昨今、クラウド会計ソフトブームによって、多くのクラウド会計が存在しています。
しかし、クラウド会計ソフト導入前の注意点を取り上げているメディアは少ないのが、現状です。
そのため、今回は『【必読】クラウド会計ソフト導入前に確認すべき12の注意点』という記事のタイトルで、クラウド会計ソフト導入前に確認するべき注意点について解説します。
※クラウド会計ソフトとは、会計(収支の記録・管理)処理を補助する目的で用いられる会計ソフトのうち、クラウドコンピューティングの技術が導入されたもののことを指します。
会計ソフトの機能をSaaSとして提供するクラウドサービスを指す場合が一般的です。
クラウド会計ソフト導入前に確認すべき12の注意点
①バックアップできる環境を整える必要がある
会計ソフトを導入するということは、会計データをパソコン内に保存するということです。
そのため、万が一パソコンが壊れてしまうと、会計データも一緒に失いかねません。これを未然に防ぐためには、バックアップ環境を整えることが大切です。
外部メディアとしては、USBや外付けHDDなど様々です。会計ソフトの導入時には、万が一に備えてバックアップ環境を整えておきましょう。
クラウド会計ソフトは、インターネットバンキングと同期して、口座の入出金明細を取得できます。
②パソコンの性能のチェックする必要がある
会計ソフトがパソコン上で滞りなく動作するためには、パソコン内のCPUやメモリ、HDなどに一定以上の性能が求められます。
会計ソフトを選ぶ時は、ソフトの性能や価格に目を向けると思いますが、それと同時に会社のパソコンの性能もチェックしておきましょう。
パソコンの性能にそぐわないソフトを選んでしまうと、業務へ支障を来すおそれがあるため、注意が必要です。
③初期設定には注意して行わなければならない
会計ソフトの導入は、パソコンにソフトをインストールするだけで事足ります。
そのため、ソフトの導入自体は非常に簡単なのですが、問題なのは初期設定になります。
会計ソフトの初期設定は、消費税及び勘定科目、期首残高の設定など、やるべきことが様々です。
特に勘定科目は、インストール時に数百もの勘定科目がございますので、そのまま使用すると大変な手間がかかります。
業務効率化のために導入した会計ソフトが、逆に業務に支障を来しかねないのです。
もちろん、これは初期設定をきちんと行うことで対処できますが、初期設定を迅速に済ませたい場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
④利用している金融機関がクラウド会計ソフトと提携しているかを確認しなければいけない
あなたがメインで使っている金融機関が、クラウド会計ソフトと提携しているか確認する必要があります。
もし、提携していなければ、そもそも同期できないので明細を取得することが出来ません。
そのため、クラウド会計ソフトの提携している金融機関一覧を導入前に必ず確認しましょう。
もし提携していなかった場合
⑤インターネットバンキングの月額利用料の確認をしなければいけない
インターネットバンキングの開設は、金融機関・個人・法人の違いによって、月額利用料が掛かることがあります。
口座をたくさん持っている会社で、それら全てを同期させたい場合は、口座の数だけ月額利用料が発生するので注意しましょう。
⑥利用しているクレジットカードがクラウド会計ソフトと提携しているかを確認する必要がある
また、利用しているクレジットカードが、クラウド会計ソフトと提携しているかの確認を必ずしましょう。
多くの場合、マスターカード、VISA、JCBには対応しているそうですが、それ以外は各クラウド会計ソフトによって異なります。
そのため、これら以外のカードを使っている人は必ず確認しましょう。
⑦導入目的をあらかじめ明確にしておかなければいけない
「財務会計業務の目的は経理業務の効率化に決まってるじゃないか」
ポイントの一つに導入目的の明確化を掲げているとこんな意見が飛んできそう、実は財務会計システムも企業によって導入の目的は様々です。
冒頭でも述べたように、税理士費用の削減や業務負担の軽減など大まかに考えただけでも導入目的をいくつかに分けることが出来ます。
さらに細分化すると仕分け登録の簡略化や経費清算の業務負担軽減など実に様々です。
財務会計システムによっては自社が求める機能要件を満たしてない場合もあります。
つまり予め導入目的をしっかりと明確化しておくことで、その後のシステム選定で適切なサービスを選ぶことが出来るのです。
財務会計システムに限らず、導入目的が明確になっていないと必ずと言っていいほど失敗するので徹底的に目的を洗い出しましょう。
⑧インターネットに接続できない状況をシュミレーションしなければいけない
プログラムもデータもインターネット上のものを使うクラウド会計の場合、インターネットに接続できなくなれば、何も仕事ができなくなります。
