ネットショップ開設の手順と初期設定|特定商取引法の表示義務から決済の日数まで【2026年】

ネットショップ開設の5つの工程を並べたアイキャッチ

ECサイト構築サービスは、アカウントを作れば当日にでも商品を並べられます。ただし「公開できる状態」と「売っていい状態」は違います。通信販売には特定商取引法による表示義務があり、広告にも、申し込みの最終確認画面にも、書かなければならない項目が法律で決まっています。この記事では、サービスの申し込みから公開までにやることを順番に整理し、法律で決まっている表示と、各社の設定に必要な日数を、一次情報で確認した範囲でまとめます。

この記事の要点

  • 広告に表示しなければならない項目は特定商取引法第11条に列挙されています。販売価格と送料、支払いの時期と方法、引渡時期、申込期間の定め、申込みの撤回・解除に関する事項などです。
  • 第12条の6により、申し込みの最終確認画面にも、分量と第11条第1号から第5号までの事項を表示する義務があります。誤認させる表示も禁止されています。
  • 返品は第15条の3で、引渡しから8日を経過するまで撤回・解除ができると定められています。ただし特約を広告に表示していた場合はこの限りではありません。
  • 開設そのものは当日でも可能ですが、クレジットカード決済の反映に数営業日かかるサービスがあります。販売開始日から逆算してください。
  • 商品データの一括登録はCSVに対応しているサービスが多いため、点数が多い場合は手入力にしないでください。

どのサービスを使うかがまだ決まっていない場合は、ECサイト構築サービス比較5選で料金の型から絞り込めます。ここでは、サービスが決まったあとの手順を扱います。

公開までの手順は5段階に分けられる

各社の案内を読むと、開設の流れはおおむね同じ形をしています。違うのは、どこで待ち時間が発生するかです。

図1 ECサイトを公開するまでの5段階

1

アカウントを作る

無料プランや無料体験から始められます。ここは当日で終わります。

2

商品を登録する

商品名・価格・画像・説明文・在庫数。点数が多いならCSVの一括登録を使います。

3

決済と配送を設定する

ここが待ち時間の出るところです。カード決済は審査や反映に日数がかかる場合があります。

4

法律で決まっている表示を用意する

特定商取引法に基づく表記、返品の特約、最終確認画面の表示。後述します。

5

デザインを整えて公開する

テンプレートを選ぶだけで形になります。ここは最後で構いません。

順番を間違えやすいのが3番と4番です。デザインから始めてしまうと、決済の反映待ちで公開日がずれます。先に決済を申し込んでおき、待っているあいだにデザインと表記を整えるのが効率的です。

開設から販売開始までにかかる日数

5つのサービスについて、公式ページで確認できた開設・試用の条件を並べます。

表1 開設と試用に関する各社の条件(2026年9月25日に各社公式ページで確認)
サービス無料で試せる形販売開始までの日数初期費用
STORES月額0円のフリープラン最短で当日。ただしクレジットカード決済を追加する場合は開始まで4営業日前後かかる場合がある0円
BASE月額0円のスタンダードプラン公式ページの表示は「最短30秒で開設完了」0円
カラーミーショップ月額0円のフリープラン/有料プランは30日間の無料体験料金ページに日数の記載なしフリー0円/有料3,300円または22,000円
makeshop15日間の無料体験料金ページに日数の記載なし。開店準備中の決済審査についてQ&Aの項目がある11,000円〜
Shopify3日間無料、その後3か月は月額150円料金ページに日数の記載なし料金ページに掲示なし

日数を明記しているのはSTORESだけでした。カード決済に4営業日前後という数字が出ているのは、見積もりを立てるうえで助かります。他社については記載がなかったため、同程度かかる前提で余裕を見ておくのが安全です。

各サービスの料金と条件の詳細は、STORES ネットショップの料金、BASEの料金プラン、カラーミーショップの料金プラン、makeshopの料金プラン、Shopifyの料金プランにそれぞれまとめています。

