シュレッダーと溶解処理の使い分け|分かれ目は枚数ではなく留め具を外す時間【2026年】

シュレッダーと溶解処理の使い分けのアイキャッチ。どちらが安いかは量で変わり、分岐点は前処理の時間であることを、少量から大量までの箱で示している

シュレッダーを置くか、溶解処理サービスへ出すか。この選択は「どちらが安いか」だけでは決まりません。前処理にかかる時間、処理した記録が残るかどうか、処理までに書類がどこに置かれるか。この3つを並べると、どちらを選ぶべきかが量ごとに分かれます。

先に結論
日常的に少量ずつ出る書類はシュレッダー、まとまった量と保存年限切れの書類は溶解処理、という使い分けが基本です。分かれ目になるのは紙の枚数ではなく、ホッチキスやクリップ、紙ファイルを外す前処理の有無です。溶解処理サービス5社はいずれも留め具を付けたまま入れてよいとしており、この工程がまるごと消えます。また、シュレッダーには処理した記録が残りませんが、溶解処理では5社とも証明書が発行されます。説明責任が求められる書類では、この差が費用より先に効いてきます。

処理の仕組みがそもそも違う

シュレッダーは紙を物理的に細断します。社内の機械で完結し、投入した瞬間に読めなくなります。溶解処理は紙を切らずに製紙工場へ運び、水とともに撹拌して繊維に戻します。未開封のまま箱ごと処理されるため、社内では「封をする」ところまでしか行いません。

この違いから、3つの実務的な差が生まれます。処理が社内で完結するか社外に出るか、前処理が要るか要らないか、そして記録が残るか残らないかです。順に見ていきます。

シュレッダー外す → 細断 → 袋詰め → ごみ出し
記録残らない
溶解処理入れる → 封印 → 回収依頼
記録証明書が発行される

前処理の時間が最大の差になる

紙を細断するには、ホッチキスの針、クリップ、紙ファイルの留め具を外す必要があります。これを外す作業は、書類の綴じ方によっては細断そのものより時間がかかります。分厚いバインダーに綴じられた書類なら、1冊あたり数分を要することもあります。

溶解処理では、この工程がありません。ヤマト運輸は文書に付随していれば極少量のクリップやホチキスの針、綴じ紐、紙製バインダーファイルを投入してよいとし、佐川急便はホッチキスの針やクリップ、金属製留め具付き紙製ファイルをそのまま入れられるとしています。日本通運はクリップやホッチキスが付いたままでよく、紙ファイルや綴じ紐の取り外しも不要と案内しています。日本郵便は利用規約で収納禁止物品を定めたうえで、クリップ、ホチキス、紙ファイル、とじ紐を例外としています。大塚商会は、紙が付属している場合に限りホチキスの針、とじひも、クリップ、クリアフォルダー、透明ポケット、バインダー、ふせん、輪ゴムを処理できるとしています。

作業シュレッダー溶解処理
留め具を外す必要不要(5サービスとも付けたまま可)
投入・細断社員が行う。紙詰まりの復旧が発生することがある社外で処理。社内の作業は封をするまで
排出物の処理袋の交換、周囲の清掃、ごみ出しごみは出ない
機器の管理購入費、電気代、保守、故障対応不要(常設型を除く)
処理の記録残らない証明書が発行される

表1 溶解処理側の記載は各社の公式ページおよび日本郵便の利用規約による(2026年10月23日取得)。シュレッダー側は一般的な社内運用

ヤマト運輸 機密文書リサイクルサービスの公式画面。シュレッダー処理のように紙詰まりや故障などがなく無駄な時間とコストを軽減すると説明されている
出典:ヤマト運輸 機密文書リサイクルサービス(2026年10月23日取得)。公式ページはシュレッダーとの比較を3つの特長の1つとして挙げている

金額だけを並べると判断を誤る

紙の量あたりの費用で比べてみます。溶解処理サービスのうち、封入目安をA4の枚数で公開しているヤマト運輸と日本郵便で計算すると、1枚あたりは約0.238円から約1.150円の範囲に入ります。もっとも低いヤマト運輸のECOラックは、鉄カゴ台車1本29,700円(税込)にA4用紙125,000枚までで約0.238円です。

ヤマト ECOラック 約0.238円125,000枚で29,700円
ヤマト ECOBox L 約0.411円7,500枚で3,080円
日本郵便 大箱 約0.650円4,000枚で2,600円
日本郵便 小箱 約1.150円2,000枚で2,300円
図1 封入目安の枚数を公式に示している2社のプランで計算した1枚あたりの費用。プランによって約4.8倍の幅がある

