そもそもマーケティングオートメーション(MA)ツールとは?
マーケティングオートメーション(Marketing Automation)とは、インターネット時代のデジタルマーケティングの手法です。具体的には、集客やセールスなどマーケティングにおけるさまざまな情報分析を自動化することを意味します。
マーケティングオートメーションによって、大量の顧客に適切な情報を届け、セールスを促進します。企業はマーケティングオートメーションツール(MAツール)を導入することで、最小限の労力で顧客へのアプローチを実践できるようになるのです。
マーケティングオートメーションの背景には、消費者の購買行動の変化があります。インターネット環境が整備されるにしたがって、消費者は膨大な情報に触れられるようになりました。自ら能動的に検索を行って、情報収集ができるようになったのです。また検索エンジンだけでなく、SNSを用いた情報収集も、今や当たり前のものとなっているでしょう。
さまざまな媒体を用いて、消費者があらゆる情報を目にする時代になりました。そこで企業は、これまで以上に顧客一人ひとりの顧客の興味・関心に合わせて、各々が求めている情報を、最適なタイミングで届けなければならなくなったのです。
顧客一人ひとりの属性や嗜好に合わせて行うマーケティングを、One to Oneマーケティングと呼びます。
対象者が少人数の場合は、手動で実現できる作業ですが、数万人以上の規模の顧客を対象に行うには、多大な時間と手間、人件費がかかってしまうでしょう。何万通ものメールを手動で送付するだけでも一苦労です。
これを簡単に実現するツールこそが、MAツールなのです。
MAツールは、顧客の行動データを精密に分析し、購買傾向を予測します。さらにマーケティング活動の測定、改善を行い、購買意欲の高い顧客には、コンバージョンに直結するようなアプローチでセールスを行えるようになります。
マーケティングオートメーションは、以下のプロセスに分けられます。
リードを創出
リードとは、見込み顧客を意味する単語です。デジタルマーケティングの第一歩目は、リードの創出から始めます。まずは新たな顧客を開拓するために、SNS運用やSEO対策、Web広告の出稿などを行います。
ただし、Webサイトや広告のクリックなどから、自社サービスサイトへのアクセスを集めても、全員が高い購買意欲をもっているわけではありません。「なんとなく興味がある」という状態から、自社サービスを魅力的に感じてもらうためには、これ以降のプロセスが重要になります。
リードを育成
自社サービスのサイトにアクセスするユーザーの購買意欲はさまざまです。時には、本人すらニーズに気づいていない場合もあるでしょう。このような「潜在ニーズ」を持つ顧客に対しては、購買意欲を徐々に高めていく施策を打つ必要があります。
マーケティングオートメーションではまず、購買意欲のスコアリングを行います。ユーザーの行動、興味関心を示すデータを分析し、数値化していくのです。これにより、顧客一人ひとりの購買意欲を客観的に把握できるようになり、潜在ニーズを持つ顧客を見つけ出すことができるようになります。
そして、購買意欲の高さに応じて、メルマガの配信などを行い情報提供をします。メールの本文やコンテンツの内容、配信のタイミングをそれぞれの顧客ごとに分けることで、ニーズにぴったり合致した情報提供を実現できるのです。こうして、徐々に顧客の購買意欲を高めていきます。
リードの分類
リードの分類も、MAツールの大きな強みです。これは、メルマガの開封率や、ランディングページの滞在時間、閲覧履歴をもとに、購買意欲の高いリードを「リスト化」するプロセスです。このリストは、営業部門との連携で大きな価値を発揮します。
リストを活用すれば営業は、購買意欲の高い顧客に絞ってセールスを行えるようになります。少ない労力で、最大限の成果を発揮できるのです。企業全体の収益向上も見込めるでしょう。
MAツールにはどんな種類がある?それぞれの機能・できることを解説!
