そもそも受付システムとは?どんな種類がある?
受付システムとは、オフィスの入り口に設置し、訪問者が来たことを社員に知らせるビジネスツールです。オフィスの入り口や受付を無人の状態にすることができます。また素早い情報の通知が行われるので、訪問者を待たせることなく、スムーズな案内が可能になります。
受付システムは主にiPadなどのタブレット端末を用いて使うものと、専用のロボット端末を利用するものの2種類が存在します。受付システムは、企業の第一印象を左右する要素にもなるので、自社の雰囲気や用途に合わせて最適なものを選択することが肝要です。
タブレット型システムは、オフィスの入り口にタブレットを一台設置するだけで使い始めることができます。導入コストも抑えられ、見た目も非常にスタイリッシュです。受付に関わる業務をシンプルにし、生産性を上げることができます。
ロボット型システムは、訪問者に近未来的な強い印象を与えます。最先端のツールを導入しているというイメージを持ってもらうことができるでしょう。代表的な例では、ソフトバンク社の人型ロボット「Pepper」が有名です。訪問者の緊張を和らげたり、会話のきっかけになることもあります。
企業の受付は、内線電話が設置してあったり、受付係が常駐しているという形態が一般的です。
しかし内線電話の場合、電話を取った社員が一時作業を中断して取次を行わなければならないため非効率です。受付係が社員を呼び出す場合も動作をワンクッション挟むことになりますし、何より人件費が余計にかかってしまいます。
近年ITを活用して、受付のプロセスを無人化・自動化する流れが広まっています。タブレット型の場合、iPadを一台設置するだけで導入は完了します。あとは訪問者にタブレットを操作してもらい、呼び出す社員本人のパソコンに通知を送ることで、受付のフローを大幅に簡略化することができるのです。
受付システムでiPad・タッチパネルを導入すれば、無人化と効率化を実現できる?
受付システムには様々な機能が搭載されており、一台導入するだけで大幅な業務効率化を実現します。一般的な受付システムに用意されている機能を紹介します。
受付機能
受付システムは、訪問者に操作してもらう形で受付を行います。
名前検索
タブレット型の受付システムは、社員の名前検索で呼び出しを行うことができます。訪問者がタブレットを操作し、呼び出す担当者の名前を選択するだけで、本人のパソコンやスマートフォンに通知が送られます。
名前が分かっていれば迷うことなくスムーズに呼び出しを行えますし、他の社員が取り次いだり、メモを取ったりする必要もありません。この機能だけでも大幅な業務効率の改善が期待できます。
トップページのカスタマイズ
タブレット型の受付システムは、トップページの表示メニューをカスタマイズすることができるものもあります。例えば、配送業者が頻繁に出入りするのであれば「配送業者の方はこちらからお呼び出しください」のようなボタンを表示させるだけで、操作をシンプルにすることができます。
その都度、部署や名前を探さずに済むので、入力する側も無駄なやり取りをせず、速やかに担当者につなぐことができるのです。
コード発行
システムによっては、会社側で訪問者の予定を設定し、受付コードを発行できるものもあります。月日や時間を設定すると、来客のスマートフォンにQRコードが送られ、来客は受付の専用端末にコードをかざすだけで、呼び出しを行うことができるようになります。
この仕組みであれば、訪問者がタブレットに情報を入力する作業さえ省くことができます。待ち時間の大幅な短縮につながるでしょう。
外部サービスとの連携が可能なシステムもあります。例えば、Googleカレンダーと連携させ、コードを発行したタイミングで自動的にスケジュールを設定することも可能です。来客の多い企業にとっては重宝するでしょう。
音声入力
訪問者がタブレット端末に話しかけることで、来訪の旨を通知するものもあります。ただしこれは普通の音声通話ではありません。訪問者の話す内容を理解するのは、AI(人工知能)なのです。音声入力された内容をAIが理解し、最適なアクションを起こします。
こちらもタブレットで名前を探したり、選択する手間をなくすことができるため非常に便利です。
内線通話
それほど高度な機能は使いこなせない・必要ないと考えている企業におすすめなのは、内線通話機能がついた受付システムです。これは従来の内線電話と異なり、担当社員の名前を入力することで、本人に直接コールすることができるというものです。
一度電話を取った社員が取り次ぐ必要がなくなり、作業の手を止めずに済むようになります。
画像撮影
通常の受付システムでは、誰が訪問してきたのか判断しづらいという側面があります。普段から来客の出入りが多い企業では、なるべく余計な対応は減らしておきたいところでしょう。忙しいタイミングで、アポイントメントのない来客に対応しなくてはいけないなどの事態も想定されます。
そこで役立つのが画像撮影機能が搭載されたシステムです。訪問者がタブレットのカメラに顔を向けると、担当者が自席から画像を確認することができます。一体誰が訪問してきたのかが明確になり、対応もスムーズになるでしょう。
通知機能
来訪客がタブレットで行った操作は、担当社員に直接通知されます。通知方法はメール、ビジネス向けチャットアプリであることが多いです。ほとんどのシステムが、メール通知機能を搭載しています。
業務を行う上で、メールでの通知は見逃しやすいという側面があります。一方、SlackやChatworkなどのビジネスチャットアプリであれば、リアルタイムで通知が表示されるので、すぐに気づくことができます。
普段からチャットアプリを使用している企業であれば、対応したシステムの選択をおすすめします。
多言語対応
システムによっては英語・中国語などに対応している場合もあります。外国人の訪問時にも、滞りなく案内することができるでしょう。
企業の形態に合わせて設置できる
受付システムは、企業の形態に合わせてあらゆる使い方ができます。例えば、建物内の複数フロアにオフィスがあり、そのうちの1フロアだけに受付を設置することも可能です。
Weworkなどコワーキングスペースは、建物の入り口にタブレット型の受付システムを導入していることが多いようです。
受付システムのメリット、デメリットをまとめました!