広告に書かなければならない項目は、法律で決まっている

ネットショップは特定商取引法でいう「通信販売」にあたります。同法第11条は、販売条件について広告をするときに表示しなければならない事項を列挙しています。

e-Gov法令検索に掲載された特定商取引に関する法律第11条の条文の画面キャプチャ。通信販売についての広告として、販売価格、支払の時期及び方法、引渡時期、申込みの期間、申込みの撤回又は解除に関する事項などが列挙されている
特定商取引に関する法律 第11条(e-Gov法令検索・2026年9月25日確認)

特定商取引に関する法律 第十一条(通信販売についての広告)

販売業者又は役務提供事業者は、通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件について広告をするときは、主務省令で定めるところにより、当該広告に、当該商品若しくは当該権利又は当該役務に関する次の事項を表示しなければならない。(以下略)

表2 第11条が表示を求めている事項
号表示しなければならない事項ショップでの書き方の例
第1号商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価(販売価格に商品の送料が含まれない場合には、販売価格及び商品の送料)価格と送料。送料が別なら送料も必ず書く
第2号商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法受け付ける決済手段と、いつ支払うのか
第3号商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期注文から何日で発送するか
第4号商品若しくは特定権利の売買契約又は役務提供契約に係る申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及びその内容期間限定の販売なら、その期間
第5号申込みの撤回又は解除に関する事項(特約がある場合はその内容を含む)返品の可否、期限、送料の負担
第6号前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項事業者名、住所、連絡先など。詳細は省令による

ただし同条にはただし書きがあり、請求によりこれらの事項を記載した書面を遅滞なく交付する、または電磁的記録を遅滞なく提供する旨を表示する場合には、一部を表示しないことができるとされています。省令の定めによる部分が大きいため、実際の運用は消費者庁の案内を確認してください。

個人情報の掲載を心配する人は少なくありません。カラーミーショップのQ&Aには「特商法ページに表示する住所・電話番号の非公開設定機能を利用することで、ご自身の住所・電話番号を公開しなくてもショップを運営することが可能です」という記載があります。BASEのQ&Aにも「決済手段を導入するために個人情報の入力は必須となりますが、任意で非公開に設定できます(法人をのぞく)」とあります。サービス側に機能が用意されている場合があるので、設定画面を確認してください。

最終確認画面にも表示義務がある

見落とされやすいのが第12条の6です。広告だけでなく、申し込みの最終確認画面にも表示義務があります。

e-Gov法令検索に掲載された特定商取引に関する法律第12条の6の条文の画面キャプチャ。特定申込みを受ける際の表示として、分量と第11条第1号から第5号までの事項の表示義務、誤認させる表示の禁止が定められている
特定商取引に関する法律 第12条の6(e-Gov法令検索・2026年9月25日確認)
表3 第12条の6が定めていること
項内容
第1項第1号当該売買契約に基づいて販売する商品若しくは特定権利、又は役務提供契約に基づいて提供する役務の分量を表示する
第1項第2号当該契約に係る第11条第1号から第5号までに掲げる事項を表示する
第2項第1号書面の送付や手続に従った情報の送信が申込みとなることにつき、人を誤認させるような表示をしてはならない
第2項第2号前項各号に掲げる事項につき、人を誤認させるような表示をしてはならない

ここで言う「分量」は、定期購入では特に重要になります。何回届くのか、合計でいくらになるのかを、最終確認画面で分かるようにしておく必要があります。定期便や頒布会の機能を使う場合は、表示内容を必ず自分で確認してください。

ECサイト構築サービスを使う場合、最終確認画面はサービス側が用意したものになります。だからといって責任がサービス側に移るわけではありません。自分の商品設定によって表示が変わる部分(分量、送料、返品の特約)は、自分で確かめる必要があります。

テスト注文を自分で通して、最終確認画面に何が表示されるかを目で見てください。商品を登録しただけでは、分量や送料が想定どおりに出ているかは分かりません。決済の設定が終わったあと、公開前に1回は通しておくべき工程です。

返品の扱いは「特約を書いたかどうか」で変わる

通信販売にはクーリング・オフの制度がない、と説明されることがあります。正確には、第15条の3という別の規定があります。

特定商取引に関する法律 第十五条の三(通信販売における契約の解除等)

