水道直結型と宅配ボトル型の違い|オフィスの分かれ目は工事の可否と月の使用量【2026年】

水道直結型と宅配ボトル型の違いを示すイメージ。分かれ目は2つという見出しと、工事の可否と月の使用量という副題、複数のウォーターサーバーが並んでいる

オフィスにウォーターサーバーを入れるとき、最初に決めるのは製品ではなく方式です。水道につなぐのか、タンクに注ぐのか、ボトルを配送してもらうのか。ここを先に決めないと、見積もりを並べても比べられません。

結論から言うと、分かれ目は2つです。水道の分岐工事ができるかと、月に何リットル使うか。工事ができないなら候補は自動的に絞られ、使用量が月50Lを超えるあたりから定額型と従量型の総額が逆転していきます。

方式は3つに分かれる

「浄水型」「宅配水」という呼び方が混ざって使われますが、オフィスの実務で意味があるのは次の3分類です。

ウォーターサーバーの3方式と、実務上の違い
方式 水の入れ方 工事 補充の作業 水の代金
水道直結型 水道管から分岐してつなぐ 必要 なし かからない(水道料金のみ)
給水型(浄水型) 本体のタンクに水道水を注ぐ 不要 人が注ぐ かからない(水道料金のみ)
宅配ボトル型 配送されたボトルを本体にセット 不要 ボトルを交換する 本数ぶんかかる

水道直結型と給水型は、どちらも水道水をろ過して使うので「浄水型」とまとめられることがあります。しかし工事の要否と補充の有無が正反対なので、オフィスの検討では分けて扱ったほうが混乱しません。

工事ができるかどうかで候補が半分に減る

賃貸オフィスで水道直結型を選ぶ場合、確認すべき相手はサービス提供会社ではなくビルの管理会社です。確認する項目は3つあります。

  1. 給湯室の水道から分岐を取ってよいか。設備に手を入れる扱いになるため、貸主または管理会社の承諾が要ります。
  2. 退去時に原状回復が必要か。必要なら、その費用を導入時のコストに織り込んでおきます。
  3. 工事できる時間帯に制限はないか。ビルによっては業者の作業時間が決まっており、設置日の調整に影響します。

この3つのどれかで止まるなら、水道直結型は候補から外れます。残るのは給水型か宅配ボトル型です。先に管理会社へ確認しておけば、工事前提の見積もりを取って無駄にすることがありません。

工事の可否が決まらないときの進め方

確認に時間がかかるなら、工事不要の方式で始めて、あとで切り替えるという手があります。たとえばウォータースタンドには水道直結型と給水型の両方があり、公式のよくある質問では機種変更ができると案内されています。同じ会社の中で移れるなら、解約と再契約を挟まずに済みます。

使用量で総額が逆転する

工事の可否で候補が決まったら、次は使用量です。定額型は人数が増えても金額が動かず、従量型は本数に比例して伸びるので、どこかで必ず交差します。

実際に公開されている金額で並べてみます。定額型の代表としてウォータースタンドのメイト2(月2,750円)とエブリィフレシャスのlite(月2,750円)、従量型の代表としてクリクラの超お得プラン(12Lボトル1本1,620円+サポート費460円)とアクアクララのアクア8(12Lボトル1本1,620円+サポート料1,100円)を使います。

月の使用量ごとの月額(各社の公開金額から計算。いずれも税込、1台あたり)
月の使用量 定額型(月2,750円) クリクラ超お得プラン アクアクララ アクア8
24L(12Lボトル2本) 2,750円 3,700円 4,340円
36L(3本) 2,750円 5,320円 5,960円
60L(5本) 2,750円 8,560円 9,200円
120L(10本) 2,750円 16,660円 17,300円
180L(15本) 2,750円 24,760円 25,400円

