【読了後レビュー】「売上が伸びないときに読む本」(シェーン・アッチソン他)

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企業は売上を伸ばしながら成長していきますが、努力なしに右肩上がりであることは稀です。ほとんどの場合は、売上が伸び悩む時期を迎え、それを乗り越えてやっと一段上のステージへステップアップというプロセスを繰り返しています。
売上が伸び悩んで来たとき、経営者やマネージャークラスが会議をして、その対策を考え実行することが一般的だと思います。営業を強化するだとか、返品や解約を減らすだとか、様々な施策があるでしょう。
その施策がうまくいけばいいでしょうが、多くの場合、うまく機能しません。その理由は、ピンポイントで売上がのびない原因を突き止められていないからです。
正しい原因さえ突き止められれば、対策は簡単です。しかし、その正しい原因を見つけるのは大変高度なスキルとノウハウを必要とします。経営コンサルタントという職業が存在するのはそのためです。
本書では、売上が上がらない本当の原因を突き止めるためのノウハウを学ぶことが出来ます。著者はその極意を、ある”質問”で表現し、その理由や実践方法を余すところなく公開しています。この本のノウハウはマイクロソフトやP&Gなどの名だたる企業でも実践されており、成果を挙げています。
本書は、

  • 企業の経営者
  • マーケティング担当マネージャー
  • 営業担当マネージャー
  • PRや戦略立案に関わるビジネスマン

といった方におすすめです。

著者のシェーン・アッチソン、ジェイソン・バービーとは?

シェーン・アッチソン(Shane Atchison)

シェーン・アッチソンは POSSIBLE のグローバル CEO を務め、長期的戦略ビジョンをリードし、 企業や非営利団体におけるデジタル技術の潜在能力実現に尽力している。シェーンはまた、 Fortune.com、『Fast Company』 誌、LinkedIn Today などの多様な場で、業界について多くの寄稿を行って いる。

ジェイソン・バービー(Jason Burby)

ジェイソン・バービーは POSSIBLE 米州(訳注:米州は南北アメリカ大陸) の社長を務めている。 デジタル戦略で20年以上の経験を持つ彼は、デジタル 戦略を伝え、本当に効果のある クリエイティブなアイデアを刺激するための データの利用を熱心に提唱し、有名になった。

「売上が伸びないときに読む本」の中身を紹介

本書では、魔法の質問「Does it Work? (効果出ているの?)」を旗印に、間違った原因の特定や対策を正し、正しい方向に我々を導くためのノウハウが公開されています。

Introduction「DoesItWork?」の戦略10の基本法則 … 017

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「DoesItWork?」は以下の10の原則で成り立っています。

1.ビジネスはゴールがすべて

成功がどのようなものかを知らなければ、成功に向かっているかどうかが分からないので、成功を定義する必要がある。

2.集合的なビジョン

あらゆるチーム・計画・ビジョンがそれぞれの目標に沿った基準を持ち、ゴールを達成するために何が必要かなどの共通認識をもつ。

3.データが創造性を刺激する

データを単なる成果の指標としてだけでなく、創造性を刺激するために使う。

4.ユニコーンを見つける

ブランドのためにデータを活用し、創造的な結果を出すことのできる特別な人材を見つける。

5.文化が成功と失敗を予言する

ユニコーンを満足させるためには、彼らの活躍できる土壌を整備することが必要である。

6.重要なことを計測する

簡単に計測可能なデータだけでなく、ブランドの及ぼす効果など本当に企業やブランドにとって重要な事項の計測に挑戦する。

7.価値を知る

イメージや耳触りのいいデータに惑わされないように、活動や行動に金額を当てはめて行動することで、その価値を自覚する。

8.改善の手を止めない

施策をローンチしたら、あとは部下に任せて終わりということでは多くのチャンスを逸する。無料プレゼントをするよりキャッシュバックをした方が効果が出るかどうかといったテストを常に行うべき。

