多くの経営者はM&Aの手数料、報酬体系、手数料相場、手数料についてどんなものがあるのかについて詳しく知らないのではないでしょうか。
そのため、今回は『【保存版】M&Aの手数料・報酬体系とは?手数料相場、手数料の種類を徹底比較』という記事のタイトルで、M&Aの手数料、報酬体系、手数料相場、手数料の種類について解説します。
まずはM&Aにかかる費用を買収側・売却側に分けて簡単に解説!
M&Aでは、買収側・売却側ともに付帯経費がかかる
M&Aには、買収代金のほかに、さまざまな付帯経費がかかるため、買収資金にこれらの経費も計算に入れておかなければなりません。
自社で直接相手を探したり交渉したりする場合はともかく、M&A仲介機関に依頼する場合には仲介手数料も必要になります。
また、買収側・売却側として気になるのは、事業の譲渡・譲受をする上で譲渡価額の受け渡し以外の費用はどのようなものがあって、そしてそれにはどれくらいの資金が必要なのか、ということではないでしょうか。
買収や売却が魅力ある手段であっても、それ以外にかかるコストが大きくなるのであれば二の足を踏んでしまう以上、これらの費用は事前に十分に把握し理解しておくことが重要になります。
そのため、まずは、買収側と売却側に分けて、それぞれどんな費用がかかるのかを大まかに解説します。
買収側にかかる費用
まずは、買収側にかかる費用について解説します。
買収側にかかる費用は、企業の売却価格だけではありません。
M&Aの手続きにも、ある程度の経費がかかってきます。そのなかでも主なものは、仲介会社に対する仲介手数料や報酬、デューデリジェンスと呼ばれる詳細な企業の調査費用も必要になります。
仲介手数料・報酬
M&Aを仲介する業者への報酬体系はさまざまです。相談を受け、着手金、中間報酬、成功報酬をそれぞれ請求するような仲介業者もあれば、完全成功報酬型の業者もあります。
後で詳しく解説しますが、着手金を取るタイプの業者の場合には、50〜100万円程度の費用が一般的な相場となっています。
成功報酬に関しては、中小企業の場合は、成功報酬の5%前後が相場であると考えておくとよいでしょう。
デューデリジェンス(買収監査)費用
M&Aを行う上で欠かせないデューデリジェンスにも費用が必要です。
デューデリジェンスは法務、財務、ビジネスなどさまざまな分野の専門家が調査を行い、詳細な分析を実施します。つまり、非常に高度な知識を持った人材が求められているのです。
デューデリジェンスは基本的にM&A仲介業者か、弁護士や公認会計士などの専門家に依頼することになります。調査にかかる費用は、対象となる会社の規模、業者ごとの料金体系、実施するデューデリジェンスの内容によって異なるため、一概にいくらということはできません。
その他
M&Aでは、これまで紹介してきたような企業自体の買収費用や、デューデリジェンスのような調査費用のほかにもお金がかかる場合があることを把握しておく必要があります。
確実に避けて通れないのが税金で、買い手企業の場合には、買収の際に消費税が課されることになります。
M&Aでは決して小さくない価格で売買が行われ、消費税の額も自然と大きくなるので注意が必要です。
売却側にかかる費用
次に、売却側にかかる費用について解説します。
M&Aにおいて費用がかかるのは、企業や事業を売却する側も同じです。費用の種類としては、主にM&A仲介業者に支払う仲介手数料や、各種税金などです。
仲介手数料・報酬
売却側の企業にとっても、もちろん仲介業者の存在は重要です。
この仲介業者へ支払う着手金や中間報酬、成功報酬などが主な支出となります。
買収を行う企業同様、仲介業者への費用は業者によって異なり、各段階で手数料や報酬を求める業者から、完全成功報酬型の企業までさまざまです。
税金
買い手企業は買収の際に所得税がかかりますが、売り手側では所得税、もしくは法人税が課税されることになります。
所得税がかかるのは、株主が自然人の場合の株式譲渡についてです。所得税は売却額の20%です。
一方で株主が法人の場合や、企業が売却費用を受け取ることになる事業譲渡の場合は、法人税がかかり、売却価格の30%になります。
その他
定款において株券発行の旨の記載がある場合には、株券を発行することになります。そうした場合、印刷会社に発行を依頼し、数万円程度の発行費用が必要になります。
このように、M&Aにかかる費用は買収側、売却側ともに発生します。
また、かかる費用に関しても、単一ではなく、複数かかるため、注意が必要になります。
M&Aの手数料、報酬体系、手数料相場、手数料の種類を比較!
