そもそも動画マーケティングとは何か
まずは、動画マーケティングの概要を解説します。動画マーケティングとは、企業が動画を活用して、自社商品のプロモーションやブランディングを行う施策を指します。商品の説明動画を作成したり、動画広告を運用したりと、その施策内容は多岐に渡ります。
インターネット上におけるデジタルマーケティングでは、テキストや画像を用いた手法がメインで採用されていました。文章をベースとして、自社サイトやさまざまなメディアで、プロモーションを行うことが一般的だったのです。
動画コンテンツを作成する企業はごく一部であり、その広告はテレビCMがほとんどでした。
しかし近年は、動画コンテンツを作成し、動画広告などのマーケティングを行っている企業が増えています。
動画マーケティングが注目されている理由
動画マーケティングが注目されている理由を解説します。
通信環境が整備された
一昔前まで、インターネット上で動画を視聴することは、あまり一般的ではありませんでした。十年ほど前までは、通信環境も整備されておらず、さまざまな制約が存在していました。
動画の視聴には、多くの通信量を必要とするため、家庭用の通信環境では、定額で高画質の動画を視聴することは難しかったのです。
しかし近年は、スマートフォンを通して、動画コンテンツを楽しむことは、日常的な行為になっています。
Wi-Fiや4Gなど通信インフラの整備によって、高画質の動画を何時間でも楽しめるようになりました。動画が私達の生活により身近なものになってきたのです。
動画マーケティングが注目を集めるようになった背景には、このようなインターネット環境の変化が要因として挙げられます。
動画メディアの台頭
動画を身近に視聴できるメディアの登場も、動画マーケティング普及の理由であると考えられます。Googleが運営するYouTubeは、その代表例と言えるでしょう。音楽などのエンタメコンテンツを楽しむのはもちろん、個人が動画を作成し発信することも、簡単になりました。
YouTubeであれば、自社の動画コンテンツを作るだけでなく、動画広告として商品やサービスの認知を広げることができます。
またInstagramなど画像がメインのSNSでも、近年は数秒程度のショートムービーが掲載されることが多くなっており、ブランディングやアカウントの認知、インプレッションの獲得につながっています。
動画マーケティングの市場規模は今後も拡大していく?
動画マーケティングの市場規模は、年々拡大傾向にあると言われており、今後も広がり続けるだろうと考えられます。
サイバーエージェントが行った「動画広告市場規模推計」調査によると、2018年時点における動画広告の市場規模は、およそ1,843億円という結果となりました。これは前年比の34%増加となっており、右肩上がりの傾向にあります。
動画マーケティングの市場規模が拡大している最大の要因は、スマートフォンの普及です。今やスマートフォンは国民の大多数が所持しており、動画視聴をより身近で手軽なものにする端末であると言えるでしょう。
実際に上記の調査において、スマートフォン向け動画の広告の市場規模は1,563億円となっています。これは全体のおよそ全体の85%を占める割合です。
今後は5Gの普及など、さらに技術の進展が見込まれるため、スマートフォン向けの動画広告市場は、さらなる拡大が期待されています。サイバーエージェントは動画広告の市場規模が、2024年までに4,957億円にまで達するであるという見方をとっています。
YouTubeなどで動画広告を目にする機会は増えましたが、現状はまだ初期段階であり、今後も加速の一途をたどると考えられるでしょう。
https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=22540
テレビCMとの比較
動画広告というと、テレビ番組の合間に流れるコマーシャル動画を思い浮かべる方も多いでしょう。実際にネットメディアが発達した現在でも、テレビの優位性は高く、数百〜数千万もの視聴者が存在します。
とはいえ、すべての側面でテレビが優位だというわけではありません。
テレビ番組は、何かの作業をしながら視聴する「ながら視聴」が多い傾向にあります。例えば、家事をしながらテレビ番組を流していたり、スマートフォンでSNSを利用しながら、漠然と視聴している方もいるでしょう。
一方で、YouTubeなどスマートフォンで閲覧する動画メディアは、ユーザーが能動的に動画を探し、視聴していることが多く、その分動画広告の効果も高くなります。
実際にGoogleが2014年に行った調査では、テレビをながら視聴している人の割合が75%であるのに対し、YouTubeはおよそ50%であるという結果になっています。
動画マーケティングに向いている用途とは?その効果を解説!
