在庫管理システムの導入に何が要るか|端末・通信・導入支援と期間を5サービスで比べる【2026年】

白地に淡い青のグリッドを敷いたBIZeeのアイキャッチ。在庫管理システムの導入準備というタグと「月額の上に、3つの費目が積み上がる。端末・通信・導入支援で総額が変わる」という見出しを置き、端末は人数分か品目数分かゼロで済むか、通信はWi-Fi工事かSIMかでSIM料金は別建て、導入支援は支援なしで安く入れるプランもある、という3枚のカードを月額利用料の帯の上に並べ、右側に初期費用がかからないと明記は5社中1社、Wi-Fi工事が不要と明記は5社中1社、標準がハンディターミナルは5社中1社、導入期間の目安は最短1か月から2か月程度、初期費用の金額が非公開は5社中4社、を並べたカードを配置した構成

在庫管理システムの月額だけを見て予算を組むと、始めた後で足りなくなります。端末、通信、導入支援という3つの費目が、サービスによって要ったり要らなかったりするからです。しかもこの3つは、金額だけでなく立ち上げまでの期間にも効きます。2026年10月13日に5サービスの公式ページを順に開いて、契約の前に用意するものと、運用開始までの期間を整理しました。

この記事で分かること

  • 月額のほかに用意するのは端末・通信・導入支援の3つ。どれが必要かはサービスで違う
  • 専用のハンディターミナルが前提のサービスと、手持ちのスマートフォンで始められるサービスがある
  • 倉庫のWi-Fi工事が不要と明言しているサービスがある。SIMカードで通信する方式
  • 導入支援は利用率が90%以上と掲示しているサービスがある一方、支援なしで安く入れるプランもある
  • 運用開始までの期間は最短1か月、カスタマイズなしで2か月程度という記載が見つかった
  • 初期費用が「かからない」と明記しているのは1サービス。残りは発生するか、金額が非公開

月額のほかに用意するものは3つある

5サービスの公式ページを読み比べると、月額以外に必要になるものが3種類に整理できます。端末、通信環境、導入支援です。このうち、必要かどうかがサービスで大きく分かれるのは端末と通信です。

月額のほかに検討する3つの費目

端末

ハンディターミナル、スマートフォン、リングスキャナ、ラベルプリンター、重量計のマット。購入かレンタルかでも総額が変わる

通信

倉庫でネットワークを使えるか。Wi-Fi工事が必要か、SIMカードで通信するか。SIMの利用料金が別建てのサービスもある

導入支援

設定・レイアウト・データ移行を誰がやるか。初期費用に含まれるか、オプションか、支援なしのプランがあるか

この3つを揃えてから見積もりを比べないと、月額が安いサービスのほうが1年目の総額では高くなる、という逆転が起きます。5サービスの月額と課金単位の違いは在庫管理システム比較にまとめています。

端末:専用機が要るか、手持ちのスマホで足りるか

作業端末の前提は、サービスによってはっきり分かれていました。

作業端末についての公式の記載(2026年10月13日に各公式ページで確認)
サービス標準の端末公式に書かれている補足
zaicoスマートフォンスマホカメラを使った棚卸、コードスキャンでの入出庫処理が機能として掲示されている
ロジクラスマートフォンアプリ「高額なハンディターミナルの導入不要!」と掲げ、アプリを自社開発していることを選ばれる理由に挙げている
ロジザードZEROハンディターミナル「標準でご利用いただけるのはハンディターミナルとなっております」。レンタルがあり、利用者の90%以上がレンタルを活用。バーコードを使わずPC画面のみの運用も可能
クラウドトーマススマートフォン+リングスキャナハンディターミナルの用意も可能。「スマホ&リングスキャナ」を選ぶとHTと比較し1/3のコストダウンと記載
スマートマットクラウドIoT重量計のマット管理する品目ごとにマットが必要。レンタルと購入があり、購入の場合は原則5年以内に有償交換

