10万再生される訪日外国人向け動画の作成ポイントを考えてみました。

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2015年の夏に「外国人観光客が訪日前・訪日中にチェックする情報メディア・サイト19選 」という記事を書いたのですが、その時よりも訪日外国人向けビジネスの話題がビジネスの現場でも確実に多くなりました。
が、内情は、戦略的に施策を考えているというより、何となく上から言われて実施しているところが多いなという印象を受けます。
筆者自身も、昨年の秋~年末にかけて、中小企業・商工会議所・自治体の方などと意見交換をさせていただいたのですが、やはりそのような感じでした。
中にはPRは全く門外漢という担当者もいて、とりあえずPR動画を作っては見たものの、再生されず途方に暮れている様子でした。
意見交換させていただいたある自治体のPR動画は、気合をいれて業者に外注して作ったにも関わらず再生回数が数百回。役所内だけでなく、市民からも評判が悪いと嘆いていました。
しかし、調べてみると、数は少ないながらも、低予算で作ったであろう動画でも成果を出しているものも見受けられます。再生回数だけが全てではないのでしょうが、多いもので数十万回の再生数を稼いでいて、それなりにコメントも残っています。
違いは何なのでしょうか?筆者なりにその違いを考察してみました。

なぜ、あなたの動画は再生されないのか?

1.PR内容が表面的過ぎ

特に自治体系のPR動画に多いのですが、とりあえずその地域の代表的な観光地や名産品を総花的に紹介して英語の字幕(ナレーション)を付けているだけというものが多くみられます。紙の観光パンフレットを動画でみているようなイメージです。
訪日外国人にどこを見て欲しいのか、何を体験してほしいのかが伝わらないので、アクションを起こしようがありません。これを見て!と思えるようなフックになる場面もないので、ソーシャルでもシェアされにくいでしょう。

2.ユーザーへの提案が薄い

1.と重複しますが、その動画を見た人に、どうして欲しいのか(どういう気持ちになって欲しいのか) が伝わって来ない動画は共感を得ることが出来ません。発信元のメッセージとしては、例えば観光系であれば、「その土地や施設に来てください」が最終提案だ と思いますが、「なぜ、その土地に来た方がいいのか?」「来るとどのような良いことがあるのか」というところまで掘り下げて伝えることが出来ていない動画 はスルーされるだけです。

3.検索されなさそうな動画タイトル

これも自治体の例が分かりやすいと思うのですが、タイトルが「●●(地名)city promotion video」などとなっている動画が大変多いです。しかし、日本のことをこれから知りたいという外国人が、(京都や東京などのメジャーな地域を除いて)いきなり地名をきっかけに検索することはほぼないでしょう。映像の構成は優れたものも多いので、大変もったいないと思います。
 

再生される動画の作成ポイント5つ

それでは、どのような動画が見れられやすいのでしょうか?再生されていない原因の裏返しになりますが、筆者なりに考えてみました。

1.テーマはワンテーマ

総花的に何かを紹介するのではなく、何か一つのモノやコトについて詳しく掘り下げられた動画は再生回数を獲得しています。この種の動画はユーザーの興味をそそり、満足度が高いため、シェアもされやすいです。

2.動画のタイトルは、地名や商品名ではなく、コトや解決策を前面に。

これは、外国人の方が日本の伝統的な行事など紹介するために作った動画ですが、魅力的な動画作成のためのヒントが隠されていると感じたので紹介します。
日本刀の試し切りの動画なのですが、再生数が多いです。日本刀に興味のある外国人が、「試し切り」というコトを見たいために閲覧していると思われます。
この儀式は東京都府中市の大國魂神社で行われています。府中という都市はほとんどの訪日外国人は知らないと思いますが、日本刀に興味のある外国人が試し切りを見たいと思えば、恐らく府中市に足を運ぶでしょう。
このことから分かるように、「●●というモノやコトに興味があって、それに触れたいと思うと、▲▲市にいくのがいい」という流れを念頭に動画を制作した方が、効果の出る確率が高まると思います。
 

3.人が顔出しをして紹介する

この動画、大阪のツアーガイドのYUKAさんが作った動画なのですが、1年ちょっとで50万再生されています。個人的には、一番衝撃を受けました。
予算をかけていないながら、ポイントがしっかりまとまっています。更に詳細欄に動画の解説テキストがついているので、理解が深まります、
ネット動画の特徴かもしれませんが、具体的に紹介している人が出ている動画の方がリアリティが出て信頼性を獲得出来ます。
この動画はそれを体現している好例ではないかと思います。

4.プロセスを伝える

モノやコトを紹介する際、ふんわりとしたイメージだけを伝えるより、そのものが出来る過程を正確に見せた方が興味が増幅します。
上記の動画はその好例で、10万再生以上しており、人気を得ています。まだ動画しかアップされていませんが、ここから訪日外国人向けに漫画制作のレッスンなどを販売することが出来そうです。

5.アクションへの導線を明確に

動画をみても、見て終わり、よくてシェアされて終わりでは、もったいないです。特に企業の場合は、具体的にそれをきっかけに自社の商品やサービスを売り込まなくてはいけません。動画の中、もしくは周辺に「注文や問い合わせへのナビゲーションの仕組み」を準備する必要があります。
前述の2.の動画は、最終的にはツアーのプランやガイドを売っていて、詳細欄に販売や問い合わせの導線も確保されています。また、動画の最後にチャンネル登録への導線も用意してあるので、すぐにアクションをしないユーザーも細く繋げることが出来ています。
ツアーが実際に売れているかどうか分かりませんが、それなりに問い合わせはあるのでは?と推測します。
以下、2.の動画のYUKAさんのサイトです。
Experience JAPAN with YUKA
 

まとめ

上記をまとめるために、年末年始で数百本の動画を見たのですが、一つ気づいたことがあります。それは、コンテンツマーケティングで言われている「ユーザーニーズを満たすハイクオリティ(高画質という意味ではありません)のコンテンツは数多くアクセスを稼ぐ」ということは動画においても同様だということです。
テキストであれ、動画であれ、ユーザーニーズを察知し、その期待を超えるコンテンツを作るための工夫をすることが何よりも大切であることに改めて気づかされました。
特に奇抜な動画を作らなくても、伝えたい内容を整理して、端的に発信するだけでも十分にチャンスはありそうです。
皆様のコンテンツ制作やプロモーション施策立案の際に参考にしていただけると幸いです。
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