スマートマットクラウドは、在庫を数える作業そのものをなくす方向のサービスです。IoT重量計のマットに在庫を載せておくと、重さの変化から数量を割り出して自動で記録します。ソフトウェアだけで完結する在庫管理システムとは、必要なものも契約の形も違います。2026年10月13日に公式の機能一覧、利用規約、提供会社の会社概要を順に開いて、申し込む前に確認できる条件を整理しました。
この記事で確認した内容
- 料金は公式サイトに掲示がない。公式ページには「スマートマットクラウドの詳細や価格は資料から確認できます」と書かれており、資料請求が入り口になる
- 利用規約では、料金と支払方法は注文書または個別の契約書で規定すると定められている
- 利用期間は契約開始日から1年。契約満了の1か月前までに書面による通知がなければ自動更新
- 契約を終了する場合は少なくとも30日前までに意思表示が必要
- ハードウェアにはレンタルと購入の2通りがあり、購入した場合は原則5年以内に有償で交換
- マットはA6・A5・A4・A3・500キロマット・マルチマットの6種類。耐荷重は2kgから500kgまで
- 電源はアルカリ電池または充電池で、1日1回計測なら理論上5年間稼働。ACアダプターでも動く
- スマートマットは計量法における特定計量器には該当しないと利用規約に明記されている
重さで数える仕組みと、ほかの在庫管理システムとの違い
公式サイトの説明は「IoT重量計『スマートマット』に在庫を載せて、いつも通り使うだけ。いつ、どれだけ減ったのか。いつ、どれだけ入ったのか。全部が在庫データとして残ります」というものです。人がバーコードを読む作業も、数を入力する作業も発生しません。
これは、スマートフォンやハンディターミナルで入出庫を記録する方式とは根本から違います。記録方式のシステムは「誰かが記録する」ことが前提なので、記録漏れがあれば在庫が合わなくなります。重量計の方式は、物が減れば自動的に記録が残るため、記録漏れという概念そのものがありません。
一方で、重さから数量を割り出すため、1個あたりの重さが安定していない物には向きません。公式のよくある質問でも、向く物として「液体・粉体(原料や薬品等)、巻物(溶接ワイヤー等)、多量で数えるのがストレスなボルトナット、中身が見えづらい段ボールの中身、触ると危険な重量物」が挙げられています。
提供会社は株式会社エスマット(2024年7月に社名変更)
提供会社は株式会社エスマットです。2024年7月1日に株式会社スマートショッピングから社名を変更しており、公式サイトの最上部にその告知が常時掲示されています。英文表記はS-Mat, Inc.、旧名はSmartShopping, Inc.です。

会社概要ページには、代表取締役が志賀隆之氏と林英俊氏の2名、本社は東京都品川区東五反田二丁目9-5、浜松オフィスと名古屋オフィスがあると掲示されています。調達額は36億円(Equity+Debt合計、資本金1億円)です。パートナー企業としてキヤノンマーケティングジャパン、TOPPANエッジ、日立システムズエンジニアリングサービス、ミライト・ワン・システムズ、ユアサ商事、ユビキタスAIの6社が挙げられています。
この会社名は、比較記事や過去の資料では旧名のままになっていることがあります。見積もりや契約の書類で社名が食い違って見えたときは、2024年7月の社名変更を思い出してください。
料金は公式サイトに掲示されていない
機能一覧ページの資料請求の案内には、「スマートマットクラウドの詳細や価格は資料から確認できます」と書かれています。つまり、価格は資料の中にあり、Webページには出ていないという構成です。
この書き方は、問い合わせないと一切分からないサービスとは少し違います。電話や商談ではなく、資料をダウンロードする段階で価格の情報にたどり着ける設計だということです。ただし資料は氏名や会社名の入力と引き換えになるため、匿名のまま金額を知ることはできません。
導入社数は1,400社以上と掲示されています。この導入社数は提供会社が自社サイトに載せている数字で、当サイトでは実数を確かめていません。
利用規約が定める料金・利用期間・支払方法
金額は出ていませんが、料金に関する規定は利用規約の第6条に書かれています。
| 項目 | 規約の定め |
|---|---|
| 料金と支払方法 | 注文書または個別の契約書にて規定する |
| 利用期間 | 別途規定がない限り、注文書に記載の契約開始日を起算日として1年間 |
| 更新 | 契約満了の1か月前に利用者からの書面による通知がある場合を除き、自動更新 |