この表で効くのは、端末代が人数分かかるのか、品目数分かかるのか、ゼロで済むのかという違いです。倉庫で10人が作業する現場にハンディターミナルを人数分そろえるのと、手持ちのスマートフォンにリングスキャナを付けるのとでは、初期費用の桁が変わります。

ロジザードZEROについては、公式のよくある質問に「ロジザードZEROに対応しているハンディターミナルの場合は、動作確認を行ったうえでご利用が可能です」という記載もあります。すでに端末を持っている現場なら、買い直さずに済む可能性があります。費用の内訳はロジザードZEROの料金で整理しています。

通信:倉庫のWi-Fi工事が要るかどうか

見落とされやすいのが通信です。倉庫は建物が大きく、電波が届きにくい場所があります。

クラウドトーマスの公式ページには、この点についての明確な記載があります。「クラウドトーマスは、SIMカードを使っての運用になるのでwifi工事が不要です。そうすることで、Wi-Fi環境を倉庫に構築する必要がなくなるので低コストで導入することが可能になります」という説明です。

一方、SIMを使う方式では通信料が別建てになります。スマートマットクラウドの利用規約には、提供会社が指定するSIMカードの利用料金を「申込の際に別途当社が指定した金額」で支払うこと、通信事業者の料金改定で変わりうることが定められています。月額のソフトウェア利用料とは別の費目として積み上がります。

電源の確保も通信と同じ扱いで考えてください。スマートマットクラウドのよくある質問では、アルカリ電池または充電池で「1日1回計測であれば理論上5年間稼働」し、ACアダプターでも動くと説明されています。計測の頻度を上げるなら、電池交換の頻度か給電の設計を決めておく必要があります。利用規約では、電池の交換は利用者が自己の費用と責任で実施するものとされています。

導入支援:誰が設定するかで費用も期間も変わる

設定とデータ移行を自社でやるか、提供会社に任せるかで、金額も立ち上がりも変わります。

導入支援の扱い(2026年10月13日に各公式ページで確認)
サービス支援の形費用の扱い
zaico初期設定ガイド、メールサポート、サポートサイト、自動回答チャットは全プラン。初期インポート代行と専任スタッフの伴走サポート(6か月間)はベーシック以上初期インポート代行と伴走サポートは「ベーシックプランでは有料オプション」
ロジクラ導入時のオンラインミーティング全3回この費用として初期費用が発生する(金額は非公開)
ロジザードZERO営業段階から現場を訪問し導入まで伴走。導入後は365日の電話・メールサポート初期費用に「導入支援費用」、月額費用に「サポート利用料」が項目として含まれる
クラウドトーマス現地支援とオンライン支援の2通り。90%以上の企業が導入支援を利用していると掲示現地レクチャーの宿泊費・交通費は実費請求。支援なしの「シンプルプラン」もある
スマートマットクラウド導入支援からテクニカルサポートまで各専門スタッフが対応費用の記載は見つからなかった

クラウドトーマスの「スタンダードプラン」と「シンプルプラン」の分け方は、この論点をそのまま製品にしたものです。公式の説明では、スタンダードプランが「失敗せず、じっくり考えて導入した」という企業向け、シンプルプランが「とにかく安く導入したい」という企業向けとされています。導入支援を付けるかどうかが、そのまま金額の差になるということです。

自社に設定できる人がいるかどうかが判断の分かれ目です。データ移行の要件定義は、やり直しが効きにくい工程です。人を割けないなら支援ありを選ぶほうが、結果として早く終わります。クラウドトーマスの導入支援の中身はクラウドトーマスの料金と導入条件でまとめています。

運用開始までの期間

期間について具体的な数字を掲示していたのは2サービスでした。

公式に掲示されている導入期間

ロジザードZERO

最短1か月での導入が可能

カスタマイズが必要な場合は開発内容によって期間が異なる。周辺システムとの自動/API連携、物流ロボット、RFIDの導入を検討している場合は問い合わせ時に伝えるよう案内されている

