SWOT分析は非常に有効な経営戦略フレームワーク。中小企業経営者の活用方法

SHARE

swot_600

経営戦略を定期的に見直し、改善する際に使い勝手の良いフレームワークに「SWOT分析」があります。大企業だけが使うものと思われがちなフレームワークですが、「SWOT分析」は個人事業主であっても、中小企業の経営者であっても、有効に活用できるツールなのです。今回は「SWOT分析」の活用方法を中小企業目線で解説します。

SWOT分析は分析をするものではない。

経営者であれば見たことがあるかもしれませんが・・・

SWOT分析は

  1. 強み (Strengths)
  2. 弱み (Weaknesses)
  3. 機会 (Opportunities)
  4. 脅威 (Threats)

swot_zu

という4つのカテゴリで現在おかれているプロジェクトや会社の経営状況を分類して、それによって「どのような経営戦略(事業戦略)を立てるのか?」を決めるフレームワークです。

重要なのは

自身の会社の経営方針をSWOT分析の図に当てはめて終わりにするものではないということです。

SWOT分析に対する理解が浅いとこのキャッチーな図ばかりに意識がいってしまい、「分類してからどうするの?」というところで止まってしまいます。

SWOTに事業をプロットしてからがSWOT分析の本番なのです。

swot_zu2
【強み】 + 【機会】 → 積極的に投資すべき「積極戦略」
【強み】 + 【脅威】 → 脅威に打ち勝つ「差別化戦略」
【弱み】 + 【機会】 → 弱みを小さくする「改善戦略」
【弱み】 + 【脅威】 → 脅威から守る「防衛戦略」

上記を考えるためにSWOTの4つのカテゴリに分類しているのです。

実際に筆者が勤めていたウェブ制作会社のケースで考えてみましょう。

  • 社員数:20名~30名
  • 売上:3億~5億
  • 経営的に次の打ち手を探せていない状況

【強み】

  • デザイン能力の高いデザイナーがいること
  • 大手メーカーなどの実績が豊富
  • スマフォ対応の技術も高い

【弱み】

  • 社員の個々がバラバラで組織化できていない
  • 社長の営業力で案件をもらっている
  • システム開発は外部に委託している
  • 収益源がサイト制作費が9割を占めている

【機会】

  • スマフォユーザーの割合が年々高くなっている
  • アプリ市場の伸びが大きい
  • 元リクルートで組織営業に強い社員が入ってきた

【脅威】

  • 社長の高齢化による社長案件の減少
  • 優秀な人材の流出
  • システムに強い競合B社の台頭

ここをプロットすることはとくに難しいことではありません。今の会社やプロジェクトの現状を分類しているだけですから、普通の方であれば思いつくはずです。

この先が重要です。

【強み】 + 【機会】 → 積極的に投資すべき「積極戦略」

スマフォ対応が可能でデザイン性に優れたデザイナーがいる
→ アプリのゲームメーカーに営業をかけてみる。

大手メーカーの営業ルートがあり、スマフォ対応ができ、スマフォの需要が見込める
→ 大手メーカーのスマフォサイトを受注し、それを武器に他の大手企業へ営業する

【強み】 + 【脅威】 → 脅威に打ち勝つ「差別化戦略」

社長の高齢化による社長案件の減少を食い止めるために
→ 大手メーカーの営業ルートを無理やりでも営業マンに振る

優秀な人材の流出を食い止めるために
→ 大手企業の仕事を増やして、やりがいによる従業員満足度を高める

競合B社との差別化をするために
→ スマフォサイトの制作実績、制作ノウハウを確立する

【弱み】 + 【機会】 → 弱みを小さくする「改善戦略」

元リクルート社員の経験を元に社員の個々がバラバラで組織化できていない現状を打破
→ 経営の数値管理、ノウハウの共有によって組織としての経営資産を作る

【弱み】 + 【脅威】 → 脅威から守る「防衛戦略」

競合B社への対抗とシステム開発を外部に委託している弱みを改善するために
→ システム開発を内製化して、ウェブサイト制作とシステム開発を一緒に受注できる体制を作る

という感じで、

  1. 強み (Strengths)
  2. 弱み (Weaknesses)
  3. 機会 (Opportunities)
  4. 脅威 (Threats)

を組み合わせながら、経営や事業を改善する戦略を立てるのが本来のSWOT分析です。

実際にこの4つのカテゴリーに分類することで、改善アイディアが出やすくなるというのが私の印象です。だからこそ、あまりフレームワークなどを使っている暇は、中小企業の経営にはありませんが・・・SWOT分析は頻繁に活用しているのです。

中小企業の経営者がSWOT分析を活用方法

1.アイディアが出すツールとして使う

SWOT分析で自社の強み、弱み、機会、脅威を冷静に配置することで、頭の中を整理することができます。

整理したうえで、カテゴリを組み合わせながらアイディアを練ることができるのです。

私がSWOT分析を頻繁に使う理由はここにあります。

ただのアイディア発想ツールとして使っていますが
最強なアイディア発想ツールでもあるのです。

  • 会社単位でのSWOT分析
  • 事業単位でのSWOT分析
  • プロジェクト単位でのSWOT分析

など切り口を変えながら発想することができます。

非常にアイディアが出やすくなる発想ツールなのです。

経営方針があってるか定期的に見直す羅針盤として使う

私の場合は期末ごとに会社全体のSWOT分析をブラッシュアップして作り直します。

3か月経過すれば

  • 強みや弱みが変わっている、追加されたものがあるのも当然ですし
  • 新しい機会が登場したり、機会がロスとしたりします。
  • 新しい敵が現れたり、敵がいなくなったりもします。

SWOT分析は一回やって終わりではないのです。

更新しながら、「今現在の経営戦略が間違っていないのかどうか?」「現状の経営状態の整理」をしています。

社員や幹部との意識のすり合わせに使う

  • 社長が思う自社の強み
  • 副社長が思う自社の強み
  • 部長が思う自社の強み
  • 社員が思う自社の強み

は一致しているとは限りません。

強み、弱み、機会、脅威がどの社員も一致していたら、最強の会社と言っていいのではないでしょうか。

そんなことはほとんどありません。

中小企業の場合は、幹部メンバーの3、4人だけでも良いと思いますが

各自でSWOT分析をさせて、意見を集約することで

「そんな強みがあったんだ。」
「そんな脅威が生まれていたんだ。」
「そんな機会があるんだ。」

という新しい発見につながります。

同時に社長が強い意志でSWOT分析を幹部に共有することで

「この会社の強みはこれだ。」
「この会社の今の弱みはこれだ。」

というものを少なくとも、幹部メンバーは意識を共有できるのです。

まとめ

SWOT分析は

経営戦略、事業戦略のアイディアの発想ツールであり
経営戦略、事業戦略が間違っていないのか?を定期的に確認する羅針盤でもあり
幹部メンバーの意思統一ができるツールでもあるのです。

個人事業主でも、中小企業の経営者でも、SWOT分析を活用すべき理由はここにあるのです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です