多くの人がFacebook、TwitterなどのSNSを利用している今、社内においてもSNSで企業内でのコミュニケーションを活性化し、これまで以上に情報共有を円滑にしたいと考えている企業が増えています。
しかし、実際に導入しても活用しきれていないという声もよく耳にします。
また、中小企業経営者、零細企業経営者の中には社内SNSを導入してみようかどうか悩んでいる方も多くいるのではないでしょうか。
そのため、今回は『社内SNS導入を成功させる運用ルールとは?失敗しない社内SNS運用マニュアル』という記事のタイトルで、社内SNS導入を成功させる運用ルールなどを紹介し、解説します。
運用する前に知っておくべき社内SNSの5つのメリット
社内SNSは、社内や組織内に限定したコミュニケーションツールで、多くの特徴がある点は魅力と言えるでしょう。
実際に、SNSは、以下のような特徴があります。
- セキュリティの面においても通常のSNSと違い、IPアドレス制限やSSL通信、ログイン・ログアウトの制御ができる。
- マルチデバイスに対応している為、社内にいなくても簡単にコミュニケーションがとれる。
- 個人同士のやり取りはもちろん、複数の人が同時に情報交換を気軽にできる。
- 必要な情報を時系列で確認できる。
- 共有された情報が組織内においてオープンであるため、鮮度の高い情報を得られる。
また、これら以外にも社内SNSには多くのメリットが存在します。
そのため、運用する前に知っておくべき、社内SNSの5つのメリットを紹介します。
①情報を一元で管理することができる
社内SNSを利用すると、オンライン上を自由に使える余裕ができます。
例えば、あるプロジェクトに関するコミュニティーをメンバー以外の社員がフォローすることで、そのプロジェクトの進捗状況だけでなく、議論の内容も確認することができ、必要な際にサポートしあうということも可能になります。
メールや対面な会議では関係者以外が情報を把握することが難しい性質がありますが、社内SNSは誰もが状況をキャッチアップだからこそ、一体感の醸成に貢献し、相互扶助が促進することができます。
②情報共有が一層、容易になる
メールや電話など、社内で何らかのコミュニケーションの行動を起こすにあたっては、事前に「誰が何を知っているか」を把握していることが必要になります。
しかし、社内SNSではこういった事前の情報も必要ありません。
困っていることや知りたいことなどを社内SNSに質問しておけば、その知識を持つ人やサポートできる社員が回答してくれます。
必要な知識を持っている人が見つかるというシステムとして機能する点も、社内SNSの大きな特徴と言えます。
特定の社員が活用しきれず埋もれていた有益な情報を掘り起こし、共有していくことによって、組織全体の向上につながっていく可能性もあります。
③アイディア創発の仕掛け作りになる
社内SNSを利用することで社員は、部署やプロジェクトチーム、業務の拠点といった枠を超えてつながることができます。
同じ目的を持った社員同士が自発的な協力関係を築くことにより、社内のコミュニケーションの活性化され、今までにはない沢山のアイディアが生まれ、業務においてより大きな成果を生むきっかけとなります。
このように、アイディアが生まれるきっかけをつくれるのは社内SNSのメリットと言えるでしょう。
④外出中の社員、外部パートナーとのコミュニケーションを可能にする
社内SNSを提供しているサービスのほとんどが、スマートフォンなどのマルチデバイスに対応しているため、営業職など普段社内にいることが少ない従業員への連絡手段としても活用できます。
社内SNSであれば、必要に応じてセキュリティー面を強化できるので、外部環境からのアクセスも安心して利用することができます。
また、自宅で作業するフリーランスや業務委託、外部委託会社とのやりとりも可能です。
⑤タイムラグ問題を解決してくれる
仕事をしていると、まれに、重要なメールがそれ以外に埋もれてしまい、次のアクションを起こすのにタイムラグを生じさせることがありますよね。
社内SNSであれば、重要な情報が入った場合、プッシュ通知機能などでアラートを立てることが可能で、タイムリーにアクションを起こすことができます。
さらには、メールの文面のように定型文を入れる必要はなく、要点のみを速やかに相手に伝えることができるという点で、コミュニケーションの時間を短縮することも可能です。
社内SNSの導入に失敗しないための6つの運用マニュアル
①チームとして一体感を持ち、業務に取り組める体制を構築する
社内SNSを活用するメリットがないと、継続して利用されません。
従業員が社内SNSを使うメリットの一つには、業務上では得られない新たな気づきや喜びを得ることがあります。
- 他の部署の社員が、業務に関連するノウハウを共有することで自分にも学びになる