これに対してシュレッダーの1枚あたりは、本体の購入費と電気代を枚数で割れば数銭程度に収まります。数字だけを見れば裁断のほうが安く見えます。ところが、この計算には社員の時間が入っていません。

かりに時給2,000円の社員が1分間に100枚を裁断できるとすると、裁断そのものの人件費は1枚あたり約0.33円です。ここに留め具を外す時間、紙詰まりの復旧、袋詰め、ごみ出しが加わります。前処理と後始末に裁断と同じだけの時間がかかるなら、1枚あたりは約0.66円になり、ヤマト運輸のECOBox Lの約0.411円を上回ります。量がまとまるほど、溶解処理のほうが安くなる構図です。

人件費を入れずに比べない
シュレッダーの費用を本体代と電気代だけで計算すると、必ず溶解処理より安く見えます。実際にかかっているのは社員の時間です。年間に何時間を裁断に使っているかを一度測ると、判断の前提が変わります。

量ごとの使い分け

処理する量の目安向いている方法理由
1日に数枚程度シュレッダー箱が満たされるまで待てない。即時に処理できることの価値が高い
月に段ボール1箱未満シュレッダーまたは常設型の回収ボックス溶解処理は1箱単位のため、たまるまで社内に置くことになる
月に1〜2箱溶解処理(都度注文)1箱から出せるサービスを選べば無駄が出ない
年度末などに10箱以上溶解処理(まとめ出しまたは一括)数量割引や一括処理のプランで単価が下がる
オフィス移転などで数十箱溶解処理(一括)シュレッダーでは現実的に処理しきれない

表2 各社の最低数量、数量割引、1日あたりの回収上限といった公開条件をもとに整理した

シュレッダーを置き続けるコスト

溶解処理へ移しても、シュレッダーを完全に撤去する会社は多くありません。その場で処分したい書類が必ず残るからです。ただし、置き続けるなら、その費用も見えるようにしておくべきです。

シュレッダーの費用は本体の購入費だけではありません。使用量に応じて刃が摩耗し、保守や買い替えが発生します。電気代がかかり、設置場所の床面積も占有します。裁断くずは一般のごみとして排出されるため、事業系ごみの処理費がかかる事業所では、その分も上乗せされます。そして最大の費用は、投入している社員の時間です。

費用の種類把握しやすさ見落とされやすい点
本体の購入費把握しやすい台数が増えると総額が膨らむ
電気代把握しにくい他の機器と合算され、単体では測られない
保守・買い替え把握しやすい故障時に処理が止まる機会損失は計上されない
ごみの処理費把握しにくい一般の事業系ごみに混ざり、内訳が分からない
社員の作業時間把握されていないことが多い前処理と後始末を含めると裁断時間の2倍になりうる
設置場所把握されない賃料に対する占有面積として計算されない

表3 シュレッダー運用で発生する費用の種類を、社内で数字として把握されやすいかどうかで整理した

溶解処理サービスの費用は、請求書に1行で出ます。シュレッダーの費用は複数の科目に散り、社員の時間はどこにも計上されません。比較したときに溶解処理が高く見えるのは、片方だけが可視化されているからです。切り替えを検討するなら、まず裁断に使っている時間を1か月測ってみてください。

記録が残るかどうかが効く場面

シュレッダーで処理した書類は、処理した事実を後から示せません。社内に機械があり、誰でも投入できるため、いつ誰が何を処分したかの記録は残らないのが普通です。

溶解処理では5サービスとも証明書が発行されます。ただし条件は一様ではありません。佐川急便は月次証明書を溶解処理後1年間、日次(個別)を60日間とし、期間を過ぎた再発行はできないと明記しています。日本郵便は利用規約で、当該月ごとに翌月5営業日までに指定のメールアドレスへ電子データで送付し、溶解完了日から1年間に限り再発行すると定めています。ヤマト運輸、日本通運、大塚商会も証明書を発行しますが、発行期限については公式ページに記載が見当たりません。

個人情報を含む書類や、監査で処分の事実を問われる可能性がある書類では、この差が費用より先に効いてきます。証明書を取れるというだけでなく、いつまで取れるかを確認したうえで、処理のたびに保存する運用を決めておく必要があります。

回収までの保管という見落とし

溶解処理には、シュレッダーにはない空白期間があります。箱に詰め始めてから回収されるまでの間、機密書類は社内に置かれたままです。施錠されない段ボールが執務室の隅に積まれている状態は、処分を依頼したつもりでもリスクが残ります。