| パートナー経由の場合 | スマートマットクラウドの利用料の請求及び支払に関する取引条件は、パートナーと利用者が個別に定める取引条件が優先する |
注意したいのは更新の条件です。更新を止めるには「書面による通知」が必要で、口頭やメールでの連絡が書面にあたるかどうかは規約からは読み取れません。契約開始日から11か月目には判断を済ませ、方法を確認してから通知する段取りになります。
パートナー経由の条件も重要です。公式サイトには6社のパートナー企業が掲示されています。販売代理店を通して導入した場合、請求と支払の条件は代理店との取り決めが優先されるため、規約に書かれた内容がそのまま適用されるとは限りません。
解約は少なくとも30日前までの意思表示
契約の終了については第8条に定めがあります。規約では、契約期間満了時に更新しないことを「不更新」、契約期間中に終了させることを「中途解約」と呼び分けたうえで、どちらの場合も「少なくとも30日前までに、当社の定める方法により契約終了の意思表示を行う」と定めています。
契約終了時に規約が定めていること
少なくとも30日前までに意思表示
提供会社が意思表示を確認したあとに契約終了の手続が行われる
サービス利用情報が削除されることがある
提供会社の裁量により、利用者登録情報を含む全ての利用情報を削除できると定められている
終了前のデータは引き継がれない
再度登録を希望する場合は契約を結び直す必要があり、過去のデータは戻らない
返却または所定の方法で廃棄
個別の契約を結んでいる場合を除く
利用者の責任で廃棄
関連法および条例に則って処分する。日本国外での利用の場合は廃棄費用も利用者負担
ハードウェアを伴うサービスなので、解約の作業がソフトウェアだけのサービスより重くなります。マットの枚数が多い現場では、返却または廃棄の手間と費用を終了時のコストとして見ておく必要があります。
ハードウェアはレンタルと購入の2通り
利用規約の記述から、スマートマットの入手方法が2通りあることが分かります。レンタルで使う場合と、購入する場合です。
| 項目 | レンタル | 購入 |
|---|---|---|
| 契約終了後の扱い | 所定の方法により返却、または提供会社が定める方法で廃棄 | 関連法および条例に則り、利用者の責任で廃棄 |
| 交換 | 規約に定めなし | 耐用年数と経年劣化を考慮し、原則5年以内に有償で交換 |
| 紛失・破損 | 利用者の責めに帰すべき事由で返還不能になった場合、利用期間中の料金のほか、提供会社が算出した価格と損害を賠償 | |
購入した場合の「原則5年以内に交換(有償)」という条件は、総額を考えるうえで見落とせません。買い切りに見えても、5年ごとに買い替えが前提になっているということです。マットの枚数が多いほど、この周期の負担が効いてきます。
どちらの方法が自社に合うかは、利用期間の見通しで変わります。短期間の試行から始めるならレンタル、長期で固定的に使うなら購入という整理になりますが、それぞれの金額が公開されていないため、損益分岐の年数は資料を取り寄せてからでないと計算できません。
マットのサイズと耐荷重
マットは6種類が用意されています。管理したい物の重さと大きさで選ぶ構成です。

| 種類 | 外形採寸 | 耐荷重 |
|---|---|---|
| A6サイズ | 14.8×10.5×3.5cm | 2kg |
| A5サイズ | 15×20×3.5cm | 5kg |
| A4サイズ | 20×30×3cm | 30kg |
| A3サイズ | 30×40×3cm | 100kg |
| 500キロマット | 30×40×4cm | 500kg |
| マルチマット | 同サイズ複数枚のマットを1枚として使用可能 | — |
耐荷重は2kgから500kgまで、250倍の開きがあります。A6の2kgは薬品ボトルや小さな部品、500キロマットは重量物を想定した構成です。公式のよくある質問には「各マットの耐荷重をオーバーしなければ、マットからはみ出す大きい資材も管理可能です」と書かれており、マルチマットを使えば同サイズのマットを複数枚つないで1枚として扱えます。
管理する物ごとにマットが1枚必要になるため、「何品目を自動化するか」がそのまま必要枚数になります。公式のよくある質問でも「ほとんどのお客様は一部の在庫・モノから活用いただいています」と説明されており、全品目をマットに載せる使い方は想定されていません。
電源とSIMカード、通信にかかる費用