次に、M&Aの手数料、報酬体系、手数料相場、手数料の種類を解説します。
今回、解説するのは、
- 事前相談料
- 着手金
- 最低手数料
- リテイナーフィー
- 中間金
- デューデリジェンス費用
- 成功報酬
になります。
①事前相談料
まず、事前相談料について解説します。
そもそも、M&A仲介会社に相談する際に手数料が必要となるケースがあります。
これが事前相談料になります。
殆どの仲介会社は、この事前相談料を無料としていますが、一部で事前相談料が必要になります。
極力M&A手数料を節約したい場合は、仲介会社相談料を確認すべきでしょう。
②着手金
次に、着手金について解説します。
着手金とは、M&A仲介会社へ業務委託後に発生する手数料です。
M&A交渉が最終的に締結されなくとも費用は戻ってきません。
M&A実施時には、相手会社選定、資料作成といった様々な費用が発生します。
そのため、正式に依頼を受託した場合、相場としては、50~200万円程の手数料を着手金として請求するM&A仲介会社が多いです。
売り手側は企業評価、買い手側は情報提供料の手数料の支払いが発生します。
着手金は、より良い相手を探す為に必要な手数料ではありますが、着手金に関しても、無料のM&A仲介会社もあるため、心配な方は無料のM&A仲介会社に依頼するのも一つの手でしょう。
③最低手数料
3つ目は、最低手数料になります。
一般的にM&A取引規模に関係なく、仲介会社には同規模の業務が発生します。
そのため、のちに詳しく解説しますが、レーマン方式を用いて算出した成功報酬では取引金額が小さく、採算があう手数料を獲得できません。
取引金額が小さくとも、M&A仲介実施の最低手数料を設定しているM&A仲介会社が多いです。
一般的な最低手数料の相場は、500万円~2000万円程度です。
ただ、最低手数料に関しても無料のM&A仲介会社も存在します。
④リテイナーフィー
4つ目は、リテイナーフィーになります。
リテイナーフィーとは、M&A仲介会社が請求する月額の手数料です。
この手数料により、仲介会社はM&Aの各種義務の実行に必要な経費を賄います。
リテイナーフィーの相場は、月額約200万円です。
毎月支払いが生じるため、M&A交渉が長引くほど手数料総額は増えます。
最近は、リテイナーフィーの支払いを請求しない仲介会社も増加していますが、リテイナーフィーが有料の仲介業者は、成功報酬が安い傾向があります。
よって、リテイナーフィーを支払う方が、最終的なM&A手数料が安くなる可能性もあります。
⑤中間金
5つ目は、中間金になります。
中間金とは、主にM&Aの基本合意が締結した際に支払う手数料です。
中間金の相場は、M&A成功報酬額の10%~20%が大半ですが、場合によっては10%をきるM&A仲介会社もあります。
金額で表すと、約50万円~200万円とも言われています。
この手数料は、その後の交渉が上手くいかず、M&Aが白紙となっても、返金されないため注意が必要です。
M&Aの最終契約が締結された際には、成功報酬の中に含まれます。
⑥デューデリジェンス費用
6つ目は、デューデリジェンス費用になります。
デューデリジェンスとは、M&Aを実行する際に相手企業を綿密に調査する行為です。
財務や税務、法務等デューデリジェンスによって調査する分野は様々です。
仲介会社のM&A支援により、この手続きにも手数料が必要となるケースがあります。
デューデリジェンス手数料の相場は、約数十万〜数百万程度です。
デューデリジェンス費用は高額な手数料になりますので、デューデリジェンスを避けたくなる方もいると思います。
しかし、このデューデリジェンスプロセスを怠ると、後々重大なトラブルが発生する可能性があります。
その結果、M&A失敗の可能性も高くなります。手数料の額に関係なくM&A実施時には、デューデリジェンスをしましょう。
ただし、調査する範囲を絞れば支払う手数料の額を抑えることは可能です。
そのため、デューデリジェンスを行なう前に事前に対象を定めておきましょう。
⑦成功報酬
最後は成功報酬になります。
成功報酬とは、実際にM&A契約が成立した時点で支払う手数料です。
成功報酬をレーマン方式で算出しているM&A仲介会社が多いです。
レーマン方式では、取引金額に応じた報酬料率を掛けて、手数料を決定します。
掛け合わせる報酬料率は、以下となります。
- 5億円以下の部分→5%
- 5億円超~10億円以下の部分→4%
- 10億円超~50億円以下の部分→3%
- 50億円超~100億円以下の部分→2%
- 100億円超の部分→1%
上記を見て分かる通り、取引価額が5億円を超えない限りは、M&Aアドバイザーへの報酬は一律5%となります。
しかし、5億円を超えると多少計算が複雑になるので、その点に注意して算出する必要があります。
では、より分かりやすく解説するために、以下では具体例を挙げて算出方法を見ていきましょう。
取引価額が7億円のケース
取引価額が7億円のM&Aが成約したとすると、M&Aアドバイザーの成功報酬・手数料は以下のように算出されます。
5億円×5%+(7億円-5億円)×4%=3,300万円
つまり、7億円のうち5億円に関しては5%の成功報酬となりますが、うち2億円については4%が成功報酬として加算されていきます。
また、10億円を超えるケース、50億円を超えるケースになると、さらに計算式は複雑になります。
取引価額が12億円のケース
5億円×5%+5億円×4%+(12億円-10億円)×3%=3,900万円
このように、レーマン方式は一見すると複雑に感じる可能性もありますが、その具体的な算出方法は意外とシンプルであり、上記の式に当てはめれば誰でも算出することができます。
そのため、成功報酬に関しては事前に自前で計算しておくことをおすすめします。
今回は以下の7つ
- 事前相談料
- 着手金
- 最低手数料
- リテイナーフィー
- 中間金
- デューデリジェンス費用
- 成功報酬
について解説しました。
ただし、上記の項目に関して、M&A仲介会社のHPには詳しく料金まで乗っていない場合があるので、わからない場合は事前にM&A仲介会社に相談しましょう。
各M&A仲介会社の手数料、報酬体系、手数料を比較!
