デジタルサイネージの運用にはどんなソフトウェアが必要?
デジタルサイネージを運用する際はディスプレイやSTBなどのハードだけではなく、ディスプレイに表示するコンテンツを作成、管理するためのソフトウェアも必要となります。まずは、デジタルサイネージの運用にあたってどのようなソフトが必要になるのかについて解説します。
コンテンツを作成するためのソフトウェア
まず、デジタルサイネージのコンテンツを作成するためにソフトウェアが必要です。
デジタルサイネージのパッケージによっては、作成のためのソフトウェアもセットになっている場合もあります。作成にあたって専用のソフトウェアがある場合はテンプレートからコンテンツを簡単に構築できる場合もあります。
また、デジタルサイネージに表示するコンテンツはJPGやmp4のようにパソコンで使用しているファイル形式を採用している場合も多いです。デジタルサイネージ専用のソフトが無くても、パソコンの画像・動画編集ソフトさえあれば十分にコンテンツを作成可能です。
コンテンツを管理・配信するためのソフトウェア
スタンドアローン型のディスプレイの場合は同じコンテンツを一定間隔で流し続ける場合も多いですが、ネットワーク型のディスプレイにはサーバーからコンテンツ情報を読み取るタイプも存在します。
サーバーからコンテンツ情報を読み取る場合は、時間帯や天気、その日のイベントなどに合わせて柔軟にコンテンツ変更が可能となりますが、CMSが必要となります。
CMSとはコンテンツ・マネジメント・システムの略称でコンテンツ管理のためのソフトウェアです。ソフトウェアの中には作成・CMSを兼ねたソフトウェアもあります。
インタラクティブな機能拡張のためのソフトウェア
動画や静止画を表示するだけではなく、タッチパネルで道案内をしたり、ARでユーザーを楽しませたり、通行者のログ解析をしたりと多機能なデジタルサイネージも存在します。
こういったデジタルサイネージは何か特定のソフトウェアを利用している場合もありますし、一からオリジナルのソフトを作成している場合もあります。デジタルサイネージはパソコンのようなもので、ソフトウェアさえ開発すればさまざまな用途での使用が可能です。
技術の進歩に合わせてデジタルサイネージもソフトウェアによって機能が拡張されてさまざまな使い道が可能になると考えられます。
デジタルサイネージのソフトウェアの機能とは?
デジタルサイネージのソフトウェアには「コンテンツ作成」「コンテンツ管理・配信」「機能拡張」の3種類があることは上記で説明した通りです。
1つのソフトに複数の機能が含まれていることもありますし、コンテンツ作成といってもソフトウェアによって機能が異なることも多いです。ソフトウェアの機能について詳しく説明します。
クラウド型
一般的にネットワークタイプのデジタルサイネージの場合は自社でコンテンツ配信用のサーバーを用意しなければなりません。もちろん、サーバーを自前で保有するとイニシャル、メンテナンスコストが発生します。
クラウドタイプのサーバーならメンテナンスなどは必要ありませんが、導入のための諸設定が必要になります。
CMSの中にははじめからクラウド型で提供されているものもあるので、こういったソフトを使用することによって簡単にCMSが導入できます。
スケジュール機能
デジタルサイネージを運用する際に必要な基本的な機能です。デジタルサイネージに表示するコンテンツのタイムテーブルを作成し、それに合わせてディスプレイをコントロールします。
スケジュールを設定できる最小時間単位(1秒、1分など)やタイムテーブルを作成するためのインターフェイスなど、一口にスケジュール機能と言っても仕様が微妙に異なるので、使いやすいソフトウェアを選んだ方が良いでしょう。
ちなみに、ネットワーク型だけではなくスタンドアローン型でもスケジュール機能を持ったサイネージは存在します。
コンテンツ簡易作成機能
PhotoshopやAfter Effectsなどを駆使すればデジタルサイネージ用のコンテンツは作成できますが、これらのソフトを購入・使いこなすためにはお金も手間もかかります。