通信販売をする場合の商品又は特定権利の販売条件について広告をした販売業者が当該商品若しくは当該特定権利の売買契約の申込みを受けた場合におけるその申込みをした者又は売買契約を締結した場合におけるその購入者は、その売買契約に係る商品の引渡し又は特定権利の移転を受けた日から起算して八日を経過するまでの間は、その売買契約の申込みの撤回又はその売買契約の解除を行うことができる。ただし、当該販売業者が申込みの撤回等についての特約を当該広告に表示していた場合(中略)には、この限りでない。

2 申込みの撤回等があつた場合において、その売買契約に係る商品の引渡し又は特定権利の移転が既にされているときは、その引取り又は返還に要する費用は、購入者の負担とする。

表4 返品についての2つの状態
広告での表示購入者ができること返送費用
返品の特約を表示していない引渡しを受けた日から起算して8日を経過するまで、申込みの撤回・解除ができる購入者の負担
返品の特約を広告に表示している第15条の3第1項本文は適用されない(特約の内容による)特約の内容による

つまり、返品の条件を自分で決めたいなら、広告に特約を表示しておく必要があります。何も書かなければ、8日間の撤回・解除を受け入れることになります。「返品不可」としたい場合も、その旨を表示しておかないと効果がありません。

電子消費者契約に該当する場合など、広告に表示するだけでなく、広告に表示する方法以外の方法であって主務省令で定める方法により表示していた場合、という条件が条文に付いています。ネットショップはこれに該当する可能性が高いため、表示の方法まで含めて確認が必要です。

誇大広告の禁止も同じ法律にある

第12条は誇大広告等の禁止です。商品の性能や、申込みの撤回・解除に関する事項などについて、著しく事実に相違する表示をしたり、実際のものより著しく優良・有利であると人を誤認させる表示をしてはならないと定めています。

ECサイトの商品ページを書くときに効いてくる条文です。「業界最安」「返品自由」といった表現を使う前に、それが事実として説明できるかを確かめてください。返品の条件については、第12条が名指しで対象に含めています。

決済の設定は、条件と日数を先に確認する

決済は、サービスによって条件が違います。とくに個人事業主として始める場合、使えない決済手段があります。

表5 決済の申し込みで確認しておく条件(各社公式ページで確認できた範囲)
サービス確認できた条件
STORESおもな決済手段が個別申請なしで使えると記載。クレジットカード決済の追加は開始まで4営業日前後かかる場合がある
BASE「面倒な申し込みや手続き、審査が不要」と記載
カラーミーショップ決済サービスの利用には別途決済代行会社との契約が必要と注記
makeshopmakeshopペイメントのAmazonPayとPayPayは「日本国内の法人であることが利用条件」。PayPayは個人事業主の場合にGMOイプシロン経由となり月2,200円(税抜2,000円)がかかる
ShopifyShopify ペイメント以外の決済を使うと外部サービスの取引手数料がかかる(プランにより2%〜0.2%)

決済代行会社と個別に契約する形をとるサービスでは、審査の期間が別に必要になります。決済まわりの考え方そのものは、決済代行サービスのメリット・デメリットと選び方を読むと整理できます。

商品登録は最初からCSVで組む

商品が10点なら管理画面から入力しても終わります。100点を超えるなら、最初からCSVでの一括登録を前提に作業したほうが早く、間違いも減ります。

STORESのQ&Aには「商品データの一括登録はCSVで対応しています。大量のアイテムをCSVファイルで登録できる『アイテム一括登録』のほか、在庫数CSV一括更新や送り状CSV出力など、CSVを使った運用機能もご用意しています(一部機能はPC限定/プラン別の対応です)」と記載があります。カラーミーショップのプラン比較表にも「商品情報・顧客情報CSV一括登録」の行があり、makeshopの導入の流れにも「商品数が多い場合は、CSVでの一括アップロードも可能です」と書かれています。

CSVで登録する前に決めておく5項目

  • カテゴリの構造。あとから作り直すと、URLも内部リンクも作り直しになります。
  • 商品コードの付け方。在庫管理や会計ソフトとの連携で使う可能性があります。
  • バリエーションの持ち方。サイズと色を別商品にするか、1商品の中で持つか。
  • 画像のファイル名。商品コードと対応させておくと、差し替えが楽になります。
  • 税の扱い。税込表示か税抜表示か、軽減税率の対象があるか。

