サテライトオフィスとは?成功事例や課題・問題点を解説!

そもそもサテライトオフィスとは?

サテライトオフィスとは、本社とは別の拠点に設置される小規模なオフィスのことを指します。サテライトは「衛星」を意味する単語です。サテライトオフィスという呼び方には、本社を事業の中心部としたときに、各地に存在する衛星のようなオフィスという意味が込められています。

サテライトオフィスには、「専用型」と「共用型」が存在しますが、どちらも通信手段やオフィス用品があり、事業所として必要な機能を備えています。

近年、サテライトオフィス関心を持つ企業は増加しています。アメリカ発祥のコワーキングスペース「WeWork」も、日本の都市部にいくつもの拠点を構えており、新たなワークスタイルを確立しています。

国内では、東急電鉄株式会社が法人向けの会員制シェアオフィス「NewWork」の運用を開始しました。他にも、東武鉄道株式会社や日立グループ、NTTなど名だたる企業が、サテライトオフィスの導入を行っています。

サテライトオフィスによって、生産性の大幅な向上や、従業員一人ひとりのライフプランに合わせた多様な働き方の実現が可能になります。

少子高齢化や労働人口不足、都市部への人口一極集中などさまざまな問題を抱える日本において、「新たな働き方」の代表例として、サテライトオフィスは大きな注目を集めています。

サテライトオフィスは総務省も推進している?現状と導入が進む業界を解説!

サテライトオフィスは、日本の労働者の働き方を改善する施策として、総務省も導入を推進しています。地方へのサテライトオフィス設置のハードルを下げるために、「おためしサテライトオフィス」というプロジェクトが代表例です。

これは、総務省が指定した地方自治体が、サテライトオフィス導入を検討している企業に、仕事や生活の環境を提供し、実際にお試しで働けるようにするという取り組みです。

サテライトオフィスの導入は費用面でもハードルが非常に高く、実際に働いてみないことには効果を実感することもできません。そこで、自治体が受け入れ体制を整え、地方のサテライトオフィスでの執務に魅力を感じてもらおうという試みを行っているのです。

さらに、サテライトオフィスの設置を現実的に検討している企業を対象に、総務省は「ふるさとテレワーク推進事業」と呼ばれる補助制度も用意しています。これは遠隔地での仕事を行う環境整備費用を一部総務省が負担するというものです。

サテライトオフィスは国を挙げて推進している、新しい時代の働き方であると言えるでしょう。

サテライトオフィス導入の現状

総務省は、サテライトオフィスに関する調査も実施しています。

2017年に発表された「サテライトオフィス設置に係る民間企業等のニーズ調査」では、調査対象となった企業の7.8%が、すでにサテライトオフィスを導入しているという結果となりました。

また全体の27.5%は、サテライトオフィスの導入に前向きな姿勢を示していたようです。ただしこの調査は、三大都市に本社がある企業を対象にして行われたものなので、日本全国の企業に視野を広げてみると、現状はそれほど導入が進んでいるとは言えない状況です。

サテライトオフィスの導入のハードルは、業界や職種によっても変わってきます。本社と離れた場所で仕事をすることになるので、連絡はオンライン通話などを用いて行うことになります。そのためIT業界やWeb業界では、比較的サテライトオフィスの導入が進んでいます。

http://www.soumu.go.jp/main_content/000484657.pdf

サテライトオフィスと支社・支店、レンタルオフィスとの違い

サテライトオフィスについての理解を深めるために、支社や支店、レンタルオフィスとの違いを見てみましょう。

サテライトオフィスと支社・支店との違い

サテライトオフィスと支社・支店は、まったく異なるニュアンスで用いられます。最大の違いは、設置意図にあります。

サテライトオフィスは、従業員の柔軟な働き方の実現を目的として、導入されるオフィスです。業務を分散させ、さまざまな事情を抱える人でも働きやすい環境を整えるなど、より快適なワークスタイルの確立を目指します。

一方で、支社・支店は、ビジネスの市場を開拓することを目的としたオフィスです。都市部に本社を置いている企業が、地方にも事業を拡大する際、各地に開設されます。従業員は、本社からの業務命令や辞令を受け、赴任するという形で、新たなオフィスで働くことになります。

このように、サテライトオフィスと支社・支店は、そもそも設置の目的が根本的に異なっているのです。

サテライトオフィスとレンタルオフィスとの違い

サテライトオフィスと似た言葉で「レンタルオフィス」があります。

そもそもレンタルオフィスとは、有料で一定時間貸し出しを行っているレンタルスペースのことです。

レンタルオフィスは、デスクチェアやコピー機、会議室など、オフィスに必要な設備が一通り揃っています。個人事業主が作業スペースとして借りたり、ベンチャー企業がオフィス構えたりする用途で用いられることが多いですが、レンタルオフィスを、サテライトオフィスとして活用することも可能です。

