タイムカードでの勤怠管理における問題点とは?
勤怠管理といえば、タイムカードを使用した手法が一般的ですが、タイムカードを使用したアナログな勤怠管理にはいくつかの問題点があります。
紙の資料なので給与計算などのために集計する際に手間が掛かりますし、入力ミスなどによって正確な計算ができない、修正・確認にも時間がかかります。更に他人でも簡単に打刻ができますし、タイムカードを紛失すれば勤怠状況の確認が困難になります。
紙のタイムカードを使って勤怠管理をするのならば、これらのデメリットを受け入れなければなりません。
そもそも勤怠管理アプリとは?
紙のタイムカードのデメリットを補う新しい勤怠管理の手法として注目を集めているのが、勤怠管理アプリを活用した勤怠管理手法です。
勤怠管理アプリとは、タイムカードに代わってPCやスマホによる勤怠管理を可能にするアプリで、デジタルデータとして勤怠情報を取り扱うので集計が簡単になりますし、不正な勤怠情報の入力を防ぐ機能があるツールもあります。
例えば、社員証をICカードにして、ICカードを社内の所定の場所に設置されたリードで読み取ることによって入退勤を記録したり、パソコンやスマホで勤怠を報告したりと各社の状況に合わせてさまざまな勤怠管理アプリ・システムが運用されています。
コスト的にも安価なものが多く、タイムカードから切り替える際のスイッチコストもほとんどないものもあるので中小企業でも安心して導入できます。
勤怠管理アプリのメリット・デメリットをまとめました!
勤怠管理アプリを活用することによって、タイムカードを使った勤怠管理よりも効率的な運用が可能となりますが、具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのかについて解説します。
メリット:時間を集計しやすくなる
タイムカードよりも勤怠管理アプリを利用する方が時間の集計をしやすくなります。
タイムカードは紙に時間を打刻しているので、集計するためにはタイムカードのデータをエクセルなどに入力する作業が発生します。このときに入力ミス、計算ミスが発生する可能性があり、ミス防止の確認作業も含めるとタイムカードのデータをデジタルデータに変換するのには手間がかかります。
勤怠管理アプリを使用すれば初めからデジタルデータとして勤怠管理情報を扱えるのでミスの発生を防止し、効率的に集計作業ができます。
メリット:不正な打刻を防止できる
不正打刻の防止にも勤怠管理アプリは効果的です。顔認証や静脈・指紋認証のシステムを導入したり、社員証のICカードをリーダーで読み取ったりして勤怠管理を行えば他人に打刻してもらうことができなくなります。
また、GPSにより打刻した際の位置情報を記録するアプリもあるので、直行直帰、出張などの際でも勤怠管理が可能となります。
メリット:リアルタイムで労働時間を管理できる
タイムカードで管理している場合、手間がかかるのでいちいち個人のタイムカードをチェックしない場合も多いです。結果として、特定の従業員に多大な業務負担が発生しているのにも関わらず把握が遅れるというケースも多いです。
勤怠管理アプリを使用すれば、システム上から簡単に各従業員の勤怠状況を確認できるので、リアルタイムで労働時間を管理、職場環境をコントロールしやすくなります。
メリット:他システムと連携できる
勤怠管理は単体で使用するのではなく、給与計算や人事評価などと組み合わせて活用するケースが多いです。そのためタイムカードを使ってアナログに勤怠を管理しているとこれらのシステムに対しても集計した情報を記録しなければならないので手間がかかります。
一方で勤怠管理アプリの場合は、他のシステムと簡単に連携できるように設定されているタイプもありますので、これらのアプリを利用することによって他のシステムも含めて連携させ、業務効率の向上が期待できます。
デメリット:導入・運用に費用が発生する
勤怠管理システムを導入するともちろん導入・運用のために費用が発生します。ソフトの導入はもちろんのこと、指紋認証やICカード認証を利用する場合はハードの導入も伴う場合もあります。
また、毎月の利用料の支払いやシステムの維持のために運用費用も発生します。タイムカードによる勤怠管理と比較すると業務効率が向上する反面、費用は高くなりがちです。
デメリット:十分に使いこなせないかもしれない
勤怠管理アプリの中にはさまざまな機能が付加されたシステムもあります。このようなシステムは多機能なゆえに操作方法が複雑で従業員に浸透しないリスクも発生します。
現場に浸透するように、無駄な機能はそぎ落とし、直感的に操作できる、使いやすいシステムの導入を検討した方がよいでしょう。
勤怠管理アプリの選び方を解説!
