現在、EC業界でトレンドな話題は「WEB接客」です。
「接客」と聞けば多くの人は小売店における対面での接客のことを思い浮かべるでしょう。接客をする最終的な目的は当たり前のことですが、お客様の商品・サービスの購入につなげることです。
また、WEB接客も同様に、ECサイトを訪問したお客様に対して商品・サービスの購入につなげることを目的に実施されます。小売の接客とWEB接客の本質自体は変わりません。
お客様が商品を購入する際のためらいの原因となっている疑問を解消したり、ディスカウントなどで購入するインセンティブを与えることで購入を促すのが目的なのです。
当記事では、WEB接客をわかりやすく理解いただくために、身近な小売での接客をWEB接客の場合に置き換えてみました。また、実際にECサイトでWEB接客を実施するために活用できる最新のWEB接客ツール、ツールを活用するうえで失敗しないためにも意識すべきポイントについてご紹介します。
1.小売店での接客の種類
小売店での代表的な接客には以下の種類があります。
1-1.声掛け
店員のお客様に対する「商品について不明点があれば気兼ねなく質問してくださいね」と言った声掛け
1-2.まとめ買いのディスカウト
一定上の金額の商品をまとめ買いした場合にディスカウントをする提案
1-3.常連客への厚遇
良く来店する常連のお客様をひいきにするディスカウントの提案
多くの人はこれらの接客を受けた覚えがあるのではないでしょうか?
それらと同等の接客をそのままWEB上で実現するのがWEB接客です。次に、上記の接客に対応するWEB接客の機能をご紹介します。
2 WEB接客の代表例
2-1.チャット機能
https://www.owndays.com/jp/ja/
これは接客の声掛けに相当します。ECサイトの画面上に設置されたチャットから商品や疑問点について質問することができます。声掛けに近い役割を果たします。
2-2.ディスカウトのバナー表示
接客のまとめ買いのディスカウントに相当します。たとえば小売で7000円のズボンを見ていて、店員から「1万円以上商品を購入頂ければ10%ディスカウントさせて頂きますよ」と、ズボンにバッチリ似合う3000円のシャツを提案されれば併せて購入する人は一定数いるでしょう。
このような接客をWEB上でリアルタイムで実現するのがWEB接客です。例えば購入カートに入れた商品の総額が1万円を下回っている場合に、その画面に「1万円以上購入頂ければ10%ディスカウントされます」とか上記画像のように「1万5000円以上商品を購入頂ければトートバッグをプレゼントさせて頂きますよ」というバナーが表示されるのです。
またこのバナーを表示するか否かはお客様の属性(サイト訪問頻度、購入履歴など)によって設定できます。
2-3.サイトの常連客にディスカウントクーポンを表示
接客の常連客への厚遇に相当します。サイトでよく買い物をするお客様、例えばこれまでに3回以上買い物をしてくれたお客様にだけディスカウントクーポンを表示するといった設定ができます。
3.最新のWEB接客ツール
3-1.【チャットに強い】Zopim
https://zopimjp.com/
Zopimはチャット機能に特化したWEB接客ツールです。チャット機能を表示したいページにタグを貼り付けるだけでチャット機能を実装できます。PCのみならずスマートフォンにも対応しています。また、Zopimはチャットの顧客対応を代行するオペーレター代行サービスも提供しています。
チャット機能を利用したいけど、対応する人員が社内では確保できないという企業に重宝されているサービスです。
3-2.【導入が簡単。しかも月額980円】チャットポート
※現在は、サービスを終了しています。
「チャットポート」は店舗・小規模ECなどSOHOに最適化されたチャット型web接客ツールです。『TechCrunch Japan』でも紹介され、話題となっています。導入も簡単でスクリプトを1行埋め込むだけ。ITスキルの低いユーザーでも簡単に使いこなせます。
また、担当者不在時は”自動的”に問合せフォームに切り替わるので、サポート出来る時間だけ対応するといった電話より柔軟な対応が出来ます。価格も月額980円と中小の事業者には大変お得な設定。この980円はお試し価格とかではなく、ずっとこの価格だそうです。
