法人ETCカードを選ぶ時にはどのようなことに注目すればよいのでしょうか?
[voice icon=”/wp-content/uploads/salaryman_hatena_336_squ.png” name=”man” type=”r”]「法人ETCカードなんてどれも同じなんじゃないの?」
「ETCレーンが利用できればどの法人ETCカードで良いんじゃないの?」
[/voice]ETCカードについては気軽に考えすぎている方が多いです。確かにETCカードの大きな機能には「ETCレーンが利用できる」というものがあります。しかしETCカードなのでETCレーンが利用できるのも当たり前です。その他の部分にも目を向けていかなければなりません。
こちらでは法人ETCカードを選び方を明らかにしていきます。
- ETCマイレージサービス
- 法人ETCカードの維持費(年会費および発行手数料)
- クレジットカードのポイント還元率
- ガソリン割引
- カードの取得難易度
以上の5つの比較ポイントについて徹底解説します。
1.ETCマイレージサービスが適用されるか?
- クレジットカード会社発行の法人ETCカード・・・ETCマイレージサービスが適用される
- 高速道路会社発行の法人ETCカード・・・ETCマイレージサービスが適用される
- 高速道路会社発行のETCコーポレートカード・・・ETCマイレージサービスが適用されない
そもそもETCマイレージサービスとは「有料道路の料金に充当できるポイントサービス」のことを指しています。5,000円分のポイントを貯めれば、5,000円分のETC料金に利用できるわけです。
ETCマイレージサービスの還元率は比較的高く設定されており、最大で10%にもなります。月に3万円のETC料金を支払う場合には、3,000円分のポイントを獲得できる可能性もあるわけです。
それだけお得なサービスが受けられるカードと受けられないカードがあります。
クレジットカード会社発行の法人ETCカードであれば、ETCマイレージサービスに登録できます。ポイントが貯められるので、有料道路の利用料金が実質的に割引されるような状態になるわけです。
一方で高速道路会社発行の法人ETCカードに関しては、ETCマイレージサービスの対応に違いがあります。
通常の法人ETCカードに関してはETCマイレージサービスが適用されますが、ETCコーポレートカードに関しては適用されません。
ETCコーポレートカードは基本的に大企業向けのカードとなっているので中小企業には関係のないカードです。大企業を経営している方は「ETCコーポレートカードはETCマイレージサービスには登録できない」と覚えておきましょう。
法人ETCカードを取得しただけではETCマイレージサービスは利用できない
ETCマイレージサービスへの登録が必須となっています。登録をせずにETCカードを利用することは可能ですが、その場合はポイントが付与されないのです。
還元率は1%から10%にもなるので、ETCマイレージサービスに登録できるカードを取得したのであれば必ず登録してください。
登録方法は難しいものではなく、WEB上からでも可能です。登録にはETC車載器管理番号とETCカード番号やその有効期限が必要になってきます。車載器管理番号の確認をした上でETCカードを手元に置き登録を進めてください。
ETCマイレージサービスのポイント還元率とは?
道路事業者による違いもあります。100円につき1ポイントという道路維持業者もあれば、10円につき1ポイントという道路事業者もあります。
ポイントの交換単位にもよりますが、基本的には1ポイントあたり1円相当として利用できます。よって還元率は1%から10%となるわけです。
2.ETCカードの維持費はどれくらいかかるのか?
[voice icon=”/wp-content/uploads/salaryman_hatena_336_squ.png” name=”man” type=”r”]「ETCカードに年会費はかかるのか?かかるとしたらいくらなのか?」
「ETCカードに発行手数料はかかるのか?かかるとしたらいくらなのか?」
「親カードである法人カードの年会費はいくらなのか?」
[/voice]法人ETCカードを比較していく上で「維持費」は極めて重要です。ETCカードは継続して利用していくものであり、1年や2年だけ利用するものではありません。維持費については継続して発生していくことになります。
維持費については少しでもかからないほうが良いに決まっています。カード会社によっても、法人ETCカードの年会費や維持費については様々な対応をしています。よってカード選びを行うときには必ず比較しましょう。
見落としがちになる部分でもありますが、ETCカードにかかるコストだけではなく親カードであるクレジットカード会社発行の法人カードの維持費にも注目しましょう。法人カード全体でどの程度の維持費がかかってくるのかも確認すべきなのです。
ETCカードの年会費はどの程度かかってくるのか?
- クレジットカード会社発行の法人ETCカードの年会費・・・無料から550円程度
- 高速道路会社発行の法人ETCカードの年会費・・・550円
- 高速道路会社発行のETCコーポレートカードの年会費・・・627円
※全て税込表示です
年会費で最もお得になる可能性があるのがクレジットカード会社発行のものです。年会費が無料に設定されているものもあり、コストを大幅にカットできる可能性があります。
ETCカードの年会費に関しては、1枚ずつかかってくる、ということを覚えておかなければなりません。例えばETCコーポレートカードを100枚発行した場合には617円×100枚なので、6万1,700円も毎年かかることになるわけです。
ETCカードの発行手数料はどの程度かかってくるのか?