レンタルオフィスをサテライトオフィスとして利用する場合は、かかるコストはレンタル料だけなので、初期費用を大幅に抑えることができるでしょう。またレンタルオフィスは都心部に多く存在しているため、ビジネス上の利点も多いです。

サテライトオフィスの種類

サテライトオフィスは主に、以下の種類に分類されます。

一つずつ確認していきましょう。

都市型サテライトオフィス

都市部に設置されるサテライトオフィスです。

一般的には、都市に本社を構える企業が、新たな事業の拠点として構えるなど、役割を区分して設置することが多いようです。

本社が地方にある企業が、営業エリアの拡大やセールス促進などを目的に、都市部にサテライトオフィスを設置することもあります。事業拡大の第一歩としてサテライトオフィスを構え、売上の見込みがあれば、該当エリアに支社を設置する、というのもよくあるケースです。

郊外型サテライトオフィス

郊外のベッドタウンにオフィスを設置する形態です。特に東京などの大都市では、郊外から1時間以上もの移動時間をかけて、中心部のオフィスに通勤している人も多いでしょう。

通勤時間が長くなれば、プライベートの時間も必然的に少なくなります。朝の通勤ラッシュで消耗し、生産性が下がってしまうことも少なくありません。このような負担を強いてしまっていては、充実したライフワークバランスの実現は難しいでしょう。

そこで、郊外にサテライトオフィスを設置し、従業員により働きやすい環境を提供する試みも広まっているのです。

地方型サテライトオフィス

都市部にある企業が、地方にサテライトオフィスを構える形態です。近年はビジネスシーンにおけるITツールの普及に伴い、遠隔地から仕事を行う「テレワーク」も推進されています。

さらに、さまざまな地方自治体がサテライトオフィスの誘致を行うケースも増えてきており、雇用の創出や地方移住の促進など、あらゆるメリットが期待されています。

サテライトオフィスのメリット、デメリットを解説!課題・問題点もある?

サテライトオフィスのメリット、デメリットを解説します。

サテライトオフィス設置のメリット

まずは、サテライトオフィス設置のメリットから見ていきましょう。

従業員のライフワークバランスの向上

従業員の負担を減らし、ライフワークバランスを向上させられる点は、サテライトオフィスの大きな魅力です。通勤の時間を短縮できれば、よりプライベートの時間を充実させられます。介護や育児などに時間を割くことができるようになり、家庭との両立もハードルが下がるでしょう。

また家庭を持つ人の中には、自然に囲まれた地方でのびのびと子育てをしたいというニーズを持つことも少なくありません。

これまでは、地方の企業に転職するしか方法はありませんでしたが、地方型サテライトオフィスであれば、現在の企業に在籍したまま、理想的な環境での暮らしを実現できます。地方の人口減少問題に歯止めをかける施策として、地方創生の観点からもサテライトオフィスは期待されています。

予期せぬ事態に備えることができる

2011年の東日本大震災以降、BCP(事業継続計画)という言葉を耳にすることも増えました。これは、災害発生時などの非常時における事業継続の方針を意味します。

事業の拠点を一箇所に集約していると、地震など大規模災害が起きた際、事業がすべてストップしてしまいます。従業員はもちろん出社できませんし、設備が倒壊してしまっては、生産活動が一切できないため、大きな損害につながるでしょう。

しかし、都市部で非常事態が発生した場合でも、地方にサテライトオフィスがあれば、業務を分担して継続するなどの対処が可能になります。このような予期せぬ事態に備えることができる点も、サテライトオフィスの魅力です。

コスト削減

サテライトオフィスは、コスト削減の効果もあります。地方の企業が東京に支社を置く場合など、オフィスの賃料がランニングコストとしてかかることになります。

しかし、レンタルオフィスなどを活用すれば、格段に費用を抑えながら、拠点を広げていくことが可能です。郊外にサテライトオフィスを設置する場合も、従業員にかかる交通費を削減できます。

優秀な人材の確保

サテライトオフィスには、優秀な人材を確保できるという魅力があります。能力があるにも関わらず、育児や介護などの理由から、都心まで通勤が難しいという人材にも、アプローチが可能になります。

昨今は労働力不足に伴い、優秀な人材の確保は企業にとって早急に対処しなければならない課題となっています。多様な働き方を促進し、優秀な人材の確保ができれば、企業の利益向上・生産性アップにもつながるでしょう。

サテライトオフィス設置のデメリット

サテライトオフィス設置には、デメリットも存在します。

コミュニケーションを取るのが難しい

サテライトオフィスの大きなデメリットは、コミュニケーションを取るのが難しい点にあります。本社と遠隔地とのやり取りは、Skypeなどのインターネット通話を用いることが一般的です。日常的なコミュニケーションを取るのは難しいと言えるでしょう。

