SES契約とは?一人でも可能か、なくならない理由を解説!

そもそもSES契約とは?

SES契約とは、システムエンジニアの技術や能力を提供する契約形態です。SESは、System Engineering Serviceの頭文字を取った言葉です。契約はエンジニアリング技術の提供企業(ベンダー)と、システムの開発を発注する企業(クライアント)の間で交わされます。

ベンダーは、クライアント企業にシステムエンジニアなどの技術者を派遣します。システム開発やインフラ環境構築、保守・運用など、システムエンジニアが担当する業務はクライアント企業によってさまざまです。

SES契約のシステムエンジニアは、客先に常駐するのが一般的です。クライアント企業は、システムエンジニアの作業に対して、対価を支払います。

SES契約の一番の特徴は、システムエンジニアの能力や作業時間、工数に報酬が支払われる点にあります。システムエンジニア1人の1ヶ月あたりの費用は、「人月単価」という単位で表されます。人月単価が80万円の場合、これがクライアント企業からベンダーに支払われる金額です。

そこからベンダーの営業手数料や税金が差し引かれた額が、システムエンジニアの手取りとなります。人月単価は、システムエンジニアの経験やスキルによって大きく異なります。

SESで使われるプログラミング言語

SESでは、システムの開発から保守・運用までさまざまな業務を担当します。その中で特にSESにおける開発で広く使われているプログラミング言語はJavaです。Javaは大規模な金融システムからAndroidアプリまで幅広く開発に採用されるプログラミング言語です。

国内の求人数も非常に多く、世界的にも人気があります。

SES契約は準委任契約に分類されます!

SES契約は業務請負の一種で、厳密には「準委任契約」に分類されます。準委任契約とは、発注者が何らかの業務を受注者に依頼する契約です。重要なのは、「成果物に対する責任は発生しない」という点です。

「発注者の業務を代行する」という部分に焦点を当てた契約であるため、法的には、業務を最後まで遂行する義務や、高いクオリティで納品する義務は発生しないのです。

そのためシステム開発の場合、納期までに完成させたり、バグのないプログラムを開発するという部分に責任が発生することはありません。SES契約の場合はあくまで「エンジニアが技術を提供する」ことに報酬が支払われるのです。

指揮命令の有無についても理解しておく必要があります。実はSES契約下において、発注元企業は、業務を進める際、システムエンジニアに指示を出すことはできません。システムエンジニアに指示を出せるのは、ベンダー側企業だけに限られます。

SESのシステムエンジニアとクライアント企業(発注元企業)はあくまで一つの契約を交わしている間柄です。雇用関係を結んでいるわけではありません。そのため発注元企業が労務管理を行うことも不可能です。

SES契約と派遣契約・請負契約・委任契約の違いとは?

派遣契約・請負契約・委任契約はSES契約と混同されがちです。それぞれの違いを理解しておきましょう。

派遣契約

SESは客先に常駐するスタイルの契約であるため、派遣契約と混同されてしまいがちですが、SESと派遣契約はまったくの別物です。

派遣契約の最大の特徴は、指揮命令権がクライアント側にある点です。つまり派遣先企業がエンジニアに業務に関する指示を出せるのです。

また派遣契約はプロジェクト単位での仕事であることが多いので、プロジェクトが完了すれば別の企業で働くことになります。SESよりも契約期間が短く、高い頻度で職場が変わります。

請負契約

SES契約と請負契約の大きな違いは、「何に対して報酬を支払うか」という点にあります。SESはシステムエンジニアの技術や工数が契約の対象でした。

一方で請負契約の場合、発注側は成果物に対して報酬を支払います。開発におけるプロセスは考慮せず、完成品そのものが契約の対象となるのです。

そのためシステムにバグがあったり、納期に遅れたりした場合は、システムエンジニアが責任を取らなければなりません。この際、システムエンジニアは無償で対応を行います。時には損害賠償にまで発展する可能性もあります。

SES契約の場合は、成果物に対する責任は発生しないので、不慮の事態への対処は有償で行います。

委任契約

委任契約とは、主に法律業務を行う際に結ばれます。弁護士への仕事の依頼などでは、委任契約を結ぶことになりますが、システムエンジニアが法律にまつわる業務を行うことはないので、委任契約の締結が必要な場面はほとんどないでしょう。

SES契約のメリット、デメリットをまとめました!

