訪日外国人観光客の誘致に関して、企業や自治体などで様々な取組が行われていますが、肝いりで進めた施策が失敗・・といった事例も多くみられます。
色々な原因があるのでしょうが、筆者が見聞きした範囲では、企業や自治体側の売り込みたいものと訪日外国人観光客が求めるもののアンマッチに起因することが大きいような印象を受けます。
日本でいくら知られていても、訪日外国人観光客に求められていないサービスや商品は、プッシュしても意味がありません。
アンマッチを防ぐためには、客観的なデータの事前把握が重要です。イメージで認識していたことと現実が異なっていることに、後になって気が付くことが往々にしてあります。
そうならないよう、今日は、押さえておくべき基本的な訪日外国人観光客の動向データを紹介します。
今までイメージできなかった傾向を発見することも出来ますので、これらのデータはビジネスのヒントの宝庫です。是非、参考にしてみてください。
1.訪日外客統計の集計・発表 日本政府観光局(JNTO)
http://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/visitor_trends/
ここで発表される訪日外客数の動向は、毎月速報値が発表されるたびに、ニュースになるほどのメジャーな数値です。2003年以降の国籍別・月別・目的別の訪日外国人数を追うことが出来ます。基礎中の基礎データです。エクセルデータもありますので、プレゼン資料に落とす時など、加工も楽です。
2.訪日外国人消費動向調査 観光庁
http://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/syouhityousa.html
観光庁が平成22年から3か月ごとに全国の国際空港や港で調査票を元に実施したアンケートに基づくデータです。毎回1万人程度にヒヤリングするなど、民間ではなかなかここまでできないので、大変貴重です。「何人がどこで何にいくら使っているか」「何の目的で来ているか」「来た結果の評価」など、リアルな状況が一目瞭然です。
3.宿泊旅行統計調査 観光庁
http://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/shukuhakutoukei.html
全国の宿泊施設を対象に宿泊状況を網羅したデータ。宿泊施設規模別に外国人の宿泊状況を把握することが出来ます。これも3か月ごとにデータが発表されますので、旬の情報を取ることが出来ます。
4.JTB総合研究所
http://www.tourism.jp/tourism-database/column/category/inbound/
訪日外国人観光客に関する独自のレポートが月に数本配信されています。各国の事例やプロモーションに関する詳しい解説など、実務に役立つ情報が満載です。
5.CLAIR 一般財団法人自治体国際化協会
http://www.clair.or.jp/
姉妹都市を通じての活動は、イチから関係性を構築するのと比較して、早期かつ確実に関係性を構築するのに適しています。姉妹都市の動向を知るソースとして有効です。
6.2015年のクルーズ船の寄港実績等について 国土交通省
http://www.mlit.go.jp/report/press/port04_hh_000130.html
年間100万人を突破したと言われるクルーズ船を通じての訪日外国人観光客の状況を知ることが出来ます。クルーズ船は、乗っている外国人が比較的裕福なことや、今まで寄港がなかった地域への流入が始まったことなどを受けて、今後有望と言われています。
7.Wi-Fi整備についての現状と課題 総務省
(PDF)http://www.soumu.go.jp/main_content/000322502.pdf
訪日外国人観光客の日本国内での通信を担うWi-Fi環境に関する動向が分かるデータです。(2年前の資料なので最新情報ではないですが)やはり彼らを相手にビジネスをするうえで、Wi-Fi環境の整備は必須です。地方などまだまだ未整備な地域が多いと思いますので、その重要性を認識する資料として読んで欲しいです。
8.外国人観光客売上・来店動向 日本百貨店協会
【速報リリース版】2019年4月免税売上高・来店動向概況【速報】
爆買いを演出してきたデパートでの外国人への販売状況が分かるデータ。これも毎月速報値が発表され、株価にも影響を与えるほど重要視されています。
爆買いブームは終わりましたが、定点観測しておくと新たな潮流をいち早く察知することが出来ると思います。爆買いが終わったと言われている今こそチェックすべきです。
9.DBJ・JTBF アジア・欧米豪訪日外国人旅行者の意向調査、DBJ・JTBF アジア8地域・訪日外国人旅行者の意向調査
<DBJ・JTBF アジア8地域・訪日外国人旅行者の意向調査(平成27年版)>
http://www.dbj.jp/ja/topics/dbj_news/2015/html/0000020585.html
<DBJ・JTBF アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(平成28年版)>
http://www.dbj.jp/ja/topics/dbj_news/2016/html/0000023315.html
日本政策投資銀行と公益財団法人日本交通公社の共同調査。海外旅行経験のある各国の居住者にインターネットで日本への今後の旅行意向をヒヤリングしています。このデータは、海外旅行経験はあるけど、来日したことのない外国人のデータを知ることが出来る貴重な資料です。(来日経験のある外国人のデータもあります)
10.平成27年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査) 経済産業省
https://www.meti.go.jp/index.html
越境ECに関する現状と将来の展望がまとめられたレポート。日本製品の良さを旅行で実感した訪日外国人が越境ECでモノを買うと言われているので、今後の動向は押さえておくべきです。
まとめ
主に省庁などの公的データを中心に紹介しました。各論では実態を必ずしも反映したものではないでしょうが、大枠の流れは上記を読めば把握できるのではないでしょうか?今後はデパートのように各業界団体のデータが充実してくると思いますので、それらのデータも併せて注視してきたいですね。
(一部最新でないものがあるかもしれませんが、ご容赦ください。)