- クレジットカード会社発行の法人ETCカードの発行手数料・・・無料から51,080円程度
- 高速道路会社発行の法人ETCカードの発行手数料・・・550円
- 高速道路会社発行のETCコーポレートカードの発行手数料・・・627円
※すべて税込表示です
発行手数料については初回にかかってくるものであり、年会費のように毎年かかってくるわけではありません。ただし1枚ごとに発生するものであり、発行枚数が多くなる予定の会社にとっては負担になる可能性もあります。
最もお得になる可能性があるのはこちらもクレジットカード会社発行のものですが、中には1枚あたり1,080円の発行手数料がかかるものもあるので、申し込みを行う前に必ず確認しておきましょう。
出資金について
- クレジットカード会社発行の法人ETCカードの出資金・・・なし(無料)
- 高速道路会社発行の法人ETCカードの出資金・・・1万円
- 高速道路会社発行のETCコーポレートカードの出資金・・・1万円
出資金については、高速道路会社発行のものだけに発生します。クレジットカード会社発行の法人ETCカードには発生しません。
出資金についてはカード1枚あたりに発生するものではなく1社あたりで1万円となっています。仮に高速道路会社発行のカードを利用したとしても、かかってくる出資金は最大1万円ということです。
法人カードの年会費にも注目しよう
- 法人カード(親カード)の年会費はいくらなのか?
- 追加カード(従業員カード)の年会費はいくらなのか?
ETCカードとは関係ないようにも思えますが、注目してほしいのがクレジットカード会社発行の法人ETCカードは「あくまで法人カードの追加カードである」という部分です。
法人カードがなければ法人ETCカードは発行できないので、法人カードにかかるコストも維持費として考えておかなければなりません。
大きな企業となると従業員カードの発行枚数も多くなります。追加カードの年会費についても確認しておきましょう。
3.クレジットカード(法人カード)のポイント還元率はどれくらいか?
高速道路会社発行の法人ETCカードに関しては、クレジットカードと紐付けられているわけでもないのでクレジットカードのポイントやマイルが付与されることはありません。
一方でクレジットカード会社発行の法人ETCカードに関しては、クレジットカード利用分としてETC利用額が引き落とされることになります。よってポイント還元の対象になるのです。だからこそポイント還元率はETCカードの比較をする時に重要なポイントとなってくるわけです。
ポイント還元率が0.5%以上に設定されているものがお得である
個人カードと法人カードを比較すると、ポイント還元率に大きな違いがあります。個人カードの場合は、ポイント還元率が1.0%以上に設定されているものが多くなっているわけです。
しかし法人カードに関してはポイント還元率が1.0%以上に設定されているものは稀です。
法人カードのポイント還元率でボーダーラインとなってくるのが「0.5%」です。還元率が0.5%以上に設定されている場合には十分な見返りが得られます。
一方で法人カードの中には還元率が0.25%しかなかったり、還元さえなかったりするカードもあります。
法人ETCカードの利用がポイント還元対象であるかも必ず確認しておきましょう。稀にETCカード利用分はポイント還元対象外としているカードもあるのです。
ETCマイレージサービスのポイントとクレジットカードのポイントの両取りはできるのか?
クレジットカード会社発行の法人ETCカードであれば、両取りが可能となっています。
ETCマイレージサービスのポイントも獲得できれば、クレジットカードのポイントも獲得できるわけです。
例えばETCマイレージサービスのポイントが10%還元であり、クレジットカードのポイント還元率が0.5%であるとします。そのケースで法人ETCカードを利用すれば、あわせて10.5%のポイント還元を受けられるわけです。
4.サービスステーションでお得な利用ができるのか?
クレジットカードの中には「ガソリンカード」と呼ばれているものがあります。ガソリンスタンドを運営している会社が発行しているカードであり、給油料金などがお得になるなどの特典があるのです。
法人ETCカードを利用するのであれば、少しでもお得に給油することも考えておかなければなりません。そこでガソリン系法人カードが選択肢に入ってくるわけです。
ガソリン系法人カードの特典の中身とは?
