方もいるかも知れません。
よって仮に個人利用・私的利用であったとしても、社員への福利厚生して法人カードを利用したことにして経費として処理をする、といったこともできてしまいます。
福利厚生を行うのは大企業だけと思っている方も、いるのではありませんか?必ずしもそうではありません。
法人カードで社員に配布するチケットなどを購入することは、会社の大小に関係なく不自然なことは一切ありません。
どんな会社でも福利厚生として、法人としてのカード利用ができてしまうわけです。
旅行費用も福利厚生として法人カードで決済し経費処理することが可能
福利厚生費に関しては、たとえば社員旅行も含まれています。
仮に家族旅行であったとしても、社員がついていった、といったことにしてしまえば、旅行代金も福利厚生費になるわけです。法人カード決済もできれば、経費処理も可能です。
実際に家族経営のような会社に関しては、家族旅行も福利厚生の一つと考えられなくもないでしょう。
ビジネス目的で法人カードを利用した場合も領収書はとっておくべき?
領収書は保存しておくべき
明らかにビジネス目的で法人カードを利用したからといって、必ずしも経費として処理できるわけではありません。
経費を証明できる書類ということですが、「領収書」がメインとなります。一方で領収書が発行されないタイプの経費の支払いが発生することもあるわけです。
領収書が発行されない場合はどうすべきか?
確かに法人カードの利用明細があれば、法人カードを利用した額は証明できます。
「領収書は持っていないけどレシートなら持っている」というケースもあるでしょう。
「レシートでは不十分」との指摘もありますが、それでもどこでどれだけの金額を、何に利用したのかが把握できる資料ではあるわけです。
どこでどれだけの金額を経費として支払ったのかを、税務署に対して述べられるようにはなるわけです。
ただしすべての経費が、領収書なしである場合には、当然税務署から怪しまれてしまいます。店舗に対して前もって領収書の発行に対応してくれないかお願いしてみましょう。
領収書の発行自体はそれほど難しいわけではありません。ホームセンターや100円ショップなどにも100枚綴りなどで売られており、手書きで簡単に作成できるわけです。
お願いしてみたら対応してくれるかもしれません。
クレジットカードは私的利用とビジネス利用で使い分けよう
- ビジネス目的の利用:法人カード
- 私的利用:個人カード
一つのカードで、ビジネス目的の利用も私的利用もしてしまったほうが、楽に思えるかもしれません。
しかし逆に一つのカードで、2つの目的を混在させてしまうと手間が増えてしまうことになるのです。
よってビジネス目的の場合は「法人カード」、私的利用の場合は「個人カード」と使い分けることが肝心です。
法人カードでビジネスに係る経費をひと月あたり100万円支払っているとします。
このケースであれば、その会社にかかる経費は、ひと月あたり100万円と簡単に把握できます。ビジネス目的としてのみ利用しているからです。
一方で一つのカードで、ビジネス利用も私的利用もしている場合はどうなるでしょうか。
よりシンプルに経費は把握できるようにしていかなければなりません。そもそもビジネスにかかる経費が毎月一定であることはないのです。
多少なりとも上下はあるものです。閑散期と繁忙期がある業種であれば、経費は激しく上下することになります。
ビジネス目的だけで法人カードを利用していれば、急激な増加や急激な減少にも敏感に反応できます。原因を探り、今後の経営方針に役立てられるような方策も立てやすくなります。
一方でビジネス目的だけではなく、私的目的でも利用していると、経費の金額に問題が発生していたとしても気づけない可能性があります。
問題の把握が遅れ、状況が悪化してから対処し始めるといったことにもなりません。
まとめ
法人カードを個人利用・私的利用することについては、法律上の問題やクレジットカードの規約的な問題が発生することはありません。
法人カードを個人利用・私的利用してしまうと、経費の把握が難しくなってしまいます。
個人利用していると私的利用額が混在していることになるので、会社として現状でどれだけのコストが発生しているのかを確認しづらいわけです。
さらに社員が法人カードを個人利用・私的利用をすることには大きな問題があります。
仮に会社側に報告をしなかった場合には「業務上横領」とされてしまうかもしれません。罪を犯していることになってしまうのです。
個人利用したものを、代わりに会社に支払わせていることになるので、正しく対処しなければなりません。
法人カードを個人利用・私的利用した場合には、まずは会社側へ報告します。さらに金額を証明できる書類(領収書やレシート)を提出するのです。
会社側が金額を把握したら請求をしてくるので支払います。以上で処理は完了となります。
一方で個人事業主本人や会社経営者に関しては、法人カードの個人利用・私的利用に関しての状況が大きく異なります。
個人利用・私的利用であったとしても、ビジネス目的であると説明できれば、嘘であったとしても問題視されないのです。
例えば、社員の福利厚生として、プロ野球の観戦チケットを購入したとして、自身で利用することも可能です。
本当は個人利用であるにもかかわらず、福利厚生を口実として法人カードで支払って経費処理しているケースも枚挙に暇がありません。