勤怠管理アプリを導入する際は、自社の働き方や雇用形態に合わせたアプリを選んだ方がよいです。具体的にどのような基準で勤怠管理アプリを選べばよいのかについて解説します。
自社の勤務・雇用形態を明確にする
まず行うべきは自社の勤務・雇用形態を明確にすることです。出張や外回りが多い職場だと直行・直帰の勤怠が記録できないと困りますし、在宅ワークの従業員が多い場合は、家にいる従業員の勤怠を管理する必要があります。
他にも従業員によって所定の労働時間が異なったり、交代勤務制で定時が変化したりと職場によってさまざまな勤務の仕方があると考えられます。
勤怠管理アプリを導入する場合は、まず自社にどのような勤務形態・雇用形態が多いのかを分析して、勤怠管理アプリに求められる要件を明確にしなければなりません。
打刻方法を検討する
勤務・雇用形態によって異なるのが打刻方法です。会社に出勤する社員中心の企業であれば会社の中にタイムレコーダーを設置してICカードで読み取るタイプの打刻方法で対応可能です。
工場などでも基本的にこのタイプの打刻が一般的ですが、交代勤務制などもあるので定時は存在しないのでベースとなるシステムは若干異なります。
他にも外回りや出張が多い職場ならスマホやPCで遠隔で打刻するタイプのシステムの方がよいでしょう。
他システムとの連携、サポートなどは充実しているか
勤怠管理の結果は単体で使用するのではなく、人事評価や給与計算、人材管理データベースなどとも結びつきます。タイムカードを使用している場合、結果をエクセルなどで集計して各システムにデータを反映させなければならないので、二度手間、三度手間になります。
業務を効率化させるために、裏側でどのようなシステムと連携させるのか、どのようなオペレーションで勤怠管理をするのかについては考えた方がよいでしょう。
また、実際にアプリを導入して勤怠管理を行っていくと、さまざまな疑問が発生するはずです。どのようにアプリ提供会社がフォローしてくれるのかについてもチェックしてください。
業種ごとに勤怠管理アプリの導入事例をご紹介します!
業種によっても雇用や勤務形態が異なるので、勤怠管理の手法が異なると考えられます。典型的な業種・業界ごとの勤怠管理のパターンと共にどのように勤怠管理アプリを利用すればよいのかについて解説します。
飲食・サービス業などアルバイト中心の企業の場合
飲食店・サービス業などでアルバイト中心に雇用している場合、大規模化するとどのように勤怠を管理するのかが重要な問題となります。
特に学生が多い場合は、試験や就活に合わせて長期休暇を希望したり、急な病欠、早退、遅刻が発生したりとイレギュラーなシフトが多くなります。また、本当は出勤していないのに仲間に代わりにタイムカードを押してもらうケースも考えられます。
お金をかけられるのであれば、打刻方法を本人しか打刻できない指紋認証のようなタイプに切り替えるのもよいですし、シフト作成機能もセットになっている勤怠管理アプリの方が便利です。
また、アルバイトが多いと給与計算も大変になりやすいので、給与計算システムと連動させられる方が業務を効率化しやすいです。
商社・建設業のように直行・直帰が発生する企業の場合
商社・建設業のように社外でずっと活動する業種の場合は、直行直帰・出張などによってタイムカードによる打刻が困難となります。
勤怠管理アプリの中でも場所を選ばずに打刻できるタイプのシステムがあるので、外回りが多い業種はこれらのアプリを使用するとよいでしょう。外出先でも不正打刻ができないように、打刻した時点のGPSを同時に記録するタイプの勤怠管理アプリもあります。
病院のように職種がたくさんあり勤務も不規則な業種の場合
病院のように医師、薬剤師、看護師、医療事務従事者といった複数の職種が働いており、早番や夜勤、突然の残業発生などフレキシブルな勤務が発生しやすい事業者の場合、勤怠を集計する作業に多大な時間がかかります。
勤務形態に合わせて自由にカスタマイズできて、シフト作成機能があり、集計機能に強い勤怠管理システムを導入した方がよいでしょう。
運送業のように正確な勤怠管理を行うのが困難な業界の場合
運送業の場合、例えば長距離便の運転手になると24時間以内の会社に戻ってこられず、道中でさぼったりしても監視できません。会社に戻ってくるまでの期間が長いので勤怠管理が困難となります。
よって、GPSを使った勤怠管理アプリを使用して、従業員の行動を捕捉して勤怠状況に反映させた方がよいでしょう。
勤怠管理アプリの費用相場はどれくらい?
勤怠管理アプリはさまざまなシステムが存在するので、価格競争が進んでおり安価なシステム導入も可能です。勤怠管理アプリにまつわる費用について説明します。
オンプレミス型かクラウド型か
システムには自前でサーバーを保有するオンプレミス型とサービス提供者のサーバーにログインしてシステムを利用するクラウド型の2種類があります。
クラウド型の場合、初期費用0円から数万円で導入できますが、オンプレミス型の場合サーバーなどに初期投資が必要なので数十万円から数百万円の投資が必要になります。
運用費用についてはクラウド型の場合、1名あたり100円から500円程度の月額利用料が発生し、高機能型のシステムの方が料金は高い傾向があります。オンプレミス型の場合は、システムを買い切っているのでサーバーやシステムの保守・運営に掛かる費用だけとなります。
ハードを用意するためのコスト
クラウド型、オンプレミス型いずれにしてもユーザーが打刻をするためのハードを揃えなければなりません。指紋認証や顔認証を使用するならばそれらを読み取るための専用の機械が必要になりますし、従業員に打刻用のICカードを配る場合は、ICカード+リーダーを用意しなければなりません。
コストを一定に保つならクラウド型の方がよい
小規模な企業の場合、サーバー運用・管理コストが高いのでクラウド型を導入した方がよいのはもちろん、データのバックアップ、セキュリティ対策、システムの更新コストを加味するならば大規模な企業であってもクラウド型を採用した方がよいケースが多いです。
オンプレミス型にすると初期投資が掛かる分だけ、運用コストは低くなるかもしれませんが、手間がかかります。
勤怠管理アプリを作成することはできる?スマホ利用の無料サービスはある?