動画マーケティングがどのような用途で活用されるのか、具体的な事例や効果を見てみましょう。
商品のプロモーション
動画マーケティングは、商品の情報を顧客に届けるための施策として行われます。インターネット上は膨大な情報が日々飛び交っています。
そんな中で顧客に情報を届けるためには、魅力的なコンテンツを提示しなければなりません。動画広告であれば、広告自体に動きがあるため、テキストや画像よりも注意を引く効果があるでしょう。
商品の価値を分かりやすく届ける
動画マーケティングでは、従来の手法以上に、商品の情報を分かりやすく届けることができます。例えば、商品の情報をテキストで説明したとしても、読者は多くの部分を読み飛ばしてしまいます。
あまりに長文では完読されないため、必然的に要点を絞って、短文で構成しなければなりません。しかし、動画コンテンツであれば、言葉では説明しづらい商品の魅力を余すことなく伝えることが可能になるので、コンバージョン率の向上も期待できるでしょう。
ブランディング
商品自体のプロモーションではなく、ブランドそのものを表現する手段として、動画コンテンツは有効です。顧客のエンゲージメントを高める施策として効果があり、長期的な目線で、自社ブランドのファンの獲得につながるでしょう。
動画マーケティングの種類
動画広告にはどのような種類があるのでしょうか。具体的に、一つずつ紹介します。
インストリーム広告
YouTubeなどの動画に挿入される広告です。動画が開始する前や、一定のタイミングで自動的に広告が流れる仕組みとなります。動画サイトで、日常的に目にするという方も多いでしょう。
確実にユーザーに情報を届けることができるので、費用対効果が高い広告の一つです。一方で、ほとんどの動画は5〜10秒程度でスキップできるようになっているため、広告の冒頭で視聴者を引きつける工夫が欠かせません。
インフィード広告
Webサイトやアプリ画面に用意されたスペースに、表示されるタイプの広告です。メインのコンテンツの合間に、自然な形で表示されるため、より多くのインプレッションを獲得できます。
従来はテキストや画像がほとんどであったインフィード広告ですが、近年は動画形式のものも増えてきています。
インバナー広告
Webサイトやアプリのバナー枠に表示される広告です。バナーをクリックすると動画プレイヤーが起動し、コンテンツが再生されるものや、バナー枠が表示されたタイミングで動画が始まるものがあります。
動画マーケティングのメリット・デメリット
動画マーケティングのメリット・デメリットを解説します。
動画マーケティングのメリット
まずは動画マーケティングのメリットを見てみましょう。
より多くの情報を伝えることができる
動画コンテンツは、テキストや画像と比べ物にならないほどの情報を伝えることが可能になります。およそ1分程度の動画が伝達できる情報の量は、Webサイトに換算すると3,600ページ分にまで達すると言われています。文字に換算すると、およそ180万語となります。
これほどのテキストを読んでもらおうとするのは、ユーザーにとって大きな負担となるでしょう。ほぼ確実に途中で離脱されてしまうと考えられます。
一方、動画であれば能動的に情報を得ようとしなくても、動画をぼんやりと見ているだけでも、商品の大まかな概要を理解できます、ユーザーに負担をかけずに、手軽に情報を受け取ってもらえるようになるのです。
分かりやすい情報伝達が可能
動画では、テキストで伝えづらい情報も表現することが可能になります。分かりやすい例でいうと、商品の説明です。商品の良さや利点を伝える場合、文章で記述してもなかなか具体的にイメージしづらいものです。
また、「簡単」などの微妙なニュアンスを、正確に伝えるのは、文章では困難です。しかし動画であれば、分かりやすく表現できるようになるでしょう。
動画を利用した商品説明は、コンバージョン率の向上に役立ちます。実際に、動画を利用したプロモーションでは、商品への理解はその他の手法と比べて7割以上も高くなるという報告も挙げられています。
新たな顧客を獲得できる
動画マーケティングは、新たな顧客獲得の手段としても注目を集めています。例えば、検索エンジンからの流入です。Googleは、ユーザーのとってより有益なコンテンツを優先させる検索エンジンを提供していますが、近年検索上位に動画のリンクが表示されることが多くなってきました。
テキストよりも動画の方が分かりやすい事柄については、積極的にYouTubeの動画を表示する仕組みになっているのです。これにより、自社商品についての知識がゼロの新規顧客を、検索エンジンを通して獲得することも可能になります。
また魅力的な動画コンテンツを制作できれば、SNSでシェアされやすくなるため、より多くの顧客へリーチできるようになるでしょう。
動画マーケティングのデメリット
次に、動画マーケティングのデメリットを紹介します。
制作のハードルが高い