「いつでもどこでも」の利便性と引き換えのデメリットと言えるでしょう。
クラウド会計を導入する際には、常に安定したインターネット接続ができる環境が重要になります。
この点については過度な心配はいらないと思いますが、大規模な災害時にはネット回線が繋がらない可能性もあるため、注意が必要になります。
⑨使い勝手が変わることも知っておく必要がある
常に最新の機能を使えるというメリットは、裏を返せば、変わってほしくない部分があっても気づかぬ間に変更されてしまうデメリットがあるということです。
使いやすいと感じていた画面のデザインが変わってしまったり、操作手順が変わってしまったり。慣れてしまえば問題ありませんが、それまでは作業効率が下がることもあります。
もちろん、最新の技術や機能、変化を好む方であれば、頻繁にリニューアルするようなクラウド会計でも問題ありません。
また、ショックを和らげるため、元のバージョンも併行で使えるようにしていることもありますが。いずれ、元のバージョンは利用できなくなるため、注意が必要です。
⑩無料トライアルがある場合、必ず活用してから導入するかを判断すべきである
機能や料金が要件を満たしているからといって、すぐに導入するのはおすすめしません。
それは、どんなに自社の要件にマッチしていたとしても、やはり一度システムを触ってみないみないことには実際の使用感を知ることは出来ないためです。
特に考えるべき点は、実際に財務会計システムを使用するのは経営層や情報システム部ではなく、経理部の人間ということでしょう。
要件を満たしたシステムであっても実際に使用する者が使いにくいと判断すれば、その時点で導入は失敗に終わってしまいます。
そのため導入前に無料トライアルを必ず利用し、実際の使用感を知っておきましょう。
そして、無料トライアルを利用するのはもちろん経理部の人に設定しましょう。
導入検討段階から実際の使用者を巻き込めれば、理想ですが、スケジュールにより難しい場合は無料トライアルだけでもしっかりと利用させましょう。
⑪必ず、データのバックアップをとれるクラウド会計ソフトを選ぶべき
税理士や会社内の誰かとデータを共有している場合、意図しないデータが保存されてしまう場合があります。
シミュレーションのために仕訳を入力したまま保存してしまったり、間違ってデータを削除してしまったりする場合があります。
こういった場合に備えて、データのバックアップをとれるクラウド会計ソフトや、何世代か前の会計データを復元できるソフトを必ず選びましょう。
⑫セキュリティには細心の注意を払わなければいけない
上記で説明したネットバンキングやクレジットカードなどを自動的に取り込めるのは、銀行口座やクレジットカードの情報を登録するからです。
したがって、どうしてもセキュリティの問題は存在し、自分自身がIDとパスワードを漏らしてしまう可能性もあります。
この点についてはクラウド会計に限りませんが、万全のセキュリティ体制を築いても、どんな攻撃を受けるかもわかりません。
もし、セキュリティの問題が怖いということであれば、パッケージ型の会計ソフトを利用することも検討しましょう。
導入を成功させるためにオススメの5つのポイント
①クラウド会計ソフトをGoogleドライブと併用する
クラウド会計ソフトの運用を会計事務所に依頼しているならば、Googleドライブはぜひ併用したいクラウドサービスです。
Googleドライブを利用する目的は、ファイルの保管とファイルの共有の2つですが、ファイルの共有機能は会計事務所との資料のやり取りをスピードアップしてくれます。
会計事務所にサポートを依頼している場合、資料のやり取りを郵送やメール添付で行うのは結構面倒で時間がかかってしまいます。
その点、Googleドライブを利用してファイル共有すれば、簡単な操作で速やかにやり取りすることが可能となります。
多くのクラウド会計ソフトでは、Googleアカウントの取得からファイル共有までを詳しく説明した分かりやすいマニュアルを用意してくれています。
そのため、せっかく、クラウド会計ソフトを利用するならば、Googleドライブも利用して、さらに経理の時間を削減することをおすすめします。
②クラウド会計ソフトをチャットツールと併用する
クラウド会計ソフトの運用を会計事務所に依頼しているなら、チャットワーク、Slackはぜひ併用したいクラウドサービスです。
チャットツールによる会話は会話する相手毎にまとめられており、過去の会話の履歴が残ります。ユーザーや会計事務所は過去の会話を参考にすることができるため、話が早くなります。また、宿題や課題を設定することもできるため、やり忘れを防ぐことが可能です。
また、多くのクラウド会計ソフトでは、アカウントの登録から基本的な利用方法まで詳しく説明した分かりやすいマニュアルを用意しています。
そのため、せっかく、クラウド会計ソフトを利用しているなら、チャットツールを併用して、経理の時間をより一層削減してはいかがでしょうか?