クラウドトーマスPro

カスタマイズなしの場合、2か月程度が目安

「案件により差はございますが」という前置きがある。カスタマイズが必要な場合は要件定義後にスケジュールを調整する

zaico

アカウント作成後すぐに無料お試しが始まる

30日間試してから契約する流れ。お試し期間中のデータはそのまま引き継いで運用を開始できる

ロジクラ

14日間の無料トライアル

導入時のオンラインミーティング全3回が初期費用の対象。期間の目安についての記載は見つからなかった

期間の差は、始め方の違いから来ています。自分でアカウントを作って触り始めるタイプは即日、要件定義と現地調査から入るタイプは1〜2か月というのが、公開情報から読める幅です。

zaicoの料金プランページにある導入の流れのキャプチャ。まずは30日間の無料お試しからという説明の下に、ステップ1アカウント作成(1分で作成、作成後すぐにすべての機能が使える無料お試しが始まる)、ステップ2 30日間無料お試し、ステップ3ご契約、ステップ4運用開始の4枚のカードが矢印でつながって並んでいる。右下にはサイト自身のおすすめプラン診断を案内するパネルが重なっている
zaico「導入の流れ」より。右下に重なっているのはサイト側の案内パネル(2026年10月13日に取得)

データ移行をどう進めるか

導入作業のなかで時間を取られるのが、既存のエクセルや紙からのデータ移行です。ここも、やり方が公開されているサービスとそうでないサービスに分かれます。

zaicoには「おまかせAI在庫登録」という機能があります。公式の説明では、在庫データの登録時に手書きの帳票の写真、エクセル、PDFやCSVファイルをアップロードすると、AIが解析して在庫データとして自動で登録できるとされ、アップロードできるファイルは画像(jpeg、png)、PDF、CSV、エクセルです。導入時の脱エクセル・紙管理や、エクセル・紙も併用して管理したい場合に向くと書かれています。

ただし、この機能にも上限があります。スタータープランは月7ページまで、ベーシック・プロフェッショナルプランは1,000ファイル/月という但し書きが機能ページに付いています。移行作業で大量の帳票を読み込ませる前提なら、プランが決まります。

人に任せる選択肢もあります。zaicoの初期インポート代行は「これまでエクセルや紙で管理していた在庫データをzaicoへ取り込む作業を代行します」という内容で、ベーシックとプロフェッショナルが対象です。ベーシックプランでは有料オプションになります。

クラウドトーマスの導入支援にも、同じ性格のサービスがあります。「データ取り込み設定サービス」として、「システム連携のなかで重要な、データインポート、エクスポートの設定を弊社で行わせていただきます。データの設定はWMS導入において一番大切な部分であるため、お客様としっかり要件定義を行い、設定させていただきます」と説明されています。

既存のシステムとつなぐ予定があるか

基幹システムやECカートとつなぐ予定がある場合、その作業は導入期間と費用の両方に効きます。

ロジザードZEROのよくある質問には、「基幹システムとの自動連携の費用はどの程度かかりますか?」という質問に対し、「連携するシステムにより、開発やデータ整備の必要があるかを確認するため、別途お見積りとさせていただいております」という回答があります。標準の料金プランの外側に出る可能性がある工程です。

同社は「ロジザードZEROは機能が豊富なため、約7割のお客様が標準機能・標準料金プランで導入いただいています」とも説明しています。裏を返せば、3割程度は標準から外れるということです。連携を前提にしているなら、その3割に入る可能性を見込んでおく必要があります。

ロジクラでは、料金プランページの連携機能の欄に「(OMS/POS連携のみ+10,000円)」という注記があります。カート連携(ShopifyやSTORES)と、OMS・POS連携(CROSSMALL、ネクストエンジン、スマレジ)とで扱いが分かれる書き方です。つなぐ相手の名前によって、月額に乗る金額が変わります。

クラウドトーマスでは、連携先によって製品そのものが決まることがあります。公式の連携一覧では、CROSSMALLはクラウドトーマスProのみ、BOSSはクラウドトーマスのみの対応と明示されています。使っている受注管理システムの名前を最初に伝えておくと、提案される製品が最初から絞られます。