動画コンテンツの制作は、ハードルが高く、さまざまな工程を踏む必要があります。企画からスタートし、シナリオ作成や撮影、編集まで、完成には多くの人員と時間がかかります。さらに動画撮影や編集を請け負う人材はそれほど多くないため、気軽に作成できるものではないでしょう。
このように制作のコストやハードルなどの課題があり、まだまだ気軽に動画コンテンツを作ってリリースするというような状況ではありません。
受け取り手によって、効果が大きく変動する
動画コンテンツは受け取り手次第で、効果が変動します。例えば、音声付きの動画を作成したとしても、ユーザーが音量をオフにしていれば、無音の動画が流れてしまうことになります。音楽の視聴をしている場合などは、画面に目を向けてないこともあるでしょう。
さらにYouTubeなどの動画メディアは広告が流れるものの、たいていの場合はスキップできます。そのため、受け取り手の状態や端末設定によって、効果が不確実であることは、理解しておかなければなりません。
動画マーケティングの成功事例
動画マーケティングの成功事例を紹介します。
Honda
自動車メーカーの本田技研工業は、さまざまなアーティストとのコラボCMを制作しています。Suchmosや米津玄師など、若者を中心に絶大な支持を集めるアーティストをCMの音楽に起用し、製品の世界観を幅広い層へアピールしています。
ロックバンドONE OK ROCKと、映像作家である庵野秀明氏のコラボ動画も話題となり、YouTubeでの動画再生総数は500万回を超えるほどの注目を集めました。
マルイ
ファッションビルなどの商業施設を展開するマルイの通販サイトでは、商品の説明に動画が活用されています。通販で洋服を買う際には、画像や文章だけでは、具体的なイメージを持ちにくいでしょう。
そこで、さまざまな体型のモデルが登場する動画を作り、商品のバリエーションやサイズ感などを分かりやすく表現しています。消費者目線で動画コンテンツを作成している事例であると言えるでしょう。
動画マーケティングのコツ
動画マーケティングを行う際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
可能な限りコストを低くする
動画マーケティングにおいて重要なのは、PDCAを回すことです。実際に動画を公開してみて、視聴者数やサイトへの流入率などを分析し、さらに施策をブラッシュアップしていきます。そのためには、できるだけコストを抑えて制作してみることが重要です。
はじめからハイクオリティなものを目指してしまっては、初期投資がかさみ、施策の継続が難しくなることが懸念されます。費用対効果が悪くなってしまっては、意味がありません。まずは低コストで動画を作り、ユーザーの反応をデータで確認しながら、クオリティを高めていきましょう。
目的を明確にする
動画マーケティングを行う際は、「何のための施策か」を入念に検討する必要があります。商品のプロモーションやブランディング、コンバージョンなど、それぞれの目的によって、動画の内容や切り口は変わってきます。
目的が曖昧なままでは、動画の方向性が定まらないので、魅力的な映像コンテンツを作るのは難しいでしょう。対象としているペルソナを明確にし、目的に合わせた制作を行うことが欠かせません。
できるだけ短い動画を作成する
動画コンテンツは、できるだけ短いものを作るように意識しましょう。あまりに長い動画だと、視聴者が途中で離脱してしまうことが考えられます。
またSNS上でも、ショートムービーの方がシェアしやすくなるという利点があります。商品やブランドの魅力を、最短で表現するためには、シナリオ作成などの入念な事前準備が必要です。
動画マーケティングにおすすめの企業・会社3選!
動画マーケティングにおすすめの企業を紹介します。
サムライト株式会社
コンテンツマーケティングを強みとして顧客の課題解決を行うサムライト株式会社では、動画マーケティングも行っています。企画の立案から動画制作はもちろん、公開後の効果測定や改善まで、トータルでサポートしてくれます。
「動画制作を行いたいが、ハードルが高く難しい」という課題を持っている企業におすすめです。
Digital Identity
Digital Identityは、テクノロジーを活用したマーケティング支援を行う企業です。ターゲット選定や動画要件の作成、SEO対策など、戦略立案の段階からより効果的な施策を提案してくれます。
カクテルメイク
カクテルメイクは、動画制作ツール「RICHIKA」を提供しているベンチャー企業です。RICHIKAは、専門知識はないが、手軽に動画を作り、施策として試してみたいというニーズに最適なツールです。
その内容は、テキストや素材を選択するだけで、人工知能が最適な組み合わせに動画編集してくれるというもの。業種や用途に合わせたいくつものフォーマットが用意されているので、誰でも簡単にクオリティの高い動画を完成させることができます。