デジタルサイネージの中には、非デザイナーが気軽にコンテンツを作成できるように、コンテンツ簡易作成機能を搭載しているソフトもあります。
ドラッグ&ドロップで素材を配置したり、ソフトに登録されているテンプレートからコンテンツを作成することによってコンテンツ作成を直感的にかつ時間をかけずに行えます。
インタラクティブコンテンツ作成機能
タッチパネルを使って、ユーザーがディスプレイを操作するタイプのデジタルサイネージの中のコンテンツは一般的にユーザー側で作成することが難しいので制作会社に依頼することになります。
しかし、軽微な修正などに関していちいち制作会社を通していたのでは、時間もコストもかかります。そこで活躍するのがインタラクティブコンテンツ作成をサポートするソフトウェアです。
テンプレ―トをもとにコンテンツを編集、エフェクトをかけたりすることによって非エンジニアでもインタラクティブ型コンテンツが作成できます。
Web連携機能
たとえば交通機関の運行情報や離れた場所で行われている会議の状況をリアルタイムで中継するためにはWebと連携する必要があります。
Web連携することによって他のサーバーにある情報をリアルタイムで読み込んで表示したり、Beaconを利用したO2Oサービスができたりすると、デジタルサイネージを使用する幅は広がります。
AR機能
デジタルサイネージのハード側にカメラや人感センサーなど一定の設備が揃っていれば、AR機能を搭載したデジタルサイネージを運用することも可能です。
サイネージ向けの既存ソフトウェアの中にはARコンテンツの登録・編集を簡易的に行えるような機能を持っているものもあります。
これらを使用することによって、手間がかかるARコンテンツの導入もスムーズに行えます。
ログ解析機能
サイネージに一定の設備が揃っていれば、ログ解析も可能です。使用したユーザー層、タイミング、行動などを分析することによって、マーケティングやサイネージの利用向上につながるヒントが見つかるかもしれません。
デジタルサイネージのソフトウェアの価格はどれくらい?
デジタルサイネージのソフトウェアの一般的な価格を算出するのは困難です。デジタルサイネージのハードウェアにソフトが付属している場合は、全体の価格からソフトウェア分の価格だけを算出できないからです。
ただし、クラウド型CMSのように独立して提供されるサービスについては価格がわかる場合もあります。
デジタルサイネージのソフトウェアの価格について整理します。
クラウド型CMSの価格相場
クラウド型CMSの価格相場は一端末当たり4,000〜10,000円程度です。端末が増えれば増えるほど料金は高くなるので注意してください。大量の端末を運用するなら自前でサーバーを持ってCMSをインストールした方が安上がりかもしれません。
ただし、ソフトだけではなくサーバーというハードの部分についての管理コストが減る点ではクラウド型CMSは魅力的です。
要見積もりの場合も多い
デジタルサイネージのソフトウェアだけではなく、ハードからソフト、保守・メンテナンスまでを一括で導入するケースが多いと考えられます。
その中でその会社の要望や端末数、使用するハードウェアによってもソフトウェアが変わったり、カスタマイズの作業が発生したりする場合も考えられます。
よって、あえてソフトの導入に関して定価を設定せずに要見積もりにしている場合や、ハードウェアを購入する際にソフトウェアが付属していて、ソフト単体での価格が分からないようになっていることが一般的です。
無料で使用できるソフトはあるのか?
詳しくは次章の「フリー・無料のデジタルサイネージのソフトウェアはある?」の部分で説明しますが、無料で使用できるサイネージ用のソフトも存在します。
ただし、すべてのサイネージで動作保証がされているわけでもないですし、有料のソフトと比較すると機能は限られています。安いからといって無料にこだわるのではなく、有料のソフトも含めて使用するソフトを検討した方が良いでしょう。
フリー・無料のデジタルサイネージのソフトウェアはある?
