ウイルス対策ソフトの契約は、入れたあとのほうが長く続きます。更新のたびに金額が変わる製品、自動で更新がかかる製品、やめるときの手順が決まっている製品が混ざっていて、最初に払った金額のまま3年続く製品はほとんどありません。
そのうえ2026年の秋は、2社が価格改定を予定しています。カスペルスキーは2026年11月12日の出荷分から、ESET製品は2026年12月1日の受注分からです。更新のタイミングが近い会社は、どちらを境に発注するかで支払額が変わります。この記事では、更新・追加・解約のそれぞれについて、公開されている条件を並べます。
この記事で確かめたこと
- アバストの表示価格は20%割引後の初年度価格で、2年目から1台あたり855〜1,317円上がる
- ESETの旧価格は、2026年11月30日までに受注が完了し、かつ申請書に不備がないものだけが対象になる
- ESETの複数年更新は、既存契約の有効期限を含めて5年を超えない範囲まで。サーバー製品は4年まで
- マイクロソフトは有料開始から7日間がキャンセル期間で、按分計算での払い戻しがある。キャンセルすると関連するデータが削除される
- ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービスは、公式ストアで更新だけが受け付けられている
2年目に金額が上がる製品がある
更新で最初につまずくのが、表示価格が初年度限定になっている場合です。アバスト ビジネス セキュリティの購入画面には「20%割引」のラベルと取り消し線付きの金額が並び、注記に「更新価格 4,275円/年と比較した節約額」と書かれています。つまり、割引前の金額がそのまま更新価格です。
| プラン | 初年度 | 更新価格 | 上がり幅 |
|---|---|---|---|
| エッセンシャル ビジネス セキュリティ | 3,420円 | 4,275円 | +855円 |
| アバスト プレミアム ビジネス セキュリティ | 4,345円 | 5,431円 | +1,086円 |
| アルティメット ビジネス セキュリティ | 5,269円 | 6,586円 | +1,317円 |
カスペルスキー スモール オフィス セキュリティにも同じ構造があります。5ユーザー・1年の画面では、34,870円に取り消し線が引かれ、27,895円が「初回購入価格」として表示されます。注記は「新規のお客様向け価格です」です。
一方、ESETの価格表は新規・追加・更新・切替に共通の金額です。初年度だけ下げる値付けをしていないため、翌年以降も同じ単価で予算を立てられます。
自動更新が初期状態で入っている製品がある
更新の手続きをしなくても契約が続く仕組みも、製品によって扱いが違います。
購入画面で初期状態がオン
カスペルスキー
スモール オフィス セキュリティの購入画面には「自動更新」のチェックが初期状態で入っています。外すかどうかは購入時に決めることになります。
年間サブスクリプションの自動更新
マイクロソフト
価格表記が「ユーザー/月相当、年払い(年間サブスクリプション – 自動更新)」です。1か月の無料試用が終わると、自動的に有料へ切り替わると注記されています。
更新は販売店へ発注
ESET
更新(有効期限の延長)は購入形態のひとつで、販売店に発注する形です。自動で延長される仕組みではありません。
ストアで更新のみ受付
トレンドマイクロ
ダイレクトストアは、利用中の顧客を対象にライセンスの更新手続きのみを受け付けています。新規販売は停止中です。
自動更新が入っている製品では、やめる意思がある場合に期限前の手続きが必要になります。逆に、自動更新がない製品では、更新を忘れると保護が切れます。どちらの型かを契約時に確認しておくと、1年後に慌てずに済みます。
価格改定の前に発注を済ませる条件
2026年の秋は、更新の時期が重なると影響が出ます。2社の改定日は3週間しか離れていません。
- 2026年11月12日カスペルスキーの新価格が、同社の出荷分から適用される。対象になるのは、新規と更新(追加を含む)、それにサブスクリプションライセンスです
- 2026年11月30日ESET製品を旧価格で発注できる最終日。キヤノンマーケティングジャパンで受注が完了し、かつ申請書に不備がないものに限られる
- 2026年12月1日ESET製品の新価格が、キヤノンマーケティングジャパンの受注分から適用される
ESETの告知のよくある質問には、注意も添えられています。「申請書類に不備がある場合、受注処理が遅れる可能性があるため、余裕をもってお申込みください」。発注してから受注処理が終わるまでの時間を見込む必要がある、ということです。

改定で上がる帯と、据え置きの帯がある
ESETの改定は、全部の契約に影響するわけではありません。6〜25ライセンスの帯は4製品とも据え置きで、26ライセンス以上だけが上がります。

25ライセンス以下で契約している会社は、改定の日付を気にする必要がありません。26ライセンス以上なら、更新の時期が12月以降に来るかどうかで年額が変わります。
有効期限がまだ先でも、ESETの更新(有効期限の延長)は契約期間中いつでもできます。まとめて何年ぶんか延ばすこともでき、ESET PROTECT ソリューション製品は既存契約の有効期限を含めて5年以内、サーバー製品は同じ数え方で4年以内が上限です。