何気ない会話から従業員同士の連帯感が生まれたりするものですが、本社とサテライトオフィスの社員間では、なかなか実現しません。

Webツールを用いての会議や業務連絡などは可能ですが、慣れていないと円滑に進まないことも考えられます。もちろん、情報のやり取りは画面を通して行えます。

しかし、タイムラグが発生したり、所定の時間を明確に決めてオンライン通話をしなければならなかったりと、対面での会話には劣る部分も多いのです。

機会格差の存在

都市部と地方では、さまざまな機会格差が存在します。

社外の勉強会やセミナーなどは、都市部で開催されるため、サテライトオフィスの社員は参加できないこともあるでしょう。

インプット環境の格差は、従業員の不公平感につながるかもしれません。

マネジメントの課題

サテライトオフィスでは、マネジメントが難しいという課題もあります。

社員の評価や進捗管理は、実際にマネージャーやプロジェクトリーダーが直接行うものですが、社員が各サテライトオフィスで働いていると、正確な働きぶりを把握するのは難しくなります。

評価が公正でなくなってしまったり、進捗の遅れを見落としてしまったりすることも考えられるでしょう。サテライトオフィス導入の際には、各社員のマネジメントをどのように行うのかも慎重に検討しておかなければなりません。

サテライトオフィスの価格相場はどれくらい?従量課金・無料もあり?

サテライトオフィスは、設置形態によって、相場が大きく異なります。まず企業がオフィスを新たに借りて設置する「専用型サテライトオフィス」では、オフィスの賃料や管理費、初期費用などがかかってきます。

導入時から運用時まで、多大なコストが発生することを理解しておきましょう。費用は都市部か地方か、従業員は何人在籍するのかによって異なるため、一概には断定できません。

一方、複数の企業や個人事業主が、一つのフロアをシェアして仕事をする「共有型サテライトオフィス」であれば、費用を格段に抑えることができます。コワーキングスペースやシェアオフィスと呼ばれるもので、異なる企業同士の交流も魅力の一つです。

コワーキングスペースであれば、都市部であっても月額数万〜十数万円と、オフィスとしては非常にリーズナブルな価格で利用が可能です。

基本的にサテライトオフィスの利用は月額制となっていますが、レンタルオフィスを一時的に利用する場合は従量課金となっている場所もあります。

都内のコワーキングスペースであれば、Yahoo!Japanが運営している「LODGE」や、Amazonが運営する「AWS Loft Tokyo」などが無料で利用できます。

サテライトオフィス導入の成功事例

サテライトオフィス導入の具体的な成功事例を紹介します。

日立

サテライトオフィスの導入は、資金的なハードルもあるため、比較的大企業の事例が多く存在します。国内大手電機メーカーの日立グループは2017年、東京都内にサテライトオフィス「@Terrace」を設置しました。

これは日立グループのすべての社員が使うことができるオフィスです。オフィスはおよそ300平方メートル、100席もの座席を用意しており、会議室や作業場などさまざまな用途に特化したスペースも備わっています。

「革新」「共創」をテーマに掲げたサテライトオフィスであり、人工知能製品や最先端のIT機器も導入されているようです。

https://www.hitachi-urban.co.jp/a-terrace/

Sansan株式会社

ベンチャーの中でも、積極的にサテライトオフィスの導入を行っている企業もあります。クラウド名刺管理サービスを運営するSansan株式会社では、生産性の向上や働き方の多様化を目的に、徳島県に地方型のサテライトオフィスを設置しています。

徳島県神山町にあるサテライトオフィスは、築年数70年以上の古民家をベースとして作られています。常駐社員が日常的に業務に使用している他、合宿や新卒研修の場としての活用も行われているようです。

都心のオフィスと比較しても、地方型サテライトオフィスは、満員電車に乗る必要がなく、余計なノイズがシャットアウトされた静かな空間で仕事をすることができるようになります。従業員のライフワークバランスの向上につながり、企業としても生産性アップが見込めるのです。

Sansan株式会社がサテライトオフィスを設置している徳島県は、企業の誘致に積極的な自治体として注目を集めています。徳島県は光ファイバー環境が非常に整っており、オンライン通信に適したエリアです。

このような特性を活かし、徳島県は「とくしまサテライトオフィスプロジェクト」という取り組みを行っており、県外からさまざまな企業のサテライトオフィスの導入を支援しています。

実際に徳島県の神山町には、食品系メーカーやIT企業など60以上の企業がサテライトオフィスを構えており、アメリカのシリコンバレーになぞらえて「神山バレー」という総称で呼ばれるほどにまでなっています。

https://jp.corp-sansan.com/news/2013/130116_2712.html

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