9.フリーサイズからの脱皮

顧客は均等ではない。様々な種類の顧客を、様々な種類の経験と結び付け、ターゲットする。

10.イノベーションのための枠組み

常に新しいことを学び、その結果、何がどう変化するのかを理解しておくことが重要。
 
本書では、それぞれの項目において、その法則をより深く理解することが出来ます。

CHAPTER7 価値を知る フェイスブックの相対値モデルの作り方 … 220

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フェイスブックへの投稿がどれくらいの価値を生むかということについて、その価値を計測するモデルが、自動車会社の例で紹介されています。
自社のファン 1000万人

購買層に入っている人たち 20%

影響を受け、購入を考えそうな人たち 4%

ディーラーに行く人たち 3%

購入する人たち 10%
でフェイスブックの投稿が売上に与える影響は0.002%。更に購買に至るまでの情報源は、フェイスブックだけではないので、アトリビューション(購入要因)も考慮する必要があります。
本書では、それに広告単価などをかけたうえで、実際に価値を割り出しています。
このように、活動や行動を数値化し、価値判断の基準を作ることが求められています。

CHAPTER10 イノベーションのための枠組み どこからイノベーションを始めたらいいか … 285

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ヘンリー・フォードは、顧客に欲しいものを尋ねられた時に「より速い馬」と答えられたと話していたという話があります。本当にそうかが重要でなく、そこから自分なりに答えを追求し、顧客が望むものを実現することが重要です。
本書では、具体的に考えるべき5つのトピックを紹介しています。

  • 何がうまくいっているか?
  • 何がうまくいっていないか?
  • どのような問題があるか?
  • どのようなリスクや潜在的なリスクに直面しているか?
  • ライバルは何をしているか?

これらを総合的に考え、顧客満足を満たした製品・サービスがイノベーションを実現します。

レビュー

良いレビュー

デジタルマーケティングの本質にせまる本, 2016/3/29 By 牧野
この本を読んで価値を掴む人は、経営者レベル、CMOレベルの人でしょう。
小手先のテクニックや最新のツールなどの情報を求めている人にはおすすめできません。
しかし、組織の上に立つレベルの人には、この本に書かれている内容を自分の頭で考え、咀嚼し、行動へ移すことで、長期的に優位な立場を築くことができると思います。
特に、各章の最後に「魔法の質問」が箇条書きにされており、この質問に自ら、もしくはチームで答えを考えることで、自らのビジネスにインパクトを与える、そして何よりも重要な「本当に成果の出る」結果をもたらすヒントを得ることができるでしょう。
この本は、各章ごとにデジタルマーケティングの本質にせまる問いや思考傾向を与えてくれます。自分の現在の状況をイメージしながら、この本と対話しながら自分の頭で考えることで、本当に成果出るビジネスへ着実に進むことができるでしょう。

気になっていた経験則と言う”あいまいさ”に突っ込んだ本, 2016/3/21By 飯田 
ソーシャルメディアのあり方についてやそのとらえ方について、目から鱗の一冊だと思った。この本の価値を短く表現しているのが241ページにある。「人は 誰も自分に都合の良いように物事を解釈したがり、パターンの存在しないところにパターンを見出したがる。あくまでも厳密な統計結果が出るまで、テストをや り遂げる自制心が必要だ」というくだりでは、思わず下を向きたくなるほど、身につまされた。経験を積めば積むほど経験則に頼りがちになり、正しい判断から 遠ざかっていくかもしれないことを忘れないためのバイブルと言えるかもしれない。

 
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まとめ

本書は主にデジタルマーケター目線で様々な事例やノウハウが紹介しされていますが、「Does it Work? (効果出ているの?)」は、すべての業種・業界で通用するものです。
事が起こってからでは遅いです。そうなる前の事前の体制づくりが必要です。
本書を読んだうえで、自社の組織を見直し改善に取り組むことが出来れば、売上が落ちてきても対処は比較的スムーズに実施可能でしょう。
是非、本書を読んでみてはいかがでしょうか?
万が一、満足いかなくても返金保証がついているので安心です。

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