【買収手順】M&Aで会社を買収する流れと全手順。提案・価格交渉・契約・買収後の対応

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企業の経営者、財務担当者はM&Aで会社を買収(譲受)する際、M&Aの流れとM&Aの手順について具体的なイメージをあまり持っていないのではないでしょうか。

そのため、今回は『【買収手順】M&Aで会社を買収する流れと全手順。提案・価格交渉・契約・買収後の対応』という記事のタイトルで、

  • M&Aで会社を買収(譲受)する際の流れ
  • M&Aで会社を買収(譲受)する際の全手順
  • 買収(譲受)する際の提案・価格交渉に必要な企業価値評価と買収する際の契約内容
  • M&Aで会社を買収後(譲受後)の対応

について詳しく解説します。

M&Aで会社を買収(譲受)する際の流れ

まずは、M&Aで会社を買収(譲受)する際の流れについて解説します。

以下で詳しいM&A(買収)までの手順を説明するため、まずは、M&Aで会社を買収(譲受)するまでのおおまかな流れを解説します。

基本的に、M&A(買収)までの流れを大きく分けると、以下の5つに分類できます。

  1. 事前準備~買収相手の選定、確定
  2. 秘密保持契約書や基本合意書などの資料作成
  3. 買収企業先のデューデリジェンス
  4. 最終条件交渉~クロージング
  5. 統合作業(PMI作業)

これらの5つのステップを経る(M&A開始から統合完了までのスケジュール)には、一般的に1年程度はかかります。

また、買収する会社の選定に時間をかけたり、M&Aの交渉が難航したりする場合、M&A開始から統合完了まで2~3年かかる場合があります。

そのため、M&Aで会社を買収したいと考えているのであれば、なるべく早めに、M&Aの準備をされることをおすすめします。

M&Aで会社を買収(譲受)する際の全手順

つづいて、M&Aで会社を買収(譲受)する際の全手順について解説します。

⑴M&Aのノンネーム資料による買収企業の検討

ノンネーム資料とは、譲渡しようと考えている企業を特定されないようにしつつ、買い手の候補となっている企業に対しM&Aについて関心があるかどうかということを確認するために使用される資料を指します。

売り手企業と提携仲介契約を結んだM&A仲介会社から、具体的な企業名までは特定できないものの、譲渡理由などを記載したノンネーム資料での提案を受付け、自社にとって買収するメリットがあるかどうかを検討しましょう。

⑵M&A仲介機関(サイト、支援機関を含む)やM&Aアドバイザーとの秘密保持契約の締結

買い手企業側にとっての第一歩は、まず、M&A仲介機関(サイト、支援機関を含む)やM&Aアドバイザーとの個別面談から始まります。

お互いが納得がいくのであれば、機密保持契約に加え、ファイナンシャルアドバイザリー契約(アドバイザーが行う業務の範囲、報酬に関する取り決め、直接交渉の禁止などが明記されている)の締結を行いましょう。

この段階で、M&A仲介機関(サイト、支援機関を含む)やM&AアドバイザーがM&Aに関して積極的に支援してくれます。

⑶ノンネームシートによるM&Aの検討

もし、こちらが提案した希望条件が売却企業に通れば、簡易的な売却情報が掲載されたノンネームシートが送られてきます。

ノンネームシートには譲渡企業の沿革、詳しい事業内容、組織、財務状況、得意先、強みと弱みなどとともに、シナジー効果やメリットが記載されているのが、一般的です。

また、ノンネームシートだけの情報でわからなければ、秘密保持契約を結び、M&A取引において、売却対象となる企業・事業等に関する情報を詳細に記載した資料を開示してもらうこともできます。