台数を減らして更新できるとは限らない
人が減った、端末を減らしたという理由で契約数を下げたいとき、製品によっては下限があります。
ESETのライセンスカウント方法のページには、最小ライセンス数の規定が書かれています。種別1(MDR/Elite/Complete/Advanced)の製品で更新または製品切替を契約する場合、最小ライセンス数まで必要なくなっていても、最小ライセンス以上の契約が必須とされています。最小ライセンス数は製品ごとに決まっていて、Elite が26、Complete・Advanced・Entry・Entry オンプレミスが6です。
つまり、10人の会社が5人になっても、ESETの契約は6ライセンス未満にはできません。Elite を使っている26人の会社が20人になった場合も、26ライセンスのままです。
追加のときに使う購入形態
人が増えて端末を足すときは、更新ではなく「ライセンス追加」という購入形態になります。ESETの購入ガイドでは、契約中の製品にライセンスを追加する場合として独立して扱われています。
ここで効いてくるのが、帯の境目です。たとえば ESET PROTECT Entry を24ライセンス使っていて2台増やすと、合計26ライセンスになり、11〜25の帯(5,070円)から26〜49の帯(4,470円)へ移ります。単価が下がるので、増やしたほうが総額は下がることがあります。帯をまたぐ台数のときは、追加の前後で総額を計算し直す価値があります。
マイクロソフトの Defender for Business servers は、追加できる数に上限があります。1つのサブスクリプションにつき最大60ライセンスまでで、追加するには Defender for Business(スタンドアロン)または Microsoft 365 Business Premium の有料ライセンスが少なくとも1つ必要です。
更新のタイミングでしか製品を変えられない
更新は、金額を見直すだけの手続きではありません。ESETの購入ガイドでは「製品切替」を「契約中の製品を更新のタイミングで別の ESET PROTECT ソリューションへ変更する場合」と定義しています。つまり、製品を上げ下げできるのは更新のときだけです。
EDRが必要になった、フルディスク暗号化が要るようになった、といった要件の変化は、年の途中では反映しにくいということです。更新の案内が来たら、金額だけでなく「この1年で守る対象や要件が変わったか」を一緒に見直すほうが、機会を逃しません。
変わりやすいのは、持ち出し用のノートパソコンが増えたかどうかと、会社支給のスマートフォンが増えたかどうかです。ESET PROTECT Entry はスマートフォンも1台1ライセンスとして数えますが、Advanced 以上はPC・サーバーのライセンス数を上限に追加なしで使えます。モバイルが増えた年は、上位製品に切り替えたほうが総額が下がることがあります。
契約が続いていても、製品の側が終わることがある
更新できる状態でも、製品そのものの提供が終わる場合があります。2026年に入ってから、2つの告知が出ました。
| 対象 | 日付 | 内容 |
|---|---|---|
| ESET PROTECT Entry オンプレミス(企業向け) | 2026年11月30日 | 新規・乗換・切替の販売が終了。更新・追加の販売とサポートは継続。教育機関向け・官公庁向けは販売を継続 |
| ウイルスバスター ビジネスセキュリティ(Hybrid 同梱のオンプレミス版) | 2026年3月31日 | サポート終了と注記されている |
前者は、いま使っている会社がすぐ動く必要はありません。更新と追加は続くと明記されています。ただし、オンプレミス管理を新しく始めたい場合の選択肢としては使えなくなります。代替としてはクラウド版の ESET PROTECT Entry が案内されていて、この製品ではクラウド管理に加えて従来と同一のオンプレミス型管理ツールも使えると説明されています。
過去にも同じことが起きています。ESET PROTECT Essential クラウド、Essential オンプレミス、Essential Plus オンプレミス、Advanced オンプレミス、Enterprise の5製品は、2025年3月31日をもって更新製品の販売が終了しました。これらの利用者には、優待価格の特別切替製品が用意されています。
金額が公開されていない製品の更新
更新の判断がいちばん難しいのが、価格が公開されていない製品です。ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービスとカスペルスキーの Kaspersky Next は、公式サイトに金額の掲載がありません。
この場合、比べる相手は「前回いくらだったか」しかありません。前回の見積書が残っていないと、提示された更新額が上がっているのか下がっているのかも分かりません。更新のたびに金額と台数を記録しておく、というだけで判断材料が増えます。
もうひとつの手は、金額が公開されている製品で同じ台数の年額を計算し、相場として並べることです。ESETは帯ごとの単価を公開しているので、自社の台数での年額をすぐ出せます。その数字を持ったうえで更新の交渉に入ると、話が具体的になります。
やめるときの手順と期限