電源について、公式のよくある質問には「アルカリ電池または充電池(A3/A4/A5サイズ:単三電池・A6サイズ:単四電池)で、1日1回計測であれば理論上5年間稼働します。また、ACアダプターでの稼働も可能です」と書かれています。
「1日1回計測であれば」という条件が付いている点は読み落とさないでください。計測の頻度を上げれば、電池の持ちはそのぶん短くなります。リアルタイムに近い更新を期待する運用では、電池交換の頻度か、ACアダプターでの給電かを設計に織り込む必要があります。なお利用規約では、電池の交換は利用者が自己の費用と責任で実施するものと定められています。
通信についても別建ての費用があります。利用規約には、提供会社が指定するSIMカードを利用する場合、「申込の際に別途当社が指定した金額を」支払うこと、通信事業者による料金改定でSIMカードの利用料金が変更される可能性があることが定められています。月額のソフトウェア利用料とは別に積み上がる費目だということです。
計量法の特定計量器には該当しない
利用規約の第2条(定義)には、見落とされやすい一文があります。
「『スマートマット』とは、当社が提供するIoT重量計デバイスです。計量法における特定計量器には該当しません。」
取引や証明に用いる計量器として国の制度で担保された機器ではない、ということ。社内の在庫把握には使えても、量り売りのように計量結果そのものを取引の根拠にする用途は想定されていない。
社内の在庫管理であれば、この点が問題になる場面は多くありません。ただし、計測した重量をそのまま顧客への請求根拠にするような使い方を考えている場合は、検討の初期段階で確認しておく必要があります。
向く在庫と向かない在庫、RFIDとの使い分け
公式のよくある質問には、管理物品を選ぶ基準が具体的に書かれています。「数えづらいモノほど効果を感じやすいです」として、液体・粉体、巻物、ボルトナット、段ボールの中身、重量物が挙げられ、「クリーンルームの中や鍵付き倉庫の中といったアクセスしづらい場所に対してご活用頂くとより導入価値が高まります」と続いています。
RFIDとの併用についても回答があります。提供会社が提供するRFIDはスマートマットクラウドと自動で連携し、他社のRFIDを使っている場合もCSVデータの取り込みで併用できるとされています。使い分けの指針も示されており、「高価で回転の速い在庫はスマートマットクラウド、安価で回転の遅い在庫はRFID」という推奨です。
この指針は、マットの枚数と費用の関係を考えるうえで実用的です。すべてをマットで管理するのではなく、欠品したときの影響が大きい品目に絞るという設計方針が、提供会社側から明示されていることになります。
在庫データを何と組み合わせるかで製品が分かれている
公式サイトの製品一覧は、単一の在庫管理機能ではなく、「在庫データ×別のデータ」の組み合わせごとに4つの製品として整理されています。自社の困りごとがどれに当たるかで、見積もりの対象が変わります。
| 製品 | 組み合わせるデータ | 公式が挙げている困りごと |
|---|---|---|
| 在庫最適化AIエージェント/MRP実在庫 | 実績・計画データ | 発注が属人的で欠品が多い/どのくらい過剰に持っているか見えていない/理論値と在庫のズレ |
| 客先在庫補充(VMI) | 場所データ | 巡回に行ったが補充・回収が不要だった/客先から呼ばれて慌てて補充する/まとめ補充の前後に個別補充が発生する |
| 誤投入防止 | 配合量データ | 投入量・払出量のミスに気付かず手戻りが発生する/チェック項目だけが増える/記録が紙や手入力で後追いできない |
| ボトルネック・ファインダー | 稼働データ | 原因が分からないまま歩留まりが悪化する |
この分かれ方は、検討の進め方にも影響します。「在庫管理システムを入れたい」という漠然とした相談より、上の表のどの困りごとに当たるかを先に決めてから問い合わせるほうが、戻ってくる提案の精度が上がります。
業種別のページも、自動車、化学・製薬、機械・組立、医療・宿泊、インフラ・サブコンの5つに分かれています。自動車では「生産ラインへの補充を自動指示」「サプライヤーへの商品誤返却を検知」、医療・宿泊では「消耗品の在庫管理」「自動発注で効率UP」といった利用シーンが掲げられており、製造業だけを対象にしたサービスではないことが分かります。
導入事例として公開されているのは、東日本旅客鉄道株式会社 新橋保線センター(スマートマットとRFIDを組み合わせた保線現場の在庫管理)、京セラ株式会社 鹿児島国分工場(高単価品の廃棄ロス防止、薬品・資材の見える化)、協和キリン株式会社(培地管理の最適化)などです。これらは提供会社が自社サイトに掲示している事例で、当サイトでは内容を検証していません。