最後に、各M&A仲介会社の手数料、報酬体系、手数料を比較します。
①M&Aキャピタルパートナーズ
M&Aキャピタルパートナーズは買い手、売り手の双方の企業が納得し、基本合意に至るまで無料で支援してくれる企業です。
M&Aキャピタルパートナーズは以下の内容も無料相談に含まれます。
- M&Aの検討提案
- 企業価値算出
- 企業価値に基づいた選択肢の検討
- 相手候補の提示
- 相手先への説明資料作成支援
- 相手先との面会機会の設定
- 候補先判断のサポート
また、M&Aキャピタルパートナーズの成功報酬に関してですが、M&Aの相手先の企業と基本合意が締結された際に、最終的な成功報酬額の10%を、買収監査が完了し正式にM&Aが成立した際に、残りの90%という2段階の報酬体系になっています。
②中小企業M&Aサポート
次に、中小企業M&Aサポートになります。
中小企業M&Aサポートは直接仲介のみに徹しているので、中間マージンがかからない為、他社よりM&A仲介料金がリーズナブルに設定する事により、利用しやすい仕組みになっています。
また、中小企業M&Aサポートは高額な仲介料金や最低仲介料金500万円、1,000万円、2,000万円といった競合他社と比べ、安心料金でM&Aを進める事ができます。
以下が中小企業M&Aサポートの料金体系になります。
着手金 | 0円 |
月額報酬 | 0円 |
企業価値算定 | 0円 |
最低成功報酬 | 150万円 |
報酬算出基準 | M&Aの売買価格により変動 |
③日本M&Aセンター
3つ目は日本M&Aセンターを紹介します。
日本M&Aセンターの場合、まず、相談に関しては無料で行ってくれます。
また、日本M&Aセンターは売り手企業の場合は調査・資料作成開始時、買い手企業の場合は本格的な情報提供開始時に着手金を払い、成約時に成功報酬という形の料金体系を採用しています。
以下が日本M&Aセンターが提示している成果報酬(レーマン方式)での算出方法の表になります。
売り手企業の時価総資産額 | 料率 |
---|---|
5億円以下の部分 | 5% |
5億円超 10億円以下の部分 | 4% |
10億円超 50億円以下の部分 | 3% |
50億円超 100億円以下の部分 | 2% |
100億円超の部分 | 1% |
④トランビ
4つ目はインターネットで、M&Aを仲介するトランビになります。
以下がトランビの利用料金になります。
買い手
登録料 | 無料 |
メッセージ交換 | 無料 |
マッチング | 無料 |
M&A成約 | 成約価額の3% |
売り手
登録料 | 無料 |
メッセージ交換 | 無料 |
マッチング | 無料 |
M&A成約 | 無料 |
※トランビの利用は成約日(最終契約締結日)を起算日とした7営業日以内に成約報告手続きを完了されることが条件となり、期限を過ぎると成約手数料の増額や遅延損害金が発生するので、注意が必要です。
⑤東京MAパートナーズ
5つ目は東京MAパートナーズになります。
東京MAパートナーズの手数料は業界最安水準として有名です。
以下が東京MAパートナーズの手数料になります。
売り手側の報酬額
- 1店舗のみの場合:無料(遠隔地の場合には出張交通費のみ負担)
- 2店舗以上の場合:500万円(固定)
買い手側の報酬額
- 最終契約締結時:(中間金)100万円
- クロージング時(成功報酬):1店舗あたり500万円~(ただし、対象薬局が小規模な場合については300万円をベースにご相談)
上記を見ればわかるように、5つともM&Aの手数料、報酬体系は異なります。
また、同じM&A仲介会社でも業界やM&A規模によって、手数料、報酬体系は変わることがあるため、注意が必要です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は『【保存版】M&Aの手数料・報酬体系とは?手数料相場、手数料の種類を徹底比較』というテーマで、
- M&Aの手数料・報酬体系
- M&Aの手数料相場
- M&Aの手数料の種類
などに解説しました。
上記でも解説したように、M&Aの手数料・報酬体系手数料相場は業界やM&A規模によって異なります。
また、利用するM&A仲介会社によってもそれぞれで手数料・報酬体系が異なります。
そのため、M&Aを行なう前に
- 自社がM&Aに使える資金
- それぞれのM&A仲介会社の料金体系
などを再度、検討しながらM&Aを実施することをおすすめします。