そもそもマイナンバーとは?マイナンバーの法律・ガイドラインの概要を解説!
マイナンバーとは、日本の国民全員に一人ひとり割り当てられる番号です。個人番号とも呼ばれます。国内に住民票を有するすべての人を対象に、12桁の番号が与えられます。マイナンバーを活用して、国民のデータを正確かつ効率的に管理する仕組みをマイナンバー制度と称します。
マイナンバーは社会保障や税金、年金、災害対策などの行政手続きの場面で用いられます。従来はそれぞれ別の機関が管轄していたため、情報の連携が困難という課題がありました。
しかしマイナンバーの導入により、番号に紐づいた情報を用いて同一人物の確認ができるようになりました。分散した情報を、番号を起点に参照できるようになったのです。地方公共団体や行政がシームレスにやりとりできるようになったことで、生産性の向上、コスト削減につながっています。
マイナンバーには税制度の透明性を高める役割もあります。2017年の確定申告以降、所得税確定申告書にはマイナンバーの記載が必須となりました。これにより誰がどのくらい税金を収めているのかが分かりやすくなり、脱税の実態などを把握しやすくなったのです。
マイナンバーは行政側だけでなく、国民にも大きなメリットがあります。行政手続きの利便性向上です。
これまでは行政機関へ申請を行う際など、国民が様々な書類を自ら集めなければなりませんでした。しかしマイナンバーを記入するだけでそれらが不要になるケースも多くなっています。
またマイナンバーを利用することで、住民票の写しがコンビニエンスストアから取得できる仕組みも確立されました。わざわざ市役所に足を運ばなくても公的な書類が取得できるようになったのです。
なぜ企業がマイナンバー管理をする必要があるの?その重要性とは?
企業は規模や形態問わず、自社の従業員のマイナンバーを管理する必要があります。企業は源泉徴収票の作成や社会保障、年金手続きを社員に代わって行います。また従業員を採用すると、新たに手続きを行わなければなりません。
これらの手続きには、マイナンバーの記載が必須となりました。そのため企業は、自社で雇用している従業員のマイナンバーをすべて把握しておかなければならないのです。従業員だけでなく、従業員の扶養家族のマイナンバーも管理しておく必要があります。
もっとも気を配らなければならないのが、マイナンバーの管理です。原則としてマイナンバーは生涯変わることがありません。現在割り当てられている番号を使い続けることになるのです。
そのため情報が漏洩したり盗難に遭ってしまった場合は、甚大な被害をもたらすことが容易に想像されます。徹底した管理体制づくりが、すべての企業に求められているのです。
マイナンバーが必要になる書類をまとめました!
マイナンバー制度によって、以下の書類にマイナンバーが必要となりました。
源泉徴収票
会社が支払った給与や徴収した所得税が記載された用紙です。所得税の納付義務は個人にありますが、納税漏れなどを防ぐ目的で、給与を個人に支払う前の段階であらかじめ税金を差し引いておき、会社が代わりに収めるという方式を採っています。
番号法整備法や税法の改正に伴い、税務関係の書類にはマイナンバーの記載が義務となっています。
支払調書
法人が行った支払いについて、相手や支払額などその明細を証明する書類です。こちらも税務署への提出書類となるため、マイナンバーが必要となります。
雇用保険被保険者資格取得届
雇用条件などから、雇用保険の被保険者となる従業員を採用した場合にハローワークへ提出する書類です。これにより雇用保険の加入手続きを行います。ちなみに労働者が退職し、雇用保険の給付を申請する場合にもマイナンバーの記載が必要となります。
マイナンバー管理の3つのポイント「収集」「利用・保管」「廃棄」とは?
企業がマイナンバーを管理する上で「収集」「利用・保管」「廃棄」の3点を押さえておく必要があります。
収集
企業がマイナンバーを収集する際には、何のために利用するのかをはっきりと明示して、マイナンバーの提示を要求しなければなりません。
また自社で雇用している社員や契約社員、アルバイトは社会保険手続きなどを行う必要があるので、マイナンバーの収集が必要ですが、派遣社員の場合は派遣元の企業が手続きを行うため、マイナンバーの提出を求めることはできません。
企業はいつでも、誰からでもマイナンバーを収集できるわけではないという点を覚えておきましょう。
マイナンバーの収集方法は、まず個人番号カード(あるいは通知カード)、住民票の写しなどから「番号確認」を行い、さらに運転免許証などを用いて「身元確認」を行うのが一般的です。
個人番号カードを提出した場合、身元確認書類は必要ありません。また従業員の扶養家族のマイナンバーは、従業員自身が行い申告します。
利用・保管
マイナンバーは、行政機関への提出書類にのみ用いることができます。企業が独自の用途で利用することはできません。例えばマイナンバーを社員の識別やデータ管理に使うことは禁止されています。
マイナンバーの保管期間は厳密に決まっているわけではありません。税金や社会保障に関わる書類は、一定期間しか保管できない法律がありますが、マイナンバーの保管期間は現状、事業者次第となっています。
廃棄
マイナンバーは必要がないと判断したタイミングで速やかに廃棄しなければなりません。従業員が退職した際などは復元不可能なやり方で廃棄、データの削除を行いましょう。マイナンバー情報は、最終的に廃棄することを前提として保管するように心がけてください。
企業が行うマイナンバーの方針・規定策定、管理対策を解説!
