日本で影響力の強いソーシャルメディアといえばFacebook、Twitter、Instagramが御三家ですが、海外にはほかにも人気の高いSNSがあります。その代表格は中国で圧倒的なシェアを誇っているWeChat/Weixinでしょう。日本ではよく「中国版LINE」という表現もされているウェブサービスで、LINEとFacebookの双方の特徴を併せ持っています。
もしあなたの会社のサービスや商品が、中国市場を視野に入れていたり日本在住の中国人をターゲットにしていたりするのであれば、このソーシャルメディアを無視するわけにはいきません。では、WeChat/Weixinに広告を出稿するにはどのようにすればよいのでしょうか？
WeChat/Weixinの基本
まずは、WeChat/Weixinについての基礎知識からおさらいしましょう。
しばしば一括りにして語られますが、厳密にはこのWeChatとWeixinは別物です。どちらもテンセント社が提供しているサービスであり、アプリのアイコンもほとんど同じですが、対象となる地域が異なります。
ざっくりと解説すると、中国国内向けがWeixinでそれ以外の国向けがWeChatとなります。ためしに日本からApp StoreやGoogle Playで「Weixin」と検索してみましょう。Weixinアプリは引っかからず、自動的にWeChatアプリが出てくるはずです。
サービス内の機能や表示される内容はほとんど変わりませんが、企業の公式アカウントに関しては、WeChatで作ってもWeixinからは閲覧できません。これは中国国内の企業を守るためです。中国国内向けに広告を打っていくのであれば、WeChatではなくWeixinの公式アカウントを開設する必要があります。
WeChat/Weixin広告の種類
WeChat/Weixinの広告には、2種類のスタイルがあります。ひとつは「プラットフォーム広告」と呼ばれるもので、もうひとつは「モーメンツ広告」です。
プラットフォーム広告（公众号）
プラットフォーム広告は、簡単にいえばバナー広告です。バナーは公式アカウントのページ下部に表示されます。さらにプラットフォーム広告には目的別に4つのカテゴリがあり、「ワンクリックフォロー広告」「アプリ広告」「クーポン広告」「キャンペーン広告」が用意されています。
キャンペーン広告は自由度が高くさまざまな用途に使えますので、ほかの3つに該当しない場合はこちらが役立つでしょう。また、ターゲティング設定は地域・性別・年齢といった基本的な部分から学歴・収入といった部分までカバーされていますので、広告費の無駄を省きたい企業にも適しています。
モーメンツ広告（朋友圏）
一方のモーメンツ広告は、タイムライン型の広告です。FacebookやLINEのタイムラインを想定してもらうとわかりやすいかと思います。友人・知人の投稿やフォローしている企業アカウントの投稿にまぎれて、同じタイムライン上に広告が表示されるという仕組みです。
プラットフォーム広告との最大の違いは、ユーザーとのコミュニケーションが可能だという点でしょう。Facebookと同じように「シェア」「コメント」「いいね！」といった機能が実装されていますので、ユーザーのリアクションをリアルタイムでチェックすることができますし、効果的な広告を出すことができればより広範囲に拡散してもらうことも可能です。
WeChat/Weixin広告の費用
広告を出稿するからには、避けて通れないのが費用の問題です。いくら大きな効果が期待できる広告だとはいえ、料金があまりに高いのでは割に合いません。WeChat/Weixin広告の場合はどれぐらいの予算をみておけばよいのでしょうか？
手軽にはじめやすいのは、プラットフォーム広告のほうです。こちらは1日50元からの出稿が可能で、クリック課金方式となっています。もっとも、実際に50元しか使わずに広告効果を得ることは現実的に不可能でしょう。なぜなら、出稿費用はバナーが掲載されるページによって変わり、人気のページでは入札式になるためです。誰もが知るような超有名企業アカウントのページに広告を出そうとすると、費用はどこまでも高騰する可能性があります。
一方のモーメンツ広告は、表示回数により料金が固定されています。料金は表示先のユーザーの地域によって異なり、北京や上海といった大都市では150元/1000回、それ以外の主要都市では100元/1000回、その他の地域では50元/1000回となっています。料金プランが固定されているため予算を立てやすいというメリットはありますが、クリックされなくてもお金がかかるというデメリットもあります。
WeChat/Weixin広告を出稿するための条件
WeChat/Weixinに広告を出稿するためには、以下の3点を満たしていることが原則です。
（1）公式アカウントを持っていることと
（2）人民元の銀行口座を持っていること
（3）中国法人がある、または継続的にビジネスをしている企業であること
この3つの条件をクリアしている場合は、アカウント管理画面から広告を選んで簡単に出稿申請をすることが可能です。ある程度ソーシャルメディアでの出稿経験がある人であれば、特に迷うことなく操作できるはずなので、ここでは省きます。
問題は、上の3つの条件を満たしていない場合です。このときは、WeChat/Weixinのアカウント運営代行や広告出稿代行サービスを請け負っている業者を利用するしかありません。具体的な出稿の手順については業者によって変わってくる部分もあるため、一概に説明することはできませんが、代行手数料を支払うぶんサポートも手厚いことが多いですから、当該業者に問い合わせてみましょう。
まとめ
ここ数年、WeChat/Weixinへの関心は日本国内でも高まり続けています。しかし日本の企業が自分たちだけの手でアカウントを作成し広告を出稿するには、なかなかハードルが高い面もあります。
アカウント運営代行や広告出稿代行サービスを請け負っている企業は国内に数多くありますから、どうしてもWeChat/Weixin広告を出したいという場合にはそうした代行業者を利用するのが最も簡単な方法といえるでしょう。ただしそのぶん費用は高くついてしまいますので、費用対効果をよく事前にシミュレーションしておくことが大切です。
また、コストをかけずに認知度を上げるということであれば、中国本土向けにWebサイトを構築してプロモーションをするという選択肢もあります。しかし、中国本土はファイアウォールが設けられている関係で、日本のサーバーにサイトを構築しても、なかなかアクセスが集まらないという現状があります。また、中国本土のサーバーにサイトを設置するのは制度的な問題などで大変ハードルが高いです。
その解決策として、香港にサーバーを設置するという選択肢があります。弊社でもサポート可能ですので、興味のある方はチェックしてみてください。
