中国のライブコマース市場規模、人気アプリ・サービスの特徴を解説!

中国におけるライブコマースの市場規模

中国は世界有数のEC大国で、ライブコマースの文化も急速に発展しています。その成長性を示すために中国におけるEC、ライブコマースの市場規模について紹介します。

中国にECの市場規模

経済産業省がまとめた平成30年度の電子商取引に関する市場調査によると、2018年の中国のEC市場は約1.5兆ドル(約165兆円)に達していると言われています。2017年の市場規模は約1.1兆ドル(約121兆円)なので昨年対比約36%の驚異的な成長をしていることが分かります。

2位はアメリカで2018年の市場規模は約5,200億ドル(約57.2兆円)なので中国の圧倒的なEC市場の大きさがわかります。ちなみに3位はイギリスで約1,200億ドル(約13.2兆円)、4位は僅差で日本がランクインしており約1,100億ドル(約12.1兆円)となっています。

単純に計算すると中国のEC市場は日本の約14倍程度の規模があると考えられます。また日本のEC市場の年成長率が8%程度なのに対して中国は約4.5倍の36%で成長しているので、今後も両者の差はますます広がることが予想されます。

中国のライブコマース市場

上の統計を見ても理解できるとおり中国は世界でもダントツ1位のEC大国ですが、そんな中国のEC市場で急速に市場規模を拡大しているのがライブコマースです。ライブコマースとはライブ配信を利用して商品の魅力を視聴者にプレゼン、ECでの購買を促す販売手法のことを指します。

中国におけるライブコマース市場の盛況を示す兆候として、タオバオライブの隆盛があります。タオバオライブとは中国のアリババグループ傘下のタオバオが開発・運営している配信システムで、中国で最も人気のあるライブコマース配信プラットフォームです。

そんなタオバオライブの2018年の流通額は約1,100億元(約1.5兆円)にものぼります。約1.5兆円といえば日本のEC市場全体の12%程度、ほぼ楽天市場の流通総額と同様ということでその巨大さが想像できます。ちなみにタオバオライブの流通額は2017年から2018年にかけて400%近くの急成長を遂げており今後も拡大が期待されます。

個別のライブコマースの事例に注目しても、黎明期に2時間の配信で約3億円の売上を達成した事例、2018年度の独身の日にライブコマースで数時間の配信をしただけで約50億円の売上があがった事例などさまざまな華々しい事例が続々と登場しています。

EC市場自体が急速に拡大、動画によるコミュニケーションが一般的になっている中国においてライブコマースという販売手法は今後も拡大が期待できます。

中国におけるライブコマースの歴史

上記のように市場が急拡大、華々しい事例が続々と誕生する中国のライブコマース市場ですが、そもそもどのように発展してきたのか、その歴史を紐解きます。

2015年から急速に成長しているライブコマース

中国においてライブコマースという販売手法が注目を集め始めたのは2015年のことです。中国ではもともとライブ配信が流行しており、インフルエンサーによる動画配信を活用したマーケティング・プロモーションとして企画されたのが現在のライブコマースです。

2015年にモバイルプラットフォームが誕生してすぐ2016年にその人気が爆発し、2017年にはライブコマースのユーザーは3.92億人にまで膨れ上がりました。

ライブコマースは全体として成長するEC市場においても特に成長をけん引する存在で、2015年当初のECの流通額に占める割合は2%弱程度でしたが、そこから急激にシェアを拡大し2019年度にはECにおける流通額の約6%をライブコマースが占めるようになりました。

ライブコマースの成長のけん引役となっているサービスがタオバオライブですが、タオバオでは約1.5兆円の流通額を今後も急拡大させ、2021年までに流通額を年間5,000億元(約8兆円)まで拡大する目標を掲げています。

続々と誕生する成功事例

ライブコマース市場の成長に伴い続々と成功事例が誕生、注目を集めています。

ライブコマースの黎明期の成功事例としてよく説明されるのが張大奕の事例です。2016年5月にタオバオがライブコマースサービスを開始し、タオバオに店舗を持つインフルエンサーの張大奕がライブ配信で自身の新作ブランドを発表し、製造工程を実況中継したところ、2時間で41万人が放送を視聴、100万いいね!を獲得して、その時間だけで2,000万元(約3億円)の売り上げを作りました。

また、ほぼ同じ時期に劉小瑜咯というインフルエンサーもライブコマースで成果を上げています。2016年6月、中国の女性向けファッションECモールの「モグジェ」がライブコマースサービスを開始した初日に人気インフルエンサーの劉小瑜咯が自身の生放送で韓国の新作のデニムスカートをコーディネート例と共に紹介したところ1時間で20万いいねを獲得、通常のユニークユーザー数の10倍のアクセスが発生、売上が67.3%アップしたと報告されています。

これらの事例を皮切りに中国のライブコマース市場では続々と成功事例が誕生して、2018年には総勢81名のインフルエンサーがタオバオライブで売上1億元(約16億円)を達成しています。