マイナンバーの取り扱いについての方針は、国によって明文化されています。
企業内でルールの明確化が必要
事業者向けのガイドライン「特定個人情報の適正な取扱いに関する安全管理措置」では、「基本方針の策定」「取扱規程等の策定」という形で、企業内ルールを明確化することが推奨されています。
https://www.ppc.go.jp/legal/policy/
基本方針の策定
基本方針の策定は、マイナンバーの取り扱いについて基本的な理念や安全管理の方針を記すものです。安全管理に関して詳細に明記しておくことで、従業員からの理解が得られやすくなります。
また複数の担当者がいたり、新たな人員が増えた場合でも、全員が同じ意識で業務にあたることができるようになるでしょう。
基本方針の策定は義務付けられているわけではありませんので、特に小規模の企業や立ち上げたばかりのベンチャー企業でおろそかになりやすい傾向にあります。将来的にトラブルのない経営を行うためにも、必ず策定しておきましょう。
取扱規程等の策定
マイナンバーをどのように扱うのか、具体的な取扱規程を定めることも忘れてはなりません。取得や利用、廃棄の流れや担当者などを従業員全員が分かるようにしておきましょう。
安全管理措置の徹底が求められる
企業がマイナンバーを扱うにあたり、以下4つの安全管理措置を徹底しなければなりません。
組織的安全管理措置
マイナンバー取り扱いの安全管理は、組織全体で意識しなければなりません。まずは担当者を明確に決め、それ以外の従業員が参照できないようにする仕組み作りを行いましょう。仮に問題が発生してしまった際の責任の所在など、危機管理対策も事前に行っておくべきです。
人的安全管理措置
マイナンバーの漏洩などは、人の手によって管理していたことが原因で起こりやすい問題です。マニュアルや業務フローを緻密に詰めておきましょう。
また多少のコストをかけてでも、担当者を外部の研修に参加させるなど、社員教育にも力を入れておく必要があります。ヒューマンエラーが発生しないような仕組み作りが大切です。
物理的安全管理措置
マイナンバーの閲覧自体を物理的に制御する仕組みづくりも欠かせません。例えばマイナンバーを扱うPCには二重ロックをかけてワイヤーで固定するなど、徹底した管理が求められます。
他の書類と管理場所を区分けし、担当者以外が手に取れないようにするのも良いでしょう。
技術的安全管理措置
マイナンバーをデータで管理する場合、技術的な側面からの安全管理も意識しなければなりません。マイナンバーを扱う業務は特定の端末だけで行うように取り決めを行ったり、担当者以外ログインできない仕組みにすることをおすすめします。
また外部からの攻撃による情報漏洩を防ぐためにも、ウイルス対策は常時万全にしておかなければなりません。
マイナンバー管理で問題になりがちな点、注意点とは?
マイナンバー管理では、以下の要素が問題となりやすいでしょう。
保管場所・方法
どの企業でもマイナンバーの保管場所や方法については頭を悩ませるものです。従業員数を採用すればそれだけ情報の量も増えていきます。書類で管理している場合、厳重に保管できる場所の確保も大きな課題となります。多くの従業員を抱える大規模な企業ほど、慎重に管理しなければなりません。
もっともおすすめの方法は、情報をデータ化してクラウド上に保存することです。これにより物理的なスペースを確保する必要がなくなります。クラウド上にアップロードしてしまえば、データの安全性も高まります。
もし仮に社内のPCが動かなくなってしまっても、データに影響はありません。また情報のデータ化により、検索や共有がスムーズに行えるようになります。マイナンバーの提出を求める際にも、各自でシステムにアクセスし、情報を入力してもらえば良くなるので、労務の大幅な業務効率化が期待できるでしょう。
粗雑な管理は深刻な事態を招く
マイナンバーを杜撰に管理してしまうと、思いも寄らない深刻な事態を引き起こすかもしれません。前述の通りマイナンバーは極めて特秘な個人情報です。漏洩してしまえば最悪の場合損害賠償などの問題につながることもあります。
例えば正当な理由がなくマイナンバーを第三者に提供した場合、4年以下の懲役・200万円以下の罰金が課せられる恐れもあります。ついうっかり情報を漏らしてしまうようなことがないように、社員教育と情報管理は細心の注意を払わなければなりません。
マイナンバーの適切な管理方法とは?それぞれのメリット・デメリットをまとめました!