SES契約のメリット、デメリットを、企業・エンジニアそれぞれの立場から紹介します。

エンジニアのメリット

まずはSES契約で働くエンジニアのメリットを紹介します。

多様な経験ができる

SESで働く最大の利点は、さまざまなプロジェクトに関われる点にあります。同じ会社で一つのシステムを開発し続けるのに比べ、多様な技術に触れることができるでしょう。技術力を高めたいと考えているシステムエンジニアにとってはぴったりな働き方と言えます。

また異なる環境に移る機会も増えるので、企業ごとの考え方や文化、開発環境を体験できます。さまざまな環境下で開発にまつわる知識やノウハウを吸収でき、エンジニアのキャリアに活かせるでしょう。

ハードな働き方を避けられる

SES契約はその性質上、残業時間などの負担が少ない働き方ができます。SESは労働時間や作業工数に対して報酬が支払われますので、納期に間に合わせるために長時間働くということもあまりありません。

もし残業をすればその分クライアント企業側にコストがかかります。企業の視点に立ってみても、SESのシステムエンジニアには無駄な残業をさせるメリットはないでしょう。

正社員雇用なので安定した働き方ができる

SESは正社員として働くことができます。派遣期間の更新がストップし、仕事がなくなるといったことはないですし、フリーランスのように自ら仕事を取ってこなければ収入がないということもありません。安定して仕事を続けられるのは、システムエンジニアにとって大きなメリットでしょう。

給与はもちろん、社会保険や賞与など、金銭面や制度面でも安心です。SESは、安定した正規雇用でありながら、さまざまな職場で仕事ができる特殊な働き方なのです。そのため、安定しつつ刺激のある仕事がしたいという方には最適です。

企業のメリット

企業がSES契約でシステムエンジニアを常駐させるメリットを解説します。

優秀な技術者を確保できる

企業が自社でシステムエンジニアを正規採用するとなると、システム開発を行わない期間も雇用することになってしまうので、人件費もかかり続けます。

一方、SES契約であれば、状況に合わせて必要なスキルを持つ人材を確保できます。自社で定年まで雇用し続ける必要もありません。研修や育成を行う必要もないので、人材コストの負担を大幅に下げられるのです。

エンジニアのデメリット

SESはエンジニアにとってのデメリットも存在します。

報酬の低さ

SESのシステムエンジニアは、報酬が低くなってしまいやすいというデメリットがあります。システムエンジニア側の手取りは、営業手数料が引かれた金額になるからです。

さらに単価は技術力によってもかなり左右されます。優秀な技術者と経験の浅い技術者では、倍以上の差が開いてしまうことも珍しくありません。設定された単価によっては、報酬が低くなってしまうことを理解しておきましょう。

環境的なストレス

SESはクライアント企業に常駐する形で仕事をします。そのため、周囲のほとんどが「違う会社の社員」という環境になってしまいます。

もちろん周囲との連携で業務を進めていくのですが、場合によっては孤立しているように感じる人もいるかもしれません。他社の社員ということもあり、深い人間関係を築くのはややハードルが高いでしょう。

案件が変われば、それに応じて部署が異動になったり、常駐する会社そのものが変わることもあります。一つの企業で腰を据えて働きたいという方は、こういった環境面でのストレスが、デメリットと感じることもあるでしょう。

またSESは自社に対しての帰属意識が希薄になりやすい側面もあります。月に一度の定期的な帰社日を設けている企業が多いですが、普段仕事をするのは常駐先の企業です。そのため「自分がどこに属しているのか」という感覚が曖昧になり、ストレスへとつながってしまう人も多いようです。

即戦力が求められる

SESはシステムエンジニアの技術に対して報酬を支払う契約です。そのため当然ながら、高いスキルが要求されます。またスキルが十分でないまま現場に出てしまうと、慣れない開発フローに戸惑ってしまい、業務が順調に遂行しないということもあるでしょう。どんな現場でも対応できるスキルと経験が、SESのエンジニアには必要なのです。

企業のデメリット

企業のデメリットは以下の通りです。

指示命令権がない

企業の最大のデメリットは、やはりシステムエンジニアに指示を出す権利がないという点です。状況に合わせて柔軟な対応をしてもらいたいと考える企業にとっては、融通が利かないと感じられるかもしれません。

SES契約における問題点・違法性とは?

