多くの経営者、これから起業される方はIP電話について悩んでいるのではないでしょうか。
そのため、今回は『IP電話とは?法人のIP電話導入のメリットデメリットと注意点』という記事のタイトルで、IP電話導入のメリットやデメリットと注意点などを紹介します。
IP電話とは
IP電話とは何か
IP電話とはインターネット網を使用した電話サービスです。
光電話は光ファイバー網を利用して電話しますが、それに対して、IP電話はインターネット網を利用して通話しています。
インターネット網のTCP/IPプロトコル上で、音声をパケットにして送受信する VoIPという技術が使われます。
IP電話は、050から始まる電話番号で始まります。
そのため、050から始まっている電話番号は、ほぼIP電話と考えていいでしょう。
例えば、固定電話や携帯電話の着信履歴が 050から始まる番号であれば、発信先はIP電話サービスを使っていると判断することができます。
また、光電話は、NTTや電力会社などのインフラを持った回線事業者が提供していますが、IP電話は主にプロバイダが提供しているサービスです。
具体的にいいますと NTTの光やADSL フレッツサービスに対応したプロバイダである OCN、ぷらら、Nifty、Biglobe、Exciteなど、auひかりのプロバイダであるKDDIなどです。
プロバイダによって IP電話サービスがオプションとして付いていることがあり、インターネット契約とは別に申し込むことでIP電話も利用することができます。
IP電話を申し込むと 050から始める電話番号を取得することができます。
スマホでもIP電話は使用可能
IP電話は 自宅や会社などの固定されたインターネット回線で利用するのですが、スマートフォンでもIP電話は使われています。
具体的にいいますと、SkypeやLINEがこれにあたります。
これらもインターネット網で通話が行われているのでIP電話になります。
登録ユーザー同士での通話は無料ですが 固有の電話番号というのは基本的にありません。発着信は原則として登録ユーザーのみとなります。
IP電話の050の番号をオプションとして追加して使用できるサービスもあります。
OCNの050 plusやフュージョン・コミュニケーションズのSMARTalkというサービスがこれにあたります。
この050から始まる番号は、固定回線のIP電話と非常に近いということができます。
提携プロバイダ間の通話料無料や国内の固定電話がどこでも一律料金であったり、携帯電話への通話や国際電話も割安になったりします。
固有の番号なので、発着信も登録ユーザーのみなど限定されることはありません。
スマートフォンのIP電話では、固定回線のように専用の機器は特に必要なく、IP電話用のアプリをインストールして使います。
IP電話はこんな人におすすめ
個人事業主様や外回りが多い商売をしている企業で、事務所を留守にする、不在がちだったりすると
- 外出先からでも会社の電話番号で発信がしたい。
- 外出先でも会社にかかってきた着信を取りたい。
- 会社にかかってきた電話を内線で外出先の営業マンに繋ぎたい。
これらの要望は常に付きまとう、悩みのタネではないでしょうか。
着信だけなら、固定電話から携帯電話へ転送サービスのオプションに加入すれば解決します。事務所に不在でも会社宛の電話は携帯電話に転送されますので、電話を受けることができますよね。
しかし、外出先からでは会社の電話番号で発信することはできませんよね。
そんな時は、IP電話が最適です。
IP電話の仕組みを使えば、そんな外出先からの発番の悩みを解消し、「会社に掛かってきた電話を内線感覚で外出先の方へ電話を取り次ぐ」といったことが可能となります。
そのため、IP電話はこれから起業される方、小規模の事業主に最適な電話サービスです。
IP電話の5つのメリット
次に、IP電話のメリットについて解説します。
今回は5つ紹介します。
①安価なコストで導入できる
IP電話のメリットとして、音声自体のデータ化により、電話回線と比べ低いコストで電話サービスを利用出来るという点が挙げられます。
また、販売店によっては、インターネットシステムとIP電話を同時に申し込む事で、さらに割引するといったお得な料金プランも出てきていますが、この同時申込により、IP電話のもう一つのメリットである、ビジネスフォンのクラウド化も可能となるのです。
クラウド化する事で、スマートフォンやPCなど固定電話機以外のデバイスでも、内線電話を利用出来るようになり、現場レベルでの利便性は劇的に向上します。
また、機器の設置スペースや配線は不要となり、コスト削減が可能となります。
さらに、付帯業務である転送設定や、電話登録などの操作がネット上で簡単に行えるようになるのです。
電話回線と比べ、音声自体がデータ化されるIP電話では、通話品質の低下がデメリットとされてきましたが、最近ではCATV回線や光ファイバー回線などの利用が増加し、これらは一般の電話システムと比べ通話品質に遜色がないレベルとされています。