MAツールの違いや、機能について解説します。
toBとtoCの違い
MAツールは大きくtoB向けとtoC向けに分類されます。toB向けは企業を対象に、toC向けは一般の生活者を対象にしたものです。どちらかに特化したものが多いので、自社の商品・サービスの顧客層に合わせて選択するとよいでしょう。
MAツールの機能
MAツールには以下のような機能が搭載されています。
アクセスログを集め、スコアリング
Webページへのアクセスログを集め、見込み顧客を分類します。単にログを集めるだけなら、GoogleAnalyticsなどで問題ありませんが、MAツールを用いれば、ツールで収集したデータから、顧客の見込みの高さを数値化(スコアリング)することが可能になります。
独自のロジックで、より精密な分析ができるのです。またWebページの閲覧履歴や滞在時間などのオンライン上の行動から、ユーザーの属性なども分かるでしょう。
セミナーへの参加履歴など、オフラインの行動をもとに分析を行う場合もあります。
リードをデータベース化して管理
リードの情報をデータベースに保存して管理します。これは購買意欲の高い顧客リストなので、企業にとって貴重な財産ともいえるデータとなるでしょう。
メールの配信
デジタルマーケティングにはメール配信を用いて、情報発信を行います。開封率やサイトへのアクセスを増やすためには、さまざまなセグメントで分類し、顧客ごとに異なるメールを送る必要があります。これらを手動でやるのは大変ですが、MAツールであれば自動配信が可能になります。
ランディングページ作成
MAツールの中には、ランディングページや登録フォームなどを手軽に作成できるものも存在します。ログの収集や分析がそのままできるので、ページを持っていない、あるいは分析や測定を効果的に実施できていないという場合はおすすめです。
MAツールの導入事例・活用事例をご紹介!
MAツールの導入事例を紹介します。
株式会社マックスヒルズ
株式会社マックスヒルズは、広告やプロモーションの企画を行う会社です。スポーツ施設への集客を得意としています。同社はセミナーやメルマガなどでリードの獲得はできているものの、それらをうまく管理できておらず、うまく活かせていないという課題を抱えていました。
そこで同社は、MAツールを導入し、リードの管理を適切に行えるように体制を整えました。パーソナライズされたメルマガの配信やセールスへの活用につながり、問い合わせ数が3倍にまで増加したそうです。
株式会社ギブリー
株式会社ギブリーはHR tech事業などを行う会社です。新規事業を展開するにあたり、さまざまな種類のマーケティングを実行し、新規顧客を獲得してく必要がありました。
MAツールを導入し、まずはメルマガの送付を行い、既存顧客の行動パターンを分析し、データの蓄積を行いました。
そしてそのデータをもとに、Webサイトの改善やメール本文のテンプレート作成など改善を繰り返すことで、最終的にリード獲得数を14倍にまで拡大できたのです。
MAツールを運用する流れとは?
MAツールを運用する流れを解説します。
マーケティング戦略を見直す
まずは、マーケティング戦略を一度見直します。自社サービスのターゲットやペルソナの設定、目標売上などを改めて確認することで、現状の課題や問題が見えてくるでしょう。これにより、MAツールにどのような機能があればよいのか、具体的に分かってきます。
運用ルールの整備
マーケティングオートメーションの運用をどのように行っていくのか、具体的なルールや業務の流れを決めていきましょう。効果的なマーケティングオートメーションの実行には、セールスやカスタマーサクセスなどの部署との連携体制を整えなければなりません。
場合によっては、営業が使っているSalesforceなどのシステムとの連携が必要になるでしょう。小規模で簡易的な導入の場合は、顧客情報リストをCSVファイルでエクスポートするという形でも運用可能なことがあります。
ツール選択とコンテンツ制作
上記で検討した内容をもとに、最適なシステムを導入します。メルマガやランディングページなどの設計、作成を行い、配信していきましょう。
改善を繰り返す
マーケティングオートメーションは、短期間で効果が出る施策ではありません。最低でも半年以上、継続的に行っていく必要があります。その間も、定期的に効果測定を実施して、改善を繰り返すことが大切です。
コンテンツ内容のA/Bテストや、スコアリングの正確さを向上させるなど、よりよい成果につなげるためのアクションが欠かせません。
MAツールのメリット、デメリットをまとめました!
MAツールのメリットとデメリットを確認しておきましょう。
メリット
まずはMAツールのメリットを紹介します。
収益の向上
MAツールでは、より購買意欲の高い顧客に、的確にアプローチできるので、コンバージョン率アップにつながります。特に、顧客の属性に合わせた情報発信は魅力です。顧客のエンゲージメントを高め、信頼関係を築くことができれば、長期的なサービスの利用も見込めるでしょう。
業務効率化
マーケティングオートメーションを実施するにあたっては、メールの配信やデータの分析、リストの作成など、やるべきことが多岐に渡ります。手動で実施できたとしても、効果的な施策を打ち改善を繰り返すことは難しく、人的コストに見合うだけの成果は得られないでしょう。
MAツールの導入によってこれらの工程を自動化すれば、無駄なコストを削減でき、業務効率と生産性の向上が期待できます。
デメリット
MAツールのデメリットを紹介します。
費用と時間がかかる
MAツールの導入には、相応の費用がかかります。料金は機能やツールによって異なりますが、月額数千〜数万円であることが一般的です。マーケティングオートメーションは長期的な計画を立てて行うものなので、即効性はありません。
今すぐ目に見える効果が欲しいという企業にとっては、費用がデメリットと感じられるかもしれません。
効果はコンテンツ次第
マーケティングオートメーションの効果は、コンテンツのクオリティに左右されます。どれほど効果的な分析を行ったとしても、ランディングページやメール本文に顧客が魅力を感じなければ、コンバージョンにつながることはありません。
導入すれば効果が出るというものではなく、質の高い情報発信を継続していく必要があるのです。
MAツールの選び方を解説!
