読者から「中国語(繁体字・中国本土で使われる言語)対応にしてもほとんどアクセスがない」という相談を受けます。
中国人が興味を引きそうな商品やサービスを練り上げ、SEOを踏まえたライティングで万全を期してサイトを公開しても、アクセスがないとなると滅入ってしまいますよね。
コンテンツやサービスの見直しも重要なのですが、アクセスがない理由として、「日本国内のサーバーにサイトを設置している」ことが主因になっていることは少なくありません。
それはどういうことなのでしょうか?
今回は、中国語(簡体字)Webサイトのサーバーに設置について解説したいと思います。
※中国語には簡体字(中国本土)と繁体字(台湾)の2種類あるのですが、今回は中国本土(簡体字)について話題の対象にします。
なぜ日本国内サーバーに設置した中国語(簡体字)サイトがみられないのか?
ご存知の通り、中国は共産党政権のもと言論統制があり、Webサイトも検閲の対象となっています。政府にとって不利益な情報は表示されないことがあります。
また、政府はグレートファイアーウォールというインターネット上の壁を設置しており、海外のWebサイトは閲覧できないか、閲覧出来たとしても表示速度が極端に遅くなるようになっています。
サイトがいくら魅力的でも、この壁によって一般の中国国民には情報がほぼ届いていないのが現状です。
抜け道として、VPNと呼ばれる特別な接続方法で壁をすり抜けて海外サイトを閲覧する方法がありますが、これも規制が厳しくなってきているようです。
中国本土からのアクセスを獲得する2つの方法
中国本土に向けて情報を発信したいという場合、大きく2つの方法があります。(SEO対策済みの前提)
1つ目は「中国本土サーバーにサイトを設置する」。2つ目は「香港サーバーにサイトを設置する」それぞれの場合について見ていきたいと思います。
中国本土のサーバーにサイトを設置する場合
中国本土に設置されているホームページは、前述の通り、政府の統制下におかれますので、政府による許可証【ICP(Internet Contents Provider)サイト登録、もしくはICP営業性ライセンス)】の取得が必要です。
全ての中国発のサイトには許可番号が割り振られていますので、参考に見てみてください。
例)タオパオのワールドワイドサイト(フッター部分をみてください)
https://world.taobao.com/
これらの許可証を取得するには中国国内で登記が必要です。実質中国国内の法人(もしくは営業許可証)を持っていない場合は取得が難しいようです。
(中国サーバーを提供している会社のなかには、このICP登録を代理で行ってくれるところもあるようですが、中国は法律や取り締まりのさじ加減が頻繁にかわりますので、せっかく取得したICP登録が使えなくというリスクがあります。あくまで自己責任という感じでしょうかね)
ECサイトの開設は実質不可能!?
ECサイトの開設にはさらにハードルが上がります。基本的に中国国内サーバーに決済機能を入れることは法律上できません。中国100%資本で資本金2000万円規模の中国企業のみECサイト運営が申請可能です。
こうなると中小企業や個人では無理ですね。
その他、中国本土サーバーでのサイト設置についてネットで色んな方法が紹介されていますが、中国に銀行口座もしくは携帯電話が必要だったり、中国人の身分証が必要だったりするので、中国人と連携して本格的に進出するくらいの労力をかけられる人じゃないと、中国本土サーバーにサイトを設置するのは難しいかもしれません。
香港のサーバーにサイトを設置する場合
中国本土のサーバーにサイトを設置するのがハードルが高いということで、中国本土に近い香港にサーバーを設置するという方が増えています。
香港サーバーは中国本土のサーバーと比較して、設置に関して以下のような違いがあります。
まずICP登録が必要ないので、自由にサイトを設置することが出来ます。面倒な手続きがないのは嬉しいですよね。
また、アクセス速度も中国本土内に設置するのと比べて若干遅いですが、それでも日本国内に設置するのと比べて速度は速いです。(ただし検閲はあります)
環境さえ整えば、決済機能を具備したサイトの設置も可能です。
香港サーバー業者も日系の会社もありますし、月額数万円程度で決済機能込みでサーバーを提供してくる会社も出てきましたので、中国本土のサーバーにサイトを設置する場合と比較してハードルが低いのが魅力です。
日本国内と比べると若干費用はかさみますが、それでも中小企業や個人で何とかなるくらいの価格や手間で実施可能ですね。
まとめ
最近は、日本国内のサーバーにサイトを設置していても、アクセスがある事例も聞きますが、海外サイトの閲覧規制が厳しくなっている現状では、まだまだ厳しいと思われます。
中国本土向けのサイトを開設する場合、どこにサイトデータを置くかということも重要な検討要素だと思いますので、本記事を参考にしてみてください。
以前、香港サーバー業者と提携していた関係で、当サイトでもそのあたりのアドバイスは出来ます。他社の業者を使いますが設置も出来ますので、詳しく知りたい場合は、お声かけていただけると幸いです。