3384万人市場!シニア向けECサイト 制作運営の4つの注意点+事例3つ

国内の高齢化が進んでいます。高齢化(65歳)人口は平成27年9月15日時点で3,384万人で全人口の26.7%。人口だけでなく、彼らの持つ金融資産(平成26年 世帯平均2499万円、中央値1588万円)が若年層と比較して相対的に高額なことも相まって、様々な業界がシニアに熱い視線を送っています。
それは、IT系サービスも例外でありません。今回は、その中でもECに焦点を当てて、自社でシニア向けのECサイトを制作・運営するときの注意点や、先行事例などを紹介したいと思います。

1.シニアのECサイト利用の現状

シニアは実際にECサイトを使っているのでしょうか?筆者のまわりの高齢者は、使っている人と使っていない人が半々という感じですが、実際のところどうなのでしょうか?

1-1.シニアのEC購買実績は伸びている

公的な統計がありますので紹介します。毎年9月の敬老の日にちなんで、総務省統計局がシニア関連の統計を発表しています。下記は、「1世帯当たり1か月間のネットショッピングの支出総額及びネットショッピングを利用した世帯割合の推移」という資料ですが、世帯当たりの利用率・利用額共に右肩上がりです。12年間で5倍の利用率となっています。
topic1出典:統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)-「敬老の日」にちなんで-(総務省統計局)
で、何を買っているかというと、旅行関係が23.4%、食料が16.7%、次に衣料、家電などが上位に来ます。
また、65歳未満の世帯との比較では、医薬品・健康食品1.67倍、保険1.44倍、食料品1.21倍の消費をECサイト経由でしているそうです。

1-2.他の世代と比較しても購買意欲が高い

シニア世帯は、各世代において唯一消費が伸びています。購買意欲はとどまるところを知りません。
topic2
少し前の資料ですが、世帯主の年齢階級別消費支出規模の動向(出典:経済産業省 産業活動分析(平成24年1~3月期) PDFが開きますのでご注意ください)を見ると一目瞭然です。
統計的に見ても、ECサイトにとって、シニアは有望なカテゴリであることがわかります。
 

2.シニア向けECサイト制作・運営時に配慮すべきこと

それでは、シニアが使いやすいECサイトを実際に作る際には、どのようなことに配慮すればいいのでしょうか?4つのポイントを紹介します。

2-1.会社概要と電話番号は目立つところに

やはり、ネットで知らない人から触ってもないものを買うのは不安なもの。シニアは、若者の何倍もそう思っています。トップページの目につく場所に、会社名、住所、電話番号は表示して、不安を取り除きましょう。特に電話番号は、少し大きめに配置し、問い合わせがしやすいイメージを付けましょう。

2-2.カタカナ用語には注釈を加える

ネットに慣れ親しんだ世代では当たり前の用語でも、一般に浸透度の低い言葉はたくさんあります。例えば、ECサイトのECでさえ、通じるシニアは少ないでしょう。カタカナ用語が並ぶサイトはシニアの不安を増長させ、途中で買い物を諦める要因となってしまいます。くど過ぎるのは論外ですが、丁寧に注釈を加えていくのがよいでしょう。一度文言を担当内で読み合わるなどして、分かりやすさをチェックするのも有効です。

2-3.検索結果はわかりやすく

高齢者がネットショッピングを途中で止める理由の多くに「検索結果が多すぎて、探している商品が分からなかった」という意見は多いです。導線をシンプルに設計したり、おすすめや売れ筋商品を上位に表示するなど、ナビゲーションの工夫が必要です。

2-4.商品説明は丁寧に

シニアは、若者に比べて、じっくりと考えてモノを購入する傾向があります。画像と値段だけではなく、その製品の背景や機能など、シニアが知りたいと思う情報を丁寧に表示させるなどして、安心して買い物が出来る環境を演出する必要があります。
 
上記、シニア層だけでなく、ECサイトの改善ポイントとして一般的な内容ですよね。シニアに配慮することが全体のECサイトの品質を上げることに繋がりそうです。

3.事例紹介

ここで実際にシニア向けのサイトを設けている事例を紹介します。それぞれの商材や会社の背景を活かしたサービスを打ち出しています。

3-1.まごスマイル

※現在、このサイトは閲覧できません。
通販大手のベルメゾンのサイトです。孫を持つおじいちゃんおばあちゃんをターゲットにしています。もともと、50歳以上の層が顧客として多く、現在の若年層も将来的には祖父母世代になっていくのを見越して、サイトを作ったそうです。
文字の大きさを大きくできるボタンがついていたり、親世代から祖父母世代に向けたおねだり機能もあります。シーン別に何を買ったらいいかが直感的に分かる大変親切な作りになっています。

3-2.選べる、おもちゃギフト『おもちゃボックス』

※現在、このサイトは閲覧できません。
玩具大手のタカラトミーがソニックジャム・CINRAと提携して企画した新サービス。オンライン版子供専用「ギフトカタログ」です。お孫さんへのおもちゃの贈り物で迷う必要もなくなるし、お孫さんにおもちゃを買って行って「これじゃない」と言われる心配もなしと、いいことづくめです。

3-3.エムールライフ


エムールライフ楽天市場店
エムールライフは株式会社エムールのネットショップ(楽天内)です。高齢者向けのイスや布団などを扱っています。文字の大きさや動画による商品説明の充実など、高齢者に配慮したサイトになっています。電話での注文や問い合わせも可能です。

4.今後はどうなる?

増えてきたとはいえ、まだまだシニアのネットショップの利用率は12%と全体からすると決して高いわけではありません。
高齢者支出のトップである健康食品の通販でさえもネット経由の割合はまだまだ20%と言われています※
まだまだこれからの取り組みであることは認識しておいた方がよいでしょう。ただ、今後シニア人口が増えるのは明らか。現役時に会社でネットを使っていた層が増えてくるので、EC利用率も上昇するでしょう。早めに高齢者に配慮したサイト運営でノウハウを蓄積しておくべきでしょう。
 
※参考【通販大国九州からお届け】 高齢者向けビジネスの勘所

まとめ

いかがだったでしょうか。シニア市場は、国内でビジネスをしていくうえで有望な市場カテゴリです。既にシニア向けサービスを行っている事業者だけでなく、新規ビジネスのターゲット市場としても検討の余地があります。自社のビジネス環境に照らし合わせて参考にしてみてください。
シニア向けビジネスを考えている方には以下の本が参考になります。著者はダイレクトマーケティングの大家、ダン・ケネディです。この本のノウハウをうまくEC上で展開できれば、より確度の高いサイトの構築・運営が出来るでしょう。
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団塊シニアマーケティング 容赦なき戦略

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