重要な個人情報であるマイナンバーは、他の書類とは異なるやり方で厳重に保管しなければなりません。
キャビネット
施錠可能なキャビネットなどに書類を保管する方法です。
メリット
キャビネット自体は多くの企業のオフィスにあるはずなので、もっとも手軽なやり方と言えます。盗難のリスクも抑えることができるでしょう。
デメリット
キャビネットは常に施錠した状態を保ち、なおかつ鍵を厳重に保管する必要があります。もし鍵を紛失してしまっては意味がありません。マイナンバー業務の担当者のみが鍵を所持できるよう、徹底したルールづくりが欠かせません。
金庫
マイナンバーを記載した書類を、社内に備え付けた金庫に保管する方法です。
メリット
重量のある金庫を移動させることはほぼ不可能なため、盗難のリスクは低くなるでしょう。重厚な金庫に保管するのであれば、キャビネットを利用する場合よりも安心感が生まれます。
デメリット
金庫は高価なものがほとんどであるため導入コストがかかります。手軽に導入できるものでもありません。また金庫もキャビネットと同様、常に施錠された状態を保ち、ロックナンバーや鍵については細かく配慮する必要があります。
もしロックナンバーを失念してしまった際などは、解錠にさらなる手間が発生します。
上記二つは紙媒体を物理的に保存するやり方です。どちらもヒューマンエラーに気をつけなければなりません。
社内PC
エクセルファイルなどにマイナンバーのデータをまとめ、社内のPCに保存する方法です。
メリット
情報をデータでまとめることで一気に扱いやすくなり、業務をスムーズに進められるようになります。紙媒体での管理よりも生産性が大幅に向上するでしょう。
デメリット
PCでの管理はデータの破損に留意しなければなりません。エクセルファイルをうっかり削除してしまい、データが復元できないという事態も十分に想定されます。
また誰でも自由に閲覧できる状態は好ましくないため、パスワードをかける必要がありますが、パスワードを忘れてしまうと深刻なトラブルを引き起こします。
USBメモリなどの外部記憶装置
USBや外付けHDなどの記憶装置に、データをバックアップする方法です。
メリット
データを外部記憶装置に保存することで、社内のPCが破損するなどの不測の事態にも対処できるようになります。もしPCのローカルフォルダで保管する際も、外部記憶装置にバックアップすることは欠かせません。
デメリット
特にUSBはコンパクトサイズなため、紛失のリスクが非常に高くなります。盗難にも遭いやすいでしょう。暗号化、パスワード付きのものであっても安心はできません。また強い衝撃がかかってデータが消えてしまうケースも少なくありません。
オンラインストレージ
インターネット上にファイルを保存するオンラインストレージを活用する方法です。
メリット
PCのローカルフォルダに保存していたデータをクラウド上にアップすることで、安全にデータを保管することができます。
自社でデータを格納する仕組みを準備する必要がなく、不正アクセス防止などのセキュリティ対策を行なっているサービスも多いので、非常に安全にマイナンバーを保存できるでしょう。
ファイル容量によって月額利用料金が決まることが一般的ですが、低価格であることが多いのでコスト面の心配もあまりありません。
デメリット
オンラインストレージサービスは、メンテナンス時に一時的にアクセス不可になることがあります。メンテナンスは深夜に行われることが多いですが、業務時に起きないとは限りません。
外部委託
マイナンバーの管理を外部の業者に委託する方法です。
メリット
外部委託のメリットは、自社内の負担を軽減できることです。今後マイナンバーについては法改正が行われる可能性もあり、その都度社内体制を変更するとなると、企業にとってはかなりの負担となります。
ヒューマンリソースをうまく使うという観点に立つと、外部委託を利用するメリットは大きいでしょう。
デメリット
マイナンバーの管理を外部委託する最大のデメリットは、情報漏洩の危険です。業者によっては多重委託のような構造になっている場合もありますので、注意が必要です。委託先との連携がうまく取れず、余計に業務の負担を増やしてしまう可能性も考えられます。
クラウドサービス
クラウドサービスは、マイナンバーの保管やその他労務処理を行うことができるソフトウェアサービスを利用する方法です。
メリット
社内のリスクを最小限に抑え、かつさまざまな業務効率化を実現できるのがクラウドサービスを利用するメリットです。暗号化された通信データは不正リスクを限りなくゼロにします。
データは全てクラウド上に保管されるので、検索性も優れています。書類作成など労務手続きに伴う様々な雑務を簡略化できる機能が搭載されたサービスも多く存在しています。
デメリット
クラウドサービスは基本的に月額利用料という形で費用がかかってきます。書類やエクセルでの管理と比較して、恒常的にコストがかかるのは、企業にとってデメリットとなるかもしれません。
マイナンバーの管理ソフト・クラウドシステムのおすすめ3選!
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