3-3.【バナー表示、クーポン配信に強い】KARTE
https://karte.io/
KARTEはバナー表示、クーポン配信に強いWEB接客ツールです。お客様それぞれの属性(サイト訪問頻度、購入履歴)、アクションにあわせたWEB接客を設定することが可能です。
例えば、前述したような購入カートの総額が1万円以下のお客様に対しては10%ディスカウントをする旨を記したディスカウントのバナー表示を設定することが可能です。
これまでに3回以上買い物をしてくれたお客様、Facebookを経由してサイトを訪問したお客様にだけ、ディスカウントクーポンを表示するといったこともできます。
またチャット機能も提供しており、お客様の属性(サイト訪問回数、購入履歴など)に合わせてチャットを表示するかしないか設定することが可能です。
3-4.【CVR改善なら】ecコンシェル
https://ec-concier.com/
ecコンシェルはNTTドコモが提供するWeb接客ツールです。2016年の6月よりサービスを開始しています。
ディープラーニングの最先端技術を持つPKSHA Technologyと共同開発したAIを搭載し、Web接客に関する一連のサイクルをリアルタイムで最適化することによるCVRの改善に強みを発揮します。
マガシークやタワーレコードなどの大手ECサイトにも導入実績があり、タワーレコードではCVRが98%もアップした事例もあります。
また、国内で唯一無料プランがあるので、導入に迷っているECサイトでも気軽に利用できそうです。
3-5.その他サービスも多数!WEB接客は群雄割拠の様相
その他WEB接客ツールを出しているところとしては、以下が挙げられます。
Fripdesk https://flipdesk.jp/
クーポン・ダイレクトメッセージなど多機能。東急ハンズ・EDWIN・メガネスーパーなど大手どころがこぞって採用しています。
VePlatform http://www.veinteractive.com/jp/platform/
イギリス発のスタートアップが日本に上陸。サイト離脱ユーザーのリカバーや再訪問アップなど、店舗で実際にやっていそうな施策を再現し、世界的に支持を得ています。
Live800 https://live800.jp/
中国のWeb接客ツール。元々チャットによる接客が根付いていた中国での実績が多数あり。
他にも数多くあり、群雄割拠の様相を呈しています。
4.WEB接客ツールは万能のツールではない
昨年から今年にかけて続々とWEB接客ツールが各社からリリースされています。
ただし、これらのツールを使いこなす上で気をつけるべきことがあります。WEB接客ツールは決して万能のツールではないということです。
まず、ツールを運用するのはあくまで人間であるということを忘れてはならないでしょう。例えばWEB接客のチャット機能の場合、チャットの対応をするのはツールではなく人間であり、WEB接客の質を決定づけるのは結局は人間なのです。
また、WEB接客でクーポンをただ単に配布すれば良いわけではありません。クーポンによって短期的に売上を伸ばすことができたとしても、クーポンが配布された時しか商品を購入しないお客様が増えて長期的には売上が落ちてしまうようなことがあれば本末転倒としか言いようがないでしょう。こういうことが往々にして起きがちなのです。
WEB接客ツールはあくまで効率的にお客様に接客できるようにするツールであり、接客によってお客様がどのように感じ、どう行動するのかに関しては入念にシュミレーションし戦略を持った運用を忘れないでおきたいものです。
まとめ
WEB接客ツールによって、ユーザー利便性が向上することは確実でしょう。大手企業の採用実績が出揃ってきましたので、これからは中小規模のECサイトでもこのようなサービスを安価で導入出来る流れが来ています。
今回取り上げたKARTEなどは、ショップサーブ、カラーミーショップなどの有名ショッピングカートASPと連携体制をとっていますので、普及期に入っていくのでしょうね。
それぞれの状況に合わせて、導入を検討してみてください。