SES契約は、しばしさまざまな問題点が指摘されます。システムエンジニアへの転職でも、SESへの転職は是か非かという意見は人によって分かれるでしょう。なぜSESは問題点や違法性があると言われているのでしょうか。以下で詳しく解説します。

指揮命令権が曖昧

SES契約において、指揮命令の権利はベンダー側にあります。クライアント側はシステムエンジニアに直接指示を出すことはできません。

しかしこの指揮命令権の所在はとても曖昧です。実際のところ、クライアント側がシステムエンジニアに指示を出したからといって、それを逐一証拠として残すことは難しいでしょう。

契約として取り決められていても、業務を進めていく上で曖昧になってしまいやすいのです。

発注元がSES契約や派遣契約について、それぞれの違いを理解していないまま契約を行なっているケースも多々あります。派遣契約の要領でシステムエンジニアに指示を出したり、請負契約と混同してしまい業務の完遂を求められることもあるようです。

セキュリティ

SESは自社内で外部の技術者が働くという仕組み上、セキュリティの問題を抱えやすくなります。例えば業務の負担が大きすぎるシステムエンジニアが、タスクを持ち帰って仕事をしてしまうといった事態も発生し兼ねません。

その場合、社内のデータが外部に持ち出されることになり、情報漏洩のリスクにもつながるでしょう。SESの受け入れを行う企業は、社内情報の徹底した管理体制を整えなければなりません。

契約内容と実態が異なるケース

SESとして契約をしているのに、実際の働き方が異なるというケースも散見されます。受注側が故意に契約と異なる働き方をさせている場合、労働者派遣法や職業安定法に反することになります。

しかしこういった契約内容の反故はなかなか明るみに出づらいため、グレーゾーンの働き方が横行している職場も存在しているのです。

SES契約は2人以上の常駐が必須

SES契約において、指揮命令権はベンダー側にあります。つまりクライアント企業には、作業者と指示を出す人の最低2人以上、ベンダー側の人材が常駐しなければなりません。しかしこれらが実現していないケースもあり、違法性が指摘される対象となっています。

SES契約の大きなメリットはコスト削減にあります。受注側はシステム開発人材を外部から受け入れることで、自社内に技術者を抱える必要がなくなり、結果として人件費削減につながるのです。

そのため、受注側は「できるだけコストを減らしたい」と考え、意図的に常駐人材を1人に抑えるといった対応に出ることもあるのです。

問題点があってもSES契約がなくならない理由とは?

SES契約は上記のように、さまざまな問題や違法性が見受けられることもあります。ですがSESはIT業界にとってもはや当たり前の労働形態となっています。なぜ問題点があってもSES契約がなくならないのでしょうか。

それはSESが、システムエンジニアだけでなく、クライアント企業、ベンダー企業の三者にとってメリットのあるビジネスだからです。

IT人材不足

システムエンジニアをはじめ、IT技術者は深刻な人手不足に直面しています。経済産業省の予測では2030年にはおよそ45万人のIT人材が不足する見通しです。企業が優秀な人材を確保するのは、容易ではありません。

さらにIT業界は、驚くべきスピードで技術が進展していきます。数年前は当たり前だった技術が、今や古いものとされるのは日常茶飯事です。自社でシステムエンジニアを雇用した場合、ITを専門としない企業が人材育成を行なっていくというのは、現実的に考えて難しいでしょう。

アルバイトや派遣社員などでも人材を確保できないことはありませんが、高い能力と豊富な経験を持つシステムエンジニアを集めるのは至難の技です。

SESが求められ続ける背景には、このようなIT人材不足が挙げられます。SES契約を行わなければ、企業は優秀なシステムエンジニアを確保できなくなってしまいます。質の高いシステム開発を、必要なタイミングで行えるというのは、クライアント企業にとって大きなメリットと言えるでしょう。

開業しやすいビジネスモデル

SESはシステムエンジニアを確保できれば、スタートできるビジネスモデルです。それほど元手もかからず、数名規模からでも始められます。そのためSIerやSESの元技術者が、独立して開業するケースが非常に多く見られ、結果的にSES事業を行う会社が増えているのです。

SESは「人材」が何よりも重要なビジネスモデルです。福利厚生などを充実させてシステムエンジニアの待遇を良くする企業であれば、SESとして働くメリットを活かして、技術力を高めていくことができるでしょう。

未経験からの転職のハードルが低い

実はSESは、未経験からエンジニアに転職したい人にとってもメリットのある形態です。なぜならSESは、入社後一定期間の研修を行う場合が多く、そこで基礎からプログラミングやシステム開発の工程を学ぶことができるからです。

開発未経験でエンジニアに転職したいと考えている方は、いきなり自社開発や受託開発企業に入るのではなく、まずはSESで経験を積むというのも良い選択肢であると言えるでしょう。

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