eラーニング教材の容量設計|先に詰まるのは総容量ではなく1教材の上限【2026年】

1教材あたりの容量上限を動画の長さへ換算した棒グラフのアイキャッチ

eラーニングの容量でつまずくとき、原因はたいてい「サーバー総容量が足りない」ことではありません。1本の動画をアップロードしようとして、1教材あたりの上限に弾かれるほうが先に起きます。総容量が100GBあっても、1教材の上限が500MBなら、40分の動画は入らないことがあります。ここでは公式に上限を掲示しているサービスの数字を使い、撮る前に決めておくべき容量の設計を組み立てます。

先に押さえること

容量の制約は「サーバー総容量」と「1教材あたりの上限」の2段でかかります。先に当たるのは後者です。

動画のファイルサイズは、おおよそビットレート×再生時間で決まります。ひかりクラウド スマートスタディは標準画質highの想定として下り2Mbpsを挙げており、この水準なら1分あたり約15MBです。

AirCourseはライセンス数の帯で容量と動画アップロード時間の上限が変わります。99から100へ1ライセンス増えると、上限が下がる区間があります。

先に当たるのは「1教材の上限」

learningBOXの料金表は、サーバー総容量と1教材あたりのアップロード上限を別の行に分けて掲示しています。この2つは連動していません。

プランサーバー総容量1教材のアップロード上限
フリー1GB30MB
スターター10GB30MB
スターターPlus10GB100MB
スタンダード100GB500MB
スタンダードPlus100GB1GB
プレミアム200GB5GB

出典:learningBOX「料金」(2026年9月18日時点)。金額は100アカウント毎の従量課金で、容量はプランごとの値です。

スターターとスターターPlusは、総容量がどちらも10GBです。違うのは1教材の上限だけで、30MBか100MBかという差になります。スタンダードとスタンダードPlusも同じ関係で、総容量は100GBで共通、1教材が500MBか1GBかで分かれます。つまり上の2段は「置ける量」ではなく「1本の重さ」を買うプランです。

動画のサイズは長さとビットレートで決まる

1教材の上限が何分の動画に相当するかは、ビットレートを決めれば計算できます。ひかりクラウド スマートスタディの動作環境には、回線について「下り2Mbps以上の速度が維持できる安定した環境(標準画質highを想定)」と書かれています。この2Mbpsを目安にすると、次の換算になります。

ビットレート1分あたり10分30分60分
1Mbps(軽め)約7.5MB約75MB約225MB約450MB
2Mbps(標準画質highの想定)約15MB約150MB約450MB約900MB
4Mbps(高画質寄り)約30MB約300MB約900MB約1.8GB

ビットレート×再生時間から算出した概算値です。実際のサイズは映像の動きや音声の設定で変わります。2Mbpsという数値は、ひかりクラウド スマートスタディの動作環境ページが標準画質highの想定として挙げている下り回線速度です。

1教材の上限を「動画の分数」に直す

先ほどの換算を使うと、各プランの上限がどれくらいの長さに相当するかが分かります。2Mbpsで計算した目安です。

1教材の上限該当するもの2Mbpsでの目安の長さ
30MBlearningBOX フリー/スターター約2分
100MBlearningBOX スターターPlus約6〜7分
200MBひかりクラウド スマートスタディ(ドキュメント1ファイル)約13分
500MBlearningBOX スタンダード約33分
1GBlearningBOX スタンダードPlus約68分
5GBlearningBOX プレミアム約5時間40分

各社の掲示する上限(2026年9月18日時点)を、2Mbpsのビットレートで長さに換算した概算です。ひかりクラウド スマートスタディの200MBはドキュメント1ファイルの上限で、動画の上限は公開ページから確認できませんでした。

この表から読めるのは、動画を扱うなら500MBが実務の分かれ目だということです。30分の講義をそのまま1本で置くには、2Mbpsでも450MB前後が要ります。スターター系の30MBや100MBでは、動画は2分から7分の短いものに限られます。テストやスライド中心の運用なら十分ですが、収録した研修をそのまま流す使い方はできません。