デジタルサイネージ用のソフトウェアの中にはフリー・無料で使用できるものもあります。無料・フリーで使用できるソフトウェアを3つ紹介します。
小規模事業者でも簡単に使用できる「Nomoad フリー版」
個人商店や飲食店などの小規模事業者でも簡単に利用できるNomoadのフリー版です。有料版と比較すると画像やテロップの数は制限されていますが、ちょっとしたサイネージ運用ならばこの程度でも十分でしょう。
テンプレートを利用することによって簡単にコンテンツが作成でき、液晶テレビにパソコンを接続してデジタルサイネージとして運用できます。
無料で使えるクラウド型CMS「CYBER Signage Free Edition」
クラウド型CMSのCYBER Signageの無料版です。ディスプレイに表示されるコンテンツの右上に広告が表示されますが、通常は有料のクラウド型CMSが無料で使用できます。
利用にあたって、総コンテンツ数は3つまで総容量は50MB、月間最大通信容量は1プレイヤーあたり300MBまでなどいくつかの制限があるので注意してください。
制限の範囲内であれば、素材登録からコンテンツ制作、配信のスケジューリングまでさまざまな機能を有料版のCYBER Signageと同じように活用できます。
かんたんな設定で手軽に使用できる「時間割看板」
大きめのディスプレイにスティック型パソコンを接続して時間割看板を使用すれば、簡単にディスプレイをデジタルサイネージにできます。
無料でもスケジュール機能やPCの自動シャットダウン機能など最低限必要な機能は揃っているので気軽に使用できます。
デジタルサイネージの作成ソフトウェアの4つを比較!
デジタルサイネージ用のコンテンツを作成するためにはソフトウェアが必要です。デジタルサイネージのコンテンツ作成のときに使うべきソフトを4つ紹介します。
オーソドックスにコンテンツを作成するなら「Adobeシリーズ」
まず、オーソドックスにコンテンツを作成するのならば外せないのが、PhotoshopやAfter EffectsなどのAdobeシリーズのソフトウェアでしょう。
デジタルサイネージ用のコンテンツだからといって特別な形式で作成しているのではなく、多くの場合はパソコンと同様です。
Adobeシリーズを使用することによってハイクオリティかつ王道のコンテンツ制作が可能です。ただし、非デザイナー、エンジニアがゼロから使いこなせるようになるためには少し手間がかかります。
簡単にサイネージ用の動画作成ができる「電子看板Pro2.0」
電子看板Pro2.0は簡単にデジタルサイネージ用の動画作成ができるソフトです。テンプレートが充実しており、文字や写真などに0.1秒単位で簡単にエフェクトを追加することも可能です。
レンタルデジタルサイネージパッケージ「OTOMO」
デジタルサイネージのレンタルサービスで、ハード、ソフトが揃っている状態で月7,800円からレンタル可能です。
本体にはコンテンツの配信スケジュールを管理する「プレイリスト マネージャー」、コンテンツテンプレートを作成する「テンプレートエディター」、テンプレートをもとにコンテンツを作成する「サイネージクリエイター」、画像を編集する「フォトトリマー」の4つのソフトが内蔵されています。
コンテンツ作成から管理・配信までを一貫して行えます。
使い慣れたExcel、PowerPointでコンテンツ作成できる「e-Signageプラス、Forte D-sign Plug-in」
デザイナー向けのツールを扱ったことが無い方は多くても、マイクロソフトのExcelやPowerPointは使った事があるという方は多いでしょう。
e-SignageプラスはExcel、Forte D-sign Plug-inはPowerPointで作成したデータをデジタルサイネージ用のコンテンツに変換するためのソフトウェアです。
これらのツールを使いこなすことによって専門的な知識が無くてもサイネージ用コンテンツ制作を内製化できます。
デジタルサイネージの管理・配信ソフトウェアの4つを比較!
