売上がないわけではないが、今一歩、伸びがない…。
そのような悩みを持たれる方が意外に多いように思います。
そういう方に接してみると、決まっておっしゃることがあります。
「競合他社に比べて、ウチが劣っているわけではないと思うのだけど…」
「競合他社より安くしてもダメな理由なんて思いつかな…」
つまり、製品力には自信があるのだけど、どこで差がついているのか判らない。
もし、あなたもそのようなお悩みを抱えている中のお一人でしたら、まず考えていただきたい「基本」があります。
今行っている方法は本当に最善なのか?
「戦略的」に「長期的な視野」をもって方法を見直してみる
「マーケティング」はいうまでもありませんが、市場の動向を調査から自社の製品をいかに売り込んでいくのか、というある種の指針を出す作業でもあります。
しかし、今あなたが行っている方法は、本当に「最善」といえるのでしょうか?
過去十数年にわたりコンサルティングを行ってきた専門家に話を聞くと、競合他社に対して一歩抜きん出ることができた会社に共通する点は
「長期的な視野をもって、戦略的に行動を常に見直している」
ということです。
事業活動を「最適化」と「イノベーション」の二段階で考える
具体的な例では、今では大きな市場規模となった宝石の通販事業についてあげられました。
成功している企業は初年度には大きな赤字をだしているものの、次年度以降その広告戦略を革新的に変更したといいます。
その結果、初年度は黒字を出したものの市場価値に見切りをつけて早々に事業撤退をおこなった企業の数倍の売上をあげたそうです。
この場合、商品となる宝石についてはほぼ同じ品質でしたが、成功企業はメインとなる宝石以外の点、ラッピングで高級感をより演出したり、購入した顧客への「手紙」を同梱することで更なる購買プロセスへ誘導したりするといった、当時としては革新的な方法を取り入れ、差をつけたのです。
事業を立ち上げた当初は広告費などで赤字が膨らみましたが、そこで撤退を考えるのではなく、事業を長期的な視野をもって戦略を見直しを行ったのです。
宝石の市場自体が飽和状態で、儲けを得る余地がないのなら撤退という形にもなったでしょうが、まだまだ改善により付けいる隙があると判断した経営者は行動を起こしました。
それが、現在行っている事業を見直し効率化できるところは効率化して「傷」を最小限度に抑え「最適化」する(第一段階)、その上で「イノベーション」を発揮して新たなアプローチ方法を打ち出した(第二段階)というわけです。
多くの経営者は、第一段階で行動を終了してしまいがちですが、第二段階まで進むことによって、より多くの利益を得、一歩抜きん出ることが可能になるわけです。
マーケティングの変化で結果を変えよう
業績のチェックやマーケティング変数改善をいった、基本的マーケティングについて行っていない中小企業経営者が多いといいます。
これまでやってきたことがいいから、というわけではなく、それしか判らない、というのが実態なのかもしれません。
しかし、これでは「停滞状況の打破」という目標をかなえることが到底できません。
どんな小さな変更も無駄ではない
ちょっとした広告の変更で、売上アップが図られた、ということはよく聞きます。
これまでは普通に自社製品の宣伝のみの広告だったものを、ほんの一文、
「今、この製品をお買い上げ下さった方がいいのには理由があります。それは…」
といったように変えたところ売上が30パーセント上がった、という例もあります。
立ち止まってよく考え、どのようなことができるのか(どのようにすればよい結果が得られるか)を検討し続けることが大事です。
「オンリーワン」企業をアピール
前述した宝石通販の会社は、結果的にその市場で「唯一」の存在として認識されるようになりました。
そうなれば、自然と顧客はそこで購入するようになっていきます。
それは顧客が、その会社こそ自分の役にたつ唯一の存在である、と認識したことに他なりません。
そこで、あなたは言うかもしれません。
「そこはある種、特別な会社だよ。ウチなんて、扱っているのは他の会社と同じものだし、そんな卓越した製法を使っているわけでもないし…」
しかし、どんな会社でも「オンリーワン」になる可能性はあるのです。
市場で「一線を画すため」に行うこととは?
顧客の生活や仕事からあらゆるリスクを取り除いて、豊かなものにすることが全ての仕事の目的といえるでしょう。
数多くある競合他社からあなたの会社を選んでもらうために行う方法を二つご紹介しましょう。
まずは、「商品を買うときに何を基準に買えばいいのか、徹底的にアピールする」です。
例えば、
「石鹸を買うときはやはり地肌にやさしい成分を含むものがいい」
ということをあらゆる手段(データを表示したり体験者の話を加えたりして)を用いて紹介します。
そのうえで、自社の石鹸はこれらの基準を完全に満たしているものと紹介することでアピール度は格段にあがり、顧客側の信頼度も同時にアップすることになります。
もう一つは「他社に先んじて自らの手の内を明かす」というものです。
これは前述の基準について他社がアピールを既にしている場合などに有効で、特に「製造工程」を進んで明かすといったことがあげられます。
具体的には外食産業などで最近盛んに行われてる「産地の表示」やそこからどのようにお客様の口に入るか紹介する、といったことがあります。
昨今発生した食品の偽装表示問題や健康への関心の高まりなどを考慮すると非常に有効な手段ということが判ると思います。
このような方法は、やはり長期的な戦略眼をもって、常に自分の行っている方法を見直していくことから出てくるものだと思います。
実際、今日有効なアピールも明日には陳腐化するかもしれないというのは十分考えられることなので、常にマーケティングのアンテナは立てておくことが望ましい、というのはいうまでもありません。
しかし、一旦この流れを行えるようにシステム化してしまえば、「オンリーワン」企業としての地位を保っていけることは十分可能なことです。