総容量では何本置けるか

1本が置けることを確かめたら、次は何本置けるかです。10分の動画(2Mbpsで約150MB)を基準に数えると、こうなります。

サーバー総容量10分の動画(約150MB)の本数30分の動画(約450MB)の本数
1GB約6本2本
10GB約68本約22本
100GB約682本約227本
200GB約1,365本約455本

1GB=1,024MBとして計算した概算です。実際には画像やドキュメントも同じ総容量を使います。

年に何本作るかを決めてから、この表に当てます。月1本のペースなら年12本。10分の動画であれば10GBでも数年分の余裕があります。逆に、部署ごとに毎月配信するような運用だと年100本を超えるため、100GBの段が必要になります。

ライセンス数の帯で上限が下がる区間がある

AirCourseは、容量と動画アップロード時間の上限をライセンス数の帯で決めています。掲示されている表は次の内容です。

AirCourseの料金表。ライセンス数の帯ごとに自社コースの容量制限、動画アップロード時間制限、年間契約一括と月間契約の単価が並んでいる
出典:AirCourse「料金プラン」(2026年9月19日に表示を確認)。
ライセンス数自社コースの容量制限動画アップロード時間制限99人・100人で計算すると
1〜99ライセンス数×2GBライセンス数×2時間/年99ライセンスなら198GB・198時間
100〜299100GB100時間/年100ライセンスなら100GB・100時間
300〜499200GB200時間/年300ライセンスで198GBを上回る
500〜999300GB300時間/年
1,000〜2,999500GB500時間/年

出典:AirCourse「料金プラン」。右端の欄は掲示された計算式から算出した値です。3,000ライセンス以上は見積もり対応と示されています。

99ライセンスから100ライセンスへ1つ増やすと、容量が198GBから100GBへ、動画アップロード時間が198時間から100時間へ下がります。掲示されている計算式をそのまま当てはめると、こうなります。

1〜99の帯は「ライセンス数×2GB」なので、人数が増えるほど容量も増えます。100〜299の帯は100GB固定です。198GBを上回るのは300〜499の帯(200GB)からです。動画を多く置く計画で、ちょうど100人前後の規模なら、容量の条件を見積もり時に確認しておく価値があります。

動画アップロード時間についても注記があります。「動画アップロード時間とは、AirCourseのシステム上に1年間でアップロードできる動画の時間の合計のことです」と説明されています。置いてある量ではなく、1年間にアップロードした時間の累計で数える指標です。差し替えを繰り返すと、同じ教材でも時間を消費します。

上限の注記を読み落とさない

掲示された上限には、但し書きが付いていることがあります。learningBOXの料金ページには3つの注記があります。

1

1教材あたりのアップロード上限について、一部、表記の制限容量より低い教材タイプがあります。

2

フリー・スターター・スターターPlusでは、1コンテンツに限り、各プランの上限以上500MB未満のファイルをアップロードできます。

3

AIアシストの利用について、想定を越える頻度での使用や不適切な使用と判断された場合には、使用を制限することがあります。

2つ目は使い道があります。30MBが上限のスターターでも、1本だけは500MB未満まで置けるということです。全社共通の導入動画を1本だけ長めに作る、といった設計は成り立ちます。ただし「1コンテンツに限り」なので、2本目以降は上限どおりです。

1つ目の注記は逆向きの注意です。表に書かれた数字が全教材に当てはまるわけではないため、実際に使う教材タイプで試すのが確実です。learningBOXには期間無制限のフリープラン(総容量1GB、1教材30MB)があるので、上限そのものの検証には使えます。

容量を足せるか、足すといくらか

足りなくなったときの手段は、サービスによって違います。

サービス容量の足し方金額
AirCourseデータ増量オプション(データ容量10GB・動画アップロード10時間を追加)30,000円
learningBOX上位プランへ切り替える(総容量10GB→100GB→200GB)プラン差額(年間契約で100アカウントあたり33,000円〜198,000円)
ひかりクラウド スマートスタディ新プランは定額のため、ストレージの追加課金はなし追加なし

出典:learningBOX「料金」、AirCourse「料金プラン」、ひかりクラウド スマートスタディ「料金」および利用規約 別紙1(2026年9月19日に表示を確認)。learningBOXの金額は税込、AirCourseの金額は料金ページの掲示どおりです。

