ここ数年新しいアイデアを実現する手法として注目されているのがクラウドファンディング。アメリカのクラウドファンディングサイトの老舗Kickstarterなどは、巨額の資金調達を成功させる例がよく記事になっていますよね。皆さんの中にも「既に参加したことある」という人もいるかもしれません。日本ではどちらかというと、寄付や社会貢献、地域活性化という文脈で語られることが多いと思いますが、一方で新しいアイデアに共感する人がどれくらいいるのかを試すといったマーケティング的な意図を持って利用されている事例も最近は数多く見られます。今日はクラウドファンディングのマーケティング的な活用方法を考えてみたいと思います。
1.クラウドファンディングとは?
wikiによるとクラウドファンディングとは以下のように表現されています。
クラウドファンディング(Crowdfunding)とは、不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語である。ソーシャルファンディングとも呼ばれる。
実際流れとしては、企画者がクラウドファンディングサイトに支援してほしいプロジェクトを公開。目標額が集まれば、決済手数料とサイト手数料を引いた額を受け取ることが出来ます。企画者は事前に宣言したとおりにプロジェクトを実施し、支援者に約束したリターンや成果を提供・報告するといった形態が一般的です。目標額が集まらなければ、不成立で資金は提供されないところが多いようです。
2.クラウドファンディングのパターン
クラウドファンディングには大きく3つの形態があります。
2-1.寄付型
主に社会貢献やボランティアなどのプロジェクトに対して、資金を寄付してくださいと説明し、賛同が得られれば資金を集められる。金銭的な見返りは基本的にはない。
2-2.購入型
モノやサービスを製作する対価として、お金を支払うタイプ。予約購入者を募るようなイメージ。
2-3.投資型
プロジェクトなどに出資者として資金を提供し、プロジェクトから得られる利益を享受できる。
3.マーケティングツールとしての活用方法
マーケター的な観点からすると、特に購入型のクラウドファンディング(一部投資型も)は、自社もしくはクライアントのビジネスへの展開可能なオプションとして、頭の片隅に留めておいてもよさそうです。以下3つの活用方法が考えられます。
3-1.テストマーケティング
自分が企画したモノやサービスについて、本当にお金を払ってくれる人がいるかどうか、賛同してくれる人がいるかどうかが未知数な場合、その企画を試す場としては最適です。特定の興味や志向を持った、イノベーター層に対してプレゼンが出来ます。そこで高評価を勝ち取ることが出来るなら、一定の規模で製品化しても、ビジネス性がある可能性は大です。
3-1-1.大企業の担当者なら
新規事業やマーケティングの担当で、実験的に展開したい場合や、上司を説得する判断材料を獲得したい場合に活用できます。
3-1-2.中小企業の担当者なら
開発資金がなくても、予め予約購入のようなカタチをとることで、開発費の回収リスクを防ぐことが出来ます。また、クラウドファンディングでの成功があれば、その事例を持って銀行の融資交渉にも利用できるでしょう。
3-1-3.起業家なら
自分の企画の成否を簡易に試すことが出来ます。成功すれば、ジャンルによってはシードマネーを得るチャンスがあるかもしれません。
3-2.商品・サービスPRとして活用
広告費のない会社が既に発売している製品をPRする目的や、既に定番商品を持っている会社が、新規顧客層の開拓のために、クラウドファンディングを使用しています。商品の価値を詳細に語っても違和感のない場なので、商品のこだわりポイントや、今まで知られていない価値などを深く紹介出来ます。あなたのクライアントへの提案オプションとしても使えそうです。
3-3.マーケターとしての目利き能力開発ツールとして
投資型のクラウドファンディングは、投資した商品について実際に事業としての成否が、数字として表れます。プロダクトの競争力やビジネススキーム、またプロジェクト主催者の放つメッセージなど、成功に至るまでには様々な要因がありますが、自ら出資者として関わることで、「自分ならどうするか」「この戦略はいかがなものか」など、事業全体に対して気づきを得ることが出来ます。自身の資金がかかっていますので、より真剣度は増すことでしょう。
4.国内クラウドファンディングサイト22選。
クラウドファンディングサイトと言っても、その運営母体の成り立ちや方針によって、カラーが違います。規模や知名度も大事なのですが、自分の企画に共感をしてくれそうなユーザーが多く存在しそうなサイトでの募集をおすすめします。以下、今日本国内で運営されているクラウドファンディングサイトの中から、比較的案件に動きがあるものを中心に紹介します。掲載順は順不同であまり意味はありませんので、ご留意ください。
4-1.READYFOR?