ライブコマース市場の競争は激しくなる

中国ではインフルエンサーのことを「KOL(キーオピニオンリーダー)」と呼びますが、KOL達の成功を見て、ライブ配信、ライブコマースに参入する人が増加しています。

KOLの育成を行うエージェントは600社にも及ぶと言われており、KOLの卵たちが今後ライブコマースに続々と参入してくると考えられます。ライブコマース市場の拡大と共にKOLが続々と参入することによって、今後ますますライブコマース市場での競争は激しくなると考えられます。

中国のライブコマースの特徴・種類

中国で流行するライブコマースですが具体的にどのような特徴があるのかについて紹介します。

KOLが配信をしている

まず中国のライブコマースの特徴として挙げられるのが、KOLが配信していることです。KOLは日本のインフルエンサーとほぼ同義ですが、日本以上に中国におけるインフルエンサーの影響は大きいです。

例えば、黎明期の成功事例として挙げた張大奕ですが、彼女はファッションコーディネート術について紹介するインフルエンサーで1,300万人以上のフォロワーを獲得し、タオバオのネットショップは年商10億円(約150億円)をたたき出しています。

他にもトップクラスのKOLであるPapi醬(パピちゃん)は自身のブランドを立ち上げるために1,200万元(約1億8000万円)の資金調達にも成功しています。

日本のインフルエンサーとは比較にならないほど、中国のKOLは社会的な影響が大きくお金も集まりやすい存在だと言えます。

販売することに焦点を当ててライブ動画を配信している

このようなKOLが「販売する」ことに焦点を当ててライブ配信を行っているのが中国のライブコマースです。インフルエンサーだからと言って、商品についてプレゼンし、購買意欲を掻き立てる能力があるとは限りません。ライブコマースで成功をするためには、ただ人気があるだけではなく商品の魅力を伝える能力が必要です。

タオバオライブで1億元(約16億円)以上の売上を達成したKOLが81人いることは説明したとおりですが、これらのKOLは一年間で1回につき8時間ほどの配信を平均年間300回以上行っており、なかには年間350回年中無休でライブ配信をしている人もいます。

日本のインフルエンサーと比較して、販売する事に特化してたくさんの経験を積んでいるKOL達がライフコマースで商品を販売しています。

3種類のライブコマース

ちなみに中国に限らず、ライブコマースにはアプリ型とSaaS型(ECモール型、キュレーション型)の3種類があります。

SaaS型とは自社ECサイトにライブコマース機能を付加するサービスのことを指し、インフルエンサーもECサイトも自前で用意しなければなりませんが、自社サイトの中でライブコマースが実施できます。

アプリ型とは自社ECではなく他者サイトやモールでライブコマースを実施して商品を販売するサービスのことを指します。アプリ型はモールなどで自社商品を販売するECモール型と委託販売でサービス側が用意したインフルエンサーなどが商品を販売するキュレーション型に分類できます。

各サービスによって、ライブコマースを配信するサイト、商品をプレゼンする人、販売にあたっての手数料が異なりますので注意してください。

中国の人気ライブコマースアプリ・サービス

中国ではたくさんのライブコマースプラットフォームが立ち上がっていますが中でも人気のライブコマースアプリ・サービスを3つ紹介します。

圧倒的に流通額を誇るライブコマースアプリ「タオバオライブ」

中国最大手のECグループであるアリババグループの傘下のライブコマースサービスで上記でも説明した通り、年間約1.5兆円が流通しており、2021年までに年間流通額を8兆円にしようとしています。

他のアプリよりも購買意欲の高いユーザーが多く、サイト内のビッグデータを元にLIVE配信や製品の良し悪し、視聴者のノリなどが確認できるようになっているので、PDCAを回しやすいシステムです。

中国でECモールに出店、ライブコマースをするならばまず候補に挙がるアプリの1つです。

ライブ配信にファンが多い「快手LIVE(Kuaishou LIVE)」

元々は短い動画を配信するアプリでしたが、近年ライブコマース配信機能が追加されてライブコマースでも積極的に活用されています。

DAUが2億人以上、ユーザー1人あたりの使用時間70分以上、成長率10%以上と巨大なプラットフォームでありながら、急成長しています。

地方都市のユーザー層が厚く、1日にコマース関連のコメントが190万件以上発生し、アプリ内で買い物をしようとするユーザーも増加傾向です。

ユーザー数が多く日本でも愛好者の多い「TikTok」

今後ライブコマースのプラットフォームとしての成長が期待されるのが日本でも人気のTikTokです。

タオバオライブや快手LIVEと比較すると、まだまだ商業利用は少なく、純粋に動画を楽しむ場となっていますが、全世界にたくさんのユーザーがいて、KOLがまずファンを獲得するための場として利用して、そこで得たフォロワーを武器にタオバオライブなどで活躍するケースも散見されます。

