近年、コンテンツマーケティングが注目されるようになっています。しかし、コンテンツマーケティングに対する定義は定まっていません。
新しいSEOだと考える人もいれば、企業がブログを発信することだと捉えている人もいます。また、ネイティブ広告こそコンテンツマーケティングだと言う人もいます。
そこで今回は、コンテンツマーケティングとはどのようなもので、なぜ注目されているのかについて改めて解説します。
コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、自社の潜在的な顧客に対し有益なコンテンツを提供し続けることで顧客との関係性を深め、最終的には顧客の購買行動を促すためのマーケティング手法です。
少々わかりにくいので、もう少し砕けた表現で説明しますと、企業が直接商品やサービスを宣伝するのではなく、ユーザーにとって役に立つコンテンツや面白いと思われるコンテンツを無償で発信し続けることで、自社のファンを増やすマーケティング手法です。
一例を挙げますと、ダイエットサプリメントを販売している企業が、自社商品を直接宣伝するのではなく、健康やダイエットに役立つレシピの紹介や、ダイエットに役立つ生活習慣を紹介する動画コンテンツを継続的に配信するとします。
やがて、ダイエットに関心のある消費者がそれらのコンテンツのファンになり、配信元の企業に対する信頼や親近感を抱くようになっていきます。
その後、親近感を抱く消費者のうちの一部が、ダイエットサプリを買うなら信頼できる（あるいは親しみのある）この会社の商品を購入しよう、という行動をとるようになります。
このようにコンテンツマーケティングでは、潜在顧客との関係性を深めるための一貫したテーマを扱ったコンテンツであれば、そのスタイルは問われません。
ブログでも良いですし、SNS、動画、メールマガジンなど、様々なスタイルでコンテンツを配信することが可能です。あるいは複数のスタイルを組み合わせることも有効です。
コンテンツマーケティングが注目される背景
この、一見遠回りにも思えるコンテンツマーケティングという手法が注目されるようになった背景には、近年の消費者がメディアフラグメンテーションと呼ばれる断片的な情報との接し方を持つようになったことが挙げられます。
現在はテレビCMをはじめとして、新聞、雑誌、ウェブサイト、動画サイト、SNS、メールマガジンなど、あらゆるメディアが広告を表示しています。
一方、消費者はスマホをいじりながらテレビを見たり、SNSのタイムラインからウェブサイトにジャンプしたりと、せわしなく断片的な情報に接しています。
そのような消費者にとっては、大量にアピールしてくる広告は邪魔な存在として習慣的に無視されてしまう存在になっている可能性があります。
ところがこのような消費者は、自分が必要だと感じたり、興味があると思えたりした情報については、自ら能動的に探し出す行動を取るようになっています。
これは、世界で最もアクセスが多いサイトがGgoogle.comであると言われていることからもわかります。情報過多な環境下においても消費者にとっては肝心な情報が不足していると感じられるため、常に検索しているという状況が見えてくるのです。
その結果、見つけ出したコンテンツが役に立ったり面白かったりした場合は、そのコンテンツの発信者（企業）に対しても信頼や親近感を抱くようになります。
このことは従来のプッシュ型広告が、一方的かつ頻繁に消費者に露出し、しかも買わせようという意図が露骨であるためうんざりされる可能性が高いことと対照的です。
つまりコンテンツマーケティングは、従来の広告が割り込み型や売り込み型であるのに対し、消費者が求めている有意義な情報を消費者が必要だと感じたタイミングで提供することで、消費者の購買行動を支援するのです。
コンテンツマーケティングのメリット
このような背景で注目されるようになったコンテンツマーケティングですが、具体的にはどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
導入が容易
コンテンツマーケティングには様々なスタイルがありますが、とにかくコンテンツの発信を始めたいと言うことであれば、自社サイト内にブログを立ち上げることから始められます。
この際、広告やキャンペーンを始める際に必要となるような大きな費用は必要ありません。（ただし、闇雲にコンテンツを発信するのでは無く、事前にターゲットやテーマを決めることは必要です）
そして発信を始めてからも、解析ツールで反応を分析しながら、コンテンツの内容や更新頻度を調整していく必要はあります。
コンテンツが蓄積して長期的な効果が期待できる
一般的な広告は、費用を投じた限られた期間しか効果を発揮できません。
一方、コンテンツマーケティングとして発信されたコンテンツは、その情報に価値がある限り、費用を発生させなくても半永久的に効果を発揮し続けます。
しかもコンテンツは資産として蓄積されていきますので、時間が経てば立つほど顧客との接点を増やし続けることになります。
専門家としての信頼を得られる
一貫したテーマで消費者にとって有意義な良質のコンテンツを配信し続けることにより、特定のジャンルについて豊富な情報が蓄積されていきます。
その結果、消費者からは「この分野であればこのサイトを見れば解決できることが多い」と評価されるようになります。
このように評価されるようになれば、発信元の企業への信頼も高まり、専門家としてのブランディング効果を得られるようになります。
自社の存在を拡散できる
良質なコンテンツが蓄積されれば、検索エンジンからの評価も高まり、検索ユーザーの流入数が増えていきます。
また、閲覧者が増えて高い評価を得られるようになると、FacebookやTwitterなどで紹介され、広告費をかけなくても自然に広く知られていくようになります。
まとめ
コンテンツマーケティングの特徴は、一度発信したコンテンツが資産として蓄積され続けることです。
このことが、費用をかけても有効期間が短期間で終わってしまう他のマーケティングと異なるところです。
しかもコンテンツマーケティングは低予算から始められ、場合によっては社内の人件費で賄えてしまうことも可能です。
そのように低コストであるにもかかわらず、その効果は永続的であるばかりか、続ければ続けるほど検索エンジンに評価されたり口コミで紹介されたりするなどして広告効果が成長していきます。
そして良質のコンテンツを発信し続けていけば、大きなエンゲージメントを獲得できるようになります。
このように低コストで長期的な効果を得られるコンテンツマーケティングを、マーケティングの一環として検討されてはいかがでしょうか。