独自ドメインと常時SSLの扱いはサービスで違う

独自ドメインは、あとから変えると検索経由の流入が積み上がりません。最初に決めておくべき項目です。ところが、無料プランで使えるかどうかがサービスで分かれます。

表6 無料プランでの独自ドメインの可否
サービス無料プランでの独自ドメイン根拠
カラーミーショップ(フリー)使えるフリープランのプラン詳細比較で独自ドメイン設定に印が付いている
STORES(フリー)使えない公式Q&Aで「フリープランでは独自ドメインの設定はできません」と明記
makeshop(プレミアム/エンタープライズ)対応プラン詳細の基本スペックに独自ドメイン・常時SSLの行がある
Shopify(全プラン)対応機能比較表にカスタムドメイン名と無料のSSL証明書の行がある
BASE料金ページに記載を確認できなかった—

常時SSLについては、カラーミーショップのプラン比較表とmakeshopの基本スペックに項目があり、Shopifyの機能比較表には「無料のSSL証明書」の行があります。いずれも標準で対応しているという読み方になります。

公開前に通しておくチェック

公開ボタンを押す前に確認する7項目

  • 特定商取引法に基づく表記。価格と送料、支払いの時期と方法、引渡時期、返品の条件。第11条の各号に対応しているか。
  • 返品の特約。書いていなければ、引渡しから8日間の撤回・解除を受け入れることになります。
  • 最終確認画面。テスト注文を1件通して、分量・価格・送料・返品条件が表示されているかを目で見る。
  • 送料の設定。地域別、サイズ別、無料になる条件。第11条第1号は送料の表示を求めています。
  • 商品説明の表現。誇大広告の禁止に触れていないか。性能や返品条件の表現に注意。
  • 決済のテスト。実際に決済が通るか。反映まで日数がかかる場合があります。
  • スマートフォンでの表示。価格と送料、返品条件が読める大きさで出ているか。

法律の条文そのものは、e-Gov法令検索で誰でも読めます。解釈や省令の定めについては消費者庁が案内を出しているので、判断に迷う部分はそちらを確認してください。この記事で引用したのは条文の本文であり、省令の内容までは含んでいません。

この記事で参照した情報

  • e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律」(昭和五十一年法律第五十七号)https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057(第11条 通信販売についての広告、第12条 誇大広告等の禁止、第12条の6 特定申込みを受ける際の表示、第15条の3 通信販売における契約の解除等)
  • STORES「ネットショップを無料で開設」https://stores.jp/ec/pricing(販売開始までの日数、クレジットカード決済の4営業日前後、CSV一括登録、独自ドメインの可否、初期費用)
  • BASE「料金」https://thebase.com/pricing(最短30秒で開設完了、審査不要、個人情報の非公開設定)
  • カラーミーショップ「プラン・料金一覧」https://shop-pro.jp/plans/(初期費用、CSV一括登録、常時SSL、決済代行会社との契約が必要であること)
  • カラーミーショップ「フリープラン」https://shop-pro.jp/plans/free/(フリープランでの独自ドメイン設定、特商法ページの住所・電話番号の非公開設定、30日間無料体験)
  • makeshop by GMO「料金プラン」https://www.makeshop.jp/main/plan/(初期費用、独自ドメインと常時SSL、CSVでの一括アップロード、15日間無料体験)
  • makeshop by GMO「makeshopペイメント」https://www.makeshop.jp/main/function/makeshop_payment/(AmazonPay・PayPayの利用条件、個人事業主の場合の月額)
  • Shopify 日本「Shopify の料金プラン」https://www.shopify.com/jp/pricing(カスタムドメイン名、無料のSSL証明書、外部サービスの取引手数料、3日間無料)

2026年9月25日にe-Gov法令検索と各社の公式ページで確認しました。条文は引用した時点のものです。主務省令の定めや解釈については消費者庁の案内をご確認ください。この記事は法律の一般的な説明であり、個別の事案についての法的助言ではありません。各社の料金・条件は改定されることがあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です