- 会員価格で給油できる
- サービスステーションでカードを利用すると還元率がアップ
- ガソリン価格の割引サービスあり
ガソリン系法人カードのサービスで注目しなければならないのが、すべてのサービスステーションに対応しているわけではない、というところです。
たとえば「シェルビジネスカード」という法人カードがありますが、そちらは「昭和シェル石油」の利用時に最大で3.0%の値引きが受けられる特典がついています。あくまで昭和シェル石油の優待サービスがあるだけで、エネオスであるとかコスモ石油のサービスステーションで利用したとしても特典はありません。
割引サービスの場合は、段階性になっていることが多いです。
ガソリン系法人カードである「シナジーJCB法人カード」は、前月のカード利用額によって割引率が決定します。
以下に「シナジーJCB法人カード」における給油割引の中身について掲載します。
一般カードであれば月に7万円以上を利用することで、翌月のENEOS・エッソ・モービル・ゼネラルでの給油が1リッターあたり7円引きとなります。一方で仮に1万円未満だと1リッターあたり1円引きにとどまってしまうのです。
シナジーJCB法人カードのような段階性で割り引き額が決まるケースについては、月の利用額についてもある程度計算しておきましょう。安定して高い割引率が利用できるように対策を立てるのもおすすめです。
※固定費(公共料金など)の支払いに法人カードを利用することで、月々のカードの利用料金をある程度安定化させることが可能です。
ガソリン系法人カードの種類は豊富
ガソリン系法人カードの大きな特徴として「選択肢の多さ」があります。たくさんのカードの中から自社にマッチしたカード選びが可能です。
例えば以下のようなカードがあり、さらに一般カードやゴールドカードなどに細分化されているものまであるのです。
- ENEOS系法人カード
- 出光系法人カード
- 宇佐美系法人カード
- コスモ石油系法人カード
- エッソ・モービル・ゼネラル系法人カード
- 伊藤忠エネクスSS系法人カード
- キグナス石油系法人カード
ガソリン系法人カードは、どのサービスステーションをよく利用するかで決めるのがおすすめです。定期的に利用しているサービスステーションのカードでなければ意味がありません。
5.自社が取得できる難易度であるか?
高速道路会社発行の法人ETCカードであれば、実質的にほとんど審査は行われないので心配はありません。問題となってくるのは、クレジットカード会社発行の法人ETCカードです。
クレジットカード(法人カード)を発行しなければETCカードは発行できないことになるので、まずは法人カードの審査を受けなければならないわけです。
法人カードの審査難易度はカードによってもだいぶ異なります。自社でも審査が突破できる法人カードの取得の目指しましょう。
法人カードの審査難易度の判断材料について
- クレジットカードのグレード
- クレジットカードの年会費
法人カードの審査難易度に大きく関わるのが「グレード」です。グレードとは一般カードやゴールドカード、そしてプラチナカードを指しています。グレードが高ければ高いほど審査難易度は高くなってしまうのです。
有名な企業であるとか業績が良好な会社であれば、いきなりゴールドカードやプラチナカードの取得を目指しても良いかもしれません。しかし中小の企業であり業績もそれほど目立ったものがないのであれば、一般カードから始めてください。
一般カードで実績を積んだら、ゴールドカードに招待されるかもしれません。利用実績が高まれば、ゴールドカードやプラチナカードに申し込みを行っても審査を突破できる可能性は高まるわけです。
年会費の高低も法人カードの審査難易度に大きく関わってきます。
年会費が高いカードについては審査難易度が高くなっており取得は難しいです。一方で年会費が無料であったり1,000円台や2,000円台のものであれば、審査難易度は低いと判断できます。
年会費に関しては、取得希望者をふるいにかける効果もあります。
[voice icon=”/wp-content/uploads/teacher_point_336_squ.png” name=”teacher” type=”l”]カード会社として
「このカードは年会費が高いので選ばれた方しか取得できません」
「このカードの年会費は低いので多くの方が取得可能です」
と言っているのです。
[/voice]審査難易度が高いカードが良いのか?低いカードのほうが良いのか?
審査難易度ではカードの良し悪しは判定できません。自分にとってお得なサービスが付帯しているかで判断しましょう。
たとえば前述したガソリン割引もサービスの一つです。給油料金が会社として負担になっているのであれば、年会費は少しかかったとしても割引があるカードを選ぶメリットが出てきます。
保険系のサービスにも注目しましょう。特に出張の多い会社であると、海外旅行保険や国内旅行保険が役立ちます。出張中についても旅行保険が対応してくれるのです。
しかし保険サービスを重視しているカードはそのかわりに年会費が高いので、コストをかけてでも保険を重視するかを判断しなければなりません。
まとめ
法人ETCカードを比較して選ぶ時のポイントを5つ紹介しました。
すべてのポイントを重視する必要はありません。すべての方の希望を満たしたクレジットカードはありません。自身にマッチングしたカードを選ぶ、ということが必要になってくるわけです。
あなたは法人ETCカードを利用することによるコストに注目するでしょうか?
それとも法人ETCカードを利用する見返りに注目するでしょうか?
ETCの利用というよりは自動車にかかるコスト(給油料金)に注目するでしょうか?
まずはETCカードを取得しなければ始まらないので審査難易度に注目するでしょうか?
人それぞれの考え方があるのは当然のことです。
あなたは法人ETCカードとどのような付き合いを希望しているのでしょうか。まずはETCカードの利用を想像してください。その上でどの比較ポイントが自身にとって重要であるかを考えるのです。
重視すべきポイントが見つかったら、そのポイントを重視した法人ETC選びを開始しましょう。