この計算では、24L(月2本)の時点ですでに定額型のほうが安いことになります。従量型が有利になるのは、月1本も使わないようなごく少量の場合に限られます。ただし、クリクラには3か月で6本未満だとサーバーレンタル料1,100円(税込)/月が発生する場合があるという条件があり、少量利用でも固定費が乗ります。

では、なぜ従量型が選ばれるのか。理由は金額以外にあります。工事ができない、天然水を出したい、短期だけ使いたい、現場に水道がない。金額だけを見れば定額型が有利な場面が多く、従量型を選ぶ理由は運用条件のほうにあります。

月の使用量を先に見積もる

方式を比べるには使用量の見込みが要りますが、導入前にこれを正確に出すのは難しいものです。そこで、目安として置ける数字を作っておきます。

公表されている人数の目安が参考になります。アクアクララは法人向けページで、12Lボトル3本を10人以下、5本を10〜25人、10本を30〜40人の目安としています。これを1人あたりの月間使用量に直すと、次のようになります。

公表されている人数の目安から逆算した1人あたりの月間使用量
本数(12L) 総量 人数の目安 1人あたり(月)
3本 36L 10人以下 3.6L以上
5本 60L 10〜25人 2.4〜6.0L
10本 120L 30〜40人 3.0〜4.0L

出典:アクアクララ「オフィス・法人様向けウォーターサーバー」の利用人数目安から計算

どの行でも1人あたり月3〜4L前後に収まります。稼働日を月20日とすると、1人1日あたり150〜200mLです。コップ1杯ぶんに満たない量なので、「1人1日1L飲む」という前提で計算すると実態より大きく見積もることになります。

この差は方式の選択に効きます。1人1日1Lで30人なら月600L、どう見ても定額型です。一方、公表値どおり1人月3.5Lなら30人で月105L。これなら宅配ボトル型も現実的な選択肢に入ります。過大に見積もると、必要のない機種を選ぶことになります。

見積もりを同じ条件でそろえる

複数社から見積もりを取るとき、そのまま並べても比べられません。料金の作りが違うからです。そろえるべき項目は5つあります。

  1. 機種名まで指定する。同じブランドでも、月額が2,530円から7,700円まで開くことがあります。
  2. 月の使用量を同じ数字で伝える。「月60L」のように量で指定すれば、従量型も定額型も同じ土俵に乗ります。
  3. 電気代の目安を聞く。公表していない会社もありますが、聞けば答えが返ることがあります。
  4. 初期費用を分けて出してもらう。事務手数料、設置費用、初回のボトル購入は、月額とは別に積む項目です。
  5. 契約期間と中途解約の金額を書面で出してもらう。ここは口頭で済ませない。

5つ目がいちばん重要です。公開されている情報だけでは、中途解約の金額が分からないサービスもあります。総額が数十万円になる契約を、解約条件が不明なまま決裁に回すのは避けたいところです。

電気代は方式ではなく機種で決まる

見落とされやすいのが電気代です。公開されている目安を並べると、方式の違いより機種の違いのほうが大きいことが分かります。

公表されている電気代の目安(各社の公式サイトより。条件は各社の記載による)
機種 方式 電気代の目安 条件
ウォータースタンド メイト2 水道直結 0円 常温水のみの機種
ウォータースタンド ガーディアン 水道直結 約150円/月 製品一覧の表示
エブリィフレシャス tall 給水型 約401円/月〜 SLEEP/ECO機能を使用した場合
エブリィフレシャス lite 給水型 約623円/月〜 SLEEP/ECO機能を使用した場合
ウォータースタンド プライムスタンド 水道直結 996円/月 冷水18L・温水18L使用時、節電モード使用時の実測値(27円/kWhで算出)

出典:ウォータースタンド「製品と料金」/ウォータースタンド「プライムスタンド」/エブリィフレシャス「スペック比較表」

同じ水道直結型でも、常温水だけのメイト2が0円、大容量のプライムスタンドが996円と、月1,000円近い開きがあります。温水を作る機能が電気代の大半を占めます。プライムスタンドの温水の消費電力は550Wと公表されており、冷水の120Wの4倍以上です。