勤怠アプリにお金を掛けたくないので、自前で勤怠管理アプリを作成したいという企業も存在するかもしれません。
もちろん、簡単な勤怠管理システムであれば社内にエンジニアがいれば作成できますし、ICカードやタイムレコーダーなどのハードもパーツショップで簡単に入手できます。ただし、自前で作成すると、トラブルがあったときも完全に自身で対応しなければなりませんし、定期的に保守・管理を自前で行わなければなりません。
勤怠管理に関するコストを抑えたいのならば、自前で勤怠管理アプリを作成することもよいですが、無料で利用できる勤怠管理アプリを利用するのもよいでしょう。
例えば、スマレジ・タイムカードという勤怠管理アプリがあります。これはタイムカード機能だけ、月額30名までなら無料で使用することができます。スマホやパソコンを用意してこのシステムを導入すれば簡単に勤怠管理が行えるようになります。
他にも「タイムカード」「勤務ろぐ Free」など簡単な機能かつ、スマホやパソコンで出退勤を記録するアプリであれば無料で導入可能です。
おすすめ勤怠管理アプリ5選!
さまざまな勤怠アプリの中でも特におすすめのアプリを5種類紹介、それぞれどのような特徴があるアプリなのか解説します。
勤怠管理、ワークフロー、ファイル管理などの機能がセットになった「サイボウズOffice」
サイボウズOfficeは65,000社以上が導入しているグループウェアで、勤怠管理を含めて、スケジュール・施設予約、掲示板、ファイル管理、ワークフロー、To DOリストなど働くために必要な機能がほとんど網羅されています。
勤怠管理についてもサイボウズ Officeにログインするだけで簡単に出勤・退勤が記録出来て、結果はCSVで出力できるので、簡単にデータを加工・集計できます。
自社の業務に合わせて業務アプリケーションを作る機能もあるので、簡単に広範な業務をシステム化したいのならば検討すべきアプリです。
どこからでも打刻・勤怠管理ができる「jinjer勤怠管理」
PC、スマホ、タブレットなどから簡単に打刻できるので、外回りが多い企業でも勤怠管理に使用しやすいツールです。また、勤怠管理だけではなく36協定に基づいて労働時間が超過しそうな従業員を発見したり、打刻忘れなどについても自動的にアラート機能で教えてくれるのでリアルタイムでの労働管理が可能となります。
月額300円/人から利用できて、jinjer経費精算、jinjer人事管理など他のjinjerシリーズのシステムとも連携できます。
クラウド型勤怠管理システムとしてシェア1位の「KING OF TIME」
KING OF TIMEは富士キメラ総研の調査によるとクラウド型勤怠管理システムとしてシェア1位を獲得しているサービスで、導入企業数は17,000社以上、1,400,000ID以上が使用されています。
生体認証、PC接続、ICカード、チャット打刻などさまざまな手法で打刻ができて、残業基準設定、スケジュール・シフト管理、申請承認機能、休暇管理機能、アラート管理機能、働き方改革関連設定など各社の労働環境に応じて柔軟なカスタマイズが可能です。
アルバイトの勤怠管理に使用しやすい「CAST」
アルバイトの勤怠管理を行う事に特化したシステムです。シフトの提出依頼や催促、集まったシフトの調整、周知などもシステムで半自動的に行えます。LINEとも連携できるのでアルバイトにも浸透させやすいシステムです。
シフト管理に特化したシステムですが、タイムカード機能もセットになっていて、システムを通じて打刻ができます。
シンプルに使えてあらゆる勤務形態に対応できる「ジョブカン」
シンプルで従業員に使いやすいUIでありながら、変形労働、フレックス、裁量労働などの勤務形態に対応、所属や雇用形態に応じて細かい設定・運用ができるのがジョブカンです。
出勤管理、シフト管理、有休管理、工数管理、残業管理など勤怠管理に必要な機能を網羅しており、初期費用は0円、1つの機能であれば1ユーザーにつき月額200円から、5つ全ての機能を使用しても1ユーザーにつき月額500円しか必要ありません。
最短即日で導入可能ですが、30日間の無料トライアルも用意されています。