- 同期のメンバーが他支店で活躍しているのを見て刺激を受ける
- 自身の投稿に対して社長や経営陣がコメントを通じてフィードバックをくれる
このような学びを得ることや承認欲求が満たされるようなことは、SNSだからこそ実現しやすくなります。
また、SNSの強みとして「リアルタイム性」があげられます。
リアルタイムで情報が投稿され、更新されていくことで、よりスピード感を持って情報共有を行うことができます。
お客様からの声や、入社した従業員の情報などを、離れた拠点にいてもすばやくキャッチできることで、チームとして一体感を持ち、業務に取り組むことができます。
②ポジティブに活用される状態をつくる
SNSに投稿される内容がポジティブなものであるほど、良いイメージを持って活用されやすくなります。
特に、感謝や称賛、グッドニュース等を中心に発信することで、ポジティブな雰囲気づくりを行うことができます
社内SNSのポイントは、投稿に関してコメントやリアクションを行うことができる点です。
Facebookのような「いいね!」などの反応ができたり、LINEのようにスタンプや絵文字を投稿できるところも活用しましょう。
せっかく良い情報を投稿しても、誰も見ていない、反応が無いという状態になってしまうと、活用するモチベーションが下がってしまいます。
最初は管理職や若手社員などを巻き込んで盛り上げていく仕組みをつくることも重要です。
場合によっては、社内ポイントなどの仕組みを絡めることで盛り上げることもできるでしょう。
③既存ツールとのすみわけをはっきりさせる
社内SNSを導入する際、既存ツールとの「すみわけ」が必要になることが多くあります。一般的に目的が重複しがちなものには、以下があげられます。
- 社内ポータル/グループウェア
- 社内掲示板
- チャットツール
うまくすみわけるには、コミュニケーションの内容を、「フォーマルなものとインフォーマルなもので分ける」ことや、「コミュニティ形成を目的とした対話ができる場」とするなど、ツールごとに目的と使い方を明確にし、理解してもらう必要があります。
場合によっては、徐々に社内掲示板を社内SNSツールに移行していくも必要です。
自社の状況や従業員の活用状況に合わせて改善していくと良いでしょう。
④目的を明確に設定する
社内SNSを導入する際は、目的を明確にすることが重要です。
社内SNSを導入する際の主な目的としては
- タテ、ヨコの部署のコミュニケーション活性化
- 会社からの情報や業務上のノウハウ共有
- 会社の経営理念やビジョンの浸透
などが挙げれれます。
まず、何を目的として、どういった利用を促すのかということを明確に設定することで投稿がアクティブになりやすい状況を作ることができます。
⑤社内SNS運用担当のチームを構成する
社内SNSも他のWebサービス同様「生モノ」であるため、運用が要です。
社内SNS導入の目的がある以上、達成したい姿があるはずです。
その姿をできるだけ定量的に測定できるようにし、その目標に向かって運用改善ができるチームを設けるのがおすすめです。
通常は人事部等の管理部門のメンバーが運用担当になるケースが多いですが、他部署からバランスよくメンバーを集め、プロジェクトチームを構成する方が効果的です。
プロジェクトチームの構成としては、従業員数規模にもよりますが以下のような役割で5名~10名程度いると良いでしょう。
- 責任者:経営陣
- リーダー:管理部門
- メンバー:各部門から選抜
メンバーに関しては有志で募るケースもあれば、今後会社を創っていく新卒社員等の若手メンバーを中心に構成することがあります。
運用を進める中で、システムだけではカバーできないアナログな部分が出てくるので、各部門に周知ができるよう、年次や所属等バランス見てメンバーを集めることがポイントです。
⑥システムが使いやすい
社内SNSを導入する上で、アクセシビリティやユーザビリティももちろん重要です。そもそも使いづらいものは使われません。
なるべく直感的に使えるものにする方が、普段スマートフォンやSNSのサービスを使わない従業員にとっても良いでしょう。
逆に、TwitterやInstagramなどのSNSに慣れている若い世代は、普段使い慣れているものと同じように使えなければストレスを感じることもあるため、導入前に従業員からの意見を取り入れるのも重要です。
社内SNSに関する10つの運用ルール
多くの企業が社内SNSも運用・導入ルールについてあまり考えていないと思います。
そのため、今回は社内SNSに関する10つの運用ルールを紹介します。
①社内SNS(特にチャット)の送信時間を決めよう
24時間OK、勤務時間のみ、17時までなどビジネスチャットの送信時間を決めておきましょう。基本的には勤務時間内とし、勤務時間外の書き込みについては翌営業日に返信するように決めておくとベターです。
②送信されたメッセージに対する返信の目安を決めよう