国内初かつ最大級のクラウドファンディングサイト。社長の米良はるかさんはメディアへの露出も多いのでご存知の方も多いかも。今まで12億円の累計支援額を達成し、社会貢献色が強いのが特徴。
詳細はREADYFOR?のホームページへ
4-2.CAMPFIRE
こちらも老舗のクラウドファンデングサイト。今まで5.6億円の支援を達成。音楽、本・漫画、アート、映画、プロダクトなどのクリエイティブなプロジェクトに対しての支援に強いのが特徴。
詳細はCAMPFIREのホームページへ
4-3.Makuake
サイバーエージェントが運営するクラウドファンディングサイト。3000万人を超える会員を持つAmebaとの連携によって宣伝力が強く、映画や著名人とのコラボ企画も多数実績アリ。
詳細はMAKUAKEのホームページへ
4-4.A-port
朝日新聞の運営するクラウドファンディングサイト。運営は2015年3月からとまだ新しい。新聞社の持つ信頼感と宣伝力を利用した展開が期待される。
詳細はA-portのホームページへ
4-5.BOOSTER
パルコが運営母体のクラウドファンディングサイト。「新しい才能の発見と応援」がコンセプトで、パルコブランドを活かした先進性を前面に打ち出した展開が特徴。
詳細はBOOSTERホームページへ
4-6.Cerevo DASH(セレボ ダッシュ)
ガジェット系のモノに特化したクラウドファンディングサイト。スマホやデジモノでアイデアがある場合は、挑戦する価値アリ。
詳細はCEREVO DASHホームページへ
4-7.ShootingStar
第一号案件が堀潤・元NHKアナウンサーの「一次情報発信者プラットフォーム構築」で話題となったクラウドファンディングサイト。著名人や作品とのコラボも多数。寄付仲介サイトで有名なJustGivingから派生したJGマーケティングが運営。
2019年1月21日(月)より『LIFULLソーシャルファンディング』に統合しました。
詳細はLIFULLソーシャルファンディングホームページへ
4-8.GREEN FUNDING Lab
社会貢献だけでなく、綾野剛主演、映画「新宿スワン」のプロジェクトなど、有名コンテンツとのコラボも。自社だけでなく、クラウドファンディングシステムをモール型として企業に貸し出しも実施。
詳細はGREEN FUNDING Labホームページへ
4-9.makers’ platform zenmono(ゼンモノ)
中小企業に焦点を当てて、そのモノづくりに対して支援を実施しているクラウドファンディングサイト。開発資金の乏しい企業の担当者は必見。
詳細はmakers’ platform zenmonoホームページへ
4-10.kibidango
購入型のクラウドファンディングだが、プロジェクトが成立した後もEC機能を継続的に設置するなど、継続的な顧客との接点を持つことができ、買い手と売り手のコミュニケーションにも配慮した機能が特徴的。
詳細はkibidangoホームページへ
4-11.Sportie FUND
スポーツに特化したクラウドファンディングサイト。マイナースポーツやその関連グッズなどの展開を考えている担当者はチェックする価値アリ。
詳細はSportie FUNDホームページへ
4-12.CROSS
※現在は、サービスを終了しています。
ゲームやアニメといったクリエイター作品に対して購入支援を募るクラウドファンディングサイト。作品そのものだけでなく、既にメジャーなアニメ作品のグッズ展開などにも利用出来そう。
4-13.FUNDIY
漫画やコミックなどの新作や続編を望むファンのためのクラウドファンディングサイト。続編を迷っている編集者の方や旧作の版権をお持ちの関連事業の方は検討の余地アリ。
詳細はFUNDIYホームページへ
4-14.iikuni(いいくに)
鎌倉という地域に特化したクラウドファンディングサイト。鎌倉市限定なのでビジネスの利用としては難しいかもですが、このコンセプトを活かしたビジネス企画は、アイデアが多く出てくるのでは?
詳細はiikuni(いいくに)ホームページへ
4-15.FAAVO
こちらも地域×クラウドファンディングで展開しているサイト。全都道府県が対象。各県ごとに運営会社を決めて、実際の運営はその会社が運営するモデル。自治体などとの連携も展開。
詳細はFAAVOホームページへ
4-16.CHEERS
※現在、このサイトは閲覧できません。
エンタメに特化したクラウドファンディングサイト。小規模の案件が多いので、小さく始めたい人にはおススメ。
4-17.Motion Gallary
映画や演劇などに強いクリエイティブ系クラウドファンディングサイト。アメリカのメジャークラウドファンディングサイトIndiegogoとの提携により海外からも資金を集めることが可能。
詳細はMotion Gallaryホームページへ
4-18.WESYM
※現在、このサイトは閲覧できません
SuicaやWebマネーの多様な決済手段や、Tポイント・楽天スーパーポイント・セゾンカードの永久不滅ポイントなどでの支払いなど、支援者ニーズを踏まえたサービスが特徴。J-WAVEや婦人画報社などのコラボ実績アリ。
4-19.moonshot
プロジェクトが成功したときにサイト運営者が通常徴収している手数料ゼロを実現したクラウドファンディングサイト。
詳細はmoonshotホームページへ
4-20.Crowd Bank
クラウドファンディング法案の成立に伴い立ち上がってきた投資型クラウドファンディングサイト。自らが出資者のひとりとしてプロジェクトに関わることが出来る。事業目利き能力と資産運用の両方を同時に実現可能。
詳細はクラウドバンクホームページへ
4-21.セキュリテ
マイクロファンドの先駆け、ミュージックセキュリティーズ社の手掛けるクラウドファンディング。長年の経験による実績が強み。地域支援プラットフォームとして有名。
詳細はセキュリテホームページへ
4-22.Crowd Credit
世界中の様々な社会貢献プロジェクトに投資が出来る。5万円~投資可能。伊藤忠もなどの出資も入っており、信用力もある。自分では事業に参加できないけど、社会を変えるプロジェクトに陰ながら参加したい人に打ってつけ。
詳細はクラウドクレジットホームページへ
まとめ
他にもたくさんのクラウドファンディングサイトがあります。それぞれのビジネスの実情に応じて使ってみては?今すぐに利用しなくても、人々の消費行動がシェア型に移行していく昨今、気になったサイトを日々チェックするだけでも色々なヒントが得られますし、実際に個人として支援・投資をしてみるのも楽しそうです。