ひかりクラウド スマートスタディの扱いは、容量設計の観点では特徴的です。現行の新プランは受講者IDの数だけで料金が決まり、ストレージや配信量に応じた加算がありません。従量課金があったのは旧プランで、学習管理用ストレージが1GBごとに110円、ビデオ授業用ストレージが1GBごとに165円、配信流量が1GBごとに82円(いずれも税込)という体系でした。この旧プランは2021年4月15日に新規申込の受付を停止しています。

動画を大量に置き、かつ多くの社員が繰り返し視聴する運用では、従量課金の有無が請求額の読みやすさを左右します。定額であれば、視聴回数が増えても費用は変わりません。

ファイル形式の制約

容量と同じくらい確認しておきたいのが、受け付けてもらえる形式です。公開ページに記載があるものを挙げます。

種別ひかりクラウド スマートスタディの掲示
ドキュメントPDF・pptx・docx・zip(1ファイル200MBまで)
pptx・docxの扱いシステム側でPDF化されて配信される
動画MPEG-4(H.264 AAC)形式を推奨

出典:ひかりクラウドスマートスタディマニュアル「よくあるご質問」。

pptxがPDF化されるという点は、教材の作り方に影響します。アニメーションや画面切り替えを前提にしたスライドは、そのままの見え方にはなりません。動きで説明する必要があるなら、スライドを動画に書き出してからアップロードするほうが意図どおりになります。

動画を軽くするために先に決める4つ

収録してから圧縮するより、撮る前に決めておくほうが手戻りがありません。

1

1本の長さの上限を決める

10分を超えないと決めれば、2Mbpsでも150MB前後に収まります。長い講義は章ごとに分けます。分けると受講者が途中で戻れるという利点もあります。

2

解像度とビットレートをそろえる

スライド中心の教材を4Mbpsで撮る必要はありません。担当者ごとに設定が違うと、同じ長さでもサイズが数倍変わります。

3

差し替えの回数を見込む

アップロード時間の累計で数えるサービスでは、差し替えのたびに枠を消費します。原稿の確認を済ませてから収録します。

4

動画にしないものを決める

手順書や規程はPDFのほうが検索でき、容量も小さく済みます。動画にするのは、動きや話し方を見せる必要があるものに絞ります。

完了の判定に合わせて構成を決める

動画を何分割するかは、容量だけでなく受講の記録にも影響します。ひかりクラウド スマートスタディは、動画全体の90%以上まで視聴すると「完了」、90%未満は「実施中」というステータスになると説明しています。90%という設定については「動画最後の余韻が長い動画を考慮しています」という理由が添えられています。

この仕様を知らずに作ると、終わりの数十秒に案内やエンドロールを長く入れた教材が、最後まで見た人でも完了にならないことがあります。逆に、まとめの内容を末尾10%に置くと、完了判定が出た時点で読み飛ばされる余地が残ります。伝えたい結論は終盤ではなく、全体の8割までに置くほうが、記録と実際の理解が一致します。

完了とみなす視聴時間率は変更できるとされています。厳しく取りたい場合はしきい値を上げ、そのぶん余韻を短く編集する、という組み合わせになります。ただし、シークバーを操作してスキップした場合も同じステータスになると明記されているため、視聴時間そのものを担保したいなら別の設定が要ります。初回の早送りを禁止する設定が用意されており、有効にするとシークバーと10秒送りが非表示になり、全画面再生もできなくなります。新しいレイアウトでは再生速度とチャプターも表示されなくなります。

ここで容量の話に戻ります。早送りを禁止すると、受講者は最初の1回を最後まで通しで見ることになります。30分の動画なら30分拘束されるということです。10分ごとに区切って3本にすれば、中断して再開しやすくなり、1本あたりのファイルサイズも上限に収まりやすくなります。容量の設計と受講のしやすさは、同じ方向を向いています。