電気代を含めた比較をするなら、レンタル料や月額基本料金に電気代の目安を足した金額で並べる必要があります。月額の差が数百円なら、電気代で順位が入れ替わることがあります。

置き場所に必要な面積が違う

方式によって、必要なスペースの中身が変わります。

置き場所として見込んでおくもの
方式 本体 そのほかに要るもの
水道直結型 床置きまたは卓上 なし
給水型 床置きまたは卓上 給水用の容器を使うなら、その置き場所
宅配ボトル型 床置きまたは卓上 未使用ボトルのストックと、回収までの空ボトル置き場

宅配ボトル型で月5本を使うなら、未使用と空を合わせて常時3〜5本ぶんの床面積を見込んでおくと詰まりません。12Lボトルの直径はおおむね25cm前後なので、1本あたり0.1平方メートル弱。5本なら0.5平方メートル程度の余白が要る計算です。

給湯室が狭いオフィスでは、この置き場所が方式を決めることがあります。金額の比較表には出てこない制約ですが、実際には最も効く条件の1つです。

補充の作業を誰がやるか

運用の負担も方式で変わります。

水道直結型は補充が発生しません。カートリッジやフィルターの交換はありますが、頻度は年1回程度です。給水型は誰かがタンクに水道水を注ぎます。タンク容量が5L〜9.5L程度なので、10人のオフィスで1人1日1Lを飲むなら、1日1回以上の補充が要る計算です。宅配ボトル型は12kgのボトルを本体にセットする作業が発生します。

この作業を「気づいた人がやる」運用にすると、結局いつも同じ人がやることになります。導入時に、総務の定例業務にするのか当番制にするのかを決めておくほうが、あとで揉めません。とくに12kgの持ち上げは、できる人とできない人が分かれる作業です。

ボトルを本体の下に置く下置きタイプを選べば、持ち上げる高さを抑えられます。機種選定の段階で、本体の形まで見ておく価値があります。

水の種類が3通りある

出てくる水も方式と連動します。水道直結型と給水型は水道水をろ過した水、宅配ボトル型はRO水か天然水です。

方式と水の種類の対応
水の種類 方式 特徴
水道水をろ過した水 水道直結型・給水型 水の代金がかからない。水質は水道水とフィルターの性能で決まる
RO水 宅配ボトル型 原水を逆浸透膜でろ過した水。採水地による味のばらつきがない
天然水 宅配ボトル型 採水地ごとに味や硬度が変わる。来客に銘柄を示せる

来客対応を重く見るなら天然水、コストと量を重く見るならろ過水、という整理になります。ただし従業員の飲用が主目的なら、水の種類より出る温度のほうが満足度に効きます。常温水が出るか、90℃前後の高温水が出るかで、お茶やカップ麺の用途がカバーできるかが変わります。

停電したときに使えるか

防災の観点を評価軸に入れる会社もあります。方式ごとに事情が違います。

水道直結型は、停電すると冷水・温水は出なくなりますが、水道が生きていれば常温の水は出る可能性があります。ただし機種の制御方式によるので、停電時の挙動は確認が要ります。

給水型も同様に、電気が止まれば温度調整はできません。ただしエブリィフレシャスのliteは、カートリッジを本体から取り外して浄水ポットとして使えると公式サイトに書かれています。停電時に水をろ過する手段が残るという点は、ほかの機種にない特徴です。

エブリィフレシャス公式サイトのlite製品ページの画面。つぎ足しできる9.5Lタンク、丸洗いできるタンク、年1回のカートリッジ交換、災害時に浄水ポットとして活用できることが並んでいる

宅配ボトル型は、ボトルそのものが備蓄になります。未使用のボトルが社内にあれば、電気が止まっていても水は確保できます。本体から水を出せない場合でも、ボトルを開けて使うことはできます。備蓄を兼ねたいなら宅配ボトル型が有利です。

