フェイスブックやツイッター、ラインなどのソーシャルメディアの利用者は2012年で5,000万人を超えたと言われています。お客様自らが情報発信できる時代は企業のマーケティングに関する概念をも変えようとする動きになっています。そのような状況下でマーケターはどのように対応していかなければいけないのでしょうか。
今回はソーシャルメディアの活用戦略や立案について紹介していきます。
1・ソーシャルならではの距離感をつかむ
ソーシャルメディアでは、「いいね!」、「コメント」、「シェア」などの投稿リアクション(会員の反応)によって注目度合いが変化します。ですからソーシャルメディア活用の最大ポイントは、企業側がどれだけソーシャルメディア内のお客様と共有関係を構築できるかにあります。その為にも“発信は一方通行ではない”という認識を強く持っておくことが重要です。
また、企業企業した内容では共感も興味もわきません。マーケターも投稿者として人柄を意識した投稿を心がける必要がありますので、あらかじめ自社のイメージに合った投稿者としてのキャラクターを設定しておくことが重要になります。
例えば、「ノー残業デーだけど、給料前なので厳しいな。ハァー」というような文章をキャラクターのイラストや動物の写真などで語らせてみると、対象者が共感できる内容や語り口調などでより身近に感じてもらえたり、NHK広報局のツイッターの様に
「おかん、今日のおやつ何なん?」というつぶやきに「そんなことより、あんた宿題は?」という面白い“返し”などでのやり取りで親近感を構築していくことが重要になります。
ソーシャルメディア独特の距離感を意識することです。
2・ソーシャルメディアマーケティングは商品選択・商品の見せ方(写真)で勝敗が決まる
ソーシャルメディアマーケティングでは、投稿内容が企業本位(目線)でなく、ユーザー本位でなくてはなりません。つまり、ユーザーにとって有益と考えられる情報でなくてはならないのです。
ユーザーにとって有益という概念はさまざまで特定しにくい場合は「専門的で役に立つ内容」「プレゼント・セールなどのお得情報」「ソーシャルメディア限定」「エンターテイメントな内容」という要素で確認してみると良いでしょう。販売したい企業心理が見え見えの内容では難しいのです。
また、この要素の中に「紹介する商品」という要素も加えておくことが必要です。
例えばコンビニのローソンですが「あきこちゃん」というローソンクルーをイメージキャラクターにスイーツやのチキンなどの店内調理品をフック(ユーザーにお店を想起させる要素)にして紹介しています。(あきこちゃんはスイーツ好きなのだとか)また、あきこちゃんのお兄さんも登場しローソンをいろんな角度から紹介しています(キャンペーン・コラボなども含む)キャラクターをシッカリ構築し、商品を限定してフックにしている良いお手本と言えるでしょう。
また、写真をふんだんに使用し臨場感や迫力を演出しています。そのポイントは“寄り”です。どのような写真がいいのかは他の企業の写真などを参考に自分なりの基準を養っていくことです。また、自分が写った写真や動物の写真(特にネコ)なども活用のバリエーションとして認識しておくと良いかもしれません。
3・ブランディング強化に絞って展開する
ソーシャルメディアはまだまだかつ題していくメディア媒体で、多くの企業が試行錯誤を続けているのが現状です。ソーシャルメディアの活用にはコストもかかりますので販売などの実利を求めてしまいがちですが、導入からの一定期間はブランディングの強化に絞って展開してみるのも目的が明確になり良いかもしれません。
ブランディングとは競業他者の商品やサービス・企業の特徴を明確にしてお客様の関心を高めるアクションです。注意のポイントは、一方的な押し付けは厳禁であることと、繰り返しユーザーに向け発信していくこと・商品やサービスに関するクレーム・意見などのマイナス要素の対応もおろそかにしないことがあげられます。
企業側の認識キーワードとして“交流する”ということを念頭にブランディング戦略を立案すると良いでしょう。ブランドとの接触回数をどのように高めていくか。その機会をどう増やすかなど基本ラインが見えてきます。(キャラクターの扱いも含みます。)
4・マーケティングの転換期をつかむ -動画活用と世界戦略
マーケティングは、「時代」「科学(媒体)」「ターゲットの行動パターン」の変化を読み取って展開していく宣伝手法です。ある調査では、ソーシャルメディアを国に例えてみると中国・インドに次いで3位にはいる大国であるとの結果が報告されています。
マーケティングの転換期である今の時代に求められているのは従来の
- 商品
- 場所
- 価格
- それらのプロモーション
に加えて
- クリエイティブ(創造的:創造力)さ
- キュレーション(ネット上の情報を独自の価値判断で整理する)
- コネクション(人とのつながり。これには、対ユーザーばかりでなく、企業同士のコラボレーションも含まれます)
- カルチャー(文化、教養。心を耕すなどの意味ですが、クリエイティブ・キュレーション・コネクションの複合化したものとの意味もあります)
を意識することかもしれません。また、ネットの世界では国境はありませんのでその認識を持つことも重要です。大きな武器の1つは間違いなく“言語を介さない動画の存在”です。現に30秒のテレビCMより6秒の動画がもてはやされる時代が到来しているのです。
今回紹介した内容で何を準備しないといけないか、何を強化しないといけないのか、つかめたのではないでしょうか。その背景には、マーケター自身が構築する世界観も重要になってきます。マーケティングの新たな醍醐味と言えるかもしれませんね。