1本の構成をそろえておく

教材を作る人が複数いる場合、構成の型を先に決めておくと、サイズも品質もばらつきにくくなります。決めておく項目は多くありません。

冒頭に何を置くか。会社のロゴや部署名を毎回入れると、10本作れば10回ぶんの容量を使います。共通の導入映像を別の1本として切り出し、コースの先頭に一度だけ置く構成にすれば、各本の尺を短くできます。コンテンツの完了を条件に次を解放する設定があるサービスなら、順番どおりに見てもらうこともできます。

確認テストをどこに置くか。動画の中に埋め込むのではなく、ドリルとして別に持つほうが、後から設問だけを差し替えられます。差し替えのたびに動画を上げ直すと、年間のアップロード時間を消費するサービスでは枠が減ります。

資料をどう配るか。読ませたい文章はPDFで配るほうが、検索でき、容量も小さく、印刷もできます。ひかりクラウド スマートスタディはPDF・pptx・docx・zipに対応し、1ファイル200MBまでという上限を示しています。文字が中心の内容まで動画にすると、容量と制作時間の両方を無駄に使います。

教材の棚卸しを年1回は入れる

容量は、増える一方で減りません。古い教材を置いたままにすると、総容量の残りが読めなくなります。年度の切り替え時に、配信を止めた教材を削除するか残すかを判断する時間を取っておきます。

判断の基準は3つで足ります。いま配信しているか、法令や社内規程の改定で内容が古くなっていないか、記録として残す必要があるか。3つ目に該当するものは、動画そのものではなく受講履歴のCSVを残せば足りる場合があります。学習履歴をCSVで出力できることは、ひかりクラウド スマートスタディとSchoo for Businessの両方が明記しています。

棚卸しの時期は、契約更新の前に置くと判断がまとまります。上位プランへ移るか、いまのプランで足りるかを、実際の使用量を見てから決められるためです。learningBOXのように自動更新が既定で、停止に期限があるサービスでは、更新期限の14日前より前に棚卸しを終えておく必要があります。

外部の動画を埋め込むという選択肢

容量を使わずに動画を配る方法もあります。learningBOXの公式料金シミュレーションには、テキスト中心の教材を使う機械メーカーの例として、スタータープランを勧める理由に「動画も、YouTubeの埋め込みなら容量を気にせずご利用いただけます」という説明が添えられています。

ただし、埋め込みには別の検討事項があります。社外の動画配信サービスに教材を置くことになるため、公開範囲の設定、社内ネットワークからのアクセス可否、削除や仕様変更への対応を決めておく必要があります。社外秘の内容を扱う教材では、この方法は取りにくくなります。

埋め込みが向く教材

  • 公開しても問題のない一般的なビジネススキル
  • 外部の講師や公開セミナーの録画
  • 容量の大きい長尺の参考動画

システム内に置くべき教材

  • 社外秘の手順や社内規程を含むもの
  • 受講の完了判定や視聴率を厳密に取りたいもの
  • 不正対策(早送り禁止など)を効かせたいもの

まとめ

容量の設計は、次の順番で決めると後戻りがありません。

1

1本の動画の長さの上限と、画質の設定を先に決めます。

2

その条件で1本あたりのサイズを見積もり、候補サービスの「1教材の上限」に収まるかを確かめます。

3

年に作る本数を決め、総容量に収まるかを計算します。

4

ライセンス数の帯で上限が変わるサービスでは、自社の人数がどの帯に入るかを確認します。

5

足りなくなったときの追加手段と金額を、契約前に聞いておきます。

6

動画にしないもの、外部に置くものを切り分けます。

容量の上限は、契約したあとで変えるとプランの切り替えや追加費用が発生します。逆に、教材の作り方を先に決めてしまえば、必要な段は自然に定まります。各サービスの容量条件はeラーニングシステムの比較ページにまとめており、プラン別の上限はlearningBOXの料金と契約条件、ライセンス帯ごとの容量はAirCourseの料金と機能、定額での扱いはひかりクラウド スマートスタディの料金と契約条件で個別に扱っています。

参照した一次情報:learningBOX「料金」、AirCourse「料金プラン」、ひかりクラウド スマートスタディ「提供条件」およびマニュアル「よくあるご質問」、ひかりクラウド スマートスタディ利用規約 別紙1(いずれも2026年9月18日〜19日に表示を確認)。

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