⑷詳細資料による検討

企業概要書だけでは分からなかった部分に関して、より詳細な資料を提出してもらい、精査していきましょう。

特に、売上は今後、伸びそうなのか、どういった経営リスクがあるかなどもこの詳細資料による検討段階の時点で聞いておくべきでしょう。

⑸トップ経営者同士の面談の実施

ここでようやく、トップ経営者同士の面談の実施になります。

トップ経営者面談では、双方質問をしあい、経営方針などに関する疑問を解消しあいましょう。

通常、中小企業のM&Aにおいては、2、3社程度の面談を行うことが普通ですが、売手企業と買手企業の経営者同士が顔を合わせて話ができるのは、このときだけと考えた方がよいでしょう。

売り手企業は、今まで必死に育ててきた会社や事業を委ねられる企業かどうかを知ろうとするので、信頼できる経営者であり、企業であると思えない場合には成立しにくくなります。

そのため、限られた時間ではありますが、M&Aを決定づけるほどの影響を持つ手続きの一つであるため、トップ経営者同士の面談の実施は時間をかけて、準備をしてから臨みましょう。

また、一度の面談だけで信頼関係の構築は難しいため、双方が納得いくまで何度でも面談すべきでしょう。

⑹M&Aの買収条件の交渉

M&Aの買収条件の交渉では、買収価格や従業員の処遇、譲渡企業経営者の処遇、最終契約の時期などが交渉されます。

M&A交渉をする際は、投資採算性を計算し、投資額を何年で回収できるのかということを冷徹に計算して交渉の席に臨みましょう。

M&Aでの中小企業の企業評価額は、時価純資産額方式で求めた価格に営業権を加算した額」で評価されることが一般的です。

これを数式で表すと

  • 中小企業の評価額=時価純資産額+営業権の価額

といった式となります。

よって、売り手企業との価額に大きな開差が生じている場合、どこにその原因があるのかをアドバイザーとともに考えましょう。

※ただ、この段階ではお互い、言いにくいことなどもあるため、その場合、M&A仲介会社を通じて交渉することもできます。

⑺M&Aに関する基本合意契約書の締結

基本合意書とは、売り手企業と買い手企業の双方が、M&Aに向けて現時点での基本的ないくつかの条件の合意事項を確認するために当事者間で締結する契約書のことを指します。

基本合意契約書には基本的に、双方で合意したおおまかな条件、M&A締結予定、買収監査についての記載がなされます。

基本合意書を締結することにより、売り手企業と買い手企業の双方がこれまでの交渉で合意してきた内容の整理と合意形成ができ、取引成立に向けた以降のデューデリジェンス、最終契約や決済をスムーズに進行させると同時に同義的な拘束力を期待することができます。

そのため、財務、法務デューデリジェンスの実施をする前に、必ず、基本合意契約書の締結を行いましょう。

⑻財務、法務デューデリジェンスの実施

デューデリジェンスとは、投資やM&Aを行うにあたって、投資対象となる企業や投資先の価値やリスクなどを調査することを指します。

M&A案件におけるデューデリジェンスは、

  • 財務内容などからリスクを把握するファイナンス・デューデリジェンス
  • 定款や登記事項などの法的なものをチェックするリーガル・デューデリジェンス

が特に重要になり、財務、法務の両面から、漏れがないかをチェックします。

一般的に、ファイナンス・デューデリジェンスであれば、税理士(公認会計士)に、リーガル・デューデリジェンスは司法書士(弁護士)に依頼して行うのが、一般的です。

買収側の企業は専門家から提出されるデューデリジェンスのレポート結果を待って、最終的に当該M&A取引を実行するかしないか、あるいは条件面の再交渉に入るかどうかの判断を行う事ができるため、デューデリジェンス内容からM&Aを実行するか、しないのかの意思決定を行いましょう。

⑼M&A案件最終条件交渉

種々の監査結果をもとにして、最終的な条件や細かな取り決め交渉を行ないます。
基本合意契約の段階で漏れていた内容も全て含んだ交渉となりますが、この過程でしっかりと決めておかないと、後々のトラブルになりかねません。
また、この段階からM&A後の経営統合を視野に入れて検討しておく必要があります。
これは譲渡企業経営者が顧問や相談役などとして一定期間会社に残れば、M&A後のスムーズな引継ぎだけでなく、経営者個人が持っているノウハウや技術などを伝えてもらうことも可能になるためです。