無料のお試し期間で実使用量を測る

見積もりの前提が外れていないかを確かめる方法があります。お試し期間を使って、実際の使用量を測ることです。

ウォータースタンドは法人向けのページで1か月無料のお試しを案内しています。対象は法人として登記された企業で、個人事業主は対象外。初回契約時に1台分だけ適用されます。この1か月で測っておきたいのは、金額ではなく次の3つです。

  1. 1日に何リットル出たか。給水型なら、タンクに注いだ回数で換算できます。これが見積もりの前提になります。
  2. お湯をどれくらい使ったか。温水の使用量が多いなら、電気代が高めの機種を選ぶ意味が出てきます。
  3. 誰が補充したか。給水型を試す場合、補充の回数と担当の偏りが分かります。これは本契約の方式選びに直結します。

1か月あれば、季節の偏りを除いた平均に近い数字が取れます。推測で書いた使用量より、実測の1か月のほうが稟議の根拠として強いでしょう。夏場に測れば多めに出るので、年間の平均としては割り引いて考える必要があります。

方式を途中で変えられるか

一度決めた方式を後から変えられるかどうかも、選定の材料になります。

同じ会社の中で機種を変えられるケースがあります。ウォータースタンドは公式のよくある質問で機種変更ができるとしており、水道直結型と給水型の両方を扱っています。クリクラも宅配ボトル型のほかに浄水型のfeel freeを持っています。会社をまたがずに方式を移れるなら、解約金の話を避けられます。

一方で、機種変更が契約期間の起算点になるサービスもあります。エブリィフレシャスは、契約後またはサーバー交換後3年未満の解約で40,000円(不課税)が発生すると公式のよくある質問に書いています。機種を替えた時点で3年を数え直すという読み方になるので、気軽な変更はしづらい条件です。

方式を決めきれないなら、契約期間のないプランから始めるという手もあります。クリクラのベーシックプランは契約期間がなく解約違約金0円、ウォータースタンドのセルフメンテナンス対象機種は利用期間にかかわらず撤去費用の負担がありません。

方式を決める順番

ここまでを順番に並べると、次のようになります。

  1. ビルの管理会社に分岐工事の可否を確認する。できないなら水道直結型は外れる。
  2. 月の使用量を見積もる。人数×1人1日1L×稼働日数が目安。
  3. 置き場所を測る。宅配ボトル型なら本体に加えてボトル3〜5本ぶんの余白が要る。
  4. 補充の担当を決められるか考える。決められないなら水道直結型に寄せる。
  5. 水の種類の要件を確認する。来客に天然水を出す必要があるかどうか。
  6. 残った候補の月額に電気代を足して比べる。
  7. 解約条件を機種名で確認する。同じブランドでも機種で条件が変わることがある。

この順番で絞ると、たいていは2〜3社に収まります。各社の具体的な条件はオフィス向けウォーターサーバー5社比較にまとめています。解約の条件だけを比べたい場合はオフィスのウォーターサーバーを解約するときを参照してください。

方式別に向いている職場

最後に、方式ごとの適性を整理します。

水道直結型が向くのは、人数が多く水をよく使う職場です。使用量が増えても金額が動かず、補充の作業も発生しません。工事の承諾が取れることが前提になります。代表的なサービスの条件はウォータースタンドの料金と法人向けの条件にまとめています。

給水型が向くのは、工事ができないが定額で使いたい職場です。補充の手間を受け入れられるかが分かれ目になります。エブリィフレシャスの料金と解約条件で機種ごとの条件を確認できます。

宅配ボトル型が向くのは、水道設備から離れた現場、短期間だけ使いたい場合、来客に天然水を出したい場合です。クリクラ、アクアクララ、プレミアムウォーター法人プランがこの方式です。

出典

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