受付システムにはメリットとデメリットがあります。自社の環境との相性も重要です。システムが解決したい課題に合っているかどうかをまずは検討しましょう。
メリット
まずは受付システム導入のメリットを紹介します。
人件費削減につながる
受付システムは、これまで受付係が行ってきた取次を全て自動化できるため、人件費の削減に直結します。たいていの受付システムは、人員コストより安く抑えられますし、現状マニュアルに沿って対応を行っているのであれば、全てシステムに置き換えてしまっても不都合はないでしょう。
業務に集中できる
案内時に社員が集中を妨げられず、仕事に没頭できるので、組織全体の生産性も向上します。業務中に内線が鳴れば、業務を中断して応対しなければなりません。集中力を要する作業の場合は、業務効率が大幅に落ちてしまうでしょう。
特に内線の取次は新人社員の仕事となることが多いです。新人社員は目の前の業務に手いっぱいで、余計な混乱をきたすということも十分に考えられます。
受付システム導入により、社内に内線が鳴り響くことがなくなり、快適な職場環境を作り出すことができるのです。
正確な情報管理
正確に情報管理ができるようになり、スケジューリングのミスを減らすことができます。いつ誰が訪問してきたのか、入退出時間などの情報をクラウド上に集約するサービスの場合、履歴を確認すれば、いつ何の打ち合わせをしたのかも明確になります。
訪問者に氏名や要件などを書いてもらう必要もありません。
セキュリティ対策
内線での応対では、誰が訪問してきたのか判断できないこともありますが、受付システムは直接対面しなくても情報が把握できるので、セキュリティ対策の効果も期待できます。不審な人物を可能な限りシャットアウトすることができるでしょう。
イメージアップ
オフィスの入り口に受付システムが設置されていれば、最先端のツールを取り入れていることをアピールできます。オフィスの設備が充実していることで、スマートさを演出でき、イメージアップにつながることもあるでしょう。
デメリット
受付システムには、いくつかのデメリットがあることも理解しておかなければなりません。
対面での案内を好む人も多い
担当者との雑談を楽しみたいという人にとっては、受付システムの機械的な対応に不満を感じてしまい、味気がないと考えることも多いようです。常連の取引先の人が多い場合は、それぞれの趣味嗜好なども加味しておいた方が良いでしょう。
導入コストがかかる
受付システムは、システムの利用料とタブレット端末の導入が必要です。ロボット型の端末の場合はさらに高額になります。初期費用が負担となる企業も少なくないでしょう。
また既存社員で受付対応できている小規模の企業であれば、そもそも受付システムを導入する必要がないかもしれません。必ず費用に値する効果があるのかは検討しておくべきでしょう。
受付システムの価格・料金はどれくらい?無料システム・アプリはある?
受付システムの料金は、一般的に月額利用料という形で設定されています。料金は3,000円から20,000円のものまで様々、契約は契月単位のものから数年単位ものまであります。
従業員の数によって利用料金が変わるものもあります。その場合、一人当たり月額300円からといった料金設定になっています。
さらにロボット型や専用端末が必要な場合は、導入コストが加算されます。費用100,000円から 500,000円程度、そこからさらに月額のサービス利用料がかかります。
ロボット型の場合、端末をレンタルできるプランが用意されていることもあります。その場合導入コストはかかりませんが、月額利用料が多めにかかってしまいます。
企業の規模や利用したい機能によっては無料で使えるサービスもある
従業員の数や機能次第では、無料で利用できるソフトも多く存在します。例えば、クラウド型受付システムのRECEPTIONISTは、社員数が10名以下の企業は無料で利用することができます。10名以上の場合は有料プランになり、50人ごとに5,000円の費用がかかります。
他にも、標準的な機能を利用するだけなら無料、IoT機器との連携など高度な機能が必要な場合のみ有料となるシステムもあるようです。
受付システムの選び方を解説!