また、近年では、従来の050の番号ではなく、市外局番から始まる番号の利用が可能となっています。
つまり、IP電話は、一般電話と同程度の通話品質を持ちながら、導入・運用費用の大幅な削減を可能とする企業にとって魅力的なメリットを有していると言えます。
②他のシステムと容易に統合できる
IP電話はインターネットベースなので、他のアプリケーションとの統合が容易です。
例えば、電子メールでコールを発信したり、電子メールアカウントからボイスメールにアクセスしたりすることができます。ボイスメールをテキストに変換して、電子メールシステムに送信することもできます。
もう一つ重要なのは、電話番号が個々の社員に割り当てられているという点です。オフィスを改装したり拡張したり、社員が新しい部署に移動したりしたときに便利です。
VoIP電話システムのWebサイトのポータルにアクセスしてシステムを再設定し、新しいデスクの電話器をすぐ使用できるようになります。通信会社やIT部門の手助けがなくても、各自で簡単に設定できます。
VoIPフォンは、移動して仕事をすることが多いフィールドワーカーや、出張が多い部門を持つ企業にとっても有益です。
コールは、インターネット接続で世界中のどこにでも転送できます。従来の電話システムの機能はすべて利用可能です。これには、保留、転送、ハント、会議通話、自動受付メニューが含まれます。
③運用管理を一元管理できる
企業内の通信インフラをデータ通信用のネットワークに統合するということは、通信網の運用管理の一元化にもつながります。
つまり、電話回線の管理を総務部門が、LANなどの管理を情報通信部門が行っていたものが一つに統合されることになります。
これにより、IP電話は、企業内の組織の簡素化、あるいは人員の有効利用として中・長期的に企業にメリットをもたらすでしょう。
④人数の増減に対応できる
従来の電話システムでは、必要な電話の数を予測する必要があります。
予測した数が実際より多過ぎた場合は、使用しない電話回線に無駄に支出することになります。
一方、ホストされたIP電話システムでは、新しい社員が入社したときに新しい回線を追加するだけです。
誰かが退職したら、その回線をクローズするか別の人に割り当てることができます。
⑤簡単にインストールできる
IP電話は簡単にインストールできます。
会社の施設全体に配線する必要はなく、必要なのは電話器だけです。
ほとんどの場合、会社にすでに設置されているイーサネットポートにプラグインするか、Wi-Fiに接続するだけです。
そのため、ホスティングされたIPソフトウェアを使用すれば、ウェブサイトのポータルから新しいユーザーを簡単かつ安価に追加できます。
このように、IP電話のインストールに必要なのはインターネット接続のみです。
IP電話の4つのデメリット、注意点
今回はIP電話の4つのデメリット、注意点を紹介します。
①110番や119番などにかけられない
IP電話は、使い勝手が今までとほとんど同じなので、つい普通の固定電話として扱ってしまいがちですが、110番や119番などの緊急電話番号にはまだかけられない場合があります。
他に104(番号案内)や106(コレクトコール)、0120(フリーダイヤル)などNTTの付加サービスへの通話も対象になります。
ただ、一部プロバイダでは対応しているものもあり、将来的には改善される予定です。
IP電話からかけられない主な番号
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緊急電話番号
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NTTの付加サービス
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110
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119
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104
(番号案内) |
106
(コレクトコール) |
0120
(フリーダイヤル) |
その他NTTの付加サービス |
②プロバイダを変更すると電話番号を変えないといけない
IP電話は携帯電話のように、各プロバイダによってサービスの内容なども異なります。
したがって、今現在契約しているプロバイダを変更してしまえば、それに伴って「050」の番号も変わることになってしまいます。
また、プロバイダは変えなくても引越しをした場合などにも、番号が変わったり、多少お金がかかってしまったり、いったん解約して契約しなおす必要があったりと、各プロバイダによって様々ではありますが、いくらかの不便は感じてしまうかもしれません。
③固定電話への通話は若干高い
固定電話への通話ならば割安感のあるIP電話ですが、携帯電話へかける場合は、一般加入電話でも割高になるのと同じように、IP電話でも少し高く感じるかもしれません。