解約の条件が明示されているのは、オンラインで購入できる2社です。
| 製品 | 期間 | 条件 |
|---|---|---|
| Microsoft Defender for Business | 有料開始から7日間 | キャンセル期間内なら按分計算で払い戻し。Microsoft 365 管理センターでキャンセルする |
| アバスト ビジネス セキュリティ | 30日間返金保証 | 各製品ページに表示されている |
| カスペルスキー スモール オフィス セキュリティ | 30日間返金保証 | 購入画面に表示されている |
| ESET PROTECT シリーズ | 公開されていない | 販売店経由の購入のため、条件は販売店に確認する |
| ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービス | 公開されていない | 販売パートナーまたはダイレクトストアに確認する |
マイクロソフトのキャンセルには、見落とせない注記があります。「サブスクリプションがキャンセルされると、関連するデータがすべて削除されます」。検知の記録を残しておきたい場合は、キャンセル前に取り出しておく必要があります。
切り替えるなら有効期限の4か月前から
やめるのではなく、同じメーカーの別の製品へ移る場合は、期間の制約があります。ESETの特別切替製品は、利用中製品の有効期限日の4か月前から有効期限当日までしか購入できません。
期限を過ぎると新規購入の扱いになり、一般価格での提供になります。さらに、製品認証キーやライセンスIDといったライセンス情報も引き継がれません。期限内に切り替えれば、変わるのはシリアルだけです。
なお、特別切替製品そのものは今回の価格改定の対象外です。ESETのよくある質問には「2026年5月時点で、特別切替製品の価格改定は予定しておりません」と記載されています。
やめたあとに端末に残るもの
契約をやめると、端末に入っているソフトも外すことになります。削除の手順は製品ごとに用意されていて、ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービスの公式ヘルプでは、Webコンソールから削除する方法、Windowsから削除する方法、Macでローカルに削除する方法、Androidでローカルに削除する方法、iOSデバイスからセキュリティプロファイルを削除する方法が、それぞれ別の項目になっています。
OSごとに手順が違うということは、台数が多いと作業時間もそれなりにかかるということです。やめる日を決めるときは、削除にかかる人手も見込んでおく必要があります。
データの扱いにも差があります。マイクロソフトは、サブスクリプションをキャンセルすると関連するデータがすべて削除されると明記しています。検知のログやレポートを社内の記録として残したい場合は、キャンセルの前に取り出しておくことになります。他の製品については、日本語の公式ページに解約後のデータ保持期間の記載が見当たりませんでした。
更新の前に見ておく5つ
更新の案内が来たら、次の5点を確認すると判断が早くなります。
| 確認すること | どこで分かるか |
|---|---|
| いまの単価が初年度価格かどうか | 購入時の注記。アバストとカスペルスキーは初年度の割引価格を表示している |
| 更新の時期が価格改定をまたぐか | 各社の改定告知。ESETは2026年12月1日、カスペルスキーは2026年11月12日 |
| 台数が帯の境目にあるか | 価格表。ESETは6・11・26・50・100といった区切りで単価が変わる |
| 自動更新になっているか | 購入画面のチェック、または契約の表記 |
| 最小ライセンス数を下回っていないか | 製品ページ。ESET は Elite が26、ほかは6 |
更新の記録を次に残す
更新は毎年来ます。そのたびに同じ調べ物をしないために、残しておく価値があるのは次の3つです。契約した台数と人数の内訳、支払った年額と1台あたりの単価、そして見積りが希望小売価格から何パーセント引かれていたかです。
とくに3つ目は、価格表が公開されている製品でしか計算できません。ESETのように帯ごとの単価が出ている製品なら、次回の提示額が前回より有利かどうかを自分で判断できます。この記録があると、更新のたびに相見積りを取り直す手間も減ります。
関連記事
製品ごとの金額と、乗り換えの条件は次のページにまとめています。
出典
- キヤノンマーケティングジャパン「ESET法人向けクラウド製品・サーバー製品の価格改定について」
- キヤノンマーケティングジャパン「ESET PROTECTソリューション ライセンスカウント方法」
- キヤノンマーケティングジャパン「特別切替製品のご案内」
- キヤノンマーケティングジャパン「ESET PROTECTソリューション 購入ガイド」
- アバスト「アバスト ビジネス製品」
- カスペルスキー「カスペルスキー スモール オフィス セキュリティ」
- カスペルスキー「法人向け製品 価格改定のお知らせ」
- 日本マイクロソフト「Microsoft Defender for Business」
- Microsoft Learn「Microsoft Defender for Businessを取得する」
- トレンドマイクロ「価格・お見積り」
