起業直後は実は法人口座でさえ、作るのは簡単ではありません。今回は起業直後の法人口座開設のポイントを実体験を踏まえて解説します。
起業直後の法人口座開設の体験談
実際に私が起業したときの話ですが
正直、「えっ、口座開設ぐらい簡単にできるでしょ?」
とタカをくくっていたのですが・・・
- 住信SBIネット銀行 → 申込条件満たさず
- 千葉銀行 → 申込条件満たさず
「あれっ、なんで申し込めないの?」
と法人口座開設までに1ヶ月以上の期間がかかってしまいました。
なぜ、法人口座が開設できなかったかと言うと・・・
- バーチャルオフィスに登記をしていたこと
- 携帯電話で固定電話を用意していなかったこと
の2つの理由があります。
法人口座開設にもそれなりに審査があるということをこの段階ではじめて知ったのです。
法人口座の審査とは?
法人口座開設時の審査というのは
「その会社に実態があるかどうか?」
を確かめるものです。
これは法人口座が悪徳業者、詐欺業者などの犯罪行為に使われることが増えていたため、金融庁が法人顧客から新規口座開設の申込みがあった場合、犯罪による収益の移転防止に関する法律「犯収法」に基づき下記の事項を確認することを周知徹底していたからです。
「犯収法」確認事項
- 顧客の本人特定事項(名称、本店)
- 取引目的
- 事業の内容
- 実質的支配者の確認(取引時確認)
銀行はこれを受けて
- ウェブサイトがあること
- 固定電話があること
- 事業の実態があること(訪問できる事務所があること)
を法人口座開設の審査事項としていたのです。
そのため
- バーチャルオフィス → 事務所がない
- 携帯電話 → 固定電話がない
私の会社は、法人口座開設の申込み自体ができない銀行だらけだったのです。
とくに千葉銀行やメガバンクでは
「法人口座開設時には実際にオフィスに担当者が訪問して、事業の実態を確認してからです。」
と言われました。
バーチャルオフィスにはポストしかありませんから、訪問なんて対応できないのです。当然、訪問して実態を確認することが目的ですから、銀行や喫茶店での打ち合わせでは意味がないのです。
住信SBIネット銀行は
「固定電話を入力しないと法人口座の申込み自体ができませんでした。」
固定電話費用とオフィス費用をケチったために法人口座開設ができないという事態に直面してしまいました。
私の会社はウェブの会社ですので、オフィスも、固定電話も、必要ないのですが法人口座が作れないという問題が発生してしまったのです。
それでも、法人口座開設は無事できました。
困っていたのですが、悩んでも仕方ないので手当たり次第に法人口座開設をしてみました。
バーチャルオフィスでも、固定電話がなくても、法人口座を作ってくれた銀行
- 楽天銀行
- 京葉銀行(千葉県の第二地銀)
です。
金融庁の銀行への「お達し」では、オフィスで面談することがマストになっていたわけではありませんので、楽天銀行や京葉銀行は、定款や謄本、事業内容の説明で口座開設をしてくれたのです。
起業直後の方でメガバンクなどの法人口座開設を断られた方には
- 楽天銀行
- 第二地銀
をおすすめします。
起業直後の法人口座開設の注意点
1.オフィスや固定電話があれば問題なく口座開設が可能
私の場合はバーチャルオフィス、かつ携帯電話のみという状況での起業でしたので、法人口座開設に手間取りましたが、オフィスや固定電話があれば普通に法人口座の開設は可能です。
2.バーチャルオフィス、携帯電話でもネット銀行や第二地銀は開設できる可能性が高い
ネット銀行であれば、担当者がオフィスに来て面談することをマストにしているところはありません。
第二地銀は、第一地銀や都市銀行と比較して、地元の銀行という側面が強く、規模も少ないため、法人口座開設のハードルも低いのです。
3.紹介なら法人口座開設も可能
法人口座の開設には紹介という手もあります。
紹介の場合は、バーチャルオフィス、携帯電話でも口座開設できる可能性が高いのです。
- 知り合いの社長さん
- 取引先
- 税理士や会計事務所
- 弁護士、司法書士
などに紹介してもらえば良いのです。
4.個人口座でも問題ない
これは当時の自分は知らなかったのですが
個人口座で法人取引をしていても、会計上、税務上の問題は特にありません。
個人利用と法人利用を分離しておけば良いので、法人取引のみに利用する個人口座で対応しておけば良いのです。
ただし、
- 取引先からの見た目が悪い
- 法人カードなどの引き落とし口座に利用できない
などのデメリットもあります。
起業直後の法人口座選びのコツ
融資を利用する方 → メガバンクや地方銀行
融資を希望する場合は、どうしても店舗がある銀行を選択する必要があります。
銀行融資と口座開設は関係ないと思っている方もいるかもしませんが・・・
法人口座を開設して、取引や入金、出金をその銀行でしている会社の方が、取引の実態がわかるので銀行も融資しやすくなるのです。
店舗がある銀行は、融資担当、法人担当の営業マンがいますので、融資に関する相談をすることも、融資のオファーを受けることも可能になるのです。
融資を前提とする場合は、店舗がある銀行を選択します。
融資を利用しない方 → ネット銀行
当面融資は必要ないという方であれば、ネット銀行をおすすめします。
ネット銀行のメリット
- 口座の維持管理手数料が無料であること
- 24時間365日利用できること
- インターネットのネットバンキングの機能が優れていること
- 過去の取引履歴も直近2年間分が閲覧できること
と利便性で言えば、圧倒的にネット銀行の方がレベルが高いのです。
今では私も、メガバンクの法人口座を持っていますが・・・
メガバンクのデメリット
- 土日や夜間のネットバンキングの利用制限
- 過去の取引履歴は300日という中途半端な日数しか遡れない
- 異常に面倒くさいセキュリティ(複数のパスワードやトークン)
- 口座の維持管理手数料が有料
と、本当に使い勝手が悪いのです。
しかし、ネット銀行にもデメリットがあります。
ネット銀行のデメリット
- 海外送金ができない(受け取れない)
- 税金支払いのペイジーが利用できない
そのため、現在は併用しているのですが、起業直後はネット銀行の法人口座のみあれば十分だと言えます。
まとめ
起業直後の法人口座開設で注意すべきことは
- オフィスがあること
- 固定電話があること
が条件になる銀行が多いということです。
上記の条件に当てはまらずに法人口座が作れない場合は
- ネット銀行
- 第二地銀
に口座開設すると良いでしょう。
また、融資の必要性のありなしで口座開設すべき銀行が異なるので、メリットデメリットを理解したうえで口座開設をすることをおすすめします。