起業前に「勝てるマーケット」を決めるための市場調査方法

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起業するときにまっさきに考えるのは「どんな事業にするか?」です。すでにあるノウハウや経験を武器にするのが一番なのですが、競合が盛りだくさんのマーケットの可能性も当然あります。今回は「勝てるマーケット」を決めるための市場調査方法について解説します。

「勝てるマーケット」を選ぶ重要性

例えば、あなたが起業して携帯電話のキャリア会社を作ろうとしたら・・・

莫大な資金が必要ですし
相手のドコモ、KDDI、ソフトバンクは超巨大企業です。
経済産業省や総務省とのパイプも必要ですし、
そもそも認可が受けられません。

いろんな意味で起業直後に算入するマーケットとしては不可能と言っていいでしょう。

じゃあ、参入しやすい人材紹介会社を作ろうとしたら・・・

今や人材紹介会社は1人の会社から上場企業まで星のくずほど会社があります。
競合が盛りだくさん

ということです。勝てる可能性はよほど特別な「強み」がなければ難しいのではないでしょうか。

ビジネスで成功するための会社を作るためには

競合が少ないマーケット

 +

自分の経験やノウハウ、人脈から来る「強み」を活かすビジネス設計

で戦う方が「成功の確率が上がる」ということなのです。

ニッチな市場で戦うランチェスター戦略を取るためにも、競合が少ないマーケットを見つけることは起業の最重要課題と言えます。

当然、敵がいっぱいいるところで戦っても、勝てるだけの能力やアイディアがあるのであれば成功する可能性はありますが、「成功の確率を上げる」ためには「勝てるマーケット」を見つける必要があるのです。

「勝てるマーケット」の選び方

「起業のバイブル:中山匡」という本を読んで、なるほどと思った点があります。

中山氏の「勝てるマーケット」の選び方は、googleのキーワード検索数と広告の入札単価を比較する方法です。

私はインターネットの広告代理店出身ですから、googleのキーワード検索数と広告の入札単価は日常的に見るものであり、クライアントへのマーケティング戦略の提案でも良く利用していたツールなので、とても納得のいく方法だと感じました。

「勝てるマーケット」の選び方の方法を説明します。

使用するツールはgoogleが提供している「キーワード プランナー」というサービスです。

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https://adwords.google.com/KeywordPlanner?hl=ja

例えば、googleで「サプリメント」と検索すると

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上部に「広告」という緑のアイコンがついた検索結果が4つ並んでいると思いますが、これはクリック課金型のgoogleの広告であり、これに広告出稿するときに使うツールが「キーワード プランナー」なのです。

以前は無料でしたが、現在は広告出稿をしている方しか正確な数値で利用できなくなっています。無料で利用すると数値が概算の数値になってしまいます。

「キーワード プランナー」って何ができるの?

健康食品の通信販売で起業しようと考えている方が「勝てるマーケット(商品ジャンル)」を選ぶというケースで考えてみます。

今回はシンプルに下記のカテゴリから選ぶという条件で考えます。

  • グルコサミン
  • ラクトフェリン
  • 黒酢
  • にんにく
  • 高麗人参
  • マカ

1.キーワードを入れて「候補を取得」します。

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2.「月間検索数」「競合」「推定入札単価」が表示されます。

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3.市場のポテンシャルを考えてみます。

月間検索数 → 市場の大きさ(パイ)を示します。
推定入札単価 → 高ければ高いほど競合が多いことを意味します。

※「競合」は無視します。指標としては使いません。

推定入札単価というのは、googleの広告はクリックされたときに課金される形の広告で、入札した金額が高い広告主の広告が上位に掲載されるのです。推定入札単価というのは1位に表示するために必要な1クリック当たりの広告費ということになります。

競合が少なくて、市場が大きいマーケットは

マーケットのポテンシャル = 月間検索数 / 入札単価

計算するとこうなります。

マーケット候補 月間検索数 入札単価 マーケットのポテンシャル
ラクトフェリン 49500 571円 87点
にんにく 60500 209円 289点
マカ 49500 210円 236点
高麗 人参 22200円 259 86点
グルコサミン 27100円 381 71点
黒 酢 33100円 268 124点