この期間を短くするか、保管を安全にするかの二択になります。短くするなら、箱が満たされる前でも定期的に出す運用にします。安全にするなら、施錠された常設型を使います。ヤマト運輸のECOポストは施錠された専用ポストに投函する形で、本体利用料が月額2,200円(税込)、回収料が全国16,500円(税込)、東京23区限定で11,000円(税込)です。投函した瞬間に取り出せなくなるため、空白期間のリスクが下がります。

シュレッダーを残すべき場面

  • その場で処分しないと滞留する少量の書類
  • 来客の目に触れる場所で出た書類
  • 保存年限がなく、記録も不要なもの
溶解処理へ移すべき場面

  • 保存年限が切れて一斉に処分する書類
  • バインダーやファイルに綴じられた書類
  • 処分した記録を残す必要がある書類

溶解処理に切り替えても残る作業

溶解処理へ移すと社内の作業がゼロになるわけではありません。残る作業が3つあります。

1つ目は、入れてよいものかどうかの判断です。5サービスとも紙以外のものを禁じており、受け入れ範囲は社ごとに違います。日本郵便は利用規約で新聞紙と雑誌を収納禁止物品に定義し、ヤマト運輸は写真とレントゲンを投入できないものとしています。大塚商会は新聞や雑誌、写真を容積の5%程度までなら処理できるとしています。同じ「紙」でも扱いが分かれるため、自社が使うサービスの基準を社内へ共有する必要があります。

2つ目は、保存年限が残っている書類が混ざらないようにすることです。溶解処理は未開封のまま進むため、誤って入れた書類は取り戻せません。封をする前に中身を確認する担当者を決めておいてください。

3つ目は、どの箱に何を入れたかの記録です。処理する側は箱を開けないため、中身を知っているのは自社だけです。証明書は処理された事実を示しますが、何が処理されたかは示しません。後から特定が必要になる書類を入れるなら、箱の番号と中身の概要を控える手順が要ります。シュレッダーでは誰も記録を取りませんが、溶解処理では記録を取る前提で運用を組めます。これは手間が増えたのではなく、これまで取れなかった記録が取れるようになったと捉えるのが正しい見方です。

併用するという答え

ここまで見てきたとおり、どちらか一方だけで完結させる必要はありません。実務的には併用が自然な形になります。日常的にその場で出る少量はシュレッダー、保存年限が切れてまとまった量を出すときは溶解処理、という分担です。

併用する場合に決めておくべきことが1つあります。どちらで処理するかの判断基準を、担当者の裁量に任せないことです。基準がないと、急いでいるときにバインダーごとシュレッダーの前に置かれ、外す作業で時間を取られます。逆に、少量でも溶解処理の箱に入れていくと、箱が満たされるまで何か月も社内に書類が残ります。「保存年限の管理対象になっている書類は溶解処理、それ以外の当日限りの書類はシュレッダー」といった線を引いておくと、迷いがなくなります。

線引きを決めたら、紙に書いて共有する以上に効くのが置き場の設計です。シュレッダーの隣に溶解処理用の箱を置くと、その場で判断して投入先を分けられます。箱が別の部屋にあると、面倒さから全部シュレッダーに入ってしまい、留め具を外す作業が元に戻ります。判断基準と動線をそろえておくと、運用は自然に続きます。

よくある質問

溶解処理に出した書類は本当に読まれませんか。
5サービスとも、未開封のまま箱ごと溶解処理すると公式に説明しています。ただし日本郵便の利用規約には、収納禁止物品が入っている疑いがあり溶解設備に悪影響を及ぼすおそれがあると認める場合、利用者の同意を得たうえで開梱して検査できるという定めがあります。禁止されているものを入れなければ、開けられることはありません。

シュレッダーの細断くずはリサイクルされますか。
細断された紙は繊維が短く切られているため、再生紙の原料としての価値が下がります。溶解処理は紙を切らずに繊維へ戻すため、原料の質を保ったままリサイクルに回せます。再生後の用途としてトイレットペーパーを挙げている公式ページは、今回調べた範囲では3社ぶん確認できました。

少量しか出ないのですが溶解処理は使えますか。
ヤマト運輸、佐川急便、日本通運、大塚商会は1箱から出せます。日本郵便は専用キットが5枚1セット単位で、1セットあたり5,500円(税込)の溶解手数料が先に発生するため、少量の単発には向きません。

CD-ROMも一緒に処分できますか。
できません。5サービスとも記録媒体の混入を禁じています。混ざっていた場合にどうなるかまで書いているのは大塚商会で、箱が返却されることがあり、その送料は依頼した側の負担になると公式ページに記載があります。記録媒体は別の手段で処分してください。

出典

いずれも2026年10月23日に公式ページで確認した内容です。料金や条件は変更されるため、申し込み前に各社の公式ページで最新の内容を確認してください。

関連する比較記事とノウハウ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です