MAツールの選び方を解説します。
必要な機能が揃っているか
まずは機能面を確認しましょう。重要なのは「自社にとって必要な機能が揃っているかどうか」です。サービスの顧客が企業か一般消費者かによって、求められる機能は異なります。toB向けのツールは、見込み顧客の育成やスコアリングの精度の高さが優れているものが多くなっています。
一方、toC向けツールは、メール配信や広告などで大勢の対象者に情報発信を行うことが重要視されているものが多いようです。
他のツールとの連携
企業によっては、すでにセールス用のツールを運用していることもあるでしょう。その場合、新たに導入するMAツールが連携可能かどうかも見極めるべきポイントとなります。
費用対効果
コストと成果のバランスも大切です。導入前に正確に把握するのが難しい点にはなりますが、機能や料金を照らし合わせながら大まかな予測をしておかなければなりません。各ツールの強みや特徴を正しく理解しておくことが重要です。
金額だけに注視してしまうと、判断を誤ってしまう恐れもあるので気をつけましょう。MAツールはデータの移行などを気軽に行えるものではないため、導入には慎重さが求められます。
MAツールのおすすめ4選!
おすすめのMAツールを厳選して紹介します。
洗練されたデザイン、b→dash
b→dashは、専門的な知識を必要としない、直感的な操作感が魅力のMAツールです。はじめてのMAツール導入には最適と言えるでしょう。LINEとの連携やアプリプッシュ通知など、幅広いデジタルマーケティング施策に対応している点も特徴的です。
一つのシステムで顧客に関する大量の広告データや購買データを統合・分析ができます。詳細なセグメント分けにより、顧客一人ひとりに合ったアプローチが可能になります。
機械学習でニーズを予測、Probance
Probanceは、機械学習機能を搭載したMAツールです。取引データやWebサイトの閲覧情報をもとに顧客の趣味嗜好を学習し、ニーズを予測します。これにより、いつどんな手段でアプローチすればよいのか、具体的な施策計画を立てられるようになるでしょう。
Probanceには、気軽に始められる「Probance One」と、より高度な機能を搭載した「Probance Hyper Marketing」の2種類が用意されています。
充実した機能、SATORI
SATORIは、マーケティングオートメーションに必要なさまざまな機能が搭載されているMAツールです。実名の顧客に限らず、匿名ユーザーのスコアリングなども高精度で行うことができるため、toCサービスを売り込みたい企業におすすめです。
お問合せフォームの作成や、ポップアップの表示、プッシュ通知など、Webサイト上のコンバージョンを高める仕組みが充実しています。細かい条件設定をもとにセグメント分けを行い、それぞれに自動的にアプローチも可能です。
シンプルで導入しやすい、Kairos3
Kairos3は、マーケティングオートメーションにおける最低限の機能を搭載したMAツールです。複雑な操作は必要ないので、はじめてMAツールを導入する企業に最適です。機能を削ぎ落とした分、コストも低くなっており、運用費用は月額5,000円からという格安料金で使用できます。
コスト面の理由から、MAツールの導入をためらっている企業も少なくないでしょう。まずは最低限の機能が搭載されているKairos3を使ってみて、効果を確かめてみるというやり方もおすすめです。
MAツールと相性が良いツールとは?
MAツールは、Sales Force Automation(SFA)との相性が良いツールとして知られています。これは主にセールス部門で用いられるシステムで、日々の営業活動を大幅に効率化し、受注率を高める効果があります。
営業に関する情報の共有などの機能を搭載しており、戦略や目標を立てやすくなります。MAツールとSFAを組み合わせることで、セールスとマーケティング領域での相乗効果が期待できるでしょう。
リードの選別をMAツールで行い、確度の高い顧客に対し営業担当者が個別にアプローチすることも可能です。SFAを活用し、過去の情報をもとにした有益な提案も実現します。