つまり、市場が大きいけれども、競合が少ないのは

1位:にんにく 289点
2位:マカ 236点
3位:黒酢 124点

ということになります。

にんにくは検索する人が多いけれども、競合が少ない為入札単価が低くなっていて、マーケットのポテンシャルは大きいことになります。

上記の候補の中であれば、起業するときは「にんにくサプリメントの通信販売からスタートすべき」ということになるのです。

より細かく考えるのであれば

  • 客単価
  • 利益率

がカテゴリによって異なる場合は、考慮する必要があります。

ただし、今回のようなサプリメントであれば、客単価や利益率はそれほど違いがないので、上記のシンプルな指標だけでも十分に検討材料になるのです。

別の例「人材紹介会社の起業」で考えてみる

人材紹介会社といっても、いきなり総合型の人材紹介ができるわけではありません。ジャンルを絞った人材紹介会社からはじめる必要があります。

今回はシンプルに下記のカテゴリから選ぶという条件で考えます。

  • 看護師
  • エンジニア
  • デザイナー
  • 薬剤師
  • 介護
  • シニア

というジャンルで考えてみます。

マーケット候補 月間検索数 入札単価 マーケットのポテンシャル
看護 師 求人 33100 2190円 15点
介護 求人 22200 911円 24点
薬剤師 求人 14800 9559円 2点
シニア 求人 6600 198円 33点
デザイナー 求人 3600 596円 6点
エンジニア 求人 1000 1162円 1点

という結果になりました。

「薬剤師 求人」の入札単価は9559円と異常なぐらいレッドオーシャンなのです。

人材紹介会社を立ち上げるのであれば

シニア専門の人材紹介会社
介護専門の人材紹介会社

が「勝てるマーケット」ということになります。

ただし、サプリメントのときはそれほど客単価に差がないので、必要ありませんでしたが、人材紹介の場合は職種の年収に応じて客単価が大きく違います。看護師、薬剤師であれば年収500万円ぐらいですから、介護士の250万円と比較したら売上も2分の1になってしますのです。

売上も考慮すると

マーケットのポテンシャル = 月間検索数 / 入札単価 × 売上比率(一番高いのを100%)

マーケット候補 月間検索数 入札単価 売上比率 マーケットのポテンシャル
看護 師 求人 33100 2190 100% 15点
介護 求人 22200 911 50% 12点
薬剤師 求人 14800 9559 100% 2点
シニア 求人 6600 198 50% 17点
デザイナー 求人 3600 596 70% 4点
エンジニア 求人 1000 1162 90% 1点

です。想定した売上比率を考慮すると、この場合はシニア求人が有望ということになります。

2番手の看護師求人は、ニーズも多く、競合もそれなりにいるけれども、売上が見込めるからマーケットの点数は高いということになるのです。

「勝てるマーケット」で1位になってから、テリトリーを広げれば良い

「小さいマーケットで勝のが良い」というと

夢を抱いている経営者は

「俺は人材紹介会社でリクルートを倒す会社を作るんだ。」
「やずやを超える健康食品会社にしたい。」
「ちまちましたマーケットで戦う気がない」

と言います。

しかし、小さいマーケットで勝つことで経営ベースを作ってから、徐々にテリトリーを広げていけば良いだけなのです。

一生「にんにくサプリメント」しか売ってはいけないわけではないのです。

「にんにくサプリメント」の健康食品会社で

  • 十分なノウハウを得て
  • 十分な利益(内部留保)を増やして

「黒酢」「グルコサミン」・・・とテリトリーを増やして、やずやを目指せば良いだけなのです。

まとめ

起業をするにしても
新規事業を作るにしても

「競合」と「マーケットのパイ」と「自社の強み」の3つのポイントは必ず押さえておく必要があります。

実はこれが「3C分析」です。

「3C分析」と言ってしまうと、なかなかとっつきにくいものですが、googleのツールで簡単にこの「3C分析」ができるのであれば、使い勝手の良いツールになるのです。

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