送信されたチャットへの返信についても、大まかな目安について明文化しておくとよいでしょう。
勤務時間内は早めに返信し、遅くとも24時間以内には返信する形がおすすめです。
その場合、勤務時間外は翌勤務日に返すこととすることをおすすめいします。
③チャットルーム(会議室)の開設は管理職以上が実施しよう
誰でもチャットルームが立てられると乱立してしまい、ごちゃごちゃしてしまいます。
それを防ぐため、チャットルーム(会議室)の開設は管理職以上が実施するように明文化しましょう。
④チャットルームに入室してくる人の権限を詳細に制御しよう
アクセス権限は慎重に決めましょう。
基本的にビジネスチャットの権限は、管理者・メンバー・閲覧のみの3パターンに分かれます。
管理者は基本的に1~2人で、その案件の作業者はメンバー、他案件の作業者で参照のみ許可したい場合は閲覧のみに設定します。
特に、チャットルームの閲覧権限と、チャットルームで共有しているファイルの閲覧権限は別管理にしておきましょう。
間違って対象外のメンバーを入室させた時に、情報が漏れる危険性があるためです。
⑤ファイル共有の際、アクセス制御も標準を決めておこう
ビジネスチャットを運用すると、多くの資料がファイル共有されることになります。
ファイル共有のアクセス制御は、GoogleDocsやBoxなどファイル共有ツールの権限を使うことで、ビジネスチャットと切り離した権限制御が可能です。
ビジネスチャットの管理者、メンバー、閲覧のみの人たちに対して、どのようにファイル共有の権限を与えるか、標準的な手順を決めてきましょう。
⑥メールは基本的に使わないようにしよう
全社的にビジネスチャットをコミュニケーションツールとして導入したら、メールは基本的に使わないようにしましょう。
メールでの連絡が残っていると、なかなかビジネスチャットへの切り替えが進まず中途半端な状態になり、情報の共有漏れが発生するリスクも発生します。
⑦管理職が率先して使用できるように明文化しよう
ビジネスチャットをいきなり全社運用するのはリスクがあるという場合は、試験的に一部の部署でテスト運用をしましょう。
その際、一般の従業員に導入する前に、管理職のみを対象としてビジネスチャットを学ぶ期間を設けましょう。
管理職は率先してビジネスチャットを使用すること、と明文化するのもポイントです。
管理職の方がビジネスチャットに抵抗がある場合が多いので、まずは管理職をビジネスチャット導入に巻き込みましょう。
テスト運用から社内全員で使う本運用に切り替わるタイミングで、管理職が率先して指導し、部下に浸透させる形での導入をおすすめします。
⑧不要な挨拶などはしないようにしよう
メールのような前置きなどは不要です。ただ最初のひと言に「お疲れ様です。」「いつもお世話になっています。」程度は入れてもOKにしておきます。
基本的には、ビジネスチャットのスピーディーさを損なわないルールにしましょう。
ただし、あわせて言葉遣いなどはビジネスを意識し、丁寧さを心がけるように呼び掛けておきましょう。
誹謗中傷はNGなどのルールは、ビジネスメールから流用可能なものもあります。適宜ビジネスチャットのマナーとして追加しましょう。
⑨タスク管理・進捗管理用のツールに関する規定をしておこう
ビジネスチャットを仕事用のコミュニケーションツールとしてさらに完成度の高いものとするには、タスク管理や進捗管理ツールなどをセットで導入しましょう。
また、これらを導入した際は、ビジネスチャットと同じく運用ルールを定めましょう。
例えばSlackを選択する場合は、連携できるタスク管理ツールのTrelloとのセットがおすすめです。
⑩何のために導入するのかを明確に規定しておこう
ビジネスチャットを導入する理由について明確にしましょう。
会議の回数削減なのか情報共有漏れの防止なのかなどを明確にしておくと、そのゴールに対して何ができていて何ができていないのかがはっきりし、さらに良い運用へ改善するための意見もあがるようになります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は『社内SNS導入を成功させる運用ルールとは?失敗しない社内SNS運用マニュアル』という記事のタイトルで、
- 運用する前に知っておくべき社内SNSの5つのメリット
- 社内SNSの導入に失敗しないための6つの運用マニュアル
- 社内SNSに関する10つの運用ルール
などについて解説しました。
上記でも述べたように、社内SNSは様々なメリットがありますが、それぞれのメリットを享受するには、運用マニュアル、運用マニュアルを知る必要があります。
また、今回では触れませんでしたが、社内SNSはサービスによっても使用感、価格帯が異なるため、注意が必要になります。
そのため、社内SNSを導入する前にこの記事を参考にしていただけると幸いです。