デジタルサイネージの管理・配信のためのソフトウェアを利用することによって、タイミングに合わせた柔軟なコンテンツ配信が可能になります、おすすめのソフトウェア4つを比較して紹介します。
簡単にサイネージのコンテンツ管理ができる「StellarSign」
誰でも簡単に使えること、運用しやすいことを念頭に置いて開発されたデジタルサイネージ用のソフトウェアです。
あらかじめ用意されているテンプレートに添って作成すれば、病院案内、会議案内、工事工程表などさまざまなコンテンツが簡単に作成できます。また、ファイル名に日付・時間を入れて、それを書き換えるだけで簡単にスケジュール管理も行えます。
さらに、新着情報などをWebページと同期することによって更新の手間を減らすことも可能です。
配信BOX+クラウド型CMSが1,980円から利用できる「自由放題サイネージ」
月額1,980円から配信BOXとクラウド型CMSが利用できるサービスです。
ディスプレイとネットワーク環境さえあれば即運用可能で、クラウドでコンテンツを一元管理、スケジュールを設定すれば自由な配信が可能です。
クラウド型なのでパソコン1台さえあれば、コンテンツ配信用のサーバーを社内で持つ必要はありませんし、低価格なサイネージ運用が可能となります。
タブレット端末からでも簡単に配信設定ができる「DiSiクラウド」
クラウド型CMSサイネージ配信ソフトでパソコン1台あれば複数のサイネージディスプレイへのコンテンツ配信がコントロールできます。シンプルなユーザーフェイスで直感的に操作できて、タブレット端末からでも配信スケジュールを変更できます。
ドラッグ&ドロップで簡単に配信スケジュールを組み立てられて、映像や静止画の上に簡単にテキスト入力配信も行えます。また、別途契約すれば専用サイトより映像素材の読み込みも可能です。
7つの情報が配信可能な「びじゅ衛門」
外部カメラ、Web、動画、テロップ、音声、静止画、文字の7種類の情報を配信可能なCMSサービスです。クラウド型なのでWebブラウザを利用することによってどこからでも配信コンテンツの編集が可能です。
ディスプレイに表示されている情報をリアルタイムで変更するのはもちろん、ディスプレイのオン・オフも管理できます。全国100拠点以上のサポートセンターがあり、ヘルプデスクも用意されているのでトラブルの際も安心です。
デジタルサイネージの機能拡張ソフトウェアの3つを比較!
タッチパネルやAR機能などを使ってインタラクティブ型のデジタルサイネージを運用する際におすすめのソフトウェアを3つ紹介します。
ARコンテンツを作成・配信できる「MITENE Creator」
直感的にデジタルサイネージようのARコンテンツが作成、編集できるソフトで再生スケジュールの管理・配信も同ソフトで行えます。
クラウド型ASPなのでコストは最小限に抑えられますし、365日対応コールセンター、オンサイト保守もセットになっています。
さらに配信ログ解析機能もついているのでマーケティングツールとしても使用できます。
インタラクティブ型コンテンツが作成できる「ゆう子でタッチ」
シャープのBIGPADに対応したインタラクティブコンテンツ制作ソフトです。テンプレートを使って簡単にタッチコンテンツが制作出来て、さまざまなエフェクトも搭載されています。
通行者がいないときは画面をローテーション、人が近づいたら人感センサーにより感知画面を切り替えてコンテンツを表示します。ボタンのタッチ履歴について測定できる様になっているので後からマーケティングの効果測定を行う事も可能です。
次世代型の販促ソリューションサイネージ「PISTA」
ハードとソフトがセットになっている次世代型の販促ソリューションです。人感センサーを使用したコンテンツ配信、タッチパネルの使用に関するログ解析、棚前の消費者の属性や行動を記録分析する機能などが設けられています。
サイネージによって収集された情報はトラッキングデータベースに収納されて、データ分析、販促施策の立案に使用されます。また、画像認識技術により性別や年齢を瞬時に判断してコンテンツを出しわけることも可能です。