⑽最終契約書の締結

最終契約書とは、買収価格やその他の条件について、売り手と買い手との間で最終合意に達したときに交わされる契約書ことを指します。

最終条件交渉で決定した事項を全て反映させた形が最終契約書となります。

一般的に、M&Aの形態が株式譲渡の場合は株式譲渡契約書(Stock Purchase 電子印鑑GMOサインment )、営業譲渡の場合は営業譲渡契約書(Business Transfer 電子印鑑GMOサインment)が最終譲渡契約書となります。

ただし、最終契約書の締結をするには、買い手、売り手ともに取締役会や株主総会での承認が得られる必要があります。

最終契約書の締結によって、正式にM&Aが成立したことになります。

⑾M&A(買収)案件のクロージング

最後に、M&A案件のクロージングになります。

M&A案件のクロージングとは、M&Aにおいて、株式譲渡であれば無題株式の譲渡、事業譲渡であれば事業の譲渡を完了させるための手続きのことを指す言葉になります。

つまり、クロージングとは、株式の譲渡又は事業の譲渡の手続きとそれに対する譲渡代金の支払いの手続きのことになります。

企業を買収する側は、最終契約書の締結の1ヶ月前後にお金を振り込む必要があります。

上記で解説したように、M&Aで会社を買収する際の手順を詳細に解説すると、買収までに以下の11のプロセスを経る必要があります。

  1. M&Aのノンネーム資料による買収企業の検討
  2. M&A仲介機関(サイト、支援機関を含む)やM&Aアドバイザーとの秘密保持契約の締結
  3. ノンネームシートによるM&Aの検討
  4. 詳細資料による検討
  5. トップ経営者同士の面談の実施
  6. M&Aの買収条件の交渉
  7. M&Aに関する基本合意契約書の締結
  8. 財務、法務デューデリジェンスの実施
  9. M&A案件最終条件交渉
  10. 最終契約書の締結
  11. M&A(買収)案件のクロージング

最近のM&Aに関連した記事などでは、これらのプロセスの一部(M&A仲介機関(サイト、支援機関を含む)やM&Aアドバイザーとの秘密保持契約の締結、財務、法務デューデリジェンスの実施)を省略しても良いと謳っていますが、はじめて、M&Aを経験される方は、必ず、上記の11のプロセスを経てから、会社の買収を実行するほうがよいでしょう。

買収(譲受)する際の提案・価格交渉に必要な企業価値評価と買収する際の契約内容

そして、意外と盲点でもある買収(譲受)する際の提案・価格交渉に必要な企業価値評価と買収する際の契約内容について詳しく解説します。

M&Aで会社を買収(譲受)する際の提案・価格交渉に必要なのは、何と言っても企業価値評価です。

そのため、まずは、企業価値評価の算出方法について解説します。

買収企業の企業価値評価方法

上記でも解説したように、中小企業の評価額は時価純資産額+営業権の価格で表される事が一般的ですが、他にも企業の価格を決める算出方法はあります。

まず、マーケットアプローチ法について解説します。

マーケットアプローチ法とは、株式市場や類似する業種・企業をベースとする手法で、外部環境との比較によって、M&Aの買収価格を算出していきます。

マーケットアプローチ法は他の手法と比べて、客観性のある企業価値(買収価格)を算出可能です。

次に、マルチプル法に関してですが、マルチプル法は自社と類似する上場企業の株価指標を用いて、企業価値(買収価格)を算出する方法で、最近では、M&Aをする際に多く使用されています。

3つ目は、コストアプローチ法です。

コストアプローチ法は、企業の貸借対照表をベースとする手法で、簡単に言うと、これまでの企業の資産蓄積に着目する方法で、歴史ある企業のM&Aの場合の買収価格の算出には非常に向いています。