今のところ1分18円前後が多いようですが、プロバイダによってはかけた相手の携帯電話会社によって料金が違ってくる場合もあります。
しかし、それでも総合的にみれば、一般加入電話に比べれば安い料金設定といえるでしょう。
また、ファックスの送受信については、一般の家庭で使用するFAX機であれば、特に問題なく利用できます。
ただし、プロバイダによっては利用できない場合もありますので、確認が必要です。
④一般加入電話網に比べると、通話品質が劣る場合がある
音声をデータに変換して、その上でインターネット回線を使って通信するため、音声の品質がネットワークの混雑状況や利用者の環境などに大きく影響を受けます。
特に以下のような場合は、インターネットの通信速度が低下するため、雑音が入る等通話品質も悪くなり、通話中に回線が切れる事もあります。
- 通話中に容量の大きいファイル等をダウンロードやアップロードした場合
- IP電話対応端末(IP電話機能付ADSLモデム、テレフォニーアダプタなど)の近くで家電製品を利用している場合
- ネットワークが混雑している場合(午後10時以降などは特に混雑している事が多いです)
ただし、これらは光などの広帯域サービスを利用する事で回避できる場合もあるそうです。
IP電話のおすすめサービス5選
IP電話には様々なサービス会社がありますが、今回は特におすすめなIP電話のサービス会社を5つ紹介します。
①050plus
050plusはNTTコミュニケーションが提供している050アプリです。大手企業が提供している安心感があるほか、050plus同士や一部他のIP電話との通話なら、通話料が無料というお得感もあります。
月額324円で通常の電話と同じように使える他、2か月間は基本料無料で使えるので、まずは試しに使ってみることもできます。
公式ページでは料金診断もできるので、今の通話料金や通話時間を入力するだけで、だいたいどれほど安くなるのかシミュレーションも可能です。
他の050アプリに比べると、高めの料金設定ですが、大手の安心感で人気を得ている王道の050アプリです。
②SMARTalk
SMARTalkは楽天グループが提供している050アプリです。
基本料金が無料なので、とりあえず050アプリを使ってみたいという人にとっては手軽に使い始められる050アプリです。
基本料金が無料でも、ノイズキャンセリング機能や通話録音など、通常の電話と変わらないサービスやクオリティを備えています。
国際電話の料金が8円/30秒なので、国によっては格安で海外と連絡がとれるようになります。
③LaLa Call
LaLa Callは、格安SIMでおなじみのmineoを運営している、ケイ・オプティコムが提供している050アプリです。
大手企業が運営している安心感があるほか、運営会社が運営している「eo光」やmineoユーザーはお得に利用できるのも人気の理由の一つです。
基本料金が月額100円かかりますが、eo光、mineoユーザーは100円分無料通話ができるので、実質無料で利用できるのが魅力です。
mineoユーザーなら、LaLa Callを使ってもパケット通信料が無料になるのでさらにお得です。
メッセージ機能で画像や動画も送っても無料なのは魅力と言えるでしょう。
④050Free
050Freeは、ブラステルという会社が提供している、基本料金0円の050アプリです。
最も特徴的なのは、料金の支払いがプリペイド式(前払い制)であるという点です。通常は利用した分を後から払いますが、プリペイド式なら使い過ぎを防止することができます。
1つのアプリから、050番号からも090番号からの発信も使い分けられるので、電話番号を2つ持ちたいという方でも簡単に使い分けられます。
アカウントを1つもっていれば、複数のアカウントで使えるので、わざわざそれぞれの端末で電話番号を取得する必要もありません。
⑤050call
050callも、基本料金無料で使える050アプリです。特徴的なのは海外への通話料金の安さです。
2円/分~という驚異的な安さなので、海外に電話する機会が多い人には特におすすめです。国によって料金が変わるので、予めいくらで通話できるか確認しておきましょう。
料金の支払い方も、後から利用分を支払う方法と、プリペイドで前払いする方法から選べるので自分にあった方法を選びましょう。
プリペイドの場合は、コンビニで簡単にチャージできるので楽に利用を続けられます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は『IP電話とは?法人のIP電話導入のメリットデメリットと注意点』というテーマで、法人におけるIP電話導入のメリットやデメリット、注意点について解説しました。
上記でも述べたように、法人において、IP電話導入には多くのメリットがある一方で、デメリットや注意点もそんざいします。
そのため、これからIP電話を導入される方はIP電話導入における自社のメリットとデメリット、注意点を考慮に入れながら、IP電話を導入をしましょう。