受付システム導入の際は、以下のポイントに注目して選択しましょう。
コストに見合った成果があるか
職場に新たなシステムを導入する際は、費用対効果を考えなければなりません。すでにタブレット端末がない場合は新たに購入する必要があります。
そもそも普段から来客が少なかったり、特に受付の業務フローに不便を感じていない場合は、それほど効果は期待できないでしょう。
受付システムは、機能に応じて、料金プランが用意されていることがほとんどです。まずは「受付システムの導入の目的は何か」を考え、自社の環境を鑑みた上で、必須機能を絞り込み、優先順位をつけていきましょう。
どの機能を重視しているのかなど、導入前に入念に検討しておくことが大切です。
大規模な組織に対応しているか
社員数が多い大規模な企業にシステムが対応しているかもポイントです。部署を選択して、さらにそこから呼び出したい人を見つけるという表示形式が使いにくい場合もあります。
もし社員数が多い、あるいは今後増える予定であるならば、検索機能が搭載されているかどうかも確認しておきたいところです。
必要なサポートがあるか
ヘルプセンターや問い合わせ対応が充実しているかも見極めなければなりません。受付システムは常時稼働させるものです。ある日突然システムが一切動かなくなったら、業務に支障をきたす恐れがあります。
導入前に、vシステムに不具合が起きた場合の対処について問い合わせておきましょう。
簡単に設定できるか
受付システムは、新入社員が増えるたびに、登録を行う必要があります。なので社員数が増えるほど設定の手間もかかるようになります。
社員の設定などが簡易的に行えるものを選ぶことが業務効率化には欠かせません。CSV機能データの一括登録、変更、削除が可能なものがおすすめです。
セキュリティ面
クラウド上に利用データが保存される場合は、データが暗号化されるのかどうか、セキュリティは安全かどうかもしっかりと確認しておきましょう。また受付システムの表示形式や設置場所によっては、外部の人間に社員の名前や顔が知られてしまう恐れもあります。
カスタマイズ性はあるか
用途によって表示をカスタマイズできるかどうかは、利便性を大きく左右します。例えば新たな社員を大量に採用する場合、大勢の面接者の訪問が想定されます。
その際に「面接の方はこちら」のようなボタンを一時的に表示できれば、受付での混雑も解消でき、スムーズに採用担当者に取り次ぐことができるようになるでしょう。
画面表示をその都度カスタマイズできるものをおすすめします。
通知方法が自社に合っているか
受付システムの通知方法はメール、チャットアプリ、内線電話がほとんどです。運用する上ですでに使っているツールに合わせて選ぶことは必須です。わざわざ新たにチャットアプリを導入するとなると、社員が操作に慣れるまで業務が非効率になる恐れがあります。
操作性は良いか
来訪者が、初めて受付システムを利用する場合でも、直感的に操作できるかどうかも見定めましょう。表示される画面が複雑でないか、ストレスなく操作できるかどうかで企業の印象も左右されかねません。
受付システム・アプリおすすめ3選!
おすすめの受付システムを3種類紹介します。
スマートオフィスの土台になる、ACALL
ACALLは、2300社以上に導入されている受付システムです。ChatworkやSlack、専用のスマートフォンアプリ、内線電話など様々な方法で訪問者を通知します。また受付だけでなく、入退館の管理や会議室の空き部屋確保など、オフィス内の人やモノの状況を把握することができます。
あらゆる情報をデータ化して一元管理することで、スマートオフィスを作り出すことができるでしょう。
通知や呼び出しなどシンプルな機能を利用するのであれば、月額無料で利用可能です。IoT機器との連携など、本格的にスマートオフィスを実現したい場合は、社員一人あたり月額300円となっています。
AI機能を搭載、Smart at reception
Smart at receptionは、AI(人工知能)機能を搭載したタブレット型の受付システムです。トヨタやミクシィ、アパマンショップホールディングスなど有名企業にも導入されています。
訪問者はタブレットに向かって担当者の名前や部署を音声で入力するだけで操作ができます。学習機能により、過去のデータを元に高い精度での判別を可能にしています。利用回数が増えるほど、正確な動作ができるようになるのです。
社員数5〜299名の中小企業向けベーシックプランでは月額20,000円となっており、他にも企業規模に応じて様々なプランが用意されています。
可愛らしいロボットが案内、企業受付 for Sota
企業受付 for Sotaは、小型ロボットが訪問者を案内する受付システムです。訪問者がやってくると、ロボット「Sota」が受付を開始します。Sotaにはカメラが搭載されており、このタイミングで顔認識で人物を判断します。
その後タブレット操作を通して、担当社員に通知が送られます。可愛らしいロボットによる案内が行われるので、雰囲気を和ませる効果も期待されます。
端末をレンタルする場合は、初期費用不要で月額34,800円となっています。購入する場合は498,000円の初期費用がかかりますが、月額9,800円で利用可能です。