また多くの資産を保有する企業にも適した、買収価格の算出方法です。

しかし、創業間もないベンチャー企業や、技術やノウハウが強みの企業には、不向きな手法ではあります。

買収する際の契約内容

次に、買収の契約内容について解説します。

また、買収の契約内容は多岐に渡りますが、以下の内容は事前に必ず、確認しましょう。

  • 買収の方法:株式譲渡、事業譲渡、合併、持ち株会社、株式交換といったものをどうするのか
  • 買収価格:株価、退職金など総額の決定をどうするのか
  • 社員の処遇:役員や社員の引継ぎ条件をどうするのか
  • 社長の処遇:会長として残ってもらうかどうか
  • 契約時期:引渡時期をいつにするのか

このように、買収(譲受)する際の提案・価格交渉に必要な企業価値評価は、

時価純資産額+営業権の価格以外に、

  • マーケットアプローチ法
  • マルチプル法
  • ストアプローチ法

を使用する事が一般的です。

また、買収の契約内容においては

  • 買収の方法
  • 買収価格
  • 社員の処遇
  • 社長の処遇
  • 契約時期

といった事項を盛り込む事が重要です。

M&Aで会社を買収後(譲受後)の対応

そして、最後にM&Aで会社を買収後(譲受後)の対応について詳しく解説します。

結論から言うと、M&Aで会社を買収後(譲受後)の対応で重要なのは、

  • お互いの会社の目指すべき方向性のすり合わせや明確化
  • 人材、経営陣の配置転換

です。

まず、お互いの会社の目指すべき方向性のすり合わせや明確化について解説します。

まず、買収先企業との融合を進めるために、目指すべきビジョンや考え方をすり合わせ、明確化する必要があります。

これが不明確だと、業務の融合が進まないだけでなく、会社の将来に従業員が不安を覚え、退職者が続出してしまう可能性があります。

そのため、従業員の不安を取り除き、且つ、結果として買収を成功させるためにも、まずは、意識面の融合、目指すべき方向性のすり合わせや明確化を進めていきましょう。

次に、人材、経営陣の配置転換です。

上記で説明したすり合わせや明確化を行うためにも、まず譲渡企業の全部門を見る立場にある役員等を責任者に置いて買収後の企業統合を進めていくことが重要です。

また、買収後の企業統合においては、M&A成立後の調整業務が多く発生するため、企業統合に関する担当者(経営陣)を配置、人事変更に伴う抜本的な人材の配置転換していった方が、結果的に、買収の成功につながると言えるでしょう。

M&Aで会社を買収後(譲受後)の対応で重要なのは、

お互いの会社の目指すべき方向性のすり合わせや明確化
人材、経営陣の配置転換
です。

買収の成功につなげるためにも、早期に上記の2点に取り組むことをおすすめします。

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回は『【買収手順】M&Aで会社を買収する流れと全手順。提案・価格交渉・契約・買収後の対応』という記事のタイトルで、

  • M&Aで会社を買収(譲受)する際の流れ
  • M&Aで会社を買収(譲受)する際の全手順
  • 買収(譲受)する際の提案・価格交渉に必要な企業価値評価と買収する際の契約内容
  • M&Aで会社を買収後(譲受後)の対応

について詳しく解説しました。

上記でも述べたように、M&Aで会社を買収(譲受)する際は非常に時間がかかるため、会社の買収を考えている人は何より早く準備に取り掛かりましょう。

また、買収企業の企業価値評価や買収する際の契約内容といった詳細は必ず、どういったものがあるのかを事前に調べ、M&A仲介会社、アドバイザリー企業と連携しながら、進めていきましょう。

地道ではありますが、こういった一つ一つの積み重ねがM&Aで会社を買収する際の成功に繋がっていくに違いないでしょう。

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