初期費用の有無で1年目の総額が変わる

初期費用について、金額まで含めて確定できたのは1サービスだけでした。

zaico:公式のよくある質問に「初期費用はかかりません。プランの月額利用料金のみで利用を開始できます。」と明記されている。

ロジクラ:「ご導入時のサポート(オンラインミーティング全3回)費用として初期費用が発生いたします。」と書かれているが、金額は非公開。

ロジザードZERO:初期費用の内訳(ソフトウェアライセンス費用・導入支援費用・その他オプション)は公開されているが、金額は非公開。

クラウドトーマス・スマートマットクラウド:初期費用についての金額の掲示は見つからなかった。

月額が同じでも、初期費用が30万円あるかないかで1年目の総額は変わります。見積もりを依頼するときは「初期費用+12か月分」と「2年目以降の年額」の2つを出してもらってください。ロジクラのPremiumプランのように、2年目から年間保守費用30,000円が加わる設計もあります。

zaicoについては、契約を始める日付にも注意が要ります。公式のよくある質問に「月の途中で本契約した場合でも、1ヶ月分の料金が発生します。日割りのご用意はございません。」と書かれており、月初(1日)の申し込みがすすめられています。契約と解約の条件は在庫管理システムの契約条件に横断でまとめています。

問い合わせの前に決めておく項目

用意するものを確定させるために先に決める6点

作業する人数

端末が人数分必要なサービスでは、そのまま初期費用に効く

自動化する品目数

重量計の方式では、品目の数だけ機器が必要になる

倉庫のネットワーク

Wi-Fiがあるか。無い場合、工事をするかSIMで通信するか

手持ちの端末

使えるハンディターミナルやスマートフォンがあるか

設定できる人

自社で要件定義とデータ移行ができるか。できないなら支援ありを前提にする

いつから使いたいか

即日から2か月まで幅がある。繁忙期を避けられるか

この6点が決まっていれば、端末の構成と支援の範囲まで含めた見積もりが1回で返ってきます。逆に決まっていないと、月額だけの概算が返ってきて、後から端末代と支援費が足されることになります。

公開情報では確認できなかったこと

端末の価格:ハンディターミナルのレンタル料金、リングスキャナの価格、スマートマットの価格はいずれも公開されていなかった。

初期費用の金額:zaicoを除く4サービスで金額の掲示が見つからなかった。

SIMカードの通信料:規約では「申込の際に別途当社が指定した金額」と書かれているだけで、目安の額は示されていない。

ロジクラとスマートマットクラウドの導入期間:目安の記載は見つからなかった。

導入支援の料金:クラウドトーマスのシンプルプランとスタンダードプランの差額、zaicoの有料オプションの金額はいずれも非公開。

ここに挙げた項目は、資料請求や見積もりで埋まります。端末と通信と支援は、サービス選びの後に考える「おまけ」ではなく、どのサービスが成立するかを決める条件です。月額の比較表を作る前に、この3つを自社の条件で埋めてください。

この記事で参照した一次情報

zaico 料金プラン(zaico.co.jp/plans/)

ロジクラ 料金プランと主な機能(logikura.jp/plan/、logikura.jp/function/)

ロジザードZERO よくあるご質問(logizard-zero.com/faq/)/利用料について(logizard-zero.com/services/usage-fee/)

クラウドトーマス THOMASとは(クラウドトーマス公式 THOMASとは)/導入支援・フロー(クラウドトーマス公式 導入支援・フロー)

スマートマットクラウド 在庫管理の機能一覧(smartmat.io/function_list)/スマートマット利用規約(smartmat.zendesk.com)

表の時点: 2026年10月13日。端末・通信・導入支援についての記載は、各社の公式ページに書かれている内容だけを拾いました。金額や期間の掲示が見当たらない項目には、「非公開」または「確認できなかった」と記しています。各社の提供条件は随時改定されるため、見積もりを依頼する前に公式ページで現在の内容を確かめてください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です