連携とサポート
外部システムとの連携については、公式のよくある質問に「CSVやAPIによる外部システムとの連携が可能です」とあります。連携できるシステムの一覧は、この質問の回答には書かれていません。
サポートについては「導入支援からテクニカルサポートまで、各専門スタッフが対応いたします」と記載されています。対応時間や連絡手段の記載は見つかりませんでした。
セキュリティについては、情報セキュリティマネジメントの国際標準規格であるISO/IEC 27001認証を取得していると掲示されています。
他社と比べたスマートマットクラウドの強み
公開情報から確認できる強み
重さの変化が自動で在庫データになる。バーコードを読む作業も、数を入力する作業も発生しない
液体・粉体・巻物・ボルトナット・段ボールの中身など、1個ずつ数えるのが難しい物を対象にできる
クリーンルームや鍵付き倉庫など、人が頻繁に入れない場所ほど価値が高まると公式が説明している
全在庫に導入する前提ではない。欠品の影響が大きい品目に絞る使い方が標準
この強みは、ソフトウェア型の在庫管理システムとは比較の土俵が違います。記録作業そのものをなくすのか、記録作業を速くするのかという違いです。5サービスの課金単位と公開状況の違いは在庫管理システム比較にまとめています。
他社と比べたスマートマットクラウドの弱み
公開情報から確認できる弱み
資料をダウンロードしないと価格が分からない。匿名で概算を出すことはできない
自動化したい品目の数だけハードウェアが必要になる。全品目を対象にする設計ではない
買い切りに見えても、原則5年の交換周期が規約に書かれている
電池交換は利用者の費用と責任。SIMカードの利用料金も別建てで、通信事業者の改定で変わりうる
弱みとして最も効くのは、費目が分かれていることです。ソフトウェア利用料だけでなく、ハードウェア、SIMカード、電池、5年ごとの交換が別々に積み上がります。見積もりを受け取ったら、この4つが含まれているかを項目ごとに確認してください。
向く会社と向かない会社
公開されている条件から読める向き・不向き
液体・粉体・巻物・大量のボルトナットなど、1個ずつ数えるのが難しい品目を抱えている
止まると現場が動かない部品や薬品に絞って自動化できる
記録する人を置けない、あるいは記録漏れが常態化している現場
品目ごとにマットが必要になるため、数千品目を対象にする使い方には向かない
ピッキングや出荷検品を指示するシステムではない。倉庫作業の管理はWMSが対象
価格は資料の中にあり、Webページでは確認できない
公開情報では確認できなかったこと
公式の機能一覧、利用規約、提供会社の会社概要を開いて確認した範囲で、次の項目は見つかりませんでした。
月額料金と初期費用の金額:Webページには掲示がなく、資料から確認する案内になっている。
マット1枚あたりのレンタル料金と購入価格:いずれも公開されていない。
SIMカードの利用料金:「申込の際に別途当社が指定した金額」とのみ定められている。
中途解約時の料金の扱い:30日前までの意思表示が必要なことは書かれているが、残期間の料金や返金についての記載は見つからなかった。
連携できる外部システムの一覧:CSVとAPIで連携できるとあるが、具体的なシステム名の一覧は見つからなかった。
サポートの対応時間:専門スタッフが対応するとあるが、受付時間や連絡手段の記載はなかった。
資料を請求する段階で、自動化したい品目の数、1品目あたりの重さと大きさ、置き場所、計測の頻度、利用予定年数の5点を添えると、レンタルと購入のどちらが安いかまで含めた回答を得やすくなります。
この記事で参照した一次情報
スマートマットクラウド 在庫管理の機能一覧(smartmat.io/function_list)
スマートマット利用規約(smartmat.zendesk.com)
株式会社エスマット 公式トップ(s-mat.co.jp)/会社概要(s-mat.co.jp/company)
表の時点: 2026年10月13日。マットの仕様はページ内のタブを1つずつ開いて読み取りました。価格や月額の掲示が見当たらない項目には、「公開なし」または「確認できなかった」と記しています。導入社数は提供会社の掲示をそのまま引いたもので、当サイトでは実数を確かめていません。スマートマットクラウドの提供条件は提供会社の判断で変わります。申し込む前に、公式ページと利用規約で現在の内容を確かめてください。

