知らなかったでは済まされない!Web担当者が押さえておきたい著作権の基本

Webサイト運営に携わっていれば、避けては通れないのが著作権の問題です。文章・写真・イラスト・動画・デザインなどなど、Webサイトはさまざまな著作物から構成されています。あらゆる著作物には著作者がいますので、Web担当者にとって著作権に関する知識は不可欠だといえるでしょう。
特に近年はコンテンツマーケティングが隆盛ですから、1つのサイト内で取り扱うコンテンツ量も増えているはずです。悪意があって盗用するのは論外としても、無意識に著作権を侵害してしまっているというケースは案外多いもの。 無用なトラブルを避けるためにも、最低限の著作権知識は身につけておきましょう。

そもそも著作権とは?

まずは、著作権がどういう権利であるのかをおさらいします。
一般的には「著作権」と一括りにして語られがちですが、著作物に関する権利には「著作権」と「著作者人格権」 の2種類があります。いずれもWebサイト運営においては無視できない権利ですので、両者の違いをしっかり認識しておきましょう。

○著作権

著作権は、著作物を権利者の財産として認め、第三者の利用を制限するための権利です。
他人の所有する土地や建物を無許可で利用すると、所有者から怒られますよね? それと同じように、著作物も財産なので利用の際には権利者の許可を得なければなりません。勝手にコピーしたり配布したりすることは、いずれも著作権侵害に当たります。
ただし財産であるということは、譲渡したり放棄したりすることも可能だということです。そのため著作権者と著作者は必ずしも同じではありませんし、無料で使える著作物も世の中にはたくさんあります。
また、一定の年数(日本では作者の死後50年、映画のみ発表後70年)が経過すると、著作権は消滅して誰でも自由に使えるルールとなっています。

○著作者人格権

一方の著作者人格権は、「著作物の発表の際には著作者の意思を尊重しなければならない」ということを定めた権利です。
こちらは著作物そのものに対する権利ではなく著作者に帰属する権利ですので、譲渡も放棄もできません。著作権が他人に譲渡されていたとしても、著作者人格権はずっと著作者自身のものです。
著作者が承諾していないのに勝手に著作物を改変したり、著作者が名前を表示してほしいと言っているのに無記名で発表したりすることは、著作者人格権の侵害に当たります。

著作物をWebサイトで利用するには?

では、実際にWebサイトで著作物を利用する際には、どのような点に気をつければよいのでしょうか? コンテンツの性質別に見ていきましょう。

○一般的な既存コンテンツの場合

すでに世に公表されている著作物を利用する場合には、原則的に著作権者から許可を得ることが必須です。本や写真集などからのコピーはもちろんのこと、Google検索で見つけた文章や画像も勝手に使用すると著作権侵害になります。
特に、人気キャラクターの画像や有名アーティストの作品などには注意が必要です。のちのち高額な利用料を請求されるケースも多いですので、どうしてもという場合以外は使わないほうが無難でしょう。
ただし商品パッケージについては、Amazonや楽天などのアフィリエイト経由であれば公式の画像を使えることも多いです。また、その商品に対してポジティブな内容のコンテンツであれば、事前に相談することで特別に無料で利用させてもらえることもあるでしょう。

○著作権フリーのコンテンツの場合

Webサイトでは、いわゆる「著作権フリー」のコンテンツを利用することも多いかと思います。しかし著作権フリーとされる著作物には、(1)著作権が切れたもの、(2)著作権を放棄したもの、(3)著作権はあるが自由に使ってよいもの、という3種類がある点に注意してください。
(1)と(2)については、利用に際して特別な許可は必要はありませんし、著作権使用料もかかりません。文字どおりフリーに使える著作物だと考えて問題ないでしょう。ただし著作者人格権は有効なので、勝手に改変したり作者名を偽ったりするのはNGです。
(3)はフリー素材でよく見られるケースです。こちらは著作物ごとに利用条件が違いますので、事前によく条件を確認するようにしてください。必ずチェックしておきたいのは、商用利用の可否、改変の可否、コピーライト表示の可否の3点でしょう。これを守らない場合は、フリー素材であっても著作権の侵害となります。

○外注コンテンツの場合

では、自社サイトのために発注したオリジナルコンテンツの場合はどうでしょうか。実はこの場合も、特別な契約をしないかぎり著作権は制作者に帰属します。自由に使用したいのであれば、発注時に「利用許諾」または「著作権の譲渡」を条件として盛り込んでおくようにしましょう。
最も手続きが簡単なのは著作権を譲渡してもらうことですが、そのかわり何か問題があった際には外注先に責任を問いづらくなります。逆に利用許諾を得る形の場合は、責任の所在は明確ですが、再利用の際にまた別途契約を結ばなければなりません。想定する利用形態にあわせて契約を結ぶよう心がけてください。
著作者人格権については譲渡・放棄が不可能なので、「著作者人格権の不行使」という形で契約をするのがおすすめです。ただしこちらは法律のプロでも見解が分かれており、「不行使契約は無効だ」とする意見もある点は念頭に置いておくとよいでしょう。

まとめ

以上、著作権の基本と著作物使用の際の注意点をまとめてきました。「これぐらい常識だ」と感じたでしょうか? それとも「厳しすぎる」と感じたでしょうか? もし後者だとしたら、あなたは今すぐ意識を変えなければなりません。
たしかに現実には、正当とはいえない著作物利用をしているWebサイトも多いですし、よほど悪質でない限りは訴訟に発展することも少ないです。しかしそれはあくまでも「黙認してもらっているだけ」だということを忘れないでください。権利者がその気にさえなれば、いつ損害賠償を請求されてもおかしくないのです。
企業としてWebサイト運営をしているのであれば、コンプライアンスの徹底は絶対です。自社サイトの著作権を侵害されたときに堂々主張するためにも、日頃から著作物の取り扱いには慎重になりましょう。

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