③インポート形式でデータのバックアップを取る
特にクラウド会計ソフトのMFクラウドは国内3カ所のサーバーでデータのバックアップを取っているため、データの安全性は極めて高く、基本的にデータ管理は不要です。
しかし、インターネット環境は絶対安全とは言い切れない脆弱性を含んでいるのも事実ですから、万が一に備える必要があります。
そのため、クラウド会計ソフトを利用する際はインポート形式でデータのバックアップを取っておいた方が良いでしょう。
トラブルが発生したシステムは復旧までの時間が読めないため、別システムの形式でバックアップしておくことは万一の時のリスクヘッジになります。
④導入期間を1ヶ月、運用を軌道にのせる期間を数ヶ月見込んでおく
結論から言うとクラウド会計ソフトの導入には1カ月程度を見込んでおいた方が良いでしょう。
というのは、効率の良い運用のためには、事業用の銀行口座、クレジットカード、電子マネーを開設する期間や決済口座の変更期間が必要だからです。
そして、運用が軌道にのせるまでには数ヶ月を見込んでおいた方がよいでしょう。
というのは、ユーザーが支払段階で事業用と家計用に区分する習慣を身につける期間と、クラウド会計ソフトが取引内容を学習する期間が必要だからです。
また、クラウド会計ソフトで作成した帳簿が確定申告に応用するのは運用が軌道に乗ってから使用することをおすすめします(確定申告をクラウド会計ソフトで行うことは難易度が高いです)。
クラウド会計ソフトの導入や運用は多くの確率でつまずいてしまいます。
もし、導入や運用に困っているのであれば、専門家のサポート、無料サポートを受けることをおすすめします。
⑤安く済むような料金体系を選ぶ
クラウド会計ソフトの利用料金の中には、「月額固定」と「従量制」が存在します。
従量制は、利用時間に応じた料金体系で短期利用の場合に適していますが、業務ソフトは継続的にご利用されるものなので、月額固定を選ぶことが一般的です。。
注意すべきなのは、基本料金に加えて、ネットワーク転送料を追加課金するクラウド会計ソフトもあることです。
データのアップロードまたはダウンロードに応じて、料金が追加されてしまいます。
また、海外のクラウド会計事業者の中には、クレジット決済のみしか対応していない場合もあり、ドル建てになるため、為替レートによる利用料金の変動もあります。
基本料金は安く見えても、追加料金で当初の想定を超え、出費がかさんでしまうと出費が増えてしまいます。
そのため、わかりやすい料金体系のクラウド会計ソフトを選ぶことをおすすめします。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は『【必読】クラウド会計ソフト導入前に確認すべき12の注意点』と言うテーマで、主に、クラウド会計ソフトの導入前に確認すべき注意点について解説しました。
上記でも述べたように、クラウド会計ソフトは非常に複雑な面もあるため、購入する際は様々なサービス会社を比較したから購入することをおすすめします。