中国のライブコマースにおける人気インフルエンサー

中国のライブコマース市場では、商材や配信するアプリだけではなく、どのKOLが商品を紹介するのかによっても視聴者数や売上が異なります。中国のライブコマースにおける人気インフルエンサーを3人紹介します。

元人気モデルで年商50億円以上を一人で売り上げる「張大奕」

まず一人目に上げるのが、張大奕です。前の章でも説明しているとおり、ライブコマースの黎明期に2時間で3億円、2018年には一人で50億円以上を売り上げるなど中国でもトップクラスのKOLです。

元々は人気モデルの一人でしたが、現在は実業家・KOLとして活躍しています。

日本のファッションに詳しいKOL「滕雨佳」

日本のファッションや文化に詳しいKOLとしては滕雨佳が挙げられます。Weiboのフォロワー数は約650万人でファッションやメイクの動画を中心に投稿しています。

日本のファッションやコスメ、食など関する投稿も多いので、日本企業がKOLを採用して中国でプロモーションを行う際には相性の良いKOLの一人だと考えられます。

訪日中国人に影響を持つ「日本零君」

Weiboのフォロワー数は400万人以上で、日本のアニメやグルメ、観光などさまざまなカルチャーを発信しているKOLが日本零君です。中国の代理店を通さずとも、日本の&INTECHが総代理店となっているので他のKOLと比較するとアプローチはしやすいでしょう。

越境ECの手段としてのライブコマース

中国市場の巨大さは冒頭で説明した通りですが、日本国内のEC事業者でも中国の巨大市場を攻めようと奮闘している事業者はたくさん存在します。中国市場を攻める上で、ライブコマースというのは強力な武器となる可能性があります。越境ECの手段としてのライブコマースの可能性について説明します。

経済産業省がまとめた2018年の電子商取引に関する市場調査によると日本で販売、中国で消費する越境ECの金額は約1.5兆円で前年度比18.2%の成長を遂げています。市場はまだまだ拡大すると予想されていて、2020年には2.1兆円、2022年には2.5兆円まで市場が急成長すると予想されています。

実際に中国への越境ECで業績をあげている企業も多く、ユニクロや無印良品の良品計画は2019年の独身の日のイベントだけで10億元(約150億円)以上を売り上げたと言われています。

中国に実店舗を持とうとすれば、現地法人を設立したり、スタッフを採用したり、現地までのサプライチェーンを構築したりと何かと手間がかかり中小企業にはハードルが高いですが、越境ECなら参入コストが安くて済みます。

また、その際に通常のECモールを活用するのも良いですが、ライブコマースも活用した方が良いかもしれません。ECモール自体の集客力に任せてもある程度アクセスを稼ぐことはできますが、ブランドの知名度の低い中小企業の製品の場合、そもそもユーザーに商品の魅力を十分に伝えることが困難です。

ライブコマースを活用して、商品の魅力を伝える事によって、視聴者の購買意欲を刺激し、攻めの姿勢で越境ECによる売り上げをつくることができます。

中国のライブコマースのやり方・コツ

中国向けのライブコマースは日本向けのライブコマースと異なり、海外に商品を配送、決済しなければなりませんし、ライブコマースの経験豊富な目の肥えた中国の消費者に商品の魅力をアピールしなければなりません。中国向けのライブコマースのやり方・コツについて紹介します。

中国への輸出・決済の手段を構築する

既に中国に進出して商品を販売している事業者でなければ、まず検討するべきはどのように中国に商品を届け、決済を行うのかということです。

決済についてはクレジットカードや中国の大手決済サービスと契約してオンライン決済ができるようにする、決済機能が付いたECモールに出店するなどの解決策が考えられます。輸出に関する手続きは代行会社に依頼するか、社内に専用の人材を雇った方が良いかもしれません。

これらの仕組みを構築することは越境ライブコマースを行う上で前提となりますが、ロクトーナのように現地でのライブコマース配信から商品の発送や決済まですべてサポートしてくれる事業者もあるので、手間がかかるようであればこのような企業のサポートを受けても良いでしょう。

中国の人気KOLの配信から、ライブコマースのポイントをルール化する

裏側の仕組みができても、すぐにライブコマースを始めない方が良いでしょう。中国のライブコマースユーザーは目が肥えているので、まずは現地のライブコマースをチェックするなどして、ライブコマースの基本的な手法を学び、自社商品を販売するための戦略を立てた方が良いです。

現地の文化などに理解のあるプレゼンターを採用、ライブコマースを開始する

販売戦略が構築できればそれを元に現地のKOLを雇ったり、自社でプレゼンターを用意したりしてライブコマースを実施します。

タオバオに代表されるようにモール側に定量的にライブコマースの善し悪しを判断できる機能が揃っています。その情報をベースに定量的に配信のクオリティの改